超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》 作:SEALs
では予告通り、Z機によるグアム基地を空爆された報復をすべき、米海軍は原潜を出撃させます。
なお本来は退役している艦が登場していますが、この世界では現役ということに設定しています。
灰田「果たしてどういう展開になるかは本編のお楽しみに」
ではこの言葉に伴い、改めて……
作者・灰田「「本編であります。どうぞ」」
このときパールハーバーから十勝基地攻撃のために出撃したのは、ロサンゼルス級攻撃型原潜《トピーカ》と《バッファロー》である。
南シナ海域には、日本タンカーないし病院船攻撃に3隻の原潜がひと足先に出て活動している。
これは《ホノルル》《シカゴ》《サンタフェア》である。
アメリカ海軍は、同型艦を実に50隻以上保有している。
このロサンゼルス級原潜のスペックは、以下の通りである。
水中排水量6927トン
全長109.73メートル
全幅10.1メートル
加水圧型原子炉1基により蒸気タービンを回し、出力3万5000馬力。
水中最大速力は31ノットである。
搭載兵装は533mm水圧式魚雷発射管により、Mk48 魚雷、UUM-44《サブロック》、サブ・ハープーンUSM、各種機雷など多彩な兵器を発射できる。
また、トマホーク・ミサイルSLCM発射用VLS……これを12基装備している。
5月27日。
早朝……この2隻が釧路沖合から400キロメートルのポイントまで忍び寄っていた。
トマホーク・ミサイルに搭載する弾頭には様々な弾頭がある。
このロサンゼルス級の搭載兵装……水中発射型の射程距離は460キロメートル。
通常弾頭は450キロの炸薬を持つが、戦術核弾頭の威力は200キロトンだ。
偵察衛星が消滅したため、新しいデータに更新することができず、頭脳部には古いデータマップを入れたままで攻撃せざるを得ない。
トマホークは、頭脳部に衛星情報の敵地の目標まで入っており、これを元に低地飛行し、目標近くになって、ホップアップして襲い掛かる。
ペンタゴンが、早くも戦術核弾頭を使うことを決意したのは、言うまでもなくグアム基地が《ミラクル・ジョージ》により壊滅されたため、その報復である。
ともかく、このステルス重爆を徹底的に叩いておかなければ、今後の作戦に影響が出かねないからだ。
0800時。
2隻の原潜は、VLSからそれぞれ2発ずつのトマホーク・ミサイルを発射した。
攻撃の結果は、潜望鏡で確認する。
500キロメートルの距離があっても、きのこ雲が高さ数キロメートルも立ちのぼるので、命中したと分かる。
偵察衛星が機能しないいまは、そのような原始的な方法に頼るしかない。
発射準備完了。4発のトマホークの速力は885キロで北海道内陸に向かっていく。
海綿上面数メートルというごく低度を飛ぶので、レーダーに捉え難く、日本の沿岸防衛部隊が気付いたときには、その防空網をすり抜けているはずだった。
確かに、そこまでは上手くいった。
4発のトマホークは、日本のバッジシステムを通過したのである。
パトリオットもホーク・ミサイルも発射する余裕もなく、亜音速の巨大なミサイルが沿岸部を通過し、十勝地方に向かった。
しかし、当然のことながら空自や多国籍空軍はアメリカ原潜による海からの攻撃を予測、灰田に依頼して例のバリアを張り巡らしていた。
4発のトマホークは目標を探知すると、ホップアップした。
すると最終攻撃態勢を取り、目標の飛行場に最大速力で突っ込み、エネルギー・バリアに触れるとともに核爆発を起こした。
しかし結果は、かつて連邦国が行ったミサイル攻撃のときと同じ結果となった。
戦術核弾頭は爆発したが、その核爆発エネルギーはバリアに吸い取られてしまい、別次元に飛ばされてしまったのである。
2隻の原潜に乗艦していた艦長たちは、浮上した艦橋にあった双眼鏡でモニターをしていたが、見張り員が命中時間ですと告げたので、胸を踊らせて目標方向を見つけた。
しかしいつまで経っても核爆発の凄まじい閃光は視認できず、きのこ雲が出現しなかった。
5分待ってからも艦長たちは攻撃ミスを認めざるを得なくなり、ハワイに報告した。
“4発のトマホーク・ミサイルで攻撃するも不発と確認ス。敵はなんらかの方法で、戦術核弾頭の爆発を妨害した様子なり”
この旨暗号で電信した。
“さらに攻撃すべきか否か、指示を待つ”
これを受け取った太平洋軍司令部では、ディエゴ司令官が幕僚たちとともにこの結果を検討した。
