俺が下忍になって約二週間が経った。Dランク任務をこなしているが正直退屈である。なんだよ畑仕事の手伝いとか雑草むしりとか…忍者は何でも屋なのか? こんなこと忍者がやらなくてもいいのに…はあ。さらにはカカシが毎回遅刻してくるためストレスが溜まる。なので、最近はカカシが来る前に任務を行い勝手に報告して次々と任務をこなしている。最初はじいちゃんも渋い顔をしながら任務を言い渡してたけど、何回か繰り返しているとこっちの方が任務が終わるのが早いので普通に任務を言い渡すようになった。なので一日に二、三個の任務をやることも少なくなくなった。まあ、退屈なのは変わらないんだけど。カカシはというと集合場所に行っても俺たちがいないことが多くなりため息をついていた。最近は大体一個目の任務の任務報告の時に合流している。よくこんなんでクビにされないよな…まあ、今までかなりの功績を残してるからなのかな。まあいいや。
そんなこんなで今日も一個目の任務報告中である。猫を捕まえる簡単な任務だった。
「あー!!私の可愛いトラちゃん。凄く心配したのよ!!」
「ニャー!!ニャアアアア!!」
依頼主の火影婦人マダムであるシジミが俺達が捕まえてきた猫のトラに頬ずりをしている…トラはめちゃくちゃ嫌がって凄い鳴き声をあげている。あれじゃあ逃げたくなるのも分かる。
「ねえ。ナルト、サスケ君。あれって…」
「まあ、しょうがないってばよ…」
「ああ、任務だったんだからな…」
俺を含め、全員がトラに同情するような視線を送っていた。シジミは気にする様子もなく依頼金を支払って行ってしまった。トラたくましく生きていけ。
「さて、第七班の次の任務は…むう。もうお主達のやるDランク任務がないのう…どうするかの」
原作だとここで俺がごねてCランク任務でタズナの護衛任務に就くことになるんだっけ。
「火影様、こいつらは俺がいなくてもDランク任務だと簡単にこなしてしまいます。かなり優秀だと思うのでそろそろCランク任務をやらせても大丈夫だと思いますよ」
お、カカシもたまにはいいことするね。本当にたまにだけど。
「ふむ、そうじゃな。Cランク任務をやってもらおうかの。ある人物の護衛だ」
ついに来たか。白や再不斬と戦うのか。うまく殺さずにやってみたいけど、そんなにうまく行くかな。
「誰の護衛ですか? お姫様とかだったりして!?」
「ま、それはないでしょ。まだお前らは下忍だしな」
「なんだぁ…じゃあどんな人の護衛なのかしら?」
サクラは何を期待してたんだろうな…
「今から紹介する。入ってきていただけますかな」
じいちゃんがそう言うと扉の開く音がしたのでそっちの方を向くと…
「なんだぁ!!超ガキばっかじゃねえか!!」
酒を飲みながらひげを生やしたじいさんが入ってきた。顔も赤い。結構飲んでるな。
「特に一番ちっこいあほ面!!お前本当に忍者か?」
「い、一番小さい…俺のことか…結構気にしてるのに…」
サクラより小さいんだもん…小さい頃に鍛えすぎたのかな。はあ、身長伸びて欲しい。
「大丈夫よ、あんたの身長も伸びるわよ。多分ね…」
慰めないでくれ…余計に惨めに見える…
「儂は橋作りの超名人。タズナというものじゃ。儂が国に帰って橋が完成するまでの間、命をかけて超護衛してもらう」
「長期の任務となるじゃろう。一度自宅に戻り支度をして来い。一時間後に門のところに集合じゃ。それまで解散とする」
そうして各々、準備をしに家に帰っていった。さてリュックにいろいろ詰めないとな。忍具一式に非常食に調味料…
準備が整ったので門に行くとみんなちょうど着いたところだったようだ。流石のカカシも時間通りに来ている。まあ、嫌味の一つでも言っておくかな。
「あ、カカシ先生が時間通りに来てるってばよ!!雪でも降るのか!?」
「あ、本当だ。珍しいこともあるものね」
「いつもこうだと助かるんだがな」
「お前達…俺の事をなんだと思ってるのよ。(ナルトのセリフどこかで言われたことあるような…誰に言われたんだっけか…)」
「「「遅刻先生!!」」」
「…そうか。よく分かったよ…じゃあ出発するぞ」
そうして木の葉を出発した。サクラは里の外が初めてなのか少し興奮気味だ。サスケも分りにくいけどテンションが上がっているようだ。まあ初めてのことってワクワクするのは分かるけどね。
「ねえ、タズナさん。タズナさんの国って波の国でしょ?」
「そうじゃ。それがどうかしたのか?」
「カカシ先生。波の国に忍者っているの?」
「いや、波の国には忍者はいない。だが、大抵の国には隠れ里が存在し忍者がいる。大陸に…」
