超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》 作:SEALs
予告通り、難を逃れた米空母戦闘群がいよいよ日本空母戦闘群との戦闘が始まります。
なお長文のため、いつもながらですが、前編・後編と分けます。
灰田「私が用意したニミッツ型空母4隻の出番となります、果たしてどのような活躍をするのかは本編を見てのお楽しみです」
ではこの言葉に伴い、改めて……
作者・灰田「「本編であります。どうぞ」」
このとき、東経160度ラインに沿って展開していた日本空母戦闘群は、北から第1空母戦闘群(空母《アカギ》基幹)、これを第1護衛艦群がエスコートしている。
さらに水中では海龍第2戦隊が展開していた。
その南には、第2空母戦闘群(空母《カガ》基幹)。
エスコートは第2護衛艦群+海龍第3戦隊。
その南には、第3空母戦闘群(空母《ソウリュウ》基幹)。
エスコートは第3護衛艦群+海龍第4戦隊。
最南端には北回帰線上には、第4空母戦闘群(空母《ヒリュウ》基幹)。
エスコートは第4護衛艦群+海龍第5戦隊。
南シナ海域にいる海龍第1戦隊を除き、まだ5個戦隊が余るが、これは予備兵力として横須賀鎮守府に待機している。
アメリカ原潜や連邦残党海軍、そして連邦派の深海棲艦たちがいつまた本土を襲撃して来るとも限らない。
これら4個空母戦闘群は『第10艦隊』と名付けられ、司令官は鬼頭海将(旧海軍でいえば大将級である)。
第1空母戦闘群司令官・鳴沢海将。
第2空母戦闘群司令官・春日海将。
第3空母戦闘群司令官・野尻海将。
第4空母戦闘群司令官・塩瀬海将。
つまり、空母戦闘群司令官は全員大将クラスである。
海自の将官階級……海将は2ランクしかなく、大将と中将は肩の星の数を見分けるしかない。かつての少将は海将補だから分かりやすい。
因みに、アメリカ海軍将官は4ランクに分かれている。
大将、中将、上級少将、少将であり、これまた肩の星の数で見分けられる。
鬼頭海将は護衛艦隊叩き上げの将官で、実際に護衛艦隊司令官を務めた猛者である。
護衛艦隊よりも“第10艦隊”の方が、遥かに強力なので実質的な昇進である。
各々の空母戦闘群司令官たちに、海自はより選りすぐれの者たちを揃えた。
といっても、旧日本海軍の司令官と赤城をはじめとする空母娘たちとは違いが生まれる。
赤城たちは自分の意思で考え、行動する自分たちと同じ人間である。
しかし本物の空母となると実際に動かしているのは、未来コンピューターであり、人間はあくまでバックアップシステムなのである。
この空母と護衛艦群はリンクシステムに繋がれていることは言うまでもない。
この哨戒ラインは、ほとんど2000キロメートルに及び、各部隊の開距離は500キロ。
海里に直せば……ほぼ1100海里。開距離277海里である。
ともかく太平洋は広く、大西洋とは比べものにならない。
開距離300海里近くあれば、かつて大艦隊がすり抜けることも可能だった。
しかし今は早期警戒機と言うものがあり、哨戒用潜水艦がレーダーにより水平線を監視しているので、まず気づかれないと言うことはあり得ない。
問題はどちらが早く敵を発見するかで、飛行甲板を先に潰されれば終わりである。
この先手必勝と言う要素はいまでも変わらない。
対艦ミサイルを搭載した敵機が殺到し、イージス艦はよくこれを防ぐことができるが……敵対艦ミサイル1発でも撃ち漏らし、空母の飛行甲板をやられてしまえば、こちらが負けたも同然である。
この点では、イージス艦を多く持つアメリカ艦隊の方が有利である。
米空母戦闘群の護衛艦隊の多くが、最新鋭ミサイル駆逐艦《アーレイ・バーク》級である。
また一部はタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦も健在である。
各空母戦闘群は、これらの護衛艦を各々4隻ずつ持っており、あとは通常駆逐艦から構成されている。
しかし、そのハンディキャップを超高速潜水艦《海龍》とその豊富な搭載兵装が補うはずだ。
同じ6月1日。
早朝から、日本空母戦闘群は早くも艦上対潜哨戒機S-3B《ヴァイキング》を飛び立たせ、針路90度を中心に500海里進出させ、哨戒任務を務めていた。
同時に海龍部隊も艦隊前方200海里まで進出、水中哨戒していた。
S-3B《ヴァイキング》の作戦行動半径は、1800キロである。
赤外線センサー、MAD(磁気探知機)、ソノブイ、ESM、FLIRなどを備えている。
搭載可能兵装はAGM-84《ハープーン》に、Mk.46対潜魚雷、Mk.54/60対潜爆雷、機雷、各種爆弾、ロケット弾を持つことができ、敵潜水艦を発見すれば、その場で攻撃できる。
また早期警戒機E-2C《ホークアイ》も出して、警戒していた。
