暗部での修行が始まって一ヶ月が経った。その内容は地獄以上のものだった。俺が幼いのなんて関係なしみたいだったな…
カカシやテンゾウによる性質変化の修行。水と雷の性質変化の修行だったのだが一番強い性質じゃないからかまだ二つとも第一段階までしか出来ていない。これだけだったらまだいいのだが…一回失敗するごとに腹筋と背筋を100回ずつやらされるのだ。しかも200kgの錘を乗せられた状態でやらされるから非常にきつい…
イタチには手裏剣術や体術などを主に修行してもらっているが…この人めちゃくちゃ厳しい。手裏剣がわずかでも的の中心からずれたらやり直しにさせられる。しかもペナルティとして体術修行の時間が倍になる。辛い…しかもその体術修行はイタチとの組み手。手足に錘をつけた状態でやるのだが…写輪眼使われるから攻撃当たらないしカウンターもらうし。フルボッコ状態である。奇策を使っても写輪眼で読まれるし。きつすぎる…
夕顔には剣術を教えてもらっているが…この人が一番厳しい。特注の70kgもある竹刀をもたされ基本の動きとかをやらされている。重くて振り遅れたり、重さで体を持っていかれそうになったりするのだが…それをやると竹刀を持ったままスクワットを100回やらされる上にその修行をまた最初からやらされるのだ。しかも終わるまで帰らせてくれない。何回か日をまたいでしまったこともある。その時夕顔が嬉しそうにしていたのはきっと気のせいだ。辛すぎる…
一ヶ月の間には引越しみたいなこともあった。日向家から奈良家に俺の住む場所が変わったのだ。引越しの時は日向のみんなが残念そうにしていた。それを見た俺は嬉しかった。俺のことを慕ってくれていた事が強く実感できたから。ヒナタはというと…目に涙を浮かべながら見送ってくれた。そのまま行くのもあれだと思い、たまには遊びに来ると言って俺はシカクとシカマルと共に奈良家に向かっていった。
奈良家での生活は凄く過ごしやすいものだ。別に日向家が過ごしにくかった訳じゃないけど奈良家はかなり過ごしやすい。みんながみんな自然に接してくれるのだ。まるで俺がずっとここにいたかのように自然で吃驚した。とても落ち着く。シカマルとはよく話している。まあすごく他愛のない話をしてるだけなんだけどね。シカマルの母、ヨシノも凄くいい人だ。いつもボロボロになって帰って来てる俺をいつもお風呂まで運んでくれたり寝床まで運んでくれたりしている。すごく助かる。久しぶりに母の愛情みたいなものを感じた。すごく心が暖かくなる…懐かしい感覚だった。
そんなこんなで今俺は人気のない野原で寝っ転がっている。別に修行をサボったわけじゃないよ? 今日はたまたま俺を担当してくれている四人が任務が伸びたり今日から任務だったりして修行が休みになったのだ。休みになったからシカマルと遊ぼうかなと思ったら今日はシカマルが修行だったらしい…ちょっと残念だった。
ここに来て二時間ぐらいゴロゴロして過ごしている。ここ最近そんなことしてる暇なんてなかったしね。たまにはこういうのもいいな。そんなことを考えていたのに…急にどこかからの視線を感じた。なんか最近受けたことのある視線だな…
「そこの君、そんなところで何してるんだい?」
「何って、寝っ転がってるだけだけど…」
声が掛かったので質問に答えながらそっちを見ると…
「そうなのか。ここは俺お気に入りの場所なんだ。悩みがある時などにきている。ここに居ると落ち着くからな。自己紹介が遅れたな、俺はうちはイタチだ…よろしくな」
「よろしく。俺はうずまきナルトだってばよ…」
イタチがいた。あれ、任務延長で今日はいないってじいちゃんから聞いてたのにな。なんでいるんだ? 表の顔だからばれてないけど。
「ナルト君か…なんだろう。君とは初対面なのになんだか初めて会った気がしない。不思議な感覚だ…俺達どこかで会ってないか?」
「そ、そそんなことないと思うってばよ!!」
こ、こいつ…いきなりなんてことを言ってきやがる。返事が怪しい感じになっちまったじゃんか。勘が鋭いのかなんだか分かんないけど…
「なんでそんなに焦ってるんだ? 心当たりでもあるんじゃないか?」
「別に…そんなのないってばよ…」
怪しまれた。くそう…ごまかすのが大変だよ。
「クククッ…」
「な、何笑ってるんだってばよ!!」
「ククク…いやなに。お前のそんな姿を見られるとは思ってなかったからな。“波狐”…」
なっ!?こ、こいつ…まさか…
「気づいてたのか。いったいいつからだってばよ?」
「お前に話しかけるちょっと前さ。いつもはこんな所に人なんて来ないし。確認のために写輪眼で見たら…チャクラが同じだったんでな…」
やっぱり最初からじゃねえか。こいつ…反応見て楽しんでたな。
「任務が長引いて今日は里に戻ってこれないんじゃなかったのか?」
「そうだったんだがな。残るのが一人で十分だったらしくてな…カカシさんだけが残ってやってるよ。それにしてもお前、普段はそんな喋り方するんだな。なんだか新鮮だよ」
「他の人にはばらさないでくれよな。この事知ってるのほんの一部の人だけなんだからな…」
一応釘は刺しておかないとな。あんまりばれるのは本当にまずいからな。
「分かっているさ。今の姿の時は“ナルト君”と呼ばせてもらうよ…」
「呼び捨てでいいって…俺の方が年下なんだし。俺が“イタチさん”って呼ばないといけない方だっての…」
まったく…一番面倒な奴に正体がばれた気がする。まあ約束は守ってくれる奴だとは思うけどな…
「分かった。では、そうしよう。そうだ、お前今暇だろ?」
「まあ、今日の修行がないしな。まさか修行するとか言わないよな…」
せっかくの休みが修行じゃいつもと変わんなくなるじゃんか。それはやだ…
「そんなんじゃないさ。俺ん家に来ないか?」
「えっ…でも…」
「俺が一緒に行くから大丈夫さ。それに…俺には弟がいるんだが…友達があんまりいなくてな…友達になってやってくれないか? 断るというなら修行にするが…」
こいつ…断れないようにしてきやがって。まあこいつがこう言ってるし。行くか…
「わかったってばよ。行くよ。後はイタチさんの弟と友達になればいいんだな…」
「そうだ。じゃあ行こう」
そう言うとイタチが歩き出したので俺はついていった…
いかがだったでしょうか。前半が長くなっちゃったかな・・・
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