ナルトに転生しちまった!?   作:みさごん

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~第四十六話~

 俺は今、飛雷神で雪絵こと小雪と共にカカシのところに飛んできたんだけど…カカシがパイプ椅子に座ってゆっくりしているのが見える。周りにはサクラとサスケそれに映画関係者と見られる人もいる。とりあえずなんで俺のところにこないのか小一時間ぐらい問い詰めたいんだけど。そんなことを考えていると…

 

「ゆ、雪絵様!?いつの間にここに…いやそんなことより…」

 

「雪の国になら行くわ」

 

「そ、そうですか。よかった…」

 

 三太夫が安心したような声をだしているがそんなことより…

 

「なあ、サスケとサクラ。俺はカカシ先生呼んできてって言ったんだけど…なんでここでゆっくりしてるの?」

 

「私達は行こうって何回も言ったんだけど…」

 

「カカシは、“あいつなら大丈夫でしょ”とか言って一向に動こうとしなかったから仕方なく諦めた」

 

 ふーん…カカシあんたに制裁をくださないとねえ…

 

「カカシ先生? 仕事を部下に丸投げしてくつろいでるとはいい御身分だね?」

 

 俺は指の骨を鳴らしながら言った。

 

「ナ、ナルト。俺はお前ならできると信じてだな…」

 

「言い訳は見苦しいってばよ…覚悟を決めろってばよ」

 

「ま、待て!!話せば分かる!!(やばい!!クシナさんと同じような化身がナルトの背後に見える。親子だけどそこまで似るとは…とにかくあの状態の拳を喰らうのはまずい!!)」

 

「問答無用だってばよ!!」

 

 そう言って一歩踏み出そうとした時、体に異変を感じた。なぜか足元がおぼつかなくふらついたのだ。だんだん頭も重くなってきた…

 

「ん?」

 

 カカシが焦った顔から不思議そうな顔に変わった。この体の状態はまさか…怒りで頭に血が昇ったせいで酔いがまわったのか!?理性は残ってるみたいだけど…体が駄目みたいだ。くそ…こんな時に…

 

「くっそ…上手く進めない…」

 

「ねえ、ナルト。今になって酔ってきたのね。」

 

「ち、ちが…」

 

「その状態でごまかそうとしても駄目よ。誰がどう見ても酔っ払ってるじゃない」

 

 小雪に笑いながら言われた。梅酒二杯しか飲んでないのに…やっぱりこの体は全然酒に対する耐性がなかったか…

 

「え!?ナルト、酒飲んだの?」

 

 カカシが驚いたように聞いてくる。

 

「Barに入ってお酒頼まないなんて不審すぎる…だから違和感ないように頼んだんだってばよ。カカシ先生がこないからこんなんになるまで飲む羽目になったんじゃねえか…」

 

「…ちなみにどれくらい?」

 

「梅酒二杯よね、ナルト」

 

「そうだってばよ」

 

「ハハハ…悪かったな、ナルト」

 

 謝ってきているが許す気はない。

 

「酔いが覚めたら覚えてろってばよ」

 

 俺はそう言ってその場に座った。カカシの顔が引きつっている。あんたが悪いんだから当然の制裁だっての。

 

「…カカシ先生。そろそろ任務の内容教えてくんねえか?」

 

「…わかった、今回の任務内容はお前が連れてきた富士風雪絵さんの護衛だ。一応Aランク任務だから」

 

「なんで下忍の俺達にAランク任務なんだ?」

 

 異例中の異例だと思うんだけど…考えようとすると頭痛くなる。とっとと酔い覚めてくんねかな…

 

「三代目がこの任務は第七班にとのことだ。なぜだかはわからんがな」

 

「じいちゃんが?」

 

 なんで俺達にだったんだろう…雪の国になにかあんのかな?

 

「ま、最悪俺とお前がいるから大丈夫でしょ。まあとりあえず出発は明日になる。しっかり準備しておけよ」

 

 そうして解散となった。まあそのあとに映画監督との打ち合わせがあったので一時間ぐらいはその場にいたけど。その一時間の間に俺の酔いが覚め、カカシに怒りの鉄拳がくだったことは言うまでもない。

 

 翌日、俺は防寒具や忍具を準備し集合場所に向かった。とりあえず雪忍との戦闘は体術や忍具がメインの戦闘法になるので兵糧丸や忍具をいつもより多く持ってきている。酔ったせいでカカシに重要なことを伝えてないけどどうせこのあと知ることになるから変わらんだろう。それにしても船での移動か…船酔いしなければいいな。そんなことを考えていると…

 

「おはよう、ナルト」

 

「サクラか。おはよう」

 

「よう」

 

「サスケもきたのか」

 

「サスケ君!!おはよう」

 

 あっという間に第七班の下忍が全員揃った。後は担当上忍だけなんだが…

 

「カカシの奴今日は遅刻しねえよな…」

 

「したら依頼人に迷惑かかるからなー。まあ遅刻したらあの鉄拳をもう一発…」

 

「それは勘弁して欲しいな…あれ何回も喰らったら先生死んじゃうよ」

 

「っち…きちゃったか」

 

「舌打ち聞こえてるよ…ナルト…」

 

 わざと聞こえるようにやったんだもの。それが嫌ならもう遅刻しなければいい。

 

「じゃあ全員揃ったし船に向かうぞ」

 

 そうして船に向かっていった。

 