本機の作戦行動半径は、400キロ足らずに過ぎないが、搭載している巨大レーダードームに収められたAPS-145レーダーは、索敵可能半径500キロ以内にいる目標ならば同時に650キャッチし、敵を追尾することができる。
つまり、レーダー有効距離を合わせれば、作戦行動半径は1000キロとなる。
日本空母戦闘群は、これらの艦載機を2機ずつ飛ばし、常時交替させている。
全索敵哨戒線に対して8機である。
一見、少ないように見えるが、太平洋戦争当時は多数飛ばした。
現代の哨戒機は高性能であり、1機の哨戒範囲が広大なので充分である。
対潜哨戒機はソノブイを大量にばら撒いているが、ヴァイキングの搭載しているコンピューターは、海龍から発する微量なノイズは無視するようにプログラムされている。
また哨戒範囲をダブって、E-2Cが飛び回っていたから、敵がやって来ればミスすることはあり得なかった。
いっぽう、ハワイから出撃したアメリカ艦隊は、2個空母戦闘群がほぼ平行しつつ50マイルの距離を開けながら針路270で西進。
その日の夜は日付変更線を越えていたが、司令官・ノース中将は東経160度ラインを超えるまで哨戒機、警戒機を出す気はなかった。
日本軍はおそらく小笠原諸島近くにいて、南北どちらにでも動けるように待ち構えているだろう。それが本来の日本軍作戦であることは、戦史に記している。
しかし、帝国海軍のとった漸撃作戦であって、快速の空母戦闘群には当て嵌まらない。
ノース中将は、ここで思い込みによるミスを犯してしまったのである。
翌日……6月2日。
1200時過ぎにはウェーク島の北を通過した。
しかし1300時には、もはや日本軍の哨戒範囲に入り込んでしまったのである。
暁天02から出た《ホークアイ》が、500キロの探知距離ギリギリのところに敵艦隊らしき複数の目的を捉え、第10艦隊司令部に通信した。
“われ空母戦闘群らしき目標を探知す。敵艦隊はおよそ10隻からなり、距離270海里、速力28ノット、針路270で西進中”
この電波は当然米軍にもキャッチされ、ノース中将は敵がこれほど近くにいたことに愕然とした。
この電波を送ったものは、当然《ホークアイ》対潜哨戒機だろう。
日本空母戦闘群が我が軍の空母航空団をそっくりコピーしたらしいことは、すでに海軍司令官から知らされている。
「どうやら敵は、東経160度ラインまで進出している」
ノース中将は幕僚たちと話し合った。
「我が偵察衛星が機能しない今は、敵勢力を空から確認するわけにはいかない。
最新情報では、敵は我が軍のニミッツ級空母を入手したとのことを言っていたが、護衛艦隊については海自の護衛艦群のままらしい。……という事は敵のイージス艦は6隻と限られているという事だ。
我が軍は8隻ずつ持っている。また火力についても我が軍のエスコート艦の方が強力だ。
なにしろ、ミサイル巡洋艦をもっているからな。
敵襲の方が早いとしても冷静に対処すればいい。まず敵攻撃機と戦闘機を撃破するのだ。
そのあと敵空母をゆっくり料理すればいい。この旨を全軍に伝えてくれ」
この命令は2隻の空母の艦長に伝えられ、了解の回答があった。
もはや味方の位置は露見したので、無線封鎖は必要ない。
両軍はさらに接近すれば、日本はステルス電子戦機EA-6B《プラウラー》の出番となる。
米軍の場合はF/A-18Fを改修した電子戦機……F/A-18G《グロウラー》になる。
これらはジャミングを行ない、敵の通信を妨害する。
この場合、双方とも電子戦機を持っているわけだから条件は同じとなる。
艦隊リンクシステムもまた妨害される。
ノース中将の言った通り、米海軍が持つミサイル巡洋艦は満載排水量1万トンに近い。
海自が持つ最強の戦闘艦DDGよりもふた回り大きい。
搭載兵装も豊富で、スタンダード、アスロック、トマホーク、ハープーンを持っている。
発射機は全部合わせて120セル以上だ。
このうち最も脅威なのが、トマホーク・ミサイルであることは言うまでもない。
これは本来対地攻撃ミサイルだが、通常弾頭をハープーンに搭載されている誘導装置を付け替えて、対艦ミサイルとしても運用できる。
その場合の有効射程距離は、480キロである。
空母《カガ》の早期警戒機から、敵発見の報せを受けた空母戦闘群では、鬼頭司令官が全軍にAMG-84《ハープーン》の有効射程距離に入り次第、攻撃せよとの命令を出した。
護衛艦はハープーンしか持たないからである。
これはトマホーク・ミサイルの半分の有効射程距離しか持たない。
誘導のためのデータは、警戒機から送られる。
同時に、距離400キロでF/A-18E《スーパーホーネット》の出撃命令を下した。
F/A-18E《スーパーホーネット》の作戦行動半径は、850キロである。
また《スーパーホーネット》は戦闘機としても運用できるので、F-35《ライトニングⅡ》は出さない、あくまで防空用として取っておく。
