超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》   作:SEALs

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お待たせしました。
予告通り、日米空母戦の航空戦から始まります。
この日米航空戦は、果たしてどのような戦果になるかはお楽しみでもあります。

灰田「この開幕航空戦とも言うべき、最大ともいえる航空戦になることは間違いないでしょうね」

ではこの言葉に伴い、改めて……

作者・灰田「「本編であります。どうぞ」」


第八十一話:決戦!日本空母戦闘群VS米空母戦闘群 後編

米護衛艦隊群は、その三次元レーダーで敵機を捉えると、それぞれスタンダードミサイルを発射した。

 

敵機は、やはり72機を揃えている。

速力はマッハ2に近く、これはF/A-18E《スーパーホーネット》に間違いない。

味方機を攻撃しているようなもので、何とも奇妙な気分だと担当員は思った。

しかし、スタンダードミサイルはそれ以上なので、各艦のCIC戦術処理スクリーンには、目標に向かい艦対空ミサイルが殺到していく様子が表示された。

数秒後には、敵機消滅を示す表示が現われるはずだった。

 

だが、そうはならなかった。

多数の目的……つまり《スーパーホーネット》は、非線形にちかい軌跡を描くとともに、全てのスタンダードミサイルを躱したのである。

 

全ての航空機は線形の軌跡で飛ぶのが常識である。

つまり急角度に折れ曲がるように飛んだりはしない。そのような動きをするのは、航空力学上不可能である。

だからこそ、いかにうまく逃げたとしてもミサイルは追尾できる。

ところで、UFO(未確認飛行物体)というのは非線形の動き、すなわちぎくしゃくと直角に曲がったりするので有名である。

 

この飛び方のため、地球外飛行物体として考えられた。

地球には、このようにして変則的に飛べる飛行物体は存在からである。

だが、コンピューターが操縦する機体各部を強化された《スーパーホーネット》は、角度を自在に変えられる推進ノイズをいくつか持ち、そのために45度以上の急角度ターンが可能だった。

 

人間がこれをやったらたちまち失速してしまうが、そもそも米軍オリジナルの《スーパーホーネット》は、そのように改良されていない。

言い換えると、灰田は各空母4隻に搭載する戦闘機と戦闘攻撃機を全てUFOにちかい飛び方ができるように改良を加えたのである。

このためスタンダードミサイルによるホーミング・システムは混乱し、あさっての方角に飛び去ってしまった。

 

ミサイルの第一撃を躱した《スーパーホーネット》はなおも進撃をつづけ、米空母のCIC戦術処理スクリーンには恐ろしいスピードで距離を縮めてくる敵機の座標が映った。

驚愕すべきことに、スタンダードミサイルで撃墜されたものは1機もいない。

つまり、米海軍自慢のイージス艦はコケにされたのだ。

 

しかし、こちらにはまだ自慢の短距離防空ミサイル《シースパロー》がある。

続いて、各護衛艦はこの短距離対空ミサイルを撃ち放った。

このときには、肉眼で見えるほど敵機は迫っていたので、その動きがよく分かった。

ノース中将はわざわざ艦橋に上がり、幕僚たちとともにその動きを確かめた。

なぜスタンダードミサイルが不調だったのか、と確かめるためでもある。

双眼鏡でそれを眺めていたノース中将は、思わず我を忘れて叫んだ。

 

「なんだ、あいつ等は? ……本当に我が軍の《スーパーホーネット》のコピーなのか!?」

 

70機に及ぶ敵機は、見たこともない飛び方をしていた。

ジグザグに角度をつけて曲がりながら距離を詰めてくるが、それでもマッハを遥かに超えたスピードなのだ。

この奇妙な飛び方のため、シースパローミサイルもことごとく躱されてしまった。

ノース中将や幕僚たちは、思考停止した。

 

どうやったら、ジェット機にあんな飛び方ができるのか?

連邦国・深海棲艦たちから技術援助された戦闘機ですらもあんな飛び方はできない。

ましてやかつては友軍だった艦娘たちのレシプロ艦載機ですらも不可能である。

全ての米軍機はデジタル式フライ・バイ・ワイヤだが、それをもってしてもあんな……UFOさながらの飛び方はできるはずがない。

 