カカシ先生が他の国や里の長について話始めた。まあ俺は知ってるから聞き流しておこう。じいちゃんは実際あの歳なのにかなり強いからな。現役時代はもっと凄かったんだろうな。にしてもさっきから若干気配を感じるけど水溜りに変化するあほなやつらかな。殺気漏れてて普通に場所わかるんだけど。まあいいか。今は手を出してきそうじゃないし。そんなことを考えていると…
「へー、火影様って凄いんだ!!」
「おい、お前ら今火影様疑ったろ。ナルトは違うみたいだな」
「まあな。俺の目指す人達が凄くなきゃおかしいってばよ!!里一番の忍者なんだしな。火影ってやつは!!」
まあ父ちゃんも火影だし、実力を疑ったりはしないって。
「ま、安心しろ。Cランクの任務で他国の忍者と戦うようなことはない」
「じゃあ他国の忍者との戦闘の心配はないんだ」
「もちろんだ」
俺はこっそりタズナの顔を見た。気まずそうな顔してんな…まあ実際、忍者に狙われてるわけだしね。カカシは横目で見てるな。サスケも顔を見ていたみたいで俺に視線を送ってきた。なので俺は頷き二人で警戒を強めた。
そうしてしばらく歩いていると水溜りを発見した。本当に馬鹿だよな。なんで数日間も雨降ってないのに水溜りなんかに変化してんだろ。サスケの方を見るとサスケも呆れた顔をしている。どうやらサスケも気づいたみたいだな。ここはちょっとふざけてみるか。
「うわっと!!」
水溜りの手前でわざと転んだ。そうすると俺のリュックから赤い液体の入った瓶が飛び出て水溜りに入った。瓶の蓋が外れ水溜りに赤い液体が流れ出した。よし、成功したみたいだな。
「もう、なにやってんのよナルト!!」
「ごめんごめん、ちょっと靴踏んじゃって」
もちろん嘘だ。適当に転んだだけである。
「なんかリュックから飛び出て溢れてるわよ」
「ああ、俺の特製超激辛ハバネロソースが…」
そう、中身はこのためだけに作ったハバネロソースだ。これで面白いことにならないかな。サスケは俺の狙いが分かったのか少し顔が引きつっている。
「ちょっとあんた!!なんでそんなもん持ってきてるのよ!!」
「え、それはカカシ先生にいたずらでもしようかと思って…」
「お前な…俺になんか恨みでもあるのか?」
「そりゃあ、毎回任務に遅刻されれば恨みの一つや二つ持たれてもしょうがないんじゃないの」
「ハハハ…はあ」
カカシがため息をついた。まあ恨んでるのは事実だけどそんなことしないって。これ以上酷くならなければね。さりげなく水溜りの方を見ると少し水面が揺れている。風もないのに。効果てきめんだったみたいだな。そうして少し進んで行くと背後か気配がしたのでそっちの方を見ると…
「う、うおぉぉぉお!!痛い!!痛い!!」
「目が、目があぁぁああ!!」
目を抑えながら悶絶している。涙も溢れている。その姿は実に面白く見えた。
「アハハハ!!」
俺は腹を抱えて笑っている。
「ったく…ナルトのやつ遊びやがって」
サスケがなんか愚痴っているが気にしない。
「え、えぇ!?」
サクラは何が起きてるのかよく分かっていないらしくおどおどしている。
「やれやれ…」
カカシは頭を抑えてため息をついている。
「なんじゃあ!!超吃驚したぞ!!」
タズナはなんか騒いでいるけど気にしない。
「…とりあえず縛り上げるぞ」
そう言ってカカシが二人を木に縛り付けた。
「何故我々がいると分かった?」
なんか聞いてきた。そんなの少し考えればわかるじゃん。
「数日雨も降ってないのに水溜りなんか出来るわけないってばよ。さて、次はこっちが聞く番だってばよ」
そして尋問が始まった。
「さて、何が目的なんだってばよ」
「貴様らに話すつもりはない!!」
うーん、強がってはいるけど目真っ赤で格好ついてないな。
「ふーん、じゃあいいや。無理矢理聞くから」
「ナルト、何するつもりなんだ?」
カカシが聞いてきたが先にやってしまおう。
「幻術 地獄釜!!」
二人に幻術をかけた。こういう時って幻術便利だよね。
「お前幻術なんて使えたのか。お前は本当にアカデミーでドべだったやつか?」
「修行しただけだってばよ。さて、じゃあもう一回聞くってばよ。何をするつもりだったんだってばよ?」
「タズナの暗殺…」
「「!?」」
聞き出すことに成功した。タズナとサクラが驚いている。放っておこう。あとはカカシに任せようかな。
「タズナさん。私はあなたに一つ聞かなければいけないことが出来ました」
そう言ってカカシはタズナに問い始めた…
いかがだったでしょうか。もうすぐ再不斬との戦闘ですね。
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