超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》   作:SEALs

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お待たせしました。

前編の続きであり、そして彼女たちの幸運をなめてはいけません……

それと伴い、台詞なども一部変更している部分がありますが、最後まで読んでいただければ幸いであります。

それでは、本編であります。

どうぞ!


第八話:蠢く陰謀、そして脱出 後編

「ごめんね、翔鶴姉、みんな……」

 

悔し涙を流している彼女に対し、中岡は命令を下した。

 

「将軍として命ずる。この裏切り者を殺せ!」

 

「了解しました。将軍様」

 

コイツを殺せ、と命じた時、一発の銃声が鳴り響いた。

 

 

 

瑞鶴は自身がもう死んだのかと思い、両目をゆっくり開けた。

 

「なぜ、俺が……」

 

しかし撃たれたのは彼女ではなく、短い言葉を発し、目の前にいた中岡が倒れ、次に撃たれたのはあの外道憲兵だった。前者は胴体に1発、頭部に1発を喰らい即死したが、後者はまだ息あるがあった。

しかも何度も「悪いのは中岡だ」と責任転嫁しただけでなく、情けない声を上げて「助けてくれ」と命乞いまでもした。しかしロシア人は「自己責任だ」と言い返し躊躇うことなく、外道憲兵を射殺する。

この銃声を聞き、駆けつけ、押し寄せてきた憲兵らも同じく、これまた射殺した。

中岡らを殺したことを確認したロシア人はロシア語訛りの英語を発し、携帯無線機で誰かと短く交信した。

あまり長いと敵に傍受されるからである。通信が終了すると、瑞鶴たちにふたたび顔を向けた。

 

「ど、どうして。私たちを……」

 

唖然とした瑞鶴の答えに、憲兵は答えた。

 

「キミたちを救出せよ、と元帥と我が提督の命令でね。こうやって救助しにきたんだ」

 

「あの、その提督って、もしかして、郡司提督ですか……?」

 

瑞鶴の代わりに、翔鶴は心当たりがあると思い、彼に尋ねた。

翔鶴たちは一度だけだが、彼に会ったことがある。なにしろ彼の艦隊には、あの有名な空母部隊のひとつ「第一航空戦隊」こと一航戦と、もうひとつは「第二航空戦隊」こと二航戦が所属している。

短期間だったが一緒に合同訓練をし、演習も行なったことがあるから覚えている。

本来ならば秀真も参加する予定だったが、この時はあいにく別の任務で古鷹たちを率いて、敵艦隊と交戦中だったので、彼のことは知らない。なおこの合同演習では中岡率いるブラック提督たちは、なぜか参加しなかった。

ただし彼らの代理人として監視部隊を送っていた。ソ連の督戦隊のような組織で、味方を常に監視し、裏切るのであれば殺すという組織である。例え友軍兵士や味方のブラック提督たちですら、もしもヘマをしたならば、彼らは平然と粛清するので、味方からも恐れられている。翔鶴たちは彼らがいたために、誰とも相談ができなかった。

 

「そのとおりだ。わたしは彼のもとで働いているニコライだ。よろしく」

 

率直に言ったニコライ、彼らの正体は郡司が秘かに忍ばせておいた諜報員である。

数週間前に起きた事件、ラジコン襲撃時の際に使用した鎮守府がここだと嗅ぎ付け、この鎮守府の憲兵として成りすまし、チャンスがあり次第、彼女たちを救出および主犯者たちを確保しようと作戦を練っていたのだ。

ただし後者にいたっては、やむを得なかったが。

 

「話しは山々だが、友軍が時間を稼いでいるうちに、今は一刻も早く私たちと一緒に脱出の準備をするんだ」

 

「あ、はい!」

 

解放された翔鶴たちは助けてくれた諜報部隊に護衛されながら、格納庫へと急いだ。

 

 

 

 

「準備完了しました、ニコライさん」

 

ニコライたちに護衛されながら、翔鶴たちは急いで艤装を取り付けた。

彼らの聞いたところ他の子たちは、友軍が運用している米空軍向けの特殊作戦型に改良され、汎用大型ヘリMH-53Jの後継機――長距離特殊戦活動、不測事態作戦、脱出および海洋特殊作戦に用いられるCV-22《オスプレイ》に乗員、上空で待機していた護衛機、世界最強とも言われる米軍や航空自衛隊などが制式採用している戦闘機F-15《イーグル》とともに、各鎮守府にいる良識な提督たちのところに脱出に成功した。この知らせと彼女たちを受け入れる準備は完了だとの報告と全員が無事到着したとの連絡を聞いた一同は、安心して脱出準備を終えた。

