今日は木の葉に帰る日、つまり橋が完成したのだ。長かった…暗部の任務でもここまで長期の任務についたことはなかったからいい経験になったと思う。しばらくはやりたくないけどね…
修行の成果はいい感じになっている。多由也とサクラはそれぞれの性質変化の第一段階の修行を終えて第二段階の三分の一のところまできている。ナズナには必殺技として螺旋丸を教えていたのだけど第二段階をクリアし第三段階の留める段階まできている。サスケは遠距離型の雷遁の術を習得し、千鳥の修行に入ることができた。千鳥覚えるにはあと三週間くらいかかるのかな…でも原作だと性質変化の修行を含めて一ヶ月でやってたしあと二週間ぐらいでできるかも。白は体術がサスケやナズナに少し劣るぐらいになり、ついでに水遁忍術、風遁忍術を一つずつ覚えた。白はやっぱり覚えが早い。これが才能というやつなのか再不斬と鍛えてたおかげなのかはわからないけどすごい奴だ。
俺の修行は終わらせることができなかった。流れる水を凍らせるのがここまで難しいとは思わなかった。半分ぐらい凍らせても流れで融かされる速度に負けてしまっている…もっと体内にチャクラを留めないと駄目なのかな。白に聞いてみたいけど目の前で術を使って驚かせてみたいから聞かないでいるのだ。どうしても駄目そうなら聞くけどね。
俺が開いていたお料理教室的なことはずっと続けていた。途中から白が加わり、後半にはツナミまで見にくるようになって…なんだか変な感じだった。くノ一や主婦に料理教える男の忍者…傍から見ると訳わかんない忍者だな…まあいいや。
イナリはどうなったかというと原作ほどすぐにではないがだんだん明るくなっていった。最初のうちはガトーを倒したことを信じてなかったようだけど街の様子や近所の人々が変わっていくのを見たり俺やカカシの言葉を聞き明るさを取り戻してくれた。ここが一番心配だったんだけどなんとかなってよかった…
今はできたばかりの橋を渡って木の葉に向かうところに町民総出で見送りに来てくれている。こうやって間近で見ると壮観だな…
「お前さん達のおかげで橋は完成したが…超寂しくなるの…」
「お元気でね」
タズナとツナミが声を掛けてきた。まあ寂しくなるのは確かだな…一人暮らしになってからこんなに大人数で過ごすことなんてアカデミー以外ではなかったし…
「お世話になりました」
「俺達も途中からですがすっかりお世話になっちゃって…ありがとうございました」
カカシとシスイが挨拶をしている。本当にあんた達上忍なのになにも家のこと手伝わないんだもんな…帰ったらなんか奢ってもらおうかな。
「まあ、長期の休暇とかが取れればまた来るってばよ」
「…絶対か?」
イナリが泣きそうになりながら聞いてくる。
「おう!!絶対だ。約束だってばよ!!」
「そんなこと言っちゃって…大丈夫なの? ちゃんと来てあげるのよ?」
サクラがなんか忠告してきた。別に問題ないと思うんだけどな。
「もちろんだってばよ!!じゃ、またなイナリ!!」
そう言って俺達は歩き出した。背後からイナリが泣いてる声が聞こえてくる。俺は泣かないよ。原作のナルトじゃあるまいし…さみしいのは確かなんだけどね。
「さて、里に帰ったらなにすっかな…」
「ナルト君、もしなにも予定がないなら里を案内してもらえませんか? 全然里のことわからないので」
「いいけど…俺と一緒だと危ないかもしれないぜ? 俺ってば里のみんなに嫌われてるし…」
石とか投げられるかもしれないからな。名家でお世話になってからはだいぶ少なくなったんだけど…今でもたまに投げてくる奴は投げてくるからな。陰口は絶えないしね。
「そういえばなんでナルトは里のみんなにあんなに嫌われてるの? なんかやらかしたことでもあんの?」
「うちもずっと気になってたんだ。なんでなんだ?」
サクラと多由也が聞いてきた。それを聞いた俺の事情を知っている人達の雰囲気が少し変わった。怒りや悲しみが混ざったような感じだ…俺はもう慣れちゃったから雰囲気変わるようなことはないんだけどね。まあ話しておいた方がいいか…
