船に乗ってから数日が経った。特に大きな事件は発生していない。強いて言うならば俺が何回かサクラにたたき起こされて俺の部屋のベッドに少し割れ目が入ったくらいだ。あれは痛かった…起きたのにまた一瞬で気を失うところだったよ。原因は連日小雪に酒を飲まされてるからなんだけど。あの人本当に酒強い…毎日飲み潰されてるよ。俺より何倍も飲んでいるのにほんのり顔が赤らむくらいなのだ。俺の酔う姿見て笑ってるし…もうタチが悪いったらないよ。なんとか船酔いにはならずに済んでるけどほぼ毎日二日酔い状態。流石にカカシにもバレちゃったし。でもカカシは救いの手を出してくれなかった。俺あんまり酒強くないからとか言って逃げていった。自分が酒弱いからって未成年の俺を盾にしないでくれ…そこで小雪に聞いてみたらあんたの反応が面白いからあんたがいい。だそうだ。もう逃げ場なんてなかった。
今日はなんとかサクラに起こされずに起きてきたんだけど…外に出てみたら船の目の前には氷の島がそびえ立っていた。標高五十メートル位ある氷山や氷でできた丘などがあった。雪の国に着くにしても早すぎるので孤島のようなものだろう。ほとんどが氷でできている島なんて初めて見た。南極ってこんな感じなのかな。これを見た監督はここで撮影すると言い始めた。となるとここで雪忍の襲来があるのか…体重いけどやるしかないか。そうして俺は準備のために自分の部屋に戻った。
島に上陸すると撮影の準備が始まった。その間は役者や俺達はストーブの前で待機している。俺と小雪は大きなあくびをした。そりゃ昨日も夜遅くまで飲んでたし…しょうがないよね。
「ナルト、今日は起こさなくても大丈夫だったみたいね」
「なんとかね…でもサクラ起こすときはもうちょい優しくやってくんねえかな? 俺のベッドにヒビ入ってたんだけど」
「え!?私そんなに力いれてたかな…」
無自覚だったのね…チャクラコントロールが体に染み付いてるのはいいけど制御はして欲しい。じゃないと俺死んじゃうよ。そんなたわいもない話をしていると撮影準備が出来たらしい。役者たちが配置についていく。よくもまああんな高いところに…忍びでもないのにあんなところから落ちたら死ぬぞ? 特に魔王役の人。足滑らせないでね。あなたが一番高いところにいるから。そんなことを考えていると、撮影が始まった。もうすぐかな? するとカカシが起爆札付きクナイを投げたのが見えた。よし、気合入れますか。
「全員下がって!!」
カカシが役者や撮影クルーに向かって叫んだ。だけどみんな何が起きたかわからない様子で動けないでいる。なるべくとっとと船に戻って欲しいんだけど。
「ようこそ雪の国へ」
カカシが起爆札付きクナイで爆破させたところから変な眉毛をした奴が出てきた。よく見ると麻呂みたいな眉毛だな…
「お前は!!」
カカシと麻呂がにらみ合っていると別のところから音がした。そちらの方を見てみると同じような麻呂の眉毛をした女が出てきた。なんなんだ。雪忍の間では麻呂眉が流行ってんのか?
