死の外科医のいる診療所   作:SEED暁

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ではどうぞ。


カルテ3 死の外科医の友人

臨海空港での爆発事故から1週間後、ローは何時ものように診察をしていた。

 

 

「全く、月に一回の休みを定期検診に当てるとは本当に仕事人間だな」

 

ローは対面式の椅子に座る彼と同い年くらいの少年に話す。

 

「ははっ、そうかもねでも僕が体調を壊しちゃうと皆に迷惑が掛かるからね」

 

少年は自嘲気味の笑顔を浮かべる。

 

「本当にユーノ君( ・ ・ ・)は真面目だよね、トラ男君にも見習って欲しいよ!」

 

アリシアはローを見ながらいう。

 

「あ~あ~、聞こえんな、ユーノ検査始めるぞ」

 

ローはとぼけたような態度を取り、ユーノに検査を促す。

 

「アリシアちゃん、ローはいい医師だよ、数日前にやった手術だって本来の医療費よりとても安くやってあげたんでしょ?」

 

 

数日前に下半身に障害を持った少年がローのもとに訪ねてきた、事故により脊椎が損傷し下半身不随になってしまったのだ、治療しようにも事故の際に細かい金属片が脊椎に入り込み、下手に手術すれば余計悪くなるのだ。

 

だからといって慎重にしようにも何回にも分けなくてはならないため治療費は莫大なものになってしまう、両親が管理局員ではあるがとても払える金額ではなかった。

 

車イス生活を余儀なくされた僅か8歳の少年は絶望していた、その少年の話を友達であるクレア聞きがローのことを紹介したのだ。

 

クレアの心臓病が奇跡的に治ったことは少年も知っていた為、少年はローを最後の希望としていた。

 

少年がローに事情を話す時も終始涙ぐんでいた。

 

ローは多くは語らず、ただ一言だけ少年に告げた。

 

「辛かったな、大丈夫だ!直ぐに直してやるだから・・・・もう泣くな!!」

 

 

ローは直ぐに"!ROOM《ルーム》"を展開し"切断(アンテピュート)"で脊椎の部分を抜き出し、"スキャン"で金属片を確認し、人工の骨と金属片を"シャンブルズ"で交換し、"接合(イノスクレイト)"で神経を結合させたのだ。

 

神経は脊椎に多く集まり、一度損傷すると治すのはまず不可能だがまさにローにしか出来ない治療だった。

 

因みにだが、少年には治療の際に目隠しをしてもらった、痛みを伴う訳ではないが、ローの能力をあまり知られたくないということでの配慮だ。

 

 

少年は僅か一回の治療で足が元通りに治り、とても驚いていたがそれ以上にまた歩けることを喜んでいた。

 

 

さらにローは治療費を僅か両親の給料の5分の一程の値段で請け負ったのだ。

 

治らないと言われていた障害がそれほどの値段で治ったことに両親は喜んで応じた。

 

 

「勘違いするな、仕事量に見合った値段を取っただけだよ」

 

ローはそう言うが逆に言えばこの治療が出来るのはだた一人であるが、患者のことを第一に考えるのがローの信念であり、治療費にはあまり無頓着であった。

 

それを分かっているユーノは彼が本当はとても優しい医者なことを知っている。

 

「ああ、そうだったよね!」

 

ユーノは笑顔で応じる。

 

「んだよその目は、まぁいいや始めるぞ"スキャン"」

 

 

ローは鬼哭を抜き"スキャン"でユーノの体の血管、内臓、骨の内部に至るまで調べる。

暫くし、ローはスキャンを解くとユーノに神妙な顔で告げる。

 

「ユーノ、大変残念な結果が出てしまった・・・・」

 

「えっ・・・・そんな、でもローが治してくれるんでしょ?」

 

「いや、残念ながら俺にも無理だ・・・・・」

 

ユーノは驚愕した、自分の知る限り最高の医師であるローが治せない病気があるとは、ユーノは大きな不安に駆られる。

 

「それでどんな病気なんだい・・・・・・」

 

ローは尚も真剣な表情でしゃべろうとする、しかし心なしか目が笑っているようにも見える。

 

「ああ、それはな―――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

仕事し過ぎ症候群だ!」

 

それを言われた瞬間のユーノは。

 

 

「・・・・・・え?」

 

「だから言ってるだろ、仕事し過ぎ症候群だよ、いやー俺もこんな症状は始め・・「トラ男君のバカ――――!」・・いって――!!」

 

ローはアリシアに延髄を殴られる。

 

「もう!どうしてそんな意地悪するの、アリシア本当に心配したんだよ!」

 

アリシアは患者にはロー以上に気遣っている、それは彼女の優しい性格であり、まさに白衣の天使とも言える。

 

「あ、あははは、それでロー本当はどうなの?」

 

ユーノはとりあえずローの冗談であることがわかり、安堵する。

 

「まぁ別に体に異常は見られなかったが、少々疲労が溜まり気味だな、疲労は病気のもとだぜ?」

 

わざとらしい表情を止め、何時もの口調で告げる。

 

「うーん分かっているんだけどね、なんせ無限書庫は広いし、やることがたくさんあるから」

 

