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今から語るのは、過去の物語。
闇に消えた、博麗の巫女の物語である。
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幻想郷で人が死んだ。
今の幻想郷では珍しい土葬である。肉親も親戚もいない彼女にとって、唯一の親友とも言える少女からの頼みであった。また、彼女を一番よく知っている女性からの、最後の依頼でもあった。彼女の交友関係は広く、誰からも愛されるような人間だった。だから、彼女の死は多くの人や妖怪を悲しませた。
彼女を埋葬する場を決めるのにはそう時間がかからなかった。分かれたのは彼岸花の咲く幻想の地、もう一つは幻想郷が一望できる彼女が生まれ育った地。最終的な決断は死に間際に言った彼女の一言により、彼女が生まれ育った地になった。
生まれつき体が弱かったのだ。だから重い病気にかかってしまい、わずか十と七で逝ってしまった。理不尽ではあるが、仕方の無い事である。彼女は不幸だったのかもしれない。彼女と仲良くなってしまった人たちを悲しませることも、自身があまり激しく動けずにいつも寝込んでいたのも、すべては彼女が不幸だったからなのかもしれない。
だが、これをよく思わない人物が一人。
土葬を望んだ女性うちの一人、とある少女であった。
人間が死んだ。ただそれだけなのに彼女はとれも哀しみ、嘆き、涙を流したのだった。確かに人の死というのは個人にとって衝撃の大きいものだ。それ故に、彼女は人よりも泣いた。彼女はそれだけ死んだ彼女に対し深い感情を抱いていた。それこそ、愛と言っても過言ではない程に、死んだ彼女の事を好いていたのだった。
同時に、もう一人の女性は困り果てていた。
予定とは大幅に違うという事に。
このままでは、大幅なズレが生じてしまう。それはいけない。彼女無しでは、これからの予定は全く組めないのだ。幸い『もう一人』は健在なのだし、何とかして『代役』を立てないといけない。彼女の死の後、もう一人の女性は想定外の事に焦りを感じていた。
しかし、今更代役など見つかる筈もない。当初は体が弱いだけで特に問題がなかった筈なのだが、まさか途中で逝ってしまうのは想定外の出来事だったのだ。盤石の仕込だったはずなのに、どうしてこうなってしまったのだろう。女性は自分の失敗を後悔したが、時すでに遅し。嘆くよりもまずは代役を血眼になってでも探さなくてはならない。
だが、彼女の不幸がもたらしたのか。幸いにも完璧な代役が一人見つかった。
女性は歓喜した。多少なりとも時間がかかるのは想定済みだったが、まさかここまで早くに見つかるとは。彼女を代役に仕立てるのには幾分か面倒な手順が必要だったが、女性にとってそれは些細な問題に過ぎなかった。問題は彼女の意志だったが、それも記憶を操る事によって多少なりとも融通が利いた。
後は役を配置して、全てを初めからやり直し。
さて、では仕切り直して――
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これから始まるのは遠い過去の物語。
闇に消えた、『博麗靈夢』の物語である。