ナルトに転生しちまった!?   作:みさごん

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~第十九話~

 アカデミーに入学して約一年が経った。アカデミーでの生活は一年目ということもあり座学中心で退屈だった。まあ、殆どシカマルと一緒に寝てたんだけどね。内容が小学生の内容だから正直聞かなくても分かるからなぁ。ちょっと起きてた時にさされて思わず答えそうになっちゃう。落ちこぼれを演じるってのも意外と大変だな…

 

 住んでいるところが秋道家に変わった。ここは今まで住んできた名家とは違い賑やかな一族だ。特に賑やかだったのが食事。なんでチョウジがあんなに食べるのかが分かった気がする。だって出てくる食事の量が半端じゃない。きっと一般家庭なら三、四人前の量ほどある料理が一人前として平然と出てくるのだ。しかも唐揚げとかコロッケなどの揚げ物が多い。俺は残すのは失礼だと思い毎日食べきっているが、太りそうなので密かに運動量を増やしたのは別の話だ…

 

 みんなの修行はまあまあ順調である。シカマル達の基礎班は一ヶ月ほどで水面歩行の行をクリアし、今はアカデミーで習う基礎忍術と最大チャクラ量を増やす修行を続けている。みんな覚えが早くいい感じだと思う。サスケ達のうちは班はイタチ、シスイにも協力してもらい火遁忍術の習得を行ったり手裏剣術の向上を行ったりしている。サスケは豪火球が使えるようになり、ナズナは鳳仙花が使えるようになった。飲み込みが早くて驚いた。こいつら本当に天才と言われるだけはある。

 

 今俺はイタチと一緒にフガクから話を聞いている。フガクにはもうクーデターを起こす気がないらしいのだが他が止まらないらしい。それで明日会合があるらしい。フガクは出席するそうだがイタチは明日任務があるそうだ。やっぱりトップだけ止めても駄目だったか…俺一人じゃ厳しいかも。あれ? イタチが任務で会合に出られないってことは明日シスイがダンゾウに襲撃される日か。なんとか止めなきゃな…最悪明日アカデミー休んででもね。

 

「ナルト、明日お前はどうするんだ?」

 

 イタチに聞かれた。どうしようかな…

 

「うーん、念のためにアカデミーには影分身に行かせてうちは地区にいようかな。波狐の姿で怪しい動きがないか見てまわろうかな。もしかしたら動いているのはうちはだけじゃないかもしれないし」

 

「うちはだけじゃないというと?」

 

「暗部の“根”が黙って見てるとも思えないからさ。あいつらは正直何をしてくるか分からない。むしろ俺はそっちの方が怖いってばよ」

 

 木の葉のためとか言ってるけどあいつらが行動してプラスになったことなんて殆ど無かった気がする。

 

「ふむ、だがもしその“根”の者がいたとして一人で対処出来るのかい?」

 

「複数いたらきついですかね。一応相手は暗部なので。そこらへんの対策は考えてありますが…その為の協力要請をしなければなりません。ですから今から協力要請をしに行きたいと思います」

 

 目星はつけてあるから大丈夫だ。

 

「分かった。じゃあ見回りは頼んだぞ。ナルト君」

 

「はい。では、協力要請に行ってきます」

 

「うむ、いってらっしゃい」

 

「あ、そうだ。何か重大な問題が起きた時には何かしらの方法で連絡しますので、その時はお願いしますね」

 

「了解した」

 

「では、失礼します」

 

 そう言って俺はうちは家を後にした。あの人に頼もう。後でなんか見返り要求されるかもしれないけど…それで済むなら安いもんかな。とりあえず早く頼んじゃって明日に備えなきゃな。

 

 翌日、俺は怪しい気配がないか探しているといつもと違う気配を僅かに感じた。流石に気配を隠すのがうまいけど相手が子供だからって一瞬気を抜いたのが残念だね。まあそのおかげで追尾することに成功してるから何も言わないでおくよ。

 

 しばらく追いかけていると追いかけていた奴がダンゾウと合流した。そろそろなのかな? そうだとしたらより一層気合入れなきゃな。シスイにはマーキングもつけてあるし、あの人にも直ぐに連絡取れるようにしてあるし、フガクにもすぐ連絡を出来るようにしてある。後は冷静に対処出来ればうまくいくはず。

 

 ダンゾウを追尾し始めてから少し経つとそこにはシスイがいた。こいつらが攻撃したら割って入ろう…って思ってるそばから!!