「おそらく、何発撃ち込んでも同じでしょう」
幕僚長が発言した。
「日連戦争のとき、連邦国はあの戦艦水鬼率いる深海棲艦たちから貸与された技術で開発した戦略ミサイル《鬼角弾》をここにぶち込みました。
それは爆発したかに思えましたが、そのエネルギーは消えてしまったのです。
この事はNOAA(海洋大気圏局)により、ペンタゴンでも確認されています」
「ふうむ」
ディエゴは唸った。
「敵は何らかの核爆発に対する防御手段を持っているというのか。一体それはなんのだ。もしそれが事実ならば、我が軍の戦略原潜ですら無力という事になる。
日本に対するアドバンテージは大きく低下するぞ」
幕僚たちは顔を見合わせたが、誰も発言しなかった。
発言できるほどの勇気がなかったのである。
米軍の持つ最終抑止力兵器は戦略核であり、それが全く無効となれば、戦争は直接戦闘と言うかたちで決着を付けなければならない。
この戦争は長引きそうだなと言う予感が、誰もが思っていた。
その予感はペンタゴンでも同様に感じられた。
高価な戦略爆撃機B-1B《ランサー》がグアムで全滅したと言う知らせは、統合参謀本部を、またグアム所属の義勇空軍部隊が壊滅したと言う情報を連邦残党軍も同じく震撼した。
ただし中岡や上層部たちは『こいつ等全員が精神・根性が足りないから負けたんだ』と、相変わらず古臭い概念に取りつかれていた。
すぐにケリー国防長官に知らせたが、ケリーも最初は信じなかった。
再度ハワイに連絡して確かめさせたが、回答は変わらなかった。
それどころか、ハワイからは北海道にある《ミラクル・ジョージ》の基地攻撃も失敗したと言う報告が返ってきた。
ケリーはヨーク大将にこの事態の説明を求め、ヨークはすぐにケリーのもとに参上してブリーフをした。
ケリーはできる限り早く、ハドソン大統領に報告を上げなければならないので焦っていた。
「連邦国がなぜ十勝基地の核攻撃が失敗したか、これではっきりしました」
開口一番、ヨーク大将は言った。
「日本は、爆発エネルギーを消滅させる恐るべきシステムを持っているらしいのです。
むろん、我々にはまったく分かりません。
恐らく未来からもたらされたテクノロジーなのでしょう。
我々もまた2隻の原潜……ロサンゼルス級からウォーヘッド(戦術核弾頭)をつけたトマホークを4発発射しましたが、艦長たちは核爆発を確認することができませんでした。
4発同時に不発に陥ったとは考えられませんので、やはり爆発エネルギーは消滅しましたか、どこかに転移されたものと考えるしかありません」
「どこかに転移しただと!?」
ケリーは喚いた。非科学的なことを信じない男だから無理もない。
「そんな説明で、大統領を納得させられると思っているのかね、きみは?」
「これは我が国の最優秀核物理学者の意見なのです。タイムマシンそのものは、アインシュタインも実在していると発言しています」
ヨークは冷静になって答えた。軍人はいかなる時でも冷静であらねばならない。
感情に流されれば適切な判断が出来ない。
「おそらくは日本は最重要軍事施設、国内や国外にある各鎮守府、そして主要都市にこの転移システムを備えているはずです。したがってこれ以上の核攻撃は無駄だと考えます」
「うーむ…」
ケリーは呻くほかなかった。
「ともかく、今のことを大統領に伝えよう」
ケリーから事の事態を聞いたハドソン大統領は、ただ茫然として言葉も出ない有様だった。
中岡たちならばすぐさま否定して、ことをややこしく成りかねないから安心である。
今まで我が合衆国に忠誠を誓った米軍は世界最強だと信じていた。
深海棲艦が突如として現れても同じく、圧倒的な軍事力で翻弄してきた。
それはむろん最後の切り札として戦略核を持っているからである。
実際に使うシチュエーションは起こらないようにしても、これで全世界を恫喝することができる。しかし、その手段は失われた。
「ご心配なく、大統領」
ケリーは言った。
「我々は、まだ世界最強の空母戦闘群に、連邦残党軍が貸与してくれた少数ではありますが、各種の兵器を持っています。
日本がいかに艦娘たちを持とうと、我々のような空母戦闘群を真似しようと打ち破れるはずがありません。安心して我々にお任せください」
「うむ、しっかり頼むぞ。以前にマーカスが言ったように、我々が少しでも醜態を見せれば世界中のドルが一挙に暴落し、我々は本当にデフォルトに陥ってしまうぞ」
「充分に承知しております」
