超艦隊これくしょんR -天空の富嶽、艦娘と出撃ス!- 《完結》 作:SEALs
では予告通り、またアメリカ視点に戻ります。
その多くが反撃計画の戦力などの詳細が分かる話です。
灰田「なお少しですが、連邦残党軍の戦力が分かりますので注目すると良いかもしれません」
また今回はZ機も少しだけ登場しますのでお楽しみを。
それでは改めて……
作者・灰田『本編であります。どうぞ!!』
パールハーバーが修復され、また超大型EMP爆弾が開発されていた頃……
ペンタゴンでは次期作戦を練っていた。
ミサイルの弾頭部をいじり、VTシステムを取りつけることに対し苦労は要らない。
各ミサイル・メーカーはおおわらで各ミサイルを改造に取り込んでいた。
ただ連邦残党軍との共同開発なために手間が掛かることは否定できないが。
連邦も秘かに前回の兵器《トマホーク》《オクトパス》に続き、双発爆撃機でも搭載可能な小型滑空爆弾も開発に取り込んだ。
これらは万が一に備えて、秘密の楽園にせっせと運び込まれた。
アメリカに見捨てられたときのために、これらは最終決戦で使うのが中岡たち連邦残党軍の思惑でもあった。
また特攻兵器も陸上型人造棲艦も少数だが、生産している。
その一方で米軍統合参謀会議内部でも二つの意見が分かれた。
この前のように、敵空母戦闘と正面からぶつかるべきか。
それともこれとの決着を避けて、搦め手から行くべきなのかと言う意見である。
強硬派は、EMP爆弾が装備され次第に再び艦隊決戦を挑むべきだと主張する。
今回は4個空母戦闘群を投入することになっている。
その一方……慎重派は、正面からぶつかるのを避けて、敵兵力を分散させるべきだと主張した。
なにしろ日本は4個空母戦闘群しか持っていないのに対し、こちらにはまだ予備がある。
南北に細長い日本と南の両面から攻めれば、敵は兵力を分散させざるを得ない。
各個撃破するチャンスが生まれる。
慎重派の将官たちは、日本軍と艦娘たちの強さに何とも言えない不気味さを覚えていた。
特に空母航空団を例の《スーパーホーネット》《トムキャット》の、さながら未確認飛行物体ことUFOの如き飛行性能に脅威を感じた。
常識ではあり得ないことである。
航空機と言うものの概念をひっくり返す画期的な事実である。
日本がそうやって、これを可能にしたのか分からない。
あのエネルギー転送システムや艦娘たちの艤装や装備なども謎のままだ。
核兵器を回避でき、常識以上の超兵器を持てるのであれば、どんな戦争にも勝てる。
謎の潜水艦の存在も不気味だ。
味方潜水艦やソノブイが全く敵潜のノイズを探知できなかったことから、米海軍所属の潜水艦タクティクスの専門家たちに聞くと、この敵潜はスクリューを使わない画期的な推進システムを使っていると推測した。
かつてソ連が大型潜水艦で使用したことがある、ジェット水流推進システムである。
これによって無音化はできるが、高速は出せず、敵の探知を振り切るための一時凌ぎにしかならない。
これを打破するには、ともかく敵の位置見当をつけて、核爆雷を撒くしかない。
極めて乱暴な手段だが、戦争と言うものは暴力的かつ残酷行為でそのものである。
米軍が得意とする戦略爆撃などと言うものはその典型である。
慎重派の立てた作戦は、大西洋艦隊の応援を得て、3個空母戦闘群に分けて、北方軍は北海道を脅かし、できるならば《ミラクル・ジョージ》の十勝基地を破壊する。
南方軍はフィリピン方面を迂回して、沖縄を窺う。
海兵隊遠征軍を投入し、できれば沖縄を占領する。
敵は2個空母戦闘群と連合艦隊でしか対応できないから、兵力においても圧倒し、新型兵器を使えば、撃破するチャンスは充分にある。
これに対して強硬派は、その新兵器を駆使して一気に決着を付けようと言うものだが、結局のところケリー国防長官が決断を下した。
新兵器と言うが、EMP爆弾が敵にどれほどの効果をもたらすか見当がつかない。