 

「何をしてるんですか? あんた達は。あんた達が攻撃したのは同じ木の葉の仲間ですよ?」

 

 俺は飛雷神を使いシスイと攻撃の間に割り込み攻撃を止めながら言った。

 

「な、何者だ貴様!?」

 

「お、お前…」

 

「俺は火影直轄の暗部だが」

 

 そう言いながら俺は空に向かって煙玉付きクナイを投げた。煙玉は空中で爆発した。これで連絡するための影分身に合図は送れた。後はみんなが来るまで時間を稼ぐだけ。そんなことを考えていると…

 

「(サンキュー、助かったぜナルト)」

 

 シスイから小声でお礼を言われた。でもナルトって呼ぶなよ!!

 

「(いえいえ…っていうか今の姿の時にナルトって呼ばないで。ばれるのはまずいから)」

 

「(そうだったな。悪かった、波狐。)」

 

「(まあ、いいよ。とりあえず気を引き締めて。戦闘になる可能性が高いからね)」

 

「(分かった。)」

 

 シスイと小声で会話をしているとダンゾウから声が掛かった。

 

「何故このようなところに火影直轄の暗部がおるのだ。普通じゃ考えられんぞ?」

 

「それはこちらのセリフですよ。何故あなたのようなお方がこのようなところにいるのですか? 暗部養成部門“根”のリーダーであるダンゾウ様ともあろう人が。何故木の葉の忍びに手を出そうとしているのですか?」

 

「ふん。儂のことを知っているようだが貴様に答えてやる必要はない。儂にはやらなければならぬことがあるのだ。そこをどけ!!」

 

「あなたがやらなければならないことが後ろの者の暗殺とでも言うのなら退くわけには行きませんね。火影様がそんな命令するわけありませんし。いくらあなたとはいえ勝手な行動は許されませんよ」

 

 会話でいい感じに時間が稼げている。もう連絡は出来ている頃だろう…ここまで来たら絶対に失敗はしないようにしなければ。

 

「邪魔をするというならお前も殺していくだけだ!!」

 

「穏やかじゃありませんね。出来ればおとなしく引き下がって貰いたかったんですがそうもいかないようですね」

 

「行け!!カイ! カズ!」

 

「「はっ!!」」

 

 ダンゾウの命令でダンゾウの部下が突っ込んできた。全く本当に強引なやつめ!!

 

「影分身の術!!」

 

 影分身を二人作り出し突っ込ませる。どんな忍術使ってくるかわからないしな。

 

「悠長に様子見か。そんな分身すぐに消してやる!!」

 

「我々も甘く見られたものだな。油断したことを後悔させてやろう」

 

 あんたらこそ油断してるんじゃ…まあいいやそっちの方がやりやすいし。

 

「火遁 炎弾!!」

 

「土遁 土石流!!」

 

 血継限界や秘伝忍術の使い手ではなさそうだな。なら対処しやすい。

 

「水遁 鉄砲玉!!」

 

「雷遁 地走り!!」

 

 影分身が有利な性質の術を発動した。それは相手の忍術をかき消して飛んでいった。

 

「何!?」

 

「っちい!!」

 

 相手は飛び退きながら回避した。隙だらけだな。本当に暗部なのか? それとも俺の周りにいた人が強すぎただけなのか? まあいいや、気にしてても仕方がない。俺は回避した方向にマーキングをつけたクナイを投げた。

 

「その程度喰らうかよ!!」

 

「ふっ、ここでクナイとは本当に舐めてくれる!!」

 

 クナイってことで油断しまくってるな…チェックメイトだ。影分身が飛雷神で二人の暗部に近づき…

 

「うらぁ!!」

 

「てりゃあ!!」

 

 おもいっきりぶん殴った。

 

「ぐお!?」

 

「がはっ!?」

 

 二人の暗部は意識の外から殴られたからどうか分からないが直ぐに気絶した。

 