 船に乗るとそこまでの揺れはなかった。まあ全く揺れないわけじゃないんだけど。でもこれなら船酔いの心配はないかな。意外に大きな船だけど俳優や撮影クルー乗せるんだから当然か。そんな感じで船を見回っていると…

 

「あら、ナルトじゃない。もう酔いは覚めたのかしら?」

 

 小雪から声を掛けられた。

 

「雪絵さん。流石に二日酔いはしないですよ…そんなに飲んだわけじゃないですし、あれは怒りが頂点にきたからだと思いますし」

 

「ふふふ…そうかしら。まあいいわ」

 

 なんだ…変な笑みをうかべながらこっちを見てる。

 

「今日の夜私の部屋に来てよね。お酒の相手付き合ってもらうわよ」

 

「ええ!?俺まだ未成年なんだけど!?」

 

「いいじゃない。演技指導よ。昨日みたくばれちゃ意味ないものね」

 

 演技指導ってどちらかといえば飲みならせようとしてるんじゃ…

 

「あ、私自分で言うのもなんだけど結構お酒強いから。覚悟しておいてね。それじゃあね」

 

 そう言って立ち去ってしまった。なんだって言うんだ…俺は気に入られたのか? 酒の飲み相手に指名されるとは…はあ、なんだか気が重くなってきた。

 

「なになに、雪絵さんと何話してたの?」

 

「ん? サクラか…いやね。夜になったら酒の相手をしろと言われたってばよ…未成年なんだけどって言っても駄目だった」

 

「アハハ…まあ頑張りなさいよ。先生には黙っておいてあげるわ」

 

「ありがとだってばよ。俺、明日大丈夫かな…」

 

 お酒のせいで船酔いになりそうな気がしてきた。

 

「まあ、起きられなかったときは私がたたき起こしてあげるわ」

 

「…お手柔らかに頼むってばよ」

 

 桜花掌教えてからサクラの拳骨の威力が半端なくなっちゃったんだよね…おそらく無意識でやってるんだろうけど。あれ喰らうのは勘弁だ。そんな感じで過ごしていると撮影が始まった。小雪の方を見てみるとやる気はあんまりないらしい。メイクしてもらってる顔は無表情だ。

 

「はあ…雪絵さんはよくわかんない人だな…」

 

「…そうだな。これから演技するってのにやる気が感じられない」

 

「ま、俺達はあの人の護衛だ。文句言わずにきちんと見てろよ」

 

 そんな会話をしてるともうすぐカメラを回すようだ。周りの空気に緊張がはしる。

 

「よーい…アクション!!」

 

 カメラが回り始めた。そして小雪がこっちを向くとさっきまでと全然違う表情をしていた。あれが本物の演技…一瞬であそこまで変えられるのか…間近で見るとすごいな…

 

「す…すごい演技…」

 

 サクラも感心している。サスケも声には出さないが驚いてるようだ。

 

「あれが雪絵様です…一旦カメラが回り始めたらあの方の右に出る者はおりません」

 

 三太夫がそう言った。まあここまで言うことがないほど完璧だな…

 

「はい、止めてー」

 

 急に小雪がそう言った。涙だっけか?

 

「三太夫、涙持ってきて涙」

 

「は、はい」

 

 そういって目薬を垂らしている。はあ、泣きの演技で涙を自分で出せないのか。

 

「溢れる、溢れる早く回してー!」

 

 はあ…演技は完璧だけどなにかが抜けてる感じがするな…おそらくそれは雪の国で失ったなにかだ。はっきりなにかとまではわからないけど…そんなこと考えながらサクラの方を見てみると顔をヒクヒクさせている。まあこれを見ちゃそうなるか…

 

 撮影が終わり夜になった。そうすると俺は小雪に呼ばれた。

 

「なんですかって…もうお酒の準備万端なんですか…」

 

「当たり前じゃない!!さあ、飲むわよ!!まずはこれからよ」

 

「え、いきなりウイスキー!?」

 

「ほらほら、早く飲みなさいよ。まだまだお酒はたくさんあるからね」

 

 そう言われて小雪の部屋の冷蔵庫を覗いてみると大量のビールがあった。ほかにもウイスキーやら焼酎の瓶が十本以上ある。え…この量を二人で飲むの!?

 

「ついであげるからグラス持ちなさい」

 

「え、あどうも…」

 

 思わずグラスを持つとウイスキーをなみなみに注がれた…え!?水で割るとかしないの!?

 

「男の子でしょ。それくらいは余裕でしょ」

 

 そう言ってウインクされた。こうなったらやけだ!!飲んでやる。そうしてウイスキーを一口飲んだ。グラスの三分の一ぐらい飲んだ…やばいやっぱり気合じゃどうにもならないかも…アルコール強い…

 

「あら、意外といくわね。私も飲むわよ」

 

 そう言うと一気にグラス半分のウイスキーを一気に飲んだ。え…普通に俺より飲んでない?

 

「ふふふ…やっぱり相手がいるとお酒が進むわ」

 

「そういうもんですか?」

 

「話し相手がいるだけで十分楽しいものよ」

 

 そういうもんかね…まあ楽しそうだしいっか。

 

「まあ、俺でよければ付き合いますよ…話し相手は」

 

「お酒も…ね?」

 

「…はい」

 

 そうして夜は更けていった…




※お酒は二十歳になってから
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