VTミサイルもまた、非線形の飛行をする敵機にどれほど有効なのか分からない。
敵空母の飛行甲板にも何か秘密がありそうだが、これを探る手段はない。
なお彼らは知らなかったが、古鷹たちにも《アカギ》率いる空母戦闘群と同じくバリアーがあることは知らない。
再び艦隊決戦を挑み、負けようならば、米軍の権威は地に墜ちて二度と這い上がれないだろう。
軍事・経済面と言うふたつの観点から見て、建国以来の一大危機に見舞われることになる。
さすがのタカ派のケリーもそれほど危険な冒険は出来なかったと言うのが、本当のところである。
ともあれ、EMP爆弾の完成は2週間後であり、パールハーバー修復は3週間後。
そしてVTミサイルに関してはすでに交換が始まっていた。
なお今回、連邦残党軍は参加しない。
理由は艦隊が手痛い損傷を被ったと言うことで見送られた。
これら全てを勘案して、次期作戦の発動は6月20日と決まった。
大統領にまでスケジュールが上げられ、大統領も承認した。
10日後には残りの大西洋艦隊も到着する。
サンディエゴとサンフランシスコに分かれて、実に6個空母戦闘群が勢ぞろいした。
先に2隻の空母が損傷しなければ、8個空母戦闘群となるところだが、それでも史上空前の兵力である。
中核となる空母は《セオドア・ルーズベルト》《ジョージ・ワシントン》《ハリー・S・トルーマン》《ジョージ・H・W・ブッシュ》である。
南方軍は、エセックス級強襲揚陸艦4隻を動員、第1海兵隊遠征軍を載せて沖縄に向かう。
これを《セオドア・ルーズベルト》《ジョージ・ワシントン》《ハリー・S・トルーマン》《ジョージ・H・W・ブッシュ》のニミッツ級空母が支援する。
南太平洋から迂回していくので時間が掛かり、北方軍よりも先に出なければならない。
寄港地をなるべく減らしてその行動は秘匿したいものの、必ず他国の商船などに目撃されてしまうため、光のように早く世界中に広まってしまう。
ヨーク大将は東北空爆を行なった連邦空母戦闘群のように奇襲攻撃を望んだが、恐らくは無理だろうと言う判断だった。
しかしこれらの作戦は、またしても日本軍・艦娘たちの思いがけない出方によって、根本的に覆されるのである。
東京日付・6月15日(ハワイ日付・6月14日)
パールハーバーは、再び恐怖のステルス重爆《ミラクル・ジョージ》ことZ機による空爆を受けた。
これは全Z機200機が参加すると言う大規模な空爆作戦だったから堪らない。
せっかく修復寸前になっていた港湾施設もまた灰燼に帰してしまった。
再建したばかりの燃料タンクも炎上、ここで空母戦闘群に給油することは不可能となった。
しかし、反復攻撃は予想内の事である。
どの戦争でも攻撃と言うものは、反復攻撃するのは当たり前のことである。
その観点から米軍・連邦空軍は優先的に飛行場の修復をし、迎撃用戦闘機を充実されていたが、連邦戦闘機と米軍戦闘機の合同部隊は迎撃機を前回同様上げたが……
結果は同じく全機損失と言う悲劇的な結果にしかならなかった。
全てZ機改二ことガンシップ部隊により、掃射されてしまったからである。
ともかくこのガンシップの威力は猛烈なもので、その発想はZ機胴体下部にレーダー照準器付き20mmバルカン砲100基を並べていると言うごく単純なものだが、米空軍はおろか連邦空軍の誰でも考え付かなかった。
その理由は、重爆自らを守らせるという発想を持たなかったのである。
戦略爆撃機が出撃するときは原則として単独行動、または途中まで護衛戦闘機が随伴してこれを守る。
第二次世界大戦以来、戦闘機の届かない遠方に重爆を送ると言うようなミッションがなかったので、これで良かったのである。
第二次世界大戦ではそうはいかず、ドイツ工場や基地など重要拠点を空爆するときには当初は英米連合爆撃部隊には護衛戦闘機などおらず、ドイツ戦闘機に多く喰われた。