日本空母戦闘群が保有する艦載機は、全て無人機。
ただし早期警戒機と対潜哨戒機だけはパイロットが乗り込んでいた。
人間の判断が時には必要だからである。
艦載機……F/A-18E《スーパーホーネット》と、F-14《トムキャット》は完全なる無人機、つまりロボット機である。
しかし、搭載されている人工知能はありとあらゆる戦闘テクニックがダウンロードされ、駆け引きのアプリケーションも身につけている。
また人間パイロットには不可能なアクロバット飛行も可能だ。
灰田はそれを見越して、これらの機体を全て強化していた。
また空母や別行動をしている古鷹たちの未来艤装にも秘密があったのだが、それらは全て分かることになる。
早期警戒機はなおも粘り強く続け、敵艦隊が距離400キロとなったところで再度報告した。
すでにF/A-18E《スーパーホーネット》の発艦準備は完了していた。……言うまでもなく、これらは全て自動的に行われる。
搭載兵装は空対空ミサイル2発、空対艦ミサイル2発、GPS誘導爆弾2発を持ち、固定武器としてM61A1 20mmバルカン砲を持っている。
これら《スーパーホーネット》部隊が、第2と第3空母戦闘群からまず36機ずつ発艦した。
第1と第4空母戦闘群からは、目標との距離がまだ遠いので見送られた。
その代わり敵の未来位置に向かって、速度を上げて急行しつつあった。
しかし、この時には米軍も早期警戒機を発進させて、敵との距離を測っていたのである。
この警戒機は2個空母戦闘群……つまり第2と第3空母戦闘群を発見し、そのデータを《セオドア・ルーズベルト》に送った。
第1と第4空母戦闘群は離れすぎていたので、レーダー探知できなかったのである。
ノース大将はほかにも2個空母戦闘群はいるはずだと思ったが、ともかく目の前の敵を減らすのが先決である。
450キロになったところで、トマホークをVLSから発射した。その数、合わせて18発。
日本軍にとって、脅威となる数である。
トマホークの速力は885キロ。海面を這うようにして飛行するからレーダーで捉えにくい。
最初は慣性飛行で、最終飛行段階では赤外線探知で突入する。
このとき日本空母戦闘群では護衛艦が前に出て、各イージス艦が防空態勢を取っていた。
第2と第3空母戦闘群では《こんごう》と、対馬海戦で活躍したナガタ一佐が乗艦している《みょうこう》である。
しかし、イージス・システムは同時に60の目標を処理できるとはいえ、2隻しかいないのではいささか心細い。敵には少なくとも16隻はいるはずだ。
ノース中将は、敵は恐らく我が主力戦闘攻撃機《スーパーホーネット》を出したと考え、味方機をすぐに出すとともに、防空用として待機していたF-35C《ライトニングⅡ》を上げるように命令を下した。
発進準備が出来ているので、まず《スーパーホーネット》が発艦。続いて《ライトニングⅡ》が上がった。後者はAV-8B《ハリアーⅡ》のようにVTOL飛行で発着艦が可能だが、緊急時がない限りは通常飛行で発着艦もできるように訓練されている。
しかし全て自動化された日本空母に比べて、いくら熟練しているとはいえ、時間を食うことは否めない。
米軍側からは《スーパーホーネット》72機が、2隻の空母から上がり、《ライトニングⅡ》28機が上空カバーに就いたときには、すでに護衛艦のレーダーは敵機の接近を捉えていた。
日本の放った《スーパーホーネット》である。
ミサイル巡洋艦《バンカーヒル》《プリンストン》《カウペンス》《シャイロー》らは任せておけとばかり散開し、距離をあけて前に出た。各ミサイル巡洋艦4隻ずつそれに従った。
これらは全てイージス艦である。
各艦に搭載しているイージス・システムに伴い、最新鋭戦闘機F-35C《ライトニングⅡ》を持ってすれば、敵機は全て食い止められるはずだった。
しかし、結果からすると、ノース中将の思うようにそうはならなかったのである。
最初の戦闘ともいえる航空戦は次回のお楽しみです。
灰田「そういえばナガタ一佐が登場していましたね、名前だけですが」
あの後読み直しましたが、イージス艦《みょうこう》が登場していましたのでね。
私としたことがミスを犯しました、大変失礼しました。
灰田「まあ、仕方ないですね。ミスは誰にもありますから」
はい、しかも今回で八十話を迎えました。
あと二十話で一〇〇話になりそうです、執筆している自分が恐ろしいです。
本当に夢見たいです。
あまり長くしているのは大変ですので、次回予告をお願いします。
灰田「承りました。次回はこの続き……日米空母戦の航空戦から始まります。
果たしてどのような戦果になるかはお楽しみに」
次回は来週になるかもしれませんのでご了承ください。
灰田「ではそろそろお時間になりましたので……。後編……次回まで第八十一話までダスビダーニャ(さよならだ)」
ダスビダーニャ!次回もお楽しみに。