超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》 作:SEALs
予告通り、Z機による『第二次真珠湾攻撃』にて、とある人物たちが日本亡命すると言う視点に移ります。
果たしてこの別艦隊とは誰なのか、本編を見てのお楽しみに。
灰田「そして、作者の好きな『バトルシップ』のとある人物が特別ゲストに登場しています。むろん今回だけですが」
それでは、改めて……
作者・灰田「「本編であります。どうぞ!!」」
某海域。
日米空母戦闘群による海戦が行われていた最中、こちらでも別の戦いが始まっていた。
戦いと言うよりは、彼女たちの果てしない長い逃走と言った方が正しいだろう。
「本当ナラバ、同胞ハ撃チタクナイガ悪ク思ウナ!」
そう告げ戦闘態勢を取り、指揮しているのは戦艦水鬼である。
他にもとある艦娘と水鬼派の深海棲艦たちとともに逃亡をしたのだ。
「アイオワ、アノ外道ハナニカヲ隠シテイル、オタガイ油断スルナ!」
「OK!合衆国(ステイツ)の名に懸けて戦うわ!」
彼女の名は、アイオワ型1番艦《アイオワ》である。
アメリカ初の艦娘であり、唯一のアメリカ艦とも言っても良い。
なぜお互い敵同士だった者たちが、このような共闘関係になったかは時間を少し遡る。
アメリカが連邦国(正確には残党軍だが)と秘かに手を結んでから変化した。
当初は同盟国の日本を、いきなり敵視した挙げ句、日本を膺懲しようと政府は方針した。
彼女はそれを嫌い、日本に亡命しようとした。
しかし、亡命しようと計画していた最中にそれがバレてしまい連邦残党軍はここでも同じく彼女を痛い目に遭わせた。
疲労があろうと意識が朦朧としても無理やり訓練をさせられた。
連邦残党軍・連邦派もまた彼女を日本の艦娘たちを懲らしめるためとして練度上昇をするためだと言い聞かされた。
訓練とは言うが、実際には新兵いじめと言った方が正しい。
その多くはもっぱら“標的艦”として扱われ、演習場でも毎日同じことを繰り返された。
訓練の度を越えていると多くの米海軍提督たちは抗議したが、連邦残党軍は『逆らうと更迭だけでなく、政府に言いつけて二度と提督業をできなくしてやる』と恫喝した。
これを聞いた者たちは仕方なく抗議をやめ、見て見ぬふりをした。
一部は抗議し続けた提督たちもいたが、いわずともその場で粛清されてしまった。
アイオワは希望を断たれたと絶望に陥っていたが、本来は敵ではある戦艦水鬼たちも連邦軍のやり方にうんざりしていた。
戦艦水鬼たちも中岡たち率いる連邦残党軍を敵視し、さらにそいつ等に加担するアメリカ政府はもはやアメリカではないと告げた。
アイオワは日本とは戦いたくない、決して日本の艦娘や提督たちが許してもらわなくても自分の罪が償えるのであれば死んでもいいと考えていた。
しかし、戦艦水鬼はそんな彼女にビンタをした。
『贖罪ダトフザケルナ、オマエハ祖国ノタメニ尽クシタンダ、ホコリヲ忘レルナ!』
この言葉に自分を見失っていたアイオワは、自信を取り戻し戦艦水鬼たちと絆が生まれた。
また戦艦水鬼たちも彼女との絆が出来た。
二人の友情が出来た途端、アメリカ政府・連邦残党軍は対日計画《チェリー・プラン》を発動した。
本格的な対日計画により、各基地に配備され、とくに真珠湾は海軍の重要拠点のため集中的に米艦隊や連邦艦隊、そして深海棲艦が配備された。
停泊していた彼女たちは、秘かに脱出計画を立てていた。
彼女たち同様、同盟国日本を裏切りたくないとアレックス・ホッパー大尉率いる少数の米海軍提督たちも、水鬼派の連邦提督たちも日本亡命に惜しみなく協力した。
戦艦水鬼たちはホッパーたちから『米軍の偵察衛星が原因不明のマルファンクション(機能不全)に陥り、映像が一切入らなくなった』との情報を入手した。
