私の名前は鈴藤灯華。琴禅中学二年生。普通の中学生として勉学を頑張っているのだが、私はある者に憧れていた。それは勇者にだ。
昔に読んだ絵本の勇者の大冒険を読んでから勇者に強い憧れを抱いた。だけど女の子である私が勇者になれるはずがない。もしこの世界が絵本やゲームと同じ世界なら私はそこら辺にいる村人なんだろうな……
だけど小学生の頃、私は両親にある話を聞いた。それは……
「たいしゃ?」
「えぇ、私達は神樹様を祀る組織大赦で働いてるの」
「ふ~ん」
両親が働いていることに関してあまり興味がなかった。だけど次の言葉を聞いてそんな考えが吹き飛んだ
「それでね。灯華ちゃん。よく聞いて、大赦には神樹様を祀るだけじゃなく、人類の敵であるバーテックスを倒す役目である勇者のサポートも行ってるの」
勇者!?この時私は勇者という言葉を聞いて目を輝かした。もしかしてお母さんが今この話をしたということは……
「それでね。大赦が密かに行った勇者の適性検査で灯華ちゃんが高いんだって……」
「わたし、ゆうしゃになれるの?」
「うん、でもね、ものすごく怖い思いをするだろうし、もしかしたら死んじゃうかもしれないんだよ」
「それでも、わたしはゆうしゃになりたい」
この時から私は勇者になれるって信じていた。
それから私は勇者になるためにいっぱい頑張った。
勇者は力が強くならなければいけない。それならと思い、訓練を始めた。
物語の勇者みたく剣を使ってみたかったのだが、頑張っても何故か私には使い心地が悪かった。色んな武器を試していくとついに私にあう武器が見つかった。それは……
「薙刀?」
「あぁ」
武術の師範のお父さんが私に木でできた薙刀を渡した。
「色んな武具を使って自分に合うものを見つけたのだろう」
「うん」
「それがお前が勇者になった時の武器になるだろう。その日が来るまでしっかり鍛えてやる」
「はい」
それから私は薙刀での稽古が始まった。最初は辛くて止めたくなったこともある。だけど勇者の御役目のためにはと思い、頑張り続けた。そんな訓練の日々が続いてる中、神樹館の勇者のことを聞いた。この頃は家柄で勇者が選ばれていた。だけど三人の勇者の内、一人は死亡、もう一人は戦いの負傷で遠くの街の病院へと送られ、最後の一人は行方が分からないでいた。
(三人の勇者……私がもう少し頑張っていればその子たちと戦えたんだよね。そしたらそんな結果にならなかったはずです。今以上に頑張らないと)
そして私は大赦の御役目として琴禅中学校に入学し、私の他に勇者候補を集めたのだった。
そして中学校二年生の春、私は大赦から連絡を受けた。
「讃州中学の班の子が勇者に……」
『はい、結城友奈、東郷美森、犬吠埼風、犬吠埼樹、そして神宮桔梗の五人が勇者になりました。そして三好夏凛も近々彼女たちのもとに送るつもりです』
私は勇者になれなかった。でも、なれない方が確率的に高いと言われているくらいなのだからしょうがない
「でも、悔しいな……勇者になれないなんて……」
あんなに頑張ったのに勇者になれないなんて……私の努力が……
だけどもしかしたら戦力的にまた勇者が増える可能性だってあるはずだと思い、私はまだ諦めず鍛え続けていった。
夏休み
私は讃州中学の勇者がバーテックスを全滅させたことを知った。本当に私の努力は何だったんだろうか……
落ち込む私を元気づけるために勇者候補である友達が海へと連れて来てくれた。だけどそこで……
「あの人……」
私は砂浜でスケッチをしている男の子を発見した。その子の右腕は義手であるために長袖のパーカーを着ていた。
「あ、あの」
思わず私は声をかけていた。彼は私の方を向いた。
「鈴藤灯華……久しぶりだね」
「はい、お久しぶりです。神宮くん」
「こんな所で何してるんだ?」
「みんなと一緒に海水浴です。神宮くんもですか?」
「あぁ、勇者部の皆と……」
「そうですか」
私は彼の隣に座りあることを言うのであった。
「聞きました。バーテックスを全部倒したって……」
「耳に入っていたか。頑張ったからな」
「頑張ったからですか……そうですよね。ここはわたしは喜ぶべきところなんですが……なんでか苦しんです。ずっと頑張ってきたのに……」
「灯華……でも」
「すみません、変なことを言って、皆を待たせてるので私はここで……」
そのまま私は彼の元を立ち去った。
9月に入り、私は両親のある話を聞いてしまった。
『あの子が勇者になれなくって本当に良かったよ』
『えぇ、本当に、あの子は頑張ってたんだろうけど』
『だが、彼女たちみたいに………になったとしたら私達は……』
『きっと………してたわね。本当に良かったわ』
私の扉の影から二人の話を聞き、家を飛び出した。
あんなに頑張ったのに、勇者になれなかった。両親は勇者になれなくってよかったって……私の努力は?この気持ちはどうするの……
「私は………勇者になれなかった……どうして、どうしてなの!?」
雨が降る中、私は空へと叫ぶのであった。
そしてあの人と出会った。
「悲しいことね。勇者になれないということは……」
「……あなたは?」
振り向くとそこにはメガネを掛け、白衣の女性がいた。その人は微笑みながらあることを告げた。
「宝条よ。大赦の技術開発班なんだけどね。貴方にとっていい話を持ってきたの」
「な……んですか?」
「貴方は勇者になれるわ。それが可能となるシステムが完成したの」
それはきっと闇からの誘いだったのかもしれない。だけど私にとっては神が願いを叶えたものだって思った。
今回は灯華の過去でした。次回も灯華の話となります。