また陽動のためニコライと元帥はこのために、自衛隊の特殊作戦群とPMCやスペツナズなどからの義勇兵たちだけでなく、元帥の護衛兵と選りすぐれの戦友たちによって結成された、ゼロと呼ばれる特殊部隊群も投入した。

この合同部隊らが、この鎮守府だけではなく、各ブラック鎮守府の憲兵たちと銃撃をしている。

なお前者は負傷者は少数だったが、全員無事救出作戦が成功したとの報告を聞くと、全員幽霊のごとく消え、無事脱出したとのことだ。後者は、ほぼ全滅状態になった模様である。ほとんどが元帥の不死身部隊とゼロと呼ばれる特殊部隊のおかげであることは言うまでもないが。

 

クリア。周囲警戒を終えた隊員たちは、この場に停泊、鹵獲した一隻の高速戦闘艇――イエメン海軍やカタールで使用されているフランス製の高速艇DV-15《インターセプター》に乗り込んだ。

なおこの高速戦闘艇を守っていた警備兵も何者かに射殺、または刺殺された死体がいくつか転がっていた。

ニコライたちは目もくれず、周囲警戒、そしてこのフネの操縦席には置き手紙があった。

ニコライはそれを開き、目を通した。

 

”警備兵たちは私と最愛なる妻、仲間たちが片づけた。キミたちが無事目的地に着くことを祈る”

 

シンプルな内容が書かれた置き手紙を見て、元帥の戦友、山城少将たちだなとニコライは悟り、その置き手紙を胸ポケットへ大事にしまった。直後、各装備品を確認。しかも新品とも言えるほど綺麗に整備されている。また各武装も然り。搭載されている全ての兵器も贅沢なものばかりだ。

メインウェポンは歩兵および軽装甲車両に対して絶大な効果を発揮する25mm炸裂型砲に、サブウェポンとしてレーザー誘導ミサイルの傑作AGM-114ヘルファイアを搭載している。余談だがこのミサイルは対装甲車両だけでなく、陣地、船舶、市外目標、対空兵器としても使用可能なAGM-114NヘルファイアⅡである。

また側面にはゼネラル・エレクトリック社がヘリコプターや固定翼機の搭載機銃として開発したM61を小型簡略軽量化したガトリング銃――M134『ミニガン』が搭載している。

 

「まるで戦艦みたいね、そのボート……」

 

それを見た瑞鶴は呟いた。

 

「特殊作戦用だからな、いくらこの重武装でも敵の駆逐艦と軽巡、雷巡クラスなら容易く対処できるが、重巡クラス以上になるとキツイかな。防弾能力だって拳銃弾やライフル弾を防ぐほどの性能しかないし、敵の砲弾なら一発轟沈もあり得るからな……」

 

先ほど彼女を助けてくれた、ニコライは答えた。

 

「まぁ、俺たちにとっては海上に浮かぶ棺桶に乗っているようなもんさ」

 

「棺桶なんてキツイジョークだぜ…」

 

「来やがれ、そのツラ見せろ。出て来い、深海棲艦どもチェーンガンが待ってるぜ!」

 

ニコライに次ぎ、ほかの隊員たちは各々冗談を言った。

 

「おい同志たち、レディの前でつまらないジョークを言うんじゃない」

 

ニコライは、隊員たちに注意を促した。

 

「「「イズヴィニーチェ、同志ニコライ」」」

 

「うむ。よろしい」

 

冗談めいた答えにニコライたちが微笑した姿を見て、翔鶴たちもこの微笑ましい光景にクスッと微笑した。

 

「皆さん私たちのために本当にありがとうございます。戦闘時には私たちがあなた方をお守りしますから安心してください」

 

お淑やかな口調と共に、翔鶴は微笑した。

 

「そうよ、私と翔鶴姉がいれば大丈夫なんだから!」

 

自慢に満ちた宣言をする瑞鶴に続き―――

 

「護衛任務なら、お手の物だから安心しなさい」

 

矢矧が言った。

 

「秋月、皆さんを護衛します!」

 

秋月も自信に満ちた声とともに敬礼する。

 

「「「スパシーバ。同志たち!!!」」」

 

「頼もしいサムライガールたちだな」

 

彼女たちの言葉を聞き、ニコライは告げた。

 

「……それじゃ気を取り直して、出発するぞ!」

 

出発の合図と共にうなずいた一同は、目的地である鎮守府へと目指す。

 

 

 

翔鶴たちが出港した頃。

さきほどの執務室には、ニコライたちが射殺した中岡と外道憲兵たちの死体が放置されていたが………

 