南シナ海において、日本タンカーと病院船撃沈の任務を与えられた3隻の原潜《ホノルル》《シカゴ》《サンタフェア》は、インドシナ半島、マレー半島、ボルネオに囲まれた海域で、
目標哨戒……すでに5隻を撃沈した。
だが、その後は日本タンカーないし病院船がばったりと見かけなくなった。
これはもちろん事態の最重要性をかんがみて、日本政府はタンカーないし病院船にインドネシア・マカッサル海峡回りを命じたからである。
そのあとフィリピン東海面に沿って北上する。
これはマカッサル回りに比べれば、日数に対して1週間程度は掛かり、燃料コストも余計に増大するが、沈められるよりはマシだ。
3隻のアメリカ攻撃型原潜の艦長たちは、しばしば浮上しては連絡を取り合った。
しかし先任艦長・ペン艦長は、どうやら日本はタンカーと病院船の航路を変更したらしいという結論に達した。
何しろ偵察衛星からの情報が入ってこないので、上空からは確認できないのである。
目標は恐らくロンボク海峡を抜けてマカッサル海峡を出て、そのあとはセレベス海を経て
フィリピン海域に出るコースだろうと推測した。
もしも南シナ海経路を諦めたのであれば、ほかの選択肢はない。
これは予測されたことなので、ペン艦長は僚艦の艦長たちにジャワ海に向けて南下せよ、と指示した。
ロンボク海峡の出口を押さえてしまえば、目標は逃げられない。
かつて太平洋戦争中の最大の海戦と言われた“レイテ沖海戦”で、西村祥二中将率いる艦隊……通称『西村艦隊』はスリガオ島、レイテ島との間にある狭い海域……スリガオ海峡に突入した。
主力艦隊は老齢戦艦《扶桑》《山城》に、重巡《最上》、第四駆逐隊《山雲》《満潮》《朝雲》、第二十七駆逐隊《時雨》である。
しかしこの入口には強力な米艦隊が多数の魚雷艇、駆逐艦、巡洋艦、そして戦艦といった四段構えの布陣で待ち構えていた。
まず雷撃、そして砲撃による……滅多撃ちとも言える集中砲火を受けて《扶桑》《山城》は沈没し、西村中将は旗艦《山城》と運命を共にした。
その後から進入してきた志摩中将率いる第二遊撃部隊は、西村艦隊の残骸を見つめると、敵情不明を理由に撤退を決意すると突撃していた駆逐隊を呼び返し、艦隊は海峡脱出を開始した。数多くのアクシデントなどを起こし、さらに栗田中将率いる戦艦《大和》を中心とした主力艦隊もまた周波の如くレイテ湾手前で“謎の反転”を遂げた。
なお志摩艦隊を待たずに単独突入を西村中将の評価は分かれるが、小沢治三郎中将は『レイテで本当に真剣に戦ったのは西村だけだった』と評した。
もっとも栗田中将が起こした“謎の反転”は様々な理由はあるが、一部では、まる3日間と不眠不休で敵機の間断のない攻撃に耐えながらもここまで突撃してきた栗田中将は、ついに正常な判断力が失い、北方の機動部隊がいると誤解して反転したのである。
栗田に与えられた命令は、敵輸送船団を撃滅するべきというもので、これは明らかに命令違反である。
栗田は戦後まで生き残ったが、この“謎の反転”の真相については、生涯口を閉ざしたまま語らなかった。
現状に戻る。
要するに狭い海域の出口で、護衛艦ですないタンカーないし病院船を原潜が待ち伏せしたら逃げようがないという事である。
ペン艦長はその日……5月28日いっぱいまで待ち、日付けが29日に変わるとともに南下するよう命じた。
十勝基地は無事攻撃を防ぐことができ、さらに南方海域でも新たな動きが見せたところで今回は終了であります。
灰田「しかし相変わらずですねアメリカの態度は、そして連邦残党もですが」
奴等はまだ”新兵器”もあれば、連邦派深海棲艦たちもおり、アメリカから貸与された兵器を持っていますからね、虎の威を借りた狐の如くですが。
秀真「どぶねずみの間違いでは?」
古鷹「提督、思い切ったこと言いますね」
灰田「追い詰められていることは確かですからね、自分たちを救世主ないし神と自惚れている連中ですから」
神通「この神通が鍛え直し…」
鍛え直すぐらいならば海の藻屑にした方が早いです。
とはいえこうしている間にも、次回予告をしなくては(使命感)
灰田「ではいつもながら次回予告です。次回は十勝基地攻撃から南方海域で海上封鎖を目論もうとする米原潜を撃沈すべく、こちらも原潜《海龍》との死闘を繰り広げます」
次回もまた遅くなるかもしれませんので、ご了承ください。
灰田「ではそろそろお時間になりましたので……。次回まで、第七十八話までダスビダーニャ(さよならだ)」
秀真・古鷹『ダスビダーニャ』
作者・神通『ダスビダーニャ、次回もお楽しみに』