ナルトに転生しちまった!?   作:みさごん

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~第五十二話~

 俺は今赤い髪の女と対峙している。とっとと倒すには飛雷神を使うのがいいんだが…こいつには何回も見られてるしな。クナイを投げた時点で警戒されるはずだ。なら瞬身を使いつつそこらへんの木に直接マーキングをつけてから飛雷神で錯乱してやっちまうか。それが一番手っ取り早そうだ。ならとっとと仕掛けよう。そんなことを考えていると…

 

「…ちょっとあんたに聞きたいことがある」

 

 赤い髪の女が話しかけてきた。聞きたいことだと? 今はそんなことしてる場合じゃないんだけど…

 

「なんであんたが氷遁を使えるのよ? あんた木の葉の人間よね?」

 

「お前の言う通り俺は木の葉の忍びだってばよ。なんで使えるかは知らねえ。多分、父ちゃんか母ちゃんかが氷遁使えたんじゃねえのか。ってなんで俺は敵の質問に答えてるんだ…まあいい。それがどうしたって言うんだってばよ!!」

 

 なんか答えちまった。

 

「…そう。じゃあもう一つだけ聞かせてもらうわ。あんたの父親は四代目火影…波風ミナトそして母親はうずまきクシナかしら?」

 

「!?」

 

 な…!?なんでこいつがそれを…いやそれよりもだ。たったあれだけの情報でそこにたどり着いたのはなぜだ!!しかもその情報は俺が氷遁を使える理由の憶測と木の葉出身って事のみ…こいつ何を知っている!?

 

「その反応を見る限りあってるみたいね…昼間にあんたが氷遁使った時はまさかとは思ったけど本当だったみたいね…」

 

「何を言ってるんだお前!!お前一体何者だ!!」

 

「私の名前は波風ミズモ。私の両親も波風ミナトとうずまきクシナなのよ…つまり私はあなたの姉ってところかしら」

 

「…へ?」

 

 姉? こいつが俺の姉? 俺に姉がいた? いやいやいやいや…そんなことあるわけが…

 

「いきなり言われて信じられないのもわかるわ。でも事実なのよ。だって私とあなたが氷遁を使えるのは父さんの血縁によるものだからね。木の葉出身で氷遁を使える時点で父さんとの血のつながりはほぼ確定的なのよ」

 

「…じゃあお前も木の葉出身だっていうのか? そうだとしたらなんで雪の国なんかに…」

 

 事実だとしたら火影の娘だろ? こんなところにいるのは不自然すぎる!!

 

「…私が生まれたのは父さんが火影に就任する前、第三次忍界対戦の真っ最中だった。まあ母さんが妊娠したのが大戦直前だったみたいだけど。そんな戦時の中父さんや母さんのような優秀な忍びが戦えないのは木の葉としても痛手になる。でも私を放って置くわけにもいかなかった。そこで父さんの親戚が雪の国にいてね…戦争が終わるまで預けられることになったんだ。当時雪の国は大戦に参加してなかったし忍び五大国からも離れていたしね。それに木の葉で私が生まれたことを知っているのは両親以外だと三代目夫婦ぐらいらしいわ」

 

 …辻褄は合ってるか。でも信じがたいぞ…戦争が終わっても木の葉に帰ってきてないし…

 

「それでね、戦争が終わったとほぼ同時に父さんの火影就任が決まってね。父さんと母さんは火影関連の仕事で忙しくて直ぐには私を引き取りに来れなくてね…それでも火影就任から二年以内には迎えに来るって手紙はきてたの。手紙にはあなたのことも書かれていたわ。名前はナルトにするとかね。そんな話を聞きいて楽しみに迎えを待っていたんだけどね…来なかった」

 

「十二年前の事件か…」

 

「ええ、十二年前…私は四歳だったわ。木の葉で大きな事件が起きたことは雪の国にも伝わってきた。なんの事件かまではわからなかったんだけどね。でも私宛に手紙が届いた。三代目火影からだった。それは…残酷な知らせだったわ…」

 

 そりゃあ残酷だろうな…両親が死んだ知らせなんて残酷以外の何物でもない。俺は目の前で見てしまったしな。原作を見て知っていたとはいえこの世界での両親であることには変わりないし…正直に言えば見ている時よりあとから思い返している時の方が辛かった。

 

「それでその手紙にはまだこっちで暮らしてた方が私にとっていいかもしれないとも書いてあったわ。育ての親がいるわけだしね。それで私は今日まで雪の国にいたってわけ。でも父さん達の事を忘れた事はないわ。これに見覚えないかしら?」

 

 そう言って懐から何かを取り出した。よく見てみるとそれは…

 

「それってば…父ちゃんのクナイ…」

 

 一発で分かってしまった。俺は特注のクナイは使っていないのだ。普段使っているのは普通のクナイにマーキングを前もってつけておいたものを使っている。今回の任務でもそうだった。だからそのクナイは父ちゃんが使ってたもの以外に考えられなかった。

 

「じゃあ…本当に…俺の姉ちゃんなのか?」

 

 この世界に俺と直接血の繋がる人が生きているなんて…考えたこともなかった。原作の知識で父ちゃんか母ちゃんを生き返らせるようなことをしない限り血縁者に会えるなんて思ってもみなかった。信じていいのかな?

