死の外科医のいる診療所   作:SEED暁

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カルテ1 死の外科医の日常

 

ここはミッドチルダにひっそりと存在する診療所、一応の入院の設備はあるがほとんど使用された記録はない。

 

しかし医療器具や機械などの設備はしっかりと整っている、にも関わらず患者はほとんど来ない、勿論医師の腕が悪い訳ではない。

 

むしろここを営む医師のあるレアスキルを使えば、次元世界最高の医師とも名乗れるかもしれない、それならば何故来る患者が決まっているのか?

 

それは医師のある勤務態度によるものだった。

 

 

 

 

 

診察室の机の椅子に座っている医師である少年、しかし少年の格好だけでは医師と判断するには時間がかかるかもしれない。

 

何故なら彼はファー状の帽子をかぶり、白衣を辛うじて着てはいるものの、白衣の下は黒いパーカーという格好だ。とても医師には見えない。

 

 

しかしそれでもこの少年を頼って来る人がいるには理由があるのだ。

 

 

 

少年はカルテと資料を見ながら、対面式に置かれた椅子に座っている、40代の男性に先週行った手術の結果を告げる。

 

男性は大きな心配はしてなさそうだが、それでも一抹の不安のあるような顔だ。

 

 

「ふむ、血流、血圧に問題なし、心臓の血管にも損傷、または奇形の異常なし、そして当人の健康状態も良好か・・・・・安心していいぜ、施術は成功したようだ」

 

 

少年がそう告げると、男性は大きく安堵し笑顔で少年に答える。

 

「本当にありがとう!!ロー君、娘の心臓病を治してくれて!!」

 

男性は少年の手を握り、少年の手を上下に振る。

 

「あー!!やめろ!鬱陶しい、誰が好き好んでおっさんと握手するんだよ」

 

少年は振り払う。

 

「そんなこと言わないでくれ、本当に感謝してるんだよ?」

 

 

男性がそう言うと、少年は愚痴を溢すように。

 

「よくいうぜ、こんな手術、普通はこんな小さな診療所がやるもんじゃないんだよ!ミッドチルダの中央にある病院でやるのが普通だ」

 

「しかし心臓病の手術はかなり時間がかかると聞いたんだ、娘の体力が持つか心配だったんだよ!しかしロー君の力ならと思ったんだ」

 

 

この男性の娘は僅か8歳である、半日近くかかることもある手術に体力がもつかは可能性は低い方が多いだろう。

 

 

「にしたって、管理局の提督様がこんな小さな診療所で大事な娘の手術を任せるとはな」

 

少年は帽子の側面をかきながら呟く。

 

男性とて何も管理局の病院を信用していない訳ではない、しかしそれ以上に少年の医師としての力を信頼していたのだ。

 

「それでも君は完璧に成功させてくれたじゃないか、それに僕は君の医師無免許を見逃しているんだよ?」

 

ミッドチルダでは医師免許は18歳からであるが少年はまだ15歳である、医師試験は何歳でも受けることは出来るが、医師免許を持たない限り医療行為は基本的に出来ない。それは医師試験を合格した少年でも例外ではない。

 

 

少年は痛い所を突かれたと顔をしかめる。

 

「くそっ、忘れていなかったか・・・・」

 

少年が尚も皮肉そうな顔をしていると。

 

 

「もう!トラ男君はそんなこと言っちゃダメだよ!せっかくトラ男君を頼ってきてくれたんだから!」

 

彼の背後から白衣を纏った緑色のリボンをした金髪のストレートロングな長髪のツインテールの少女が叱咤する。

 

少女は腰に手をつけ、明らかに怒っているようなポーズをとる。

 

「うっ・・・・・・分かったよ!まぁいい、恐らく大丈夫だろうが何かあったらまた来るといい・・・・・

当然だが、連絡はしろよな?」

 

 

実はこの少年の診療所は事前に患者が連絡をしない限り開いていないのだ、少年曰く、常に患者が少ないのにわざわざ一日中開く必要はないだろというものだ。

 

「ははは、流石のロー君も彼女には敵わないか」

 