「歓迎するわよ小雪姫…六角水晶は持ってきてくれたかしら?」
「なに!?小雪姫だって!?」
カカシが麻呂女の言葉に驚いて小雪の方を見た。俺は知っていたので別段反応もせずもう一つ近づいてくる気配があったのでそこに向かってマーキング付きクナイを投げた。するとそこから熊のような体型をした奴が出てきた。やっぱり眉毛は麻呂みたいだった。付け加えてたらこ唇…お前ら顔芸芸人かなにかか。
「ゲハハハ。はたけカカシ以外にも鋭い奴がいるようだな」
どんな笑い声だよ…もう突っ込むのも疲れてきたな。とっとと退場してもらおうかな。俺はさっき投げたクナイに飛雷神で飛び…
「油断大敵…だってばよ」
麻呂熊の鳩尾を思いっきり殴った。麻呂熊は十メートル位後ろに吹っ飛んでいった。これでしばらくは立てないだろう。
「ミゾレ!!」
「ナイスだナルト。サスケ、サクラ!!お前らは雪絵さんを守れ!!ナルトは影分身で全員の護衛と援護。その他の人は全員船に戻れ!!」
カカシが叫んだ。なんで俺だけ仕事多いんですかね…俺二日酔いで動き万全じゃないんだけど。やれるだけはやるけど…とりあえず…
「影分身の術!!」
七人に分身して役者それぞれに一人ずつ撮影クルーに二人の分身をつけた。残りは俺の背後に立たせマーキングのついたクナイをタイミングよく投げるように指示して待機させた。
「っち…フブキ、小雪姫を頼んだぞ」
「ふう…一人でなんて面倒だわ」
そう言って雪忍二人が氷山から降りてきた。ロン毛麻呂はカカシの方に行ってしまった。面識があるんだっけ? 因縁の対決は任せておくか。こっちには麻呂女が来てるし…その相手をするか。
「ミゾレを一撃で動けなくするなんて大したもんね金髪の坊や」
「あんたに褒められても嬉しくないってばよ。年増麻呂女!!」
思いっきり挑発してみた。すると麻呂女の顔に青い筋が浮かび上がってきた。すごい怒ってるな…
「なんですってこのガキが!!これでも喰らいなさい!!」
そう言うと印を結んでいく。よく見て覚えておかなきゃな。
「氷遁 ツバメ吹雪!!」
なるほど…とりあえず印は覚えたし対処するか。
「サスケ!!火遁頼むってばよ」
「おう!!」
二人で少し後退しながら印を結び術を発動した。
「火遁 豪火球の術!!」
「風遁 烈風掌!!」
二つの術が合わさり高温高火力の炎が繰り出された。周囲にある氷を溶かし麻呂女の術の氷でできた燕も溶かしていく…少し高火力にしすぎたかな。足元がびちゃびちゃになってきた。地面に穴空いて海水が入ってこなきゃいいけど…麻呂女は後ろに下がってるけどそれじゃ避けられないよ。まあ俺の風遁が加わったおかげで横にも範囲が広がってるから難しいんだろうけど…ん? チャクラの鎧着てるから避けなくてもいいんじゃねえのか? よくわからんが性能が悪いやつでも着てるんかね。そういうことにしておこう。
「氷牢の術!!」
麻呂女の前に氷の壁ができていく。その氷の壁に炎が当たり溶かしていくが氷の壁が分厚く溶かしきれていない。この状況だったら俺なら上に逃げるかな。俺は術を止め、氷の壁の上に移動した。すると予想通りそこから出てきたので…
「うりゃあ!!」
タイミングを合わせて蹴りを放った。その蹴りは麻呂女の腹に直撃しその勢いで麻呂女は氷山に激突し気絶した。やっぱり体術が効果的だな。無効化できないほどの威力をもった忍術で攻撃しても行けるだろうけど…効率が悪すぎるよな。こっちも片付いたし、カカシのとこに行くかな。
「サスケ、こっちは任せるぞ」
「了解!!」
その場をサスケに任せカカシの方に向かった。
カカシのところに着くと苦戦しているようだった。なんで氷遁に対して水遁なんだよ…あんた火遁使えるでしょ。
「手伝おうか? カカシ先生」
「ナルトか。そっちはどうなったんだ?」
「蹴り一発で気絶しちゃったよ。あとはカカシ先生だけ」
「フブキまでやられたのか…っち、使えんやつらめ」
コイツもそこまで強くなかったような…鎧に頼りすぎなんだよ。だから体術鍛えずにこうなるんだ…
「俺がまとめて片付けてやる!!」
そう言って印を組み始めた。今はこいつら倒すより護衛がメインなんだが…とりあえずそっちの方を見てみるとまだ避難終わってないのか。っていうかなにまだカメラ回してるんだよ!?俺の影分身もあたふたしてんじゃねえか!?
「氷遁 一角白鯨!!」
そんなことしてたら術発動してんじゃねえか。全く面倒だ。
「カカシ先生!!俺があの鯨みたいなのどうにかするから後ろの人達船に乗せてくれってばよ!!」
「…わかった。無理はするなよ」
「おう!!」
「貴様ごときになにができる」
ロン毛麻呂の言葉を無視して鯨の前にマーキング付きクナイを投げた。そしてクナイのところに飛んで、右手の掌にチャクラを集中させて…
「螺旋丸!!」
鯨の顎のあたりに当てた。鯨の進行方向が逆になり、雪忍の方に向かって落ちていく。上手く軌道を変えられたな。これならこっちに被害はないだろう。さてこの隙に俺も撤退しよう。そうして船に戻っていった。もう一人この場にいてこちらを観察していたことに気がつかずに…
さあ、見ていたのは誰でしょうね?
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