 

『…こいつの言っている事は事実だ』

 

『九喇嘛!?』

 

『こいつの話を聞くまで儂も忘れていたんだが…儂がまだクシナの中にいる時にこいつの存在を感じていた。こいつが生まれる時にも封印を破って出てやろうとしたんだが…その時はミナトの奴に止められたがな』

 

 九喇嘛が知ってるって事は事実で間違いねえじゃねえか。じゃあ本当に俺の…姉ちゃんなのか。俺がそうして九喇嘛と会話をして衝撃を受けて呆然としていると不意に抱きしめられた。

 

「え!?」

 

「やっと…やっと会えた…父さんと母さんが死んだと聞いてから私はあなたの事が凄い気がかりだった。あなたが寂しい思いをしていないか、酷い目にあっていないかとかね。手紙にはあなたに九尾が封印されたことも書いてあったからね。母さんから尾獣が封印された人がどういう扱いを受けるかを聞いたことがあったからね…あなたがそういう目にあっていないか心配だった。まあ時々三代目から手紙を貰ってたんだけど…あんまりそういうことは書いてなかったのよ」

 

 じいちゃん…そんなことしてたのか。勝手に仕事場とか入ったことあるけど仕事関係の物には目もくれず忍術が書いてある巻物にしか見てなかったからな。知らなかったな…でもどうして俺に教えてくれなかったんだろう。俺に隠す意味ってあったのかな?

 

「そんなことを思いながら今日まで過ごしてきた…まさか敵どうしになって戦うことになるなんて思ってもみなかったんだけどね。最初に見たときは父さんに似た髪をした子だななんて思っただけだったの。でもあなたが氷遁を使ったのを見たとき…正直驚いて固まってしまったわ。まさかと思ったもの…私達が狙ってるターゲットの護衛に弟がいるなんてね。でも確証はなかった。だからこういう風に確かめたかったの」

 

「そう…だったのか」

 

「そして確かめた結果…ナルトだった。私の弟だった。まさかこんな形で出会うなんてね…でも直接こうやって触れ合えるなんて思ってもなかったから…本当に…嬉しいってばね…」

 

 !?この口癖は…母ちゃんのと同じ…本当に姉ちゃんなんだ…俺の…

 

「姉ちゃん…」

 

「ナルト…ナルト!!」

 

 姉ちゃんの俺を抱きしめる力が強くなったのを感じた。俺より背が高い姉ちゃんに抱きしめられて包まれたような感じになっている。なんだか不思議な安心感がある。やっぱり血が繋がってるって関係あるのかな。ってそういえば今急がないとやばいんだったよ。姉ちゃんがいた事に驚きすぎてちょっと忘れてたけど小雪を助けないと!!

 

「姉ちゃん!!会えて嬉しいんだけど今やんなくちゃいけねえことがあるんだってばよ!!今ドトウに小雪さんが捕まってる。俺はそっちに行かなきゃいけねえんだ!!もちろん姉ちゃんとゆっくり話したいんだけど…」

 

「ふふふ…そうね。ナルトは任務できてたんだったわね…あなたが弟だとわかった以上私はもうあなたの邪魔をする気はないわ。でも場所はわかるの? 私が案内しようか? むしろ一緒に行って一緒にドトウを倒すの手伝ってもいいけど」

 

「そうしてもらえるならお願いしようかな、じゃあ急いで走って…」

 

『走っていくよりも速い手段があんじゃねえか』

 

『え?』

 

 急に九喇嘛が話しかけてきた。走るよりも速い方法? 今できるのでそんな手段あったっけ?

 

『飛雷神でいけば一瞬じゃねえか』

 

『え? 俺小雪に飛雷神のマーキングつけてなかったと思うんだけど…』

 

『付けてたじゃねえか。まさか昼間にそのマーキングを付けたおかげで直ぐに小雪とかいう小娘を見つけられたのを忘れたわけじゃねえだろ?』

 

 あ…そうだった…そういえばそうだったな。さっきの戦闘の時は焦りすぎて忘れてそのままだったよ…ハハハ…

 

「どうしたの? ナルト」

 

「いや、走っていかなくても一瞬で行けることを思い出してね…」

 

「あ、そういうことね。じゃあ肩に触れてればいいのかしら?」

 

「おう!!」

 

 そうして二人で小雪とドトウのいる場所に飛んだ…




赤い髪の女の正体はなんとナルトの姉でした。まあ予想ついていた方もいると思いますが。
感想、批評などよろしくお願いします。

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