「この役立たずの影武者と使い捨てどもが!」

 

苛立ちながら額または胴体を撃ち抜かれた死体を蹴り上げる中岡、先ほどニコライが殺したのは偽者――つまり影武者である。ただし外道憲兵は本人であり、彼が死んでもさほど気にしない。また代わりの憲兵を用意すればいいのであるから痛くもかゆくもなかった。

 

「おい明瀬提督、奴らを殺せ!海の藻屑にしてやれ!」

 

「ケッケッケ、お任せを!」

 

独特の笑い声を発する小男こと明瀬は、部下たちと出撃準備をするため、部屋をあとにした。

彼と入れ替わる形で、一人の女性が入室した。

 

「アラ、影武者ヲ殺サレタ挙句、ミスミス艦娘ドモヲ逃ガスナンテ……」

 

黒いドレスの妖しい美女。外見は提督たちに屠られた戦艦棲姫に酷似している。

ただ黒いドレスは共通しているが、胸元に模様が入っておりスカートはバルーン風に膨らんでおり、脚は黒いタイツにスタッズのついたゴツい装飾の靴、二の腕まであるロンググローブを身に着けて妖艶な雰囲気を醸していた姿、その風貌はまさしく―――進化し、復讐のために蘇った「戦艦棲姫」といっても良いだろう。

 

「なんだ。戦艦水鬼……この俺様を馬鹿にしに来たのか?」

 

年のせいだろうか些細な事にもキレる中岡は彼女に尋ねた。

 

「貴方ニ用事ガアッテネ、早ク脱出シナイト大変ナ目ニ遭ウワヨッテ、伝言ヲネ……」

 

彼女の報告によれば拘束または射殺されたブラック提督たちも少なからずいるようだ。

それを聞いた中岡は双眸を落とし、答えた。

 

「言われなくても分かっている。こんな用のない鎮守府なんて、おさらばしたいのは当然だ。いつまでもここに居座ると異端者どもが、ここを嗅ぎ付け、捕まったら死刑になりかねないからな。言っておくが俺のおかげで前作戦を有利にしたんだから厚遇されるのは当然だよな?」

 

「言ワレナクテモ、承知シテイルワヨ……」

 

戦艦水鬼は渋々承知した。

コイツと会ったのは運のつきだったが、同時にあの反攻作戦で貢献したため仕方なく命令に従っている。たしかに彼と協力したから南シナ海戦で日本のシーレーンを一時期脅かすことに成功したのは皮肉とも思っていた。

この有効な証しとして、彼を率いるブラック提督たちと友好条約を結んでいる。

本心はこれ以上は厚遇するのは嫌だった。しかし中岡たちのおかげで勝利したのだから、振る舞うのは致しかない、本心は殺したい気持ちは山々だが。

余談だが、史実の独ソ関係に近い状況である。

後世の時代でも独ソ不可侵条約を結んでいたドイツがソ連を攻めたのは間違いだとよく言われているが……実際にはこれは間違いである。ドイツがもしイギリス攻略に長引いていれば、ソ連が不可侵条約を破り、東から大量のソ連軍が攻めていたと元赤軍将校たちからの証言と記録が残されている。つまりお互い騙し討ちを目論んでいたほど信頼と言うものは一切なかった。

 

だから、当然その気持ちを持つのも無理はない……

 

「デハ、私ハ先ニ脱出シテオクカラ遅レナイヨウニ……」

 

――イズレハ殺シテヤル、コノ男ハ裏切リカネナイ。チャンスガアリ次第、消サナケレバ……と殺意を隠すように彼女もこの場を去る。

 

だが動物並みの感が良い中岡は遅れながらも戦艦水鬼のあとを追うよう去りゆくように、この鎮守府を部下と共に去っていった。

 

……この化け物女、感づいたか。警戒せねばならない。




今回は前作とやや違った展開とともに、CD:MWシリーズに登場したロシアの諜報員ことニコライがゲスト出演しています。MWシリーズではお気に入りのキャラの一人ですね。
とくにMW3ではMi-24の掩護攻撃してくれるステージは最高なのであります。

ほかにもゲストがいた、いいえ、気のせいですね(赤城さん風に)

なお後半は依然と変わりませんね、結構気に入っている展開なのでこのままという展開にしました。今後の展開に影響するかは……おっとネタバレになりかねませんのでしばしお待ちを。

では次回は無事脱出した翔鶴とニコライたちに中岡が放った追尾者たち、彼らとの海戦であります。

それでは第九話まで、ダスビダーニャ(さよならだ)。
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