超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》 作:SEALs
それでは予告通り、とある艦隊視点に移ります。
なお、とある艦娘のカッコいい姿も見せますのでお楽しみください。
灰田「今回は古鷹さんたちではなく、木村中将がとある奇跡の作戦時にともに戦った娘ですのでお楽しみください」
それでは、改めて……
作者・灰田「「本編であります。どうぞ!!」」
戦艦水鬼・アイオワたち率いる亡命艦隊が連邦・深海特殊艦隊が特殊魚雷“トマホーク”と敵の魚雷攻撃を回避させると言う驚くべき魚雷回避装置“オクトパス”を装備した特殊艦隊により形勢逆転していた頃……
同海域とは別の、少し離れたところに遠征任務のためにとある艦隊が帰投途中でもあった……
「まさか同じ海域での遠征任務の帰りとは、本当に偶然ですね」
郡司艦隊に所属する特型戦艦こと戦艦空母の白山が口火を切った。
長門並みの火力を備え、さらに空母としての機能を持つ彼女たちは北方海域で強行輸送船団任務遠終了後に、同じくこの海域にて遠征任務を終えた阿武隈たちと偶然出会う。
白山たちは強行輸送船団任務、阿武隈たちは哨戒任務に就いていた。
この海域でも当初と比べて深海棲艦の数は少なくなったが、彼女たちの代わりにアメリカ海軍ないし連邦海軍が本土近くに空襲に来るのではないかと懸念が上げられた。
「哨戒任務だけど、本当に提督の言う通り、ここは近寄りがたいね」
阿武隈の言う通り、米海軍でもこの北方海域に好き好んで侵攻することはできない。
この海域では夏は視界を遮るほどの濃霧が発生し、冬は氷塊による航海に支障を来すため、誰も近づかない言わば一部の提督たちからは“魔界の海域”とも言われた。
下手をすれば深海棲艦よりも自然現象の方が怖いのは言うまでもない。
史実では占領価値はないのにも関わらず、大本営はどうにか打開しようとMI作戦開始と同時に、北方海域にあるアリューシャン諸島・キスカ島などを占領した。
しかし当初は良かったものの、本来ならば占領する価値もない島に過ぎなかった。
前者の言う日本軍にとって辛い環境もあり、なにしろ本土からの物資がままならない状態と共に、連日米軍の戦爆連合による空爆が相次いだ。
ましてや最初からこの地域を余り重視せず、申し訳程度の守備隊と偵察機部隊しか配置しなかった日本軍にも落ち度があったのは言うまでもない。
対するアメリカは日本軍に占領されたのを黙って見過ごす訳もなく昭和18年5月12日、アメリカ軍はアッツ島に上陸、攻略作戦を本格化させた。
物量を誇る米軍に対し、補給も増援も見込めない日本軍は猛攻に対して必死の抵抗を続けたが、結局は追い込まれてしまう。
5月30日……司令官山崎保代陸軍大佐以下残存兵約300名の身命を投げうった決死の突撃により玉砕した。
玉砕と言う言葉が初めて使われ、以後は当たり前のようにこの行為をする事となる。
グアム・サイパン諸島、ペリリュー島、硫黄島、沖縄戦などで当たり前に使われるようになった。
現状に戻る。
「連邦艦隊・深海棲艦たちの次は、米海軍か、私としては胸が熱いな」
十勝は改装されてから口調も長門と木曾のように勇ましくなった。
大和たち戦艦、扶桑たち航空戦艦、赤城たち空母とも仲が良い。
その近寄りがたい外観とは裏腹に面倒見が良く、駆逐艦の子たちからも人気がある。
また郡司のことも木曾同様に気遣う面もある。
「ほンとうに十勝さんは武蔵さんや木曾さんのように闘争心が熱いな、江風も負けてられないな」
白山たちと同じく遠征メンバーにいた江風が言った。
彼女もようやく改二が実装され、さらに逞しくなった。
郡司も『夕立と同じようになった』と言うぐらい彼女も容姿は変わった。
「でも……提督には敵わないよねぇよな。江風は」
「ふふっ、そうですね」
「江風ちゃんは提督の事が大好きだよね」
「ちょっ、そ、それは言わないでくれよ」
涼風・海風・五月雨のからかいに、江風は頬を紅め染めた。