そこに先に上がっていたF-35C《ライトニングⅡ》が飛びかかると、搭載していた空対空ミサイルを発射した。

しかし、結果は同じく躱されてしまった。

ともかく、ミサイルが飛んでくると敵機はひょいと飛び退くように軌跡を変えたのである。

その直後、20mmバルカン砲の一連射でミサイルを破壊した。

対空ミサイルを破壊されたことに怒り狂った《ライトニングⅡ》のパイロットたちもお返しとばかり、25mm機関砲をぶっ放しながら、空戦に持ち込んだ。

しかし、敵機は全てを見透かしたかのように華麗に避けながら、両翼下に搭載していた空対空ミサイルを発射した。

あまりの距離が詰まっていたので、《ライトニングⅡ》は逃げ切ることが出来なかった。

次々ミサイルを喰らい、運よくミサイルから逃れた機体も《スーパーホーネット》の20mmバルカン砲による機銃掃射を喰らい蜂の巣と化し、燃えながら落ちていった。

多くのパイロットたちは思った。空戦能力はF-35Cが上なのに格闘戦の苦手なF/A-18Eに撃ち落されるとあり得ない、と呟いたに違いない。

この奇妙な空戦で、ベイルアウトできたものはほんの数機だけだった。

米軍自慢のエスコート艦の防空能力も用をなさなくなった。

最後の切り札は“R2D2”ことCIWS《ファランクス》だが、この射線もまた敵機はスーパーアクロバット飛行で切り抜けると、日本版《スーパーホーネット》群は空母上空に殺到した。

 

「我が軍のスーパーホーネット、ライトニングⅡ、CIWS《ファランクス》……全て切り抜けられました!」

 

ひとりの幕僚が叫んだ時だった。

敵機は両翼下に搭載されていた空対艦ミサイル《ハープーン》に、GPS誘導爆弾による一斉攻撃されたのでひとたまりもない。

8万トンクラスを誇るニミッツ級空母は、いかに巨大な出力を持っても、巨体すぎて太平洋戦争当時の空母のような緊急回避をすることは不可能である。

つまり俊敏な運動性を持っていない。

 

何故かと言えば、空母自体が攻撃を受けることは想定されていない。

空からの攻撃も、水中からの攻撃も喰らうまえにイージス艦中心の護衛艦部隊に始末するようにデザインされているからである。

それでも必死に回頭し始めたが、とうてい間に合うものではなかった。

2隻の空母《ジョン・C・ステニス》《エイブラハム・リンカーン》とともに、2発ずつの対艦ミサイルとGPS誘導爆弾を飛行甲板に喰らい、大穴が開いてしまった。

 

その瞬間、両空母の機能は喪失した。

 

もっとも、米軍には優秀なダメコンチームがいるのは伝統だ。

彼らの必死の消火活動が開始されたが、現代のミサイルと航空爆弾は、太平洋戦争時代に使われた航空爆弾やロケット弾よりも上回る威力があり、これらによって開けられた大穴を急速に埋められるものではない。

太平洋戦争時には、日本機の二十五番(250キロ爆弾)による損傷した穴ならば、鉄板を張ってすぐ修復できたのだが、現代ではそうはいかないのである。

しかも、1発のミサイルが格納庫まで貫通して爆発し、不運にも予備機が誘爆を起こして大火災を発生した。

 

ノース中将たちがいた艦橋には、幸いにも直接被害は受けなかったが、誘導爆弾の1発は幸いにも艦橋の横にあるCICの真上に落ちたので、CIC機能も失ってしまった。

ペンタゴンは、今回の戦争が始まるまで、我が軍の中核である空母戦闘群の原子力空母が攻撃され、撃沈されるまでは夢想だとしか考えなかった。

 

しかし、まず台湾海域に哨戒任務を行なっていた《ロナルド・レーガン》率いる第七艦隊が深海棲艦・連邦潜水艦により壊滅した。

次はサイパン・グアムに駐屯していた戦略爆撃機・戦闘機を中心とした航空部隊や地上部隊が壊滅し、そして最後は海軍の重要拠点とも言えるパールハーバーが特攻機ないし自爆機能を搭載した無人機の襲撃により壊滅した。

 

この神話は過去のものとなった。

 

そして、いまは……2隻の空母が炎上しつつある。

ノース中将や幕僚たちから見れば、信じがたい光景である。

奇怪な飛行システム、まるで未確認飛行物体の如く飛行する日本機は両翼下に搭載していた兵装を使い果たすと、全機反転した。

これを追いすがるべき《ライトニングⅡ》をノース中将は、すでに持っていなかった。

それどころか繋止(けいし)してあった電子戦機、対潜哨戒機、対潜哨戒ヘリーなども同じく誘爆炎上しつつあった。

 

「反転退避せよ!第二次攻撃隊が来る前に…!」

 

ノース中将はやむなく、乗組員たちに鎮火活動をしつつ反転退避せよと命じた。

敵の第二次攻撃隊がやって来たら、または艦娘たちの艦載機攻撃がやって来たら本当に止めを刺されるかもしれない。

なお彼女たちは別行動をしているため、ノース中将の予想は外れたが。

しかし、発艦した我が軍自慢の《スーパーホーネット》部隊が日本空母戦闘群や艦娘たちを撃破してくれるかもしれない。

 