彼女たちはチャンスとばかり、脱出計画を実行した。
その結果……見事に成功した。
第三、新・第七艦隊が出港した後、少し遅めだが、彼女たちも出港した。
運が良いことにアイオワたちが出港した後、真珠湾が何者かに空爆されたとの情報が通達された。
恐らく日本のステルス重爆、一度だけだが、以前出会った灰色服の男ことミスター・グレイが日本にもたらした超兵器だと戦艦水鬼は悟った。
山本長官の言う通り、歯車は狂い始めたと言う瞬間でもあった。
同胞の多くは連邦側に寝返ったため真珠湾に停泊した状態で戦死しただろうと双眸を落としながら考えた。
しかもあれほど破棄しろと促した忌まわしい生物兵器……人造棲艦《ギガントス》を生産し始めた。
今度もまた実験材料には街のホームレス、特に女性ホームレスが集められた。
アメリカ政府も日本を膺懲するためならば、悪魔とも手を結んだ。
非人道的な生物兵器を製造することすら許す民主国家は存在しない。
だが、これも軍国主義……アジア覇権国家になる日本の野望を打ち砕くためだとして許された。中世ヨーロッパ時代ならば誰もが神に祈りを捧げたものであるだろう。
もっとも優柔不断なレームダック……ハドソン大統領よりも中岡連邦大統領の方がよほどリーダーシップのある大統領だ、と戯言を言い始めた。
現状に戻る。
こちらもまた日本空母戦闘群を殲滅するために、真珠湾から米空母戦闘群が出港した。
その同時に日本のステルス重爆部隊による空爆により、真珠湾基地はパニックを起こした。誰もがアイオワたちを追う暇もないと思われたが、しかし彼女たちを見逃すほど中岡たち率いる連邦残党軍は甘くはなかった。
秘かに彼女たちが逃げることを知っていたかのように、追尾者たちを用意しておいたのだ。
かつての同胞……いや、裏切り者たちと等しい連邦派の深海棲艦たちはもちろんのこと、虎の威を借りる狐の如く米軍から兵器を貸与され、強化した連邦残党海軍である。
もたらされた駆逐艦は当然イージス機能を搭載した《アーレイ・バーク》級駆逐艦である。
姿は見せてはいないが、必ず人造棲艦《ギガントス》が潜伏しているはずだ。
敵艦数はおよそ20隻。その多くは連邦側に残った深海棲艦、少数の連邦艦隊だった。
あの人造棲艦《ギガントス》の姿はいない、思い込みだったのかと戦艦水鬼は呟いた。
しかし、追尾者たちは撃破してでも日本に亡命することに変わりはない。
「全艦戦闘隊形、味方であろうと容赦するな!」
日本亡命艦隊旗艦《ジョン・ポール・ジョーンズ》に乗艦しているホッパー大尉が各艦艇に命令を下した。
味方の駆逐艦であろうとももはや日本に亡命する自分たちやアイオワ、そして戦艦水鬼や水鬼派の深海棲艦たちは味方では敵として見られている。
奇妙な気分に襲われながらもホッパーは、仲間たちと共に戦闘を開始した。
「やはりミーたちを追って来たのね……」
「ソノヨウダナ、ヤレルカ?」
「Absolutely(もちろんよ)、Nameshipが伊達じゃないことを見せてやるわ!」
「全艦戦闘隊形、同胞デアロウト容赦スルナ!」
戦艦水鬼の命令で各艦は散らばり、戦闘隊形を取る。
陣形はもっともポピュラー、砲雷撃戦を短時間で済むことが出来る単縦陣である。
できる限り、手っ取り早く終わらせるためでもあり、また長時間も無駄に相手にしていたら足止めされているのと同じである。
戦闘態勢を整えた頃には、まずは決め手となる艦載機同士による空戦である。
第二次世界大戦から今日の現代戦でも、もっとも欠かせないのは制空権の確保だ。
空を制する者は戦を征する、と言われるほど航空機による制空権確保は重要な役割である。