長距離戦闘機P-51《ムスタング》やP-47《サンダーボルト》が登場してから、ようやく被害を抑えることが出来た。
また日本を空爆したB-29《スーパーフライングフォートレス》も同じく、当初は護衛戦闘機はおらず丸裸状態で出撃したため、帰投時には墜落や不時着する機体が多かった。
硫黄島を占領したのはB-29を援護するP-51発進基地のためである。
しかし、今ではそう言うことはない。
ベトナム戦争当時、B-52部隊がハノイを空爆したときも、トンキン湾に展開していた空母戦闘群の艦載機がこれを援護した。
イラク戦争時も重爆はサウジアラビアから出撃し、ペルシャ湾に展開していた空母戦闘群から護衛された。
もっともイラク空軍そのものは開戦と同時にミサイル基地や高射砲陣地なども同じく壊滅していた。米空軍には実際的な脅威はなかったのだが。
しかし、日本はなぜか重爆を戦闘機で守ると言う発想は持たなかったのである。
この発想は、太平洋戦争中期に日本軍が発想した《富嶽》と言う巨大爆撃機を発端するのではないかと唱えた統合本部の参謀長がいた。
カーチス中佐と言う名のこの参謀長は、太平洋戦争戦史……特に日本軍の軍用開発史を詳しく調べ、このような結果論に達したのである。
史実の《富嶽》は設計上では1基に付き、約5000馬力を誇るレシプロエンジンを両翼合わせて6発も持ち、太平洋を越えて渡洋爆撃も可能な超重爆だが……
戦争末期の日本にそんなものを造る余裕はなく、結局は計画倒れになってしまった。
だが、日本はその思想を受け継いでいるのではないかというのである。
彼の意見は空軍司令官にも取り上げられたが、しかしそれが史実だからと言って、どうにかなるものでもない。
単なる参考意見として、デスクの引き出しに放り込まれただけで終わった。
上層部の反応のないことにカーチス中佐はがっかりしたが、今度は建設的なアイデアを出した。
Z機改二ことガンシップに対抗するために、B-52Hをガンシップに改造すると言うアイデアである。
機体の至る所に、20mmバルカン砲と、Z機同様に全機レーダー照準射撃装置を搭載して機体周辺を対応可能とする。
そうすればZ機が来襲した時にこのガンシップが舞い上がれば、Z機改二に対抗できるのではないかと言うものである。
このアイデアはヨーク大将の興味を引き、ボーイング社に開発を命じた。
しかし、この改装が採用されたとしても就役までには時間が掛かる。
とうてい次期作戦には間に合いそうにもなかった。
なお余談だが、中岡たちはZ機や艦娘たちのいる鎮守府に突っ込める特攻機として運用すべきだとアイデアを出したが、謂われなくとも採用は却下されたが。
ともかくパールハーバーがまた空爆されたと言う事実は、ペンタゴンには甚大なショックを与え、作戦変更を余儀なくされた。
この第三次ハワイ空爆には、いかなる意味があるのか。
この解釈でまた参謀本部内での意見が分かれた。
日本軍・艦娘たちはハワイ占領を目論んでいる者の意見は、オアフ島爆撃機専用飛行場を確保できれば、Z機で米本土を空爆することが可能であると言う理由だ。
また、日本軍はそこまで大胆不敵な作戦をすることはしまいと主張する一派もいた。
日本は元々、この戦争はやりたくて始めたのではない。
そもそも国内にいた中岡率いるブラック提督たちが日本を裏切り、深海棲艦たちと共に、日本を滅ぼさんと連邦共和国を建国した。
手持ちの自衛隊や各鎮守府に所属している艦娘たち、そしてPMCでは連邦国のミサイルと深海棲艦の攻勢に抗う手段は限られていた。
アメリカとの支援を断ち切られた日本は、絶対的存亡の危機に追い込まれた……
その時に奇跡が起こった。
量子物質学者の仮説によれば、遠い未来…… 恐らくは別な次元に存在する世界から日本人がタイムスリップしてきて、今の日本と艦娘たちを助けているのではないかと推測した。