「そうだな…ただいうだけじゃあれだしクイズ形式にでもしよう。第一問、十二年前の十月十日になにがあった?」
「簡単じゃないそんなの。九尾が里を襲ったんでしょ。それで四代目火影様が封印したって、アカデミーの歴史の授業で習ったわよ!!」
「じゃあ、第二問。俺の誕生日はいつ?」
「…十月十日だろ。前に教えてもらったし…あっ!!」
多由也はなにか気づいたみたいだな。サクラはまだ首をかしげてるな。次の問題にいくか。
「第三問、俺は何歳だ?」
「同期なんだから十二歳でしょ。これがなんなのよ」
ここまできてわからんか…頭いいのに回転が悪いのかなんなのか…
「じゃあさっきの三問の答えを照らし合わせると…九尾事件が起きたのは十二年前の十月十日、俺が生まれたのは今十二歳だから十二年前の十月十日。つまり同日に起きている出来事なんだ」
「それがあんたの嫌われてる理由とどう繋がるのよ!!」
なんかサクラがイライラしてるみたいだけど少し頭ひねればわかると思うんだけどな…ここまでヒント出してるわけだし…はあ…
「さっきサクラは九尾は封印されたって言ったけどどこに封印されたと思う?」
「わからないわよ!!そんなの…」
俺は少し目を閉じ精神を集中させた。
「(九喇嘛、少し嫌な話するけどごめんな)」
『いちいち謝らんでもお前の気持ちはわかっている…そこまで気にするな』
「(ありがとだってばよ。九喇嘛)」
俺はサクラの方を向きながら自分の腹を指差した。
「ここ…俺に封印されてるんだよ九尾は…生まれたばかりの俺に封印されたんだ。それが俺の嫌われてる理由だ。九尾は里の人達の大切なものをたくさん奪った。そして俺のことを九尾だと思う人も少なくないんだ…だから里の人は俺を憎んだり嫌ったりしてるんだ」
「…そうだったのね…」
サクラが悲しい顔をしてこちらを見ている…多由也の方を見ると多由也は怒りの方が勝って複雑な表情をしている。まあこんな雰囲気になるのはわかってたんだけどね。
「それでも今は第七班のみんなや俺を認めてくれる人も結構増えてきてるんだってばよ。だからいいんだ。少しずつでいいから俺のことを認めてくれる人を増やすんだ。それが今の俺の目標なんだ!!」
俺は笑顔でそう言った。いつまでもこんな暗い雰囲気は嫌だからね。
「…そう」
サクラの表情が微笑んでいるように変わった。他のみんなを見てみると上忍二人はサクラと同じような表情をしている。サスケは特に表情には出してないが雰囲気が少し柔らかくなったような感じだ。十一班のくノ一達はなんか顔が赤くなってるけど…なんなんだろう…まあ気にしないでおこう。
「そういえばなんで四代目様はナルトに封印したのかしらね?」
サクラが不意につぶやいていた。まあそりゃ気になるわな。
「ああ、それは俺が四代目の息子だからね。他人の子供になんかこんなことできないでしょ」
「ええ!?」
「な!?」
「…!?」
なんかすごい驚かれた。サクラと多由也は声を出して驚愕の表情をうかべ白は無言で目を見開いている。少し冷静に考えれば驚くか。火影の息子だって宣言したんだし。
「…ナルト。お前それ言ってよかったの?」
カカシが呆れたように聞いてきた。なんで呆れてるんだ?
「いいと思うよ。俺はみんなを信じてるし。まあ、言いふらさないでとだけ言っておくよ。結構な機密事項だからね」
俺はそう言って先頭にでて歩き出した。もうすぐ里につくところまできてるみたいだ。
「里まで競争しようってばよ!!一番遅かった人がラーメンおごりね!!もちろん、先生はハンデありで五秒後スタートな!!」
そう言うとみんな表情が変わり楽しそうな雰囲気になった。カカシだけは顔引きつってたが…
「じゃあスタート!!」
そうしてみんなで里に向かっていった。ビリになり財布の中身が軽くなったのがカカシだというのは別の話だ…
波の国編終了しました。次はどうなるかはお楽しみで。
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