僕が勇者部の皆と再会してから数日後の朝、一人で学校へと向かっている途中の事だった。
歩いている僕の少し先に黒い車が止まっていた。その車に僕は少し見覚えがあった。あの車は……
「大赦の?一体何があったんだ?」
端末を取り出し、連絡が入ってないか調べるが特になかった。僕が出ることでもないと思い、車の横を通り過ぎようとした時だった。
「やっほ~きょうくん」
車の中から聞き覚えのある声が聞こえた。うん、これは面倒事だ。早く学校へと行かないと……
「むぅ~無視はよくないかな?」
車から一人の少女が降りると後ろから思いっきり蹴られる僕。不意打ちを食らったが何とか倒れずにすんだ。
「何をすんだよ!園子」
さっき車に乗っており、僕に蹴りを入れた人物、それは乃木園子だ。先代勇者である彼女は満開を繰り返した結果、体を動かすことが出来なかったのだが、その後遺症が全部治ったおかげで今は普通の生活が出来るようになった。
「折角だから一緒に学校まで行こうって誘おうと思ったのに~」
「大赦の車を見たら、かかわらないほうがいいって思ったからな」
というか一緒に学校に行くってもしかして……
「そのっち?」
フッと後ろを振り向くと美森と友奈の二人がいた。
「わっしー、おはよう」
「あ、おはよう。そのっちその格好は……」
美森も気がついたみたいだ。園子が讃州中学の制服を着ていることに
「もしかして乃木さんも……」
「うん、讃州中学に今日転入してくるんだ~三人ともよろしくね~」
やれやれ、戻ってきてから心休める日が無くなって気がする
僕がみんなと再会した日のこと、再会を祝してみんなでうどんを食べている時のこと
「それじゃ、私達はもう戦わなくっていいってこと!?」
僕は天の神との話を勇者部の皆に話した。
「あぁ、天の神はもう戦いをやめて、世界を作りなおすって」
「あんた一人でそこまでやったわね」
「僕自身、上手くいくとは思ってはいなかったけどね」
「でも、桔梗さん。いくら私達を救うためとはいえあんな事してほしくなかったです」
樹が少し怒った感じで言っていた。記憶がなかったとはいえ思い出せば自然と怒りも思い出すだろう。一応みんなと再会して謝ったんだけどな……
「悪かった。僕もあの崩壊した世界で一人で戦ってた時、一人で戦うのがこんなに寂しいって思ってなかったよ」
「桔梗くん、それが分かったんだからもう大丈夫よ。私達はもう怒ってないわ」
「ありがとう。美森」
「う、うん」
「って言うかあんたらいつからそんな関係になったのよ」
どうやら僕らの関係に先輩が気がついたみたいだ。さすがは女子力が高いだけあるな。
「ついさっきだよね。東郷さん、桔梗くん」
友奈が笑顔でそう言うと美森が顔を真赤にさせていた。
「一緒に手を繋いで戻ってきてましたよね」
樹も何故か嬉しそうにしてるし……夏凛に至っては何か機嫌悪そうだし……
「まぁ、友奈から聞いたけど戦いの最中に告白なんて、気が抜けすぎよ」
あれはうっかりなんだけど……というかそこまで話してるのか………
「友奈、しゃべりすぎ」
「あはは、そういえば勇者システムって新しくなるって本当?」
「あぁ、園子……先代勇者からそんな話を聞いた。一応満開と散華はなくなるけど、精霊の力に制限がついて下手すれば死ぬかもしれないようになるらしい」
「まぁ大赦も色々と考えてくれているのね」
「とはいえ少し気になる事があるけどな」
僕は友奈の方を見た。僕の視線に気がついた友奈はすぐに目をそらしたのだった。
その日の夜、僕は大赦からある連絡を受けていた。
『大赦は天の神との対話を行っていくことになりました。その際、讃州中学勇者部の皆様にも協力をお願いすることがあります』
「あぁ、とりあえず戦うことはないから大丈夫だよね」
『はい、これも貴方が頑張ったおかげですが……』
「何かあったのか?」
『いえ、ただ天の神との対話についてよく思っていない者がいるということだけなので……』
「それぐらいいても当然だろう。僕に出来ることは?」
『いえ、こちらで対応できますので、それと前にお話になっていた……』
「友奈の件。あいつ、何か隠してる気がするんだ」
『ですがこちらとして何も……』
「とりあえず様子を見るよ」
さて、今の話に戻るが、園子が僕達のクラスに転入してきて、放課後早速勇者部に入部することとなった。
「そのちゃ~ん」
「ゆーゆー」
園子と友奈の二人が手を握り合いながらクルクル回りだした。というか仲良くなるのが早いな
「新入部員と桔梗が帰還してきたことで部員が7人になったわね」
先輩が嬉しそうにしている。まぁ確かに最初は四人だけだったのが今は7人。賑やかになったものだ
「そうだ~みんなに渡すものがあったんだ」
何かを思い出したのか、園子は鞄の中から端末を取り出した。
「丁度新しくなった勇者システムが出来上がったから皆でアプリを送っておくね」
園子がそう言いながら僕らの端末にアプリを送ったのだが、何故か僕だけ送られてこない
「みんなアプリ送られてきたか?」
「はい、送られてきました」
樹がそう言いながら新しいアプリを見せた。どういうことだ?
「きょうくんのはまだ完成してないんだって~」
「そうなのか?」
「ほら、きょうくんは天の神と会ってたから前のやつを回収するのが遅くなったんだって、それに私達と天の神を繋ぐものとしてグレードアップするみたいだよ~」
グレードアップって一体どうなるんだ。とはいえそういう理由なら別にいいか。
「………」
だけど僕は気が付かなかった友奈がこの時何故か浮かない顔をしていることに……
そしてある場所にて
「はい、これが私が作った勇者システムよ。讃州中学の子たちとは違って強さも段違いよ」
白衣の女性は一人の少女に端末を手渡した。少女は端末を受け取ると……
「これで私も……」
「えぇ、貴方だけじゃない。あなたの友だちもなれるわ。憧れの勇者に……」
「ありがとうございます」
新たな物語が始まろうとしていた。
はい、続編一話でした。基本的には桔梗と灯華のダブル主人公的なものになります。次回は灯華主人公です