12月24日、世間では街はクリスマス一色である。そんなクリスマスの日の勇者部では……
「世間ではクリスマスだっていうのに、何で私は受験勉強なんてやっているのかしら?」
部室では受験勉強をしている先輩の姿があった。そんな先輩を見て夏凛は呆れていた。
「当たり前でしょ。受験生のくせに全く勉強してないっていう自体がおかしいのよ」
「いや、ほら、勇者部で……」
「勇者部の活動を言い訳にしないで下さい。先輩」
教官役として美森がそう言う中、樹が申し訳なさそうにしていた。
「ごめんなさい。東郷先輩、何度言っても勉強してなくって……」
「いいのよ樹ちゃん」
「でもでもバーテックスや文化祭のこと、灯華ちゃんたちのことがあったから中々勉強に身が入らなかっただけじゃないのかな?」
友奈が弁護するが、美森はそれでも許さなかった。
「それでも合間で勉強する時間が有りました」
「うぅ、園子!桔梗!ここは大赦の力で……」
「大赦側は試験勉強に手を貸す気はないですよ。先輩」
「そうだよ~それにこの季節は大赦も忙しいんだぁ~」
僕と園子、そして灯華と桜の四人は書類に目を通していた。
「そういえば桔梗くん達がさっきからやっているのはなんなの?」
「友奈は聞いたことないか?四国に伝わるクリスマスの奇跡を……」
「クリスマスの奇跡?」
どうやら友奈はその手の噂には疎いみたいだな。それに美森も夏凛もだ。
「あぁ、あの願いを叶えるって奴?」
「確か12月24日と25日に神樹様に願い事をすると叶うと言う話ですよね」
先輩どうやら知っているみたいだ。それに樹もだ
「そのクリスマスの奇跡って噂みたいなものだったんだけどな」
「実は本当に叶うんだよ~」
「叶うって言うよりかは叶えるっていうものかな?大赦がそういう趣向でやるみたいなんだ」
僕はそう言いながら一枚の書類をみんなに見せた。書類には『素敵な彼氏が出来ますように』と書かれていた。
「何だか七夕みたいね」
「でも大赦からしてみれば神聖なものじゃないといけないみたいだから、こうやって選考会をやってるんだ。なにせ今年は一つしか叶えられないからな」
「一つっていくつも叶えられるものなの?」
友奈の質問に僕は頷いた。
「24日に一つ、25日一つ、二つの願いをかなえられるんだ。24日の願い事は僕のものになったからね」
「これまでの戦いの報酬みたいだからね~なんてお願いしたのか気になるけど~」
園子がチラチラと僕の方を見るが、恥ずかしいので答える気になれない
「とりあえずはその時まで秘密ということで……」
僕は俯きながらそう言うのであった。
ようやく書類整理のほうが一段落ついたのが夕方になってからだった。部室には僕と園子しかいなかった。
「みんな帰っちゃったな」
「そうだね~残って待ってもらうのも悪いしね~」
「それにしても神聖なものを選べって言われても……中々いいものがないな」
「これとかいいかも」
園子はそう言って一枚の書類を見せた。そこには『世界が平和になりますように』と書かれていた。
「平和って言っても今が平和だけどな」
「そうだね~あれ?」
園子はある書類を見て、うつむいた。
「どうしたんだ?」
「ううん、なんでもないよ~」
園子はそう言いながら、書類を僕に見せないように隠すのであった。
僕は自宅に戻ると既に大赦から荷物が届いていた。
「届いていたか。これで明日は準備完了だな。にしても園子は……まぁいいか」
そして次の日の夜、僕の自宅でクリスマスパーティーが始まっていた。
「それにしても最初は部室でやろうって思ってたのに、桔梗がやる場所提供してくれるなんてね」
「まぁちょっとしたことですよ。それにそろそろ良いかな?」
僕はそう言いながらみんなにプレゼントを配った。
「これってクリスマスプレゼント?」
友奈がプレゼントを受け取りながらそう言うと、僕はあることを言った。
「僕の願い事、みんなのプレゼントをあげたいだからね。それにただのプレゼントじゃないから……」
みんながプレゼントを開けてみると、中にはキーホルダーが入っていた。そのキーホルダーはみんなの精霊の形をしたものだ。
友奈は牛鬼、美森は青坊主、先輩は犬神、樹は木霊、夏凛は義輝、。そして灯華と桜には猫又のキーホルダーを渡すのであった。
「わぁ、牛鬼だぁ~」
「もしかして大赦に作らせたの?」
「そんなところだ。灯華と桜には悪いけど同じようなものにしたんだけど……」
「ううん、嬉しいです」
「私達にも作ってもらえるなんて思ってませんでしたから」
みんなが嬉しそうにする中、この場にいない園子のことが気にかかっていた。
(あいつ、美森の呼び出しにも出ないって話だからな……何をやってるんだ?)
そんな時、大赦から一通のメールが届いた。それは……
「みんな、大変だ。園子が天の世界に向かったって……」
クリスマス回その一でした。