「うっせ、早く帰れ・・・・・・・おい!ペボ!患者を連れてこい!」

 

 

少年が廊下に出るとすぐ近くの部屋にいる少年のペットを呼ぶ。

 

 

「アイアイキャプテーン!!」

 

快活に答えながら、すぐに患者である少女をおんぶしながら二足歩行をし白いジャケットを纏う大きな白熊が出てきた、このくまは一応少年の使い魔である。

 

 

「こんにちはクレアちゃん!ペボ君と遊んで楽しかった?」

 

金髪の少女が患者である少女に話しかける。

 

「うん!ペボはね、とってもフカフカだったよ」

 

実際には大きな白熊が病院なんかにいたら、怖がられそうだが、ペボの場合はフカフカの毛並みや彼の明るい性格が幸いしたのか、子供には軒並み人気があるのだ。

 

 

「ここは保育園じゃないんだが・・・・・まぁいい、おいクレア良かったなお前の病気はほぼ完治したぜ」

 

少年は患者である少女に簡潔に説明する。

 

 

「ありがとう、お兄ちゃん!」

 

少女は無邪気な笑顔で少年に礼を告げる。

 

「礼ならいらねんだよ・・・・・・早く帰れ」

 

少年はそっぽを向きながら無愛想に答える、こんな性格であるが、きっちりと仕事をこなし、アフターケアもさりげなく入れるのである。

 

 

「もー!トラ男君は素直じゃないな~!!」

 

そんな少年の背中を金髪の少女はバンバンと叩く。

 

「ゴホッゴホッ、いてぇよ!アリシア( ・ ・ ・ ・)、つーかそのトラ男って呼ぶの止めろといつも言ってるだろ!」

 

少年の名前トラファルガー・ローからの略称であるが、本人はとてと不本意そうだ。

 

「良いじゃん!カッコいいよその名前」

 

「キャプテン、ドンマイ」

 

全く悪びれない少女の態度にペボはすかさずフォローを入れる。

 

「黙れペボ、お前に慰められたくない!」

 

少年がそう言うとペボは頭を俯かせ落ち込んだ。

 

「ともかくありがとう、じゃ、帰ろうかクレア」

 

「うん!」

 

少女と男性は玄関に向かう、少年は愚痴を溢しながらも玄関まで見送る。

 

そしてドアの前に着た時、少女はまだ落ち飲んでいるペボを心配したのか元気付かせるように。

 

「ペボ、また遊ぼうね!」

 

「・・・・・アリガトウ、また来てね!」

 

ペボは即座に立ち直る。

 

「アホかお前、ここは診療所だよ何度もきていい場所じゃないだろ!」

 

「ハイ、スイマセンデシタ・・・・・・」

 

少年にしかられ再び落ち込むペボ、このクマは本当に打たれ弱く、立ち直りが早い。

 

男性と少女が帰ると少年は一息つき。

 

「よし、今日の午前中はもう予約ないよな?」

 

少女に問いかける。

 

「うん!お疲れ様トラ男君」

 

「お前また・・・・・・もういい」

 

このやり取りはもう数え切れないほど繰り返している、そのなかで少年は少女には性格的に敵わないことを学んだ。

 

「そうか・・・・・・俺は昼飯まで寝る」

 

「分かったよ!お昼何がいい?」

 

「・・・・・・・おにぎり」

 

少年は一言だけ言うと自分の部屋に帰ろうとする。

 

「アリシアちゃん、オイラは蕎麦がいいな」

 

白熊が蕎麦を食べる図は中々シュールである。

 

「お前は今日はドッグフードだ」

 

「そんな・・・・・ゴメンよキャプテン許して~!」

 

少年の部屋のドアを叩く白熊、これもまたシュールである。

 

結局、ペボの今日のお昼ご飯はドッグフードではなかったか、魚肉ソーセージになってしまった。

 

 

 

 

 

この診療所ではこんなやり取りが日々起こっている。





どうでしょうか、感想や評価をお待ちしています。

尚、ワンピースのトラファルガー・ローとは能力や名前は同じですが容姿は別人ですのでご了承下さい。
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