「二人共気絶しちゃいましたがどうします? まだやりますか?」

 

 どうせやるんだろけどさ…

 

「少しはやるようだな…儂自らが相手になってやろう。シスイの目を奪わなければいけんのだ!!必ずな」

 

 ついに尻尾を出したな。ってこれ以上やらなくても大丈夫そうかな。

 

「誰の目を取ると言いましたか? ダンゾウ様」

 

 どこからか声が聞こえてきた。まあ原作でも現場に来てたからな。

 

「貴様はイタチ!?」

 

「何をするつもりなのか教えてもらいましょうか? ダンゾウ殿?」

 

「き、貴様らは会合をしてたはずでは…」

 

「そこにいる暗部の方が知らせてくれたんですよ。シスイが襲われているとね」

 

 ちゃんと来てくれたんだ、フガク。みんなも連れてきてくれてるな。

 

「私にも聞かせてくれないかしら? 火影様にお伝えしたいんだけど」

 

 来てくれた…実はちょっと不安だったんだけど。よかった。

 

「貴様は夕顔!?何故こんなところに…」

 

「可愛い後輩に頼まれたしね。まあ後でなんかお返しはしてもらうつもりだけど」

 

 ハハハ…まあしょうがないか…

 

「儂にも聞かせてもらおうか。ダンゾウよ」

 

 え!?あなたを呼んだ覚えはないんだけどな…なんで来てるんだ?

 

「ヒルゼン!?お前まで…」

 

「私がお呼びしたのよ。あなたほどの人が動いてるんだもの。その方がいいと思ってね」

 

 やるなぁ、夕顔。これならいけるはず。あれ、夕顔がウインクしてきてる。見返り多くしてくれとかそんなところかな…まあ、じいちゃん呼んでくれたし、そのぐらいするよ。

 

「ダンゾウよ。シスイの目なぞ奪って何をするつもりだったのじゃ?」

 

「ここまでされては話すしかあるまい。儂はシスイを信用出来なかった。じゃから儂がその目を有効活用してやろうと思ってな。木の葉のためにな」

 

 こいつ…原作よりクズだ。すげぇ腹立つ…

 

「木の葉のために使う? それはわざわざ木の葉の仲間に手をかけなければ出来ないことなのか? そんなわけがない!!みんなを信用すればそんなことをする必要はない!!そういう自分しか信じないというやり方しかしないからこういう事をするんだ!!」

 

「ふん。クーデターを企てるような一族を信用出来るわけなかろう」

 

「ふざけるな!!あんたはこの人達とちゃんと面と向かって話し合ったのか? 九尾事件の事で勝手に危険だと決めつけ、隔離し監視をつけたのはどいつだ!!じいちゃんがそんなことするわけがない!!貴様が進言したんだろう。まあ賛同したのは貴様だけじゃないんだろうが、自分から信用を無くしたくせに信用出来ないなんて身勝手にも程がある!!そんな事をするからクーデターなんてしなくてもいいことをさせようとしてしまっているんだ!!」

 

「では、なんだ? 話し合えば解決出来るとでもいうのか?」

 

「出来るさ!!出来ないと決めつけてるあんたには無理かもしれないけどな!!」

 

「面をつけてる貴様が言っても説得力もないわ!!」

 

「じゃあ、しかと見ておけ俺の顔をな…」

 

 俺は変化を解き面を外した…その顔を見てダンゾウの顔が驚きのものに変わった。

 

「俺の名はうずまきナルトだ!!覚えておけ!!」

 

 周りで見ていた俺の素顔を知らない人も驚いている。だけど今の俺にはそんなこと関係ない!!

 

「なぜ貴様が…」

 

「あんた今何故九尾の人柱力がとか思っているだろう!!でもな!!そんなの関係ないんだよ!!俺の真実を知ってもちゃんと話し合い向かい合えば分かり合えるんだ!!それは九尾だって例外じゃない!!俺は事実九尾と分かり合えた!!だからうちはと木の葉だってちゃんと面と向かって話せば分かり合えるんだ!!クーデターなんて起きないんだ!!」

 

「九尾と和解だと? 白々しい嘘をつくでない!!」

 

 そう言うと思ったよ。九喇嘛。頼めるか?