これにはエイリアン説もあったが、つまり宇宙生命体が日本・艦娘たちを助ける理由はないとして退けられた。
前者の解釈なくして、日本・艦娘たちが様々な超兵器を入手した理由が解明できないというのである。
これはSFじみた発想だが、辻褄が合う。
ペンタゴンも渋々ながら、この解釈を受け入れ始めた。
そう考えれば艦娘たちの未来艤装、人工知能が全てを操る無人空母の存在、非線形飛行するジェット戦闘機などの存在も理解できる。
ともあれ、パールハーバーが再び破壊されたことにより、予定されていた作戦の変更を余儀なくせざるを得ない。
なお作戦名は、かつて日本本土侵攻作戦時に行なおうとした《コロネット作戦》である。
九州侵攻作戦《オリンピック作戦》で得られた九州南部の航空基地を利用し、関東地方へ上陸する作戦である。
開始予定日はYデーと呼ばれ、1946年3月1日が予定されていた。
このコードネームが付けられたのは、日本侵攻作戦および日本を滅ぼさんと再現する意味合いを込めて、連邦共々に採用したのは言うまでもない。
問題は、敵の意図を正確に確かめられるかどうかであった。
今でも偵察衛星が機能しないことを、ヨーク大将は残念に思ったことはない。
偵察衛星さえあれば、敵の動きは手に取るように分かると言うのに……
敵情を掴むと言う点では、太平洋戦争時代に逆戻りしたのだ。
ここにも敵の思惑が働いているのかもしれない。
ペンタゴンはNSAに依頼して、日本から世界に発している情報源や通信などを全てチェックするように取りかかった。
これは通常の国際電話から始まって、GPS付き携帯電話、衛星携帯電話、インターネットなど現代では欠かせない全ての通信手段が含まれる。
NSAには巨大盗聴用アンテナ《エシュロン》をいくつも持ち、この情報システムを運用している。
《エシュロン》を掌る巨大なコンピューターにはいくつものキャッチ・システムが仕込まれ、アメリカについて保安上問題のある言葉……例えば『テロ』『アラブ』『爆弾』『ホワイトハウス(コードネーム:ウィスキーホテル)』などと言う言葉が出て来れば、全てその発進舷をチェックするようになっている。
これはアメリカ国民そのものも監視しているのだが、NSAの実態は謎に包まれており、現役大統領ですらもはっきりしたことは分からないと言っている。
日本国内に置いて交わしている通信も、無線情報やインターネットを使っていれば……すくい上げられるので、そのなかに軍事情報が含まれているのかもしれない
これは言わば『苦肉の策』だが、はかばかしい結果は得られなかった。
日本もむろん《エシュロン》の存在は知っているので警戒し、通信は全て有線通信で行なっているのかもしれない。
今回は米軍の壮大なる反撃計画の戦力に伴い、戦史などを含めた話でした。
米軍にですが、相変わらずドブネズミの連邦残党軍もしぶといものですが……
なお後者が開発した兵器は、第四章に登場しますのでしばしお待ちを。
《トマホーク》《オクトパス》もですが、双発爆撃機に搭載可能な小型滑空爆弾も原作『超戦艦空母出撃』にも登場します。
原作では米軍ですが、この世界では連邦残党軍が開発しています。
灰田「追い詰められているにも関わらず、しつこいのが腹立たしいですが」
第四章はオリジナル展開が多いですから、原作崩壊かもしれないです。
灰田「前回も言いましたね、それは」
確かに、同じことを言ったような気がする。
そろそろ時間になりますから、次回の予告に移ります。
灰田「承けたまりました。次回もアメリカ視点から始まります。なおとある偵察機も登場します故に、少しだけですが哲学的な話もありますのでお楽しみを」
また遅くなるかもしれませんが、楽しみに待っていて下さい。
灰田「ではそろそろお時間になりましたので……。次回まで、第九十五話までダスビダーニャ(さよならだ)」
ダスビダーニャ!次回もお楽しみに