書きためなんてないです。
自分の厨二部分に委ねるのです。
翌日。啓を含む4人は、瀬戸内のそれぞれの拠点を襲撃するため、まずは九州に向けジェット機で飛び立った。示は自分の得物の調整が済み次第合流する予定になっている。機内では特に会話もなく、それぞれ、前日最後の会議でつくられた資料に目を落としている。盲目の奏はただ前を向いているのだが。
「しかしなァ……どうにもパッとしない仕事じゃねえの」
グレッグがぽつりと漏らす。その言葉に少し遅れて反応したのは啓だった。
「パッとしない……ですか。報酬は十分と思いますよ?」
「違うんだよなァ……報酬は文句はないぜ?うん。ないんだけどもよ、宗教団体とか名乗っちゃう連中が人身売買なんぞに手を出すのかねェ?」
「なんでも、神への供物だとか。……理解に苦しみますがね、納得はできますよ」
グレッグはまだ首をかしげている。しかし、啓の頭の中でも同じような疑問が渦巻いていた。
「まぁ、確かに気になりますが。いえ、あなたとはまた違った疑問ですよ?マスターの話では、報酬はクスリの類らしいですけど、その手の売人がタブーに手を染めていたという話は入っていない。単に私たちの耳に入っていないだけ、ターゲットの団体も最近設立されて今の今までその実態が隠れていただけ、この団体をつぶしてすべて解決する、すべて偶然でした!なんてなるのなら、この心労もなくなるんですがねぇ……」
奏がその話に割って入る。
「狂信的な宗教団体というものは、行動が読めないのが何とも言えないっスね。今回は全滅させたうえで、買い手の情報も欲しい、ってことっスけど」
「ええ。まぁウチの情報網に長い間引っかからなかったことといい、そもそもギルドなんてものがあるのにタブーに手を出していることといい、相当のやり手なのでしょうねぇ、今回。バイヤー一網打尽!なんてことは出来なさそうです。しばらくはこの件に付きっきりになりそうですよ……」
そこまで話すと、機内にポーン、と電子音が鳴った。目的地に到着する、という合図だ。
「続きは降りてからですね。高座さんの到着を待って、仕事を始めましょう」
やがて私有地の滑走路に降り立ったジェット機から、それぞれが背を伸ばしながら出てくる。示との合流地点に向かいながら、環季と啓が話していた。
「爺さん、今日が偵察ならよかったって言ってそうです!」
「そうですねぇ。当初は高座さんの
その後は特に会話もなく、合流地点に着く。すでに示が待機しており、4人を見るとそちらに向かって歩き出した。その手には日光を鈍く反射する大きなカバンが握られていた。
「あぁ高座さん。少し待たせましたか?申し訳ありません」
「いえ、問題ありません。得物もこの通り、新品同様ですぞ」
啓と示は互いに微笑みながら話し合う。細かい作戦などの打ち合わせをしながら拠点近くまで移動を開始した。
―――――――
ギルドがあるビル、最上階。
「……さて、次は何が出るのやら……」
柊之が窓の外を見下ろしている。
「お偉いさん方は、準備に追われていらっしゃるようで」
手には、小型のタブレット型の端末が様々なデータを映している。
「……正気とは思えんな、相も変わらず妙なことばかりしている奴らだよまったく」
やがて、端末の電源を落とし、机の上に置く。
「今更、――――なんてな、時代遅れだろうに」
照明を落とし、部屋を後にした。