雪の国での任務が終わり木の葉の里に帰ってきた。今は火影邸にいる。火影邸まで来るのが大変だったんだけど。俺が里の中を歩くと暴力を振るわれるような事はなくなったんだけど影での暴言は聞こえてくる。それが姉ちゃんにも聞こえたみたいで…聞こえるたびに殴り込みに行こうとするのを止めるのが大変だった。カカシに手伝ってもらおうとしたらなんか無理無理の一点張りだったんだよな…トラウマがどうのとか言ってたけど…よくわからんかった。とりあえず手伝ってくれなかったから後でなにか奢ってもらう約束を取り付けた。財布の中身すっからかんにしてやるからな。まあそれは置いておいて、今はじいちゃんと話をするところだ。
「第七班、無事に任務完了しました」
「うむ、下忍班のお主達にはかなりきつかったと思うがよくやってくれたな」
「え!?ナルト達ってまだ下忍だったの!?」
姉ちゃんが驚いて聞いてきた。そういえば言ってなかったな。
「そうだってばよ、下忍になって数ヶ月ってとこだな」
「それにしては強すぎじゃない? ナルトもサスケ君も。サクラちゃんも下忍にしては強いし…カカシさんが修行つけたの?」
「サスケとサクラに関しては俺がつけたってばよ。ってかその話は後でするから今はちょっと待ってくれ。じいちゃんは姉ちゃんのこと知ってたって言ってたけどなんで俺に教えてくれなかったんだってばよ?」
姉ちゃんに聞いてからずっと疑問に思ってた事を聞いてみた。別に教えてくれてても良かったと思うんだけどな。
「うむ、その事じゃがナルトが生まれてから今までミズモの事を知っておったのは儂だけじゃった。ナルトが生まれてからすぐにミズモを呼ぼうという考えもあったんじゃが…