それに望みをかけるほかなかった。

 

 

 

いっぽう、このとき日本空母戦闘群もF-14《トムキャット改》28機が舞い上がっていた。

なおかつ、第1と第4空母戦闘群から間もなく戦闘海域に突入するという通信があった。

そこに敵の第一波攻撃……トマホーク・ミサイルの大群が襲い掛かって来た。

イージス艦《こんごう》《みょうこう》は、その三次元レーダーで全天を見張っていたが、海上3メートルの超低空でアプローチしてくるトマホーク・ミサイルはさすがに捉え難い。

護衛艦の防空システムは、超低空で飛んでくるミサイルに対抗できるように造られていない。

 

ナガタ一佐たちが気付いたときには、トマホークは直前まで迫り、目標たる空母に目掛けてホップアップしていた。

ようやくレーダーがこれを捉え、シースパローが発射されたが、後手に回ってしまった。

しかし、DDのそれも含めCIWS《ファンクラス》が火を噴き、4発のトマホークを撃墜したが、まだ10発以上も残っている。

これらがホップアップすると、空母《カガ》《ヒリュウ》に襲い掛かった。

空母自身も搭載兵装……シースパローミサイル、CIWS《ファランクス》を持っている。

人工知能《マザー》がこれを恐ろしいスピードで働かせ、さらに4発も撃墜した。

 

残るトマホーク・ミサイルは10発である。

 

5発ずつのトマホーク・ミサイルが飛行甲板に襲い掛かった。

広大な目標だから、ミスしようがない。

ミサイルは飛行甲板に突入して爆発したかに思えた。

しかし次の瞬間、その爆発エネルギーもまた消えてしまったのである。

《カガ》も《ヒリュウ》も飛行甲板は、半透明ガラスを思わせる奇妙な新素材で造られていることは前にも言った通りだ。

 

これは人間の皮膚のように《マザー》のバイオチップの一部“神経細胞”に繋がれている。

これらは太陽光線を通過させ、スターリング・エンジンを取り入れるためである。

 

しかし、ほかの機能も持っていた。

 

《マザー》はこれを傷つけるエネルギーを探知するとともに、ナノ秒のスピードで例のエネルギー転送システムを働かせ、ミサイルの爆発エネルギーを消滅させてしまったのである。

 

春日司令官は《カガ》のCICにいたが、トマホーク・ミサイルの接近警報に続き、10発を撃ち漏らしたのを戦術処理スクリーンで確認後、内心は『しまった』と叫んだ。

だが、続いて《マザー》からのメッセージがスクリーンに浮かぶのを見た。

 

“突入したミサイルを全て無力化、我が艦に損傷なし”

 

至極あっさりとしたメッセージであり、《マザー》にとっては簡単な仕事なのだろう。

しかし、灰田がこの機能については伏せていたのは、あまりにニミッツ級空母は強力なディフェンス機能を持っていると事前に知らされると、乗組員が安心してしまい、作戦行動に緩みが出てしまうからだろうと鬼頭艦長は考えた。

 

事実その通りで、灰田は《マザー》の機能の全てを彼らに教えたわけではなかった。

これは意地悪をしたのではなく、彼らに緊張感を保たせたのである。

続いて、各護衛艦のレーダーはマッハ2近くのスピードで接近する複数の目標を捕捉した。

敵空母《ジョン・C・ステニス》《エイブラハム・リンカーン》が放ったF/A-18E《スーパーホーネット》に違いない。

 

今回の戦闘は奇妙なもの……中国の古い故事のひとつ“矛盾”と思わせるようなものである。

 

とある商人が、矛と盾を売っており、この盾で防げぬ矛はなく、またこの矛で貫けない盾はないと宣伝したが、ひとりの野次馬が『それならばその矛でその盾を衝いたらどうなるか?』と尋ねると、商人は答えることなく立ち去ったという話である。

一世代ほど違うが同じ装備で戦っていることと同じであり、それで攻撃し合うのである。

イージスとは前にも記したように、ギリシャ神話の中で最高神ゼウスが娘アテナに与えたという盾(胸当)アイギスのことであり、この盾はあらゆる邪悪を払うとされていると言われる。

 

もっとも米軍が多数保有しているが、日本はそれを補うために、航空団の飛行性能を非線形化した。

イージス艦は《スーパーホーネット》ですら撃墜できる能力を持っている。

しかし、米海軍のイージス艦16隻は、不可解なUFOのような動きをした日本機の前では無力だった。

米軍自慢のF/A-18E《スーパーホーネット》の攻撃を受けようとしている、第10艦隊の方はどうか?と誰もが思った。

こちらの主役は、前方で待ち構えていた28機のF-14《トムキャット》だった。

70機ほどの《スーパーホーネット》群に突入すると、猛烈な空戦を展開した。

 