例え最新鋭地上や海上兵器を持とうが、空からの攻撃のまえでは無力に等しい。
こちらはヲ級たちが持つ最新鋭艦載機、いつも通りの“たこ焼き型艦載機”だ。
しかし練度は最大限、艦戦・艦爆・艦攻部隊の全機が精鋭部隊である。
水鬼たちには戦艦・重巡・軽巡・駆逐艦は全てelite、flagship、改flagshipである。
またアイオワは改装されており、いまは“アイオワ改”である。
戦艦でありながらも金剛姉妹のようにスピードも早く、長門たちと同じ攻撃力とともに、対空能力は秋月姉妹を凌駕するほどの実力を兼ね備えている。
そして少数だが、ホッパー大尉たちが乗艦しているイージス機能を搭載した《アーレイ・バーク》級駆逐艦がいる。
連邦残党海軍も同級艦だが、だが米軍は必ずしも高性能兵器を貸与するはずがない。
大抵がスペックダウン……つまりモンキーモデルが多い。
アメリカだけでなく、ロシア、ドイツ、フランス、イタリア、イスラエルなどもどの国に兵器を売却時には、自国の高性能兵器で返り討ちにされたらたまらない。
だから性能を少し落とした兵器を購入させる。
事実では湾岸戦争ではイラク陸軍の主力戦車T-72も、米軍が持つM1A1や英国陸軍が持つチャレンジャー戦車など最新鋭戦車に敗れたことは有名である。
中国・韓国の場合は、両者とも性能は最悪であり、しかも必ずどこかが故障を生じる。
特に後者はひどく自国兵器ですらもまったく信頼性が低い。
パキスタンは中国との仲がいいが、基本的には日本寄りである。
しかも輸出用戦闘機FC-1戦闘機ですらも飛行訓練中に墜落した事件もしばしあった。
「裏切り者の異端者どもを殺せ、もっと殺せ!」
追尾艦隊こと連邦残党海軍……この艦隊を指揮しているチョン上級政治将校が命令を下した。
命令と言うものは簡単なものほど良い。
考えることなく、ただひたすら目の前にいる敵を倒せばいいのであるからだ。
あの猪突猛進のハルゼー中将も日本海軍との戦闘でも『ジャップを殺せ、もっとジャップを殺せ』と部下たちに命じたぐらい口が悪かったが、部下たちからの信頼は高かった。
「突撃せよ、誰ひとりとして帰すな!」
この上級政治将校もこれを模倣しているのだろう。
または多くの連邦軍は、自分たちを“神”と自惚れている。
しかも自分たちは世界覇者になれた時には、世界中の人間がひれ伏し、我々を新世代の神として崇められると言うことを本気で信じている。
だからと言って、模倣したとしても必ずしも有能な指揮官とは限らないが。
突入して来る連邦深海棲艦たちを見たホッパーたち率いる護衛艦隊が標的を合わせた。
「一斉撃ち方、始め!」
ホッパー大尉の命令により、旗艦《ジョン・ポール・ジョーンズ》を含めた各艦は突撃して来る敵艦をマークした。
何度も記したように1隻が16の目標を処理できる強力な攻撃力を兼ね備えている。
3隻だから48の目標を捉えることが出来る。
戦闘態勢万全。ホッパーの命令により、全艦は目標を捉えてスタンダード・ミサイルを発射した。
彼らに続き、アイオワと戦艦水鬼たちも各砲塔の俯角を取り、敵艦に向けて一斉射した。
「本当ナラバ、同胞ハ撃チタクナイガ悪ク思ウナ!」
「Nameshipは伊達じゃないのよ、見てなさい……Fire!」
両者の主砲に伴い、各水鬼派深海棲艦たちの主砲が唸り声を上げた。
古代から最強とも言える恐竜のような雄叫びの如く、放熱を出しながら各砲弾ないし20mm機関砲弾や40mm機関砲弾などの対空機銃も一斉に撃ち方を始めた。
奇妙とも言える同じ兵器を持つもの同士の戦いが始まった。
先手を打ったのは《ジョン・ポール・ジョーンズ》を含めた各駆逐艦から発射された対空ミサイルが深海艦載機に直撃した様子がCIC画面越しには敵機が次々と空中爆発を起こし、打ち上げ花火のように四散した。