 

『任せろ。体を借りるぞナルト』

 

 おう!!

 

「こいつの言っている事は嘘ではない。事実だ」

 

「な!?これは正しく九尾の声!?」

 

「当たり前だ。今はナルトに体を借りて話している。儂はこいつの中から全部見てきたがこいつは本当に話すことで理解し合ってきている。この儂も含めてな。そして徐々にだが里の中にもこいつを認めてくれているやつも出てきた。勝手に危険視してるのはお前の方だということだ」

 

「いつ暴走するかもわからんのに危険視せんほうがおかしいじゃろ」

 

「ふん。だからそれが間違いだと言っているのだ。事件だってそうだ。こやつら木の葉にいるうちはの者は全くと言っていいほど関与はしておらん。儂を操ったのは亡霊ともいえよううちはマダラだ。確かに同じうちはの者がやったがそれは事実であって真実ではない。お前が勝手に決めつけるから今のような事態が起きてしまったのだ。それを理解するのだな」

 

「な…」

 

 するとじいちゃんが話始めた。

 

「うちはのみな、すまなかった。儂がしっかりしておけばこのように隔離する必要なんてなかったのにしてしまった。本当にすまない。こんなことで償えるとは思えないが今日をもって監視なぞやめて隔離もやめる。自由なところに住み自由に暮らして欲しい。その予算は里が負担しよう」

 

「火影様、私フガクはそこまでしていただけるならもうクーデターなぞする気はないです。みなはどうだ?」

 

「まあそこまで言われちゃあな」

 

「ああ、もうクーデターなんてしないさ」

 

 九喇嘛体返してくれるか?

 

『ああ、分かった』

 

「ほら、きちんと話し合えばそんな強引な方法なんて使わなくたって解決出来るんだ。もうクーデターは収まった。あんたの手法より断然穏やかで安全で最適な方法だ。力による硬派のやり方は歪を生みやすい。話し合いでお互いがお互いを理解出来るように勤めればいいんだ!!」

 

「くっ…」

 

「ダンゾウよ。お前が里のために動いてくれているのは分かっておる。じゃが今回はやりすぎじゃ。木の葉の仲間にまで手を出すことはいくら木の葉のためだといってもだめじゃ。少しばかり頭を冷やせ。火影としてお前を“根”のリーダーから解任する。一忍びとしていろいろ見つめ直せの」

 

「っち…承知した…」

 

 これで解決かな…ふう、感情的になっちゃったけど大丈夫だよね。すごい疲れた。

 

「ナルト君」

 

 フガクから声を掛けられた。

 

「君のおかげで里と分かり合うことが出来た。一族を代表して礼を言わせてくれ。ありがとう」

 

 フガクがそう言うとうちはの人々からも礼を言われた…俺一人の力じゃないんだけどな。

 

「いえいえ、俺一人じゃ何も出来ませんでしたし。みんなのおかげです。九喇嘛も協力してくれましたしね。なんにせよわだかまりがなくなってよかったです」

 

「ナルト、俺からも礼を言わせてくれ。お前のおかげで俺の目は奪われずに済んだ。ありがとう」

 

「友達が危険な目にあってたんです。助けるのは当然でしょ」

 

「そうだな。ナルト、これからもよろしくな!!」

 

「ナルトよ…」

 

 今度はじいちゃんから話しかけられた。

 

「お前のおかげで大きな事件が起きずに事前に防ぐことが出来た。礼をいう」

 

「じいちゃんが来てくれたからだよ。じいちゃんがいなかったらこんなにスムーズには行かなかったと思うってばよ」

 

「それも、お前が行動を起こしてくれなければ出来なかったことじゃ。助かったわい」

 

「へへへ…」

 

「もう時間も遅い。儂がお前を送ってやろう。今日はもう休むといい」

 

「わかったってばよ」

 

 こうして無事うちは事件を防ぐことに成功した。次の日にうちは地区の廃止が里中に伝えられ里のあちらこちらでうちはの人々が見られるようになった…




いかがだったでしょうか。夢中で書いてたら今までで一番長くなってしまった。
感想、批評などよろしくお願いします。

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