最初は定石通り空対空ミサイルによる撃ち合いになったが、しかし《トムキャット》群は、まず敵機に撃たせ、例の如く非線形の動きで全ミサイルを回避した。

なんだ、あの動きはと唖然したパイロットたちに対して、容赦なく攻撃を開始した。

各米軍機は散開したが、普通の回避運動しか出来ず敵ミサイルの攻撃を受けて撃墜した。

必死にフレア(欺瞞体)をばら撒いたが、無駄骨に過ぎなかった。

灰田が用意した《トムキャット》のミサイルは、通常のAAM空対空ミサイルにホーミング機能を従来よりも遥かに超える頭脳を搭載した高性能AAM空対空ミサイルである。

 

たちまち、米軍機《スーパーホーネット》70機のうち40機がこのミサイルの餌食となる。

生き残った30機は、《トムキャット》の20mmガトリング砲の追い撃ちを喰らいながらも敵空母に向かったが、そこで護衛艦から発射されたスタンダードミサイル、続いてシースパローミサイルの追撃を受けた。

普通の飛び方しかできない《スーパーホーネット》は、これらのミサイル攻撃を躱すことはできなかった。

それでも5機が、対艦ミサイル《ハープーン》を発射した。

空母《カガ》《ヒリュウ》に命中した。その飛行甲板にハープーン4発が爆発した。

 

しかし、両艦の乗組員たちは微かな振動を感じただけで、爆発したように感じられた刹那……その破壊エネルギーはトマホークのときと同様に消えてしまったのである。

生き残った《スーパーホーネット》部隊は旋回し、急上昇した。

いち早くこの戦場から離脱しようとしたが、より高性能な《トムキャット》に追いすがれ全て撃墜された。

 

ここに第一次戦闘は終了した。

信じがたいことだが、日本海軍の損害はゼロである。

米海軍の損害は《スーパーホーネット》と《ライトニングⅡ》の両艦載機部隊は全滅。

空母2隻は飛行甲板に損傷を受けて、急速退避しつつあった。

戻るべき航空隊がいなかったのだから、それでも良かったのだ。

 

ノース中将の司令部では、出してやった《スーパーホーネット》部隊から突然通信が途絶えたところから、全機喪失したと考えざるを得なかった。

これはEA-6B《プラウラー》によるジャミング電波ではなどというものではない。

通信そのものが途絶えてしまったのだ。

ハワイを出たとき、こんなことになると誰が予想しただろう。

 

ノース司令官から通信を受けた太平洋軍司令部でも、最初は誰も信じなかった。

ディエゴ司令官は、通信内容を再確認しろと命じたほどである。

しかし、再度送られてきた内容は、前回同様に悲惨なものだった。

 

第3艦隊、新・第7艦隊の2個空母航空団は100パーセント壊滅した。

空母もまた飛行甲板損傷に伴い、戦闘航行不可能となった。




航空戦は日本軍の圧倒的性能により、日米空母戦は日本側の勝利へと決まりました。
原作や漫画版では米軍の艦上戦闘機はF-14《トムキャット》でしたが、時代に合わせて現在の艦上戦闘機に採用される予定のF-35《ライトニングⅡ》に変更しています。
なおF/A-18E《スーパーホーネット》はそのままであります。

灰田「しかし最新機ともいえる戦闘機が、一世代前に落とされるのは皮肉ですがね」

……もう別物と考えたら、それに相手が不幸すぎますから。

灰田「慢心したのも運の尽きでもありますから」

確かにね、あれは慢心し過ぎですね。

神通「本当に戦場で慢心できないほど、私が鍛え直します!」

米軍も泣いて逃げ出しそうです、もう仕方ないねぇ。
……と長続きになりそうですので、ここで次回予告をします。
次回はZ機による『第二次真珠湾攻撃』にて、とある人物たちが日本亡命すると言う視点に移ります。
果たしてこの別艦隊とは誰なのか、そしてとある作品のキャラも出ますのでこちらもお楽しみに。
オリジナル展開なので時間が掛かりますので、何時もながらですがご了承ください。

灰田「ではそろそろお時間になりましたので……。次回まで第八十二話までダスビダーニャ(さよならだ)」

ダスビダーニャ!次回もお楽しみに。

神通「ダスビダーニャ!ではお茶にしましょうか」

頂きます。

灰田「では、お言葉に甘えていただきます」
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