水鬼派たちは友軍誤射を防ぐために米海軍と同じ迷彩色、ブルーカラーにしている。
その一方、連邦派は派手なものが好きな中岡たちの趣味なのか全ての機体は真っ赤である。
アイオワたちが対空戦闘を繰り広げていた最中に、別の敵攻撃隊が現われた。
自分たちには“神”が付いていると連邦独特の自惚れに毒されたため、対空警戒を怠っていた。
その時だった、上空から20mm機関砲の嵐が襲い掛かって来た。
水鬼の命令で遥か上空で待機していた直掩部隊である。
先導する敵隊長機が撃墜されると敵直掩隊が、自軍の攻撃隊を守るために散らばった。
しかし先手必勝を取られたために、またしても各機入り乱れた状態に陥る。
格闘戦、敵味方が入り混じっている空戦は迫力のある物だった。
両深海艦載機はどちらも甲乙つけがたいが、やはり水鬼派のヲ級たちの艦載機の方が有利だった。
日頃から通常艦隊よりも厳しく鍛えられ、常に精鋭艦隊として磨き上げられたのだから当然とも言えるが、自意識過剰な連邦艦隊や連邦派深海棲艦とは天地があり過ぎる。
直掩隊を失った攻撃隊は、もはや丸裸も同然だった。
水鬼派の艦載機部隊は仲間でも躊躇うことなく、次々と敵攻撃隊を撃墜していく。
ヲ級たちも奇妙であり、複雑な気持ちを持ちながらも自分たちが生き残るために心を鬼とする。
それでも生き残った敵攻撃隊が遥か上空から急降下してアイオワたちに襲い掛かる。
しかしアイオワたちにはVT信管を搭載した対空兵器による猛烈な対空射撃、ホッパーたちが乗艦する各護衛艦の短距離SAMに、CIWSが火を噴き続ける。
ここでも皮肉とも言えるが、敵である艦娘たちのように第二次南シナ海戦を再現している。
「敵攻撃隊、投弾してきます!」
「取り舵、いっぱい!急げ!」
ホッパーたち率いる米海軍艦隊は回避行動に移りつつ、敵機を攻撃する。
投下された爆弾は全て躱された挙げ句、水しぶきに伴い、巨大な水柱が立った。
「私の火力、見せてあげるわ…… Open fire!」
アイオワの搭載していた40mm四連装機関砲が火を噴き続ける。
彼女が持つ優秀な対空電探に捉えられ、さらに優秀な対空機関砲による対空射撃で、次々と敵機をあの世に送って行く。
「全艦、敵攻撃隊ヲ逃ガスナ!ウテ!ウテ!」
戦艦水鬼たちも両者には負けていられないという意気込みを込めて命じる。
連邦の無能指揮官どもと違い、士気は高い。
彼女の働きに応えるよう、友軍艦隊の対空砲火は激しさを増した。
激しい対空砲火をしている最中だが、優位はアイオワたちにある。
しかしこの海戦で連邦艦隊が“新たに開発した秘密兵器”を隠し持っていることに関してはアイオワ・戦艦水鬼たちは、まだ知る由もなかった。
本来は迷っていたのですが、アイオワさんを登場させました。
当初は出すことを躊躇いましたね。
灰田「まあ、あなたのお気持ちは分かりますけどね」
色々な意見はありますが、彼女も登場させることに決めましたので。
ゆえに戦艦水鬼さんとの絆を築くということも良いかなと思いまして……
灰田「まあ、これ以上は時間が掛かりそうなので次回予告に参りましょうか?」
スパシーバ……それではお願いいたしますね。
灰田「承りました。次回はチョン上級政治将校が言っていた“新たに開発した秘密兵器”が登場しますね。こちらも田中光二先生作品に登場していた米軍が開発した秘密兵器です、その正体を明らかになりますのでお楽しみください」
オリジナル展開なので時間が掛かりますので、何時もながらですがご了承ください。
灰田「ではそろそろお時間になりましたので……。次回まで第八十三話までダスビダーニャ(さよならだ)」
ダスビダーニャ!次回もお楽しみに。