鈴藤灯華は勇者になれなかった   作:水甲

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今回から最終章となります


第8話 真実

私は急いでこの研究所から逃げ出すことにした。最初は灯華ちゃんの安否が気になり尋ねたのだが、宝条さんのさっきの話を聞き急いで讃州中学の勇者たちに知らせようと思った。

 

「あら、どうやら鼠がいたみたいね」

 

突然後ろから声が聞こえたと思った瞬間、目の前の通路が塞がれていった

 

「ふふ、立花桜。話を聞かれていたみたいね」

 

「……宝条さん」

 

私はすぐに勇者に変身し、この場から逃げ出そうとした。だが、宝条さんは笑みを浮かべていた

 

「どうやら逃げる気みたいね。だけど……」

 

宝条さんが指を鳴らした瞬間、私が立っていた場所に穴が開きそのまま落とされてしまった。

 

「貴方には実験体の相手をしてもらうわ。うまく逃げ出したとしても……あいつらには私を止めることは出来ない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

落とされた私は勇者に変身していたためか何とか着地に成功したのだが、落とされた場所はただ広い部屋だった。

 

「ここは……」

 

『どうやら無事みたいね。でもそれが貴方にとって絶望にしかなり得ない場所よ』

 

「宝条さん、私達を騙していたんですか?」

 

『騙す?まぁあなた達からしてみればそうなるわね』

 

「どうして……どうしてですか!?」

 

『私の大いなる実験のためよ。さぁ実験体と遊んでいなさい』

 

部屋入り口が開き、そこから3体もの白い生物が現れた

 

「何こいつ?」

 

『そいつは星屑。バーテックスみたいなものよ。まぁあの勇者たちが戦っていた奴らと違って私が改良を加え一から作り上げたものよ』

 

星屑の口が開くとそこから炎が吐き出された。私は炎を避けると矢を放った。

 

「はぁ!!」

 

3本の矢が星屑を撃ち貫く。

 

『流石にやるわね』

 

「一応訓練は積んでいましたから」

 

『だけど彼女はどうかしら?』

 

すると入り口から現れたのは、灯華ちゃんだった。だけど普段の灯華ちゃんと違い目が虚ろだった。

 

「…………」

 

「灯華ちゃん……どうして」

 

「私は勇者に……宝条さんのために……」

 

灯華ちゃんは薙刀を構え、私に襲いかかる。私は矢を放とうとするが、

 

(ダメ、灯華ちゃんと戦うことなんて……)

 

「はあああああ!!」

 

薙刀が私の右肩を斬りつけた。肩をやられたせいで矢を放つことが出来ない。

 

「どうにかして……逃げないと」

 

私は逃げ道を探すが灯華ちゃんに入り口を防がれていた。

 

「このままじゃ……」

 

灯華ちゃんが薙刀を振り上げた。私はもうだめだと思った瞬間、部屋の壁が崩れだした。

 

「やっと見つけたよ~」

 

崩れた壁から金髪の少女が現れた。

 

『どうしてここが……それに貴方は乃木園子』

 

「大赦でも調べていたんだよ~鈴藤灯華と立花桜がどうして勇者になれたのかって」

 

『とはいえ経った一日で……』

 

「それはね~私自身も昨日の時点で彼女たちが使う勇者システムが引っかかっていたんだよ。神樹の力じゃなくって自身の命を力を扱う。それを大赦に話したら以前同じような実験をしていた人がいたんだって分かったんだ~それが……」

 

『えぇ、私よ。私は勇者システムとは全く違う力。それを作り上げたかった。それが彼女たちが使っている力よ』

 

「でもそれだけじゃないよね。そこにある星屑の残骸。星屑は天の世界の住人の魂だって聞いてるんだけど……」

 

『えぇ、私も知っているわ。何せ聞いたのだから彼にね』

 

「彼……やっぱりまだ生きているんだね。奴が……」

 

『話はそこまでよ。やりなさい、灯華』

 

「……はい」

 

灯華が薙刀を構えると園子はため息を付き、何体かの精霊を出した

 

「まだ戦うべきじゃない。今回は立花桜を救出しに来たの」

 

精霊達が灯華の顔に覆いかぶさり、灯華が引き剥がすとすでに彼女たちの姿がなかった

 

「………」

 

『逃げられた。まぁいいわ。そろそろ完成よ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天の神達が来訪して次の日、勇者部に立花桜の姿があった。僕らは園子や桜から宝条の話を聞いた。

 

「その宝条って人が今回の首謀者って訳ね」

 

「でも、大赦から追い出されたのにどうしてそんな実験を続けていたのでしょうか?」

 

美森の言うとおり、宝条って人が大赦を追い出されてまで続けていた実験って何なんだ?

 

「それにこのままじゃ鈴藤さんの命が……」

 

「別にもう決まってることだろうけど、風、もちろん助けに行くのよね」

 

「それは……」

 

「先輩!私も助けに行きたいです。困った人がいるのであればそれを助けるのが勇者です」

 

友奈がそう言うと先輩は呆れた顔をしながら答えた。

 

「全く当然のことを言うんじゃないわよ。もちろん讃州中学勇者部は鈴藤灯華を助けに行くわよ!」

 

「みんながそう言うと思ってた~今回の件は私の方に一任してもらってるからいつでも行けるよ~」

 

「まぁ園子が大赦に話をしてなくっても、みんなならそうするだろうな。立花桜はここで待ってろ。これ以上は戦ったら……」

 

「で、でも、戦えなくてもいい。それでも灯華ちゃんを助けたいです!私も勇者ですから」

 

「そうか、それじゃ無茶はしないようにな」

 

彼女を連れて行くのは危ないかもしれないが、決意した人を連れて行かないと何をするかわからないからな

 

「さて行くとするか。人を惑わす奴を倒しに」

 

 

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