無限書庫とは時空管理局本局内にある、管理局が管理を受けている世界の書籍やデータが全て収められた超巨大データベースだ、 気の遠くなるほどの規模で本棚が並んでおり整理するのにも一苦労なのだ。

 

「あそこは素人がおいそれと出来る仕事じゃないからな、大変だなユーノ」

 

 

元々遺跡や古代史探索など過去の歴史の調査を本業とするスクライア一族のユーノにとってこのような文書探索などはむしろ望むところではあるが、やはり人手不足には変わりない。

 

「元々好きで始めたんだから文句はないよ、それにローがたまに手伝ってくれるから、こうして休日を取れるんだよ?」

 

ローはたまにそんなユーノを見かねてか、診察のない日はたまにユーノの仕事を手伝っている、主な仕事は膨大な量の本棚を"シャンブルズ"により移動させるものだ、これにより大幅に仕事の効率が上がったのは言うまでもない。

 

 

「その休日を定期検診に当ててどうすんだよ、取り合えず今日は疲れを取ることに専念しろ」

 

「分かったよ、ありがとうロー」

 

「気にすんな、友人だろーが」

 

ユーノは感謝を述べた後、先程とは違い何かを心配するような表情を見せる。

 

「ロー、少し頼みがあるんだけどいいかな?」

 

「ん?なんだよお前にしては珍しいな」

 

ユーノはあまり人に頼み事をするようなことはしない、それは信用の問題ではなく単に頼み事をするのが申し訳なく思ってしまうからだ、そんなユーノが自分に頼み事をするのだ

何かそれ相応の理由があるのだとローは思った。

 

「うん、ローはリンカーコアのことについては詳しいかな?」

 

「詳しいも何も医者の世界でリンカーコアを専門にしてるやつなんて聞いたことないぞ、しかし何でそんなこと聞くんだ?」

 

リンカーコアとは大気中の魔力を体内に取り込んで蓄積することと体内の魔力を外部に放出するのに必要な器官であり、魔導師のもつ魔力の源とも言われる。

 

しかし未だに全ての事が分かっているわけではなく、研究が現在も進められている。

 

「うん、僕の幼なじみと言うか親友かな、その子が管理局で働いているだよ」

 

聞けばユーノの親友はユーノと同じ年の少女らしくしかも武装隊に勤務しているらしい、管理局は万年人手不足が懸念されておりそれに伴い雇用年齢も低くなっている。

 

ローは一瞬、ユーノに彼女かどうか聞きたかったが、ユーノの真剣な表情に言葉を飲み込む。

 

「へぇ、そいつはすげぇな、それでその子がどうしたんだよ?」

 

「うん、ローは先週あった臨海空港での爆発事故は知ってるよね」

 

「ああ、あれだけの規模がありながら、火災での死人はゼロらしいな」

 

当初、救出作業は難航していたが、とあるSS級魔導師、執務官、そして武装隊のエースオブエースの活躍により火災での死人はいないらしい。

 

その時ローはアリシアを救出していたがその事は知られてはいないようだ。

 

「それでその子も救出作業をしていたんだ、その後、自分のホテルに帰る途中に突然倒れたんだ・・・・・」

 

少女は友人と一緒に臨時に暮らしているホテルに帰る途中倒れたらしい、少女は直ぐに友人に管理局の連携する病院に運ばれたらしい。

 

「・・・それで、その子は今どうしてるの?」

 

アリシアはユーノの話を聞き、心配そうに尋ねる。

 

「うん、幸い意識を取り戻してるし命に別状は無いんだけど・・・・・・」

 

「・・・・魔法が使えない、そうだろ?」

 

ユーノが言葉に詰まっていると、今まで口を閉じていたローが問う。

 

「流石だねロー、そこが頼み事の理由なんだ」

 

いきなりリンカーコアの事を聞いてきたり、らしくない頼み事をしてくる状況を考えれば自ずと予想は着いた。

 

「つまり、俺に治療を頼んでるんだろしかし・・・・安請け合いは出来んな」

 

様々な治療をしてきたローもリンカーコアの治療は初めてだ、そもそもリンカーコアが原因で起こる症例などほとんど聞いたことはない。

 

しかし数少ない友人の頼みだ、先ずは詳しく調べてみなければ分からない。

 

「分かった、しかし情報が少なすぎる何か資料が欲しい」

 

「ありがとう!そう言うと思って、午後から資料なんかを持ってる人と待ち合わせしているんだ、ローも来てくれるかな」

 

どうやらユーノはローか引き受けてくれると、信頼していたようだ。幸い今日の午後は診察がない。

 

「分かった、場所は何処だ」

 

場所は管理局本局の相談室らしい。

 

「それじゃロー、またね」

 

ユーノは自分の家に帰っていった。

 

ユーノが帰った後もアリシアは不安そうな顔をしていた。

 

「アリシア、取り合えず昼飯にしようぜ大丈夫だよ・・・・・俺がお前を助けた( ・ ・ ・)時みたいになんとかなる」

 

ローはアリシアの頭を撫でながらいう。

 

「うん、そうだよね!よし、なら元気をつけないとね」

 

アリシアは台所に向かっていった。




ありがとうございました。

次回もよろしくお願いいたします。

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