逞しくなっても郡司は、江風のことを可愛い女の子として見ている。
その証拠に夕立や時雨のように撫でられると、犬耳のような跳ねた髪の毛がピコピコと喜んでいる様子を周囲にアピールしている。
「今日はなんだか遠征がピクニックみたいですね、阿武隈さん」
初春型4番の初霜が言ったが……
「あの阿武隈さん、具合悪いのですか?」
「……あっ、ごめんね、大丈夫だよ、ここに来ると昔のことを思いだしちゃってね……」
阿武隈は呟くと、初霜はそれを察した。
先の大戦では彼女はこの海域で“ひげのショーフク”こと木村昌副中将とともにこの海域で救出作戦を実施した。
米海軍に囲まれた友軍を救助するのは誰もが諦め、相次ぐ連戦で艦艇の消耗が激しく続いていた連合艦隊はそこまでする余裕すらなかった。
しかし、誰よりも人命を大切にする木村中将だったからこそ実行したのだ。
一度目は突入を目前にして霧が晴れてしまい、その後も燃料の許す限り留まり続けたが、結局濃霧が発生しなかったために作戦決行を断念した。
その時、強行突入を主張する部下たちに対して彼は『帰ろう、帰ればまた来れるから』と言い、再び来るチャンスに備えて撤退した。
二回目は奇跡とも言える隠密作戦に都合の良い濃霧の発生が発生、救出作戦は開始された。
流石の米海軍も悟ることはできず、木村中将は味方に全く犠牲を出す事も無く濃霧に紛れ、再度の出撃でキスカ島の守備隊5200人を短時間で救出し、そして現代に語り継がれる奇跡の救出作戦こと『キスカの奇跡』を果たした。
「あ、あの、ごめんなさい。阿武隈さん」
初霜はすぐに謝ったが、阿武隈は短く横に振った。
「大丈夫だよ、気にしなくていいよ。今でも私とあの人の誇りでもあるんだから」
以前の彼女は人しくちょっと自信がなさげで神経質だったが、無事“改二”が実装されてからは、第一水雷戦隊旗艦としての自信を取り戻したように態度が自信に満ちた特殊部隊指揮官の如く凛々しくなった。
だからこそ、阿武隈はこの誇りを忘れない。
いや、彼女たちの信念は決して揺らぐことなく、決して誰にも奪えない、そして壊されることはない信念なのだ。
例え辛い過去が脳裏から離れることがなくとも、秀真のような強くて優しい提督たちと共に戦い、大切な仲間たちといれば、どんな海域でも乗り越えられるのだから戦える。とこの想いを旨にしている。
「じゃあ、皆さん。早く提督が待っている鎮守府に帰投しましょう」
「はい、そうですね!」と初霜。
「了解した」と若葉。
「はい…了解しました」と磯波。
「了解」と叢雲。
「はい、阿武隈さん」と吹雪。
阿武隈がそう言うと、初霜率いる遠征メンバーが元気よく返事をした。
「ふむ、秀真提督の古鷹たちもだが、彼女たちも士気が高いのは良いことね」
「そうだな、白山。では我々も提督が待っている鎮守府に急ぐか?」
阿武隈たちを見倣うように江風たちも元気よく返事をする。
誰もが早く帰投しようと気分が高まった時だった。
ドカァァァンッと何かが爆発したような音が遠くから聞こえた。
「なんだ!今の爆発音は!?」
「どうやら向こうの方ね」
ふたりの言葉に答えるように先ほど上空で警戒していた偵察機からの報告がきた。
“敵艦隊見ユ、なお敵艦は連邦艦隊及び深海棲艦ナリ、尚、艦隊にはひとりの艦娘と戦艦水鬼率いる米艦が襲われている”
この報告を聞いた白山は顎に手を当てた。
私たちの生みの親でもある灰田から聞いた話しでは戦艦水鬼たちは日本亡命をする計画は郡司から聞いたが、危険を冒してこの海域ルートを選んだかもしれない。
しかし、艦娘のことに関しては初耳である。
もしかして連邦海軍に囚われ、戦艦水鬼たちが脱出時に連れてきたのかもしれない。
どちらにしろ日本政府や元帥、そして秀真率いる提督たちは彼女たちの日本亡命を快く受け入れている。
元帥の管轄で捕虜となっている空母水鬼たちも自分たちの過ちに気付き、日本のために遠征や元帥の護衛を務めている。
元帥の艦隊に所属している舞鶴型移動工廠艦《神戸》《舞鶴》の二人とも友好関係を築いており、「潜水輸送艦」の設計を完成に協力した。
いわばタイフーン級戦略原潜を参考にし、弾道ミサイル発射区画を貨物区画に変更している。なおタンカー仕様は貨物区画に油槽ダンクを装備しただけで基本設計と変わらない。
しかも入渠させて仕様変更が簡単にできるという優れた潜水輸送艦である。
「十勝……」
「ああ……分かっている」
白山の問いに、十勝は頷いた。
「みんな遠征任務を中止し、戦艦水鬼たちを救助する!」
十勝の発言に驚いたが、旗艦の命令は絶対服従、そして部下たちに下す判断(命令)は、つねに冷静で素早く決めなくてはならない。
この場に秀真たちがいなくとも危険を顧みることなく、遠征任務を中止してでも彼女たちを救出するために作戦命令を変えていただろう。
「物資はどうしますか、十勝さん?」
阿武隈の問いに、十勝は答えた。
「仕方ないが放棄する、本来ならば輸送中だが、時は一刻を争う」
「……」
阿武隈は双眸を落として、判断を決めた。
「分かりました。皆さん、各物資を放棄、これより救助に向かいます」
阿武隈は『あの人』ならば、木村中将ならば同じ判断をする。
誰よりも人命を大事にした彼の誇り・信念を貫くと言う覚悟とともに。
「初霜ちゃんたちは、各兵装の確認してください!」
『了解です!!!』
阿武隈の命令に、初霜たちは現在装備している主砲や酸素魚雷発射管などを確認した。
幸いにもこちらには火力が高い装備で充実している。
阿武隈も幸いにも先制雷撃可能な秘密兵器“甲標的”を持っていた。
またバランスのとれた15.2cm連装砲改を装備している。
以前のレーザー砲はすべて撤去されたが、灰田が新しい未来艤装を提供している。
ただし全艦娘たちが装備するまで時間が掛かるため、阿武隈たち遠征組は装備していない。
しかし阿賀野たちが懸命に開発した15.2cm連装砲改を生産したおかげで、全軽巡洋艦の子たちには火力が高くなり、バランスも良くなった。
全駆逐艦の子たちも10cm連装高角砲を装備している。
魚雷も全て酸素魚雷を装備しており、雷撃戦ならば圧倒的火力を誇る。
本来ならば灰田の超兵器を装備したいが、敵艦を混乱させる必要もあり、そして以前の装備の扱いを忘れてはならないため双方を交替ずつ使うときもある。
「白山、艦載機なしでもやれるな?」
「もちろんです、戦艦空母の恐ろしさを見せてやりましょう」
「もちろんだ、我々の力を侮っては困るな」
白山・十勝は闘志を見せており、海風たちも初霜たち同様に現在装備している主砲や酸素魚雷発射管などを確認中である。
「全員、準備は良いか?」
十勝の問いに、海風たちは『大丈夫です!』と返答する。
「皆さん、準備は良いですか?」
阿武隈の問いに、初霜たちも『いつでも戦闘可能です』と答えた。
「それでは、これより全艦は戦艦水鬼さんたちを救出します!」
今回は阿武隈ちゃんをカッコよくさせました。
改二の姿は特殊部隊さながらでしたので、凛々しい性格にしました。
なお今回の水雷戦隊編成はオリジナルで、とある同志のアイデアでもあります。
本当にありがとうございます。
灰田「阿武隈さんは『スーパー阿武隈ちゃんタイム』の影響でもありますがね」
初めて観ましたが、改二実装回ではカッコ良かったので大いに影響を受けました。
この話とクリスマス会の話が好きです、青葉のメイド姿可愛いです。
灰田「まあ、そうなりますね」
ともあれ次回予告に入らなければいけませんので、急ですがお開きと致しましょう。
灰田「次回はこの続き…阿武隈さんたちの救出作戦に移りますが、連邦のドブネズミどもが汚い手を使って彼女たちを苦しませます。同時に戦艦空母こと白山と十勝が持つ秘密兵器が明らかになります、兵器と言うよりはとある仕組みですが」
次回もまた遅くなるかもしれませんので、ご了承ください。
灰田「ではそろそろお時間になりましたので……。次回まで、第八十五話までダスビダーニャ(さよならだ)」
ダスビダーニャ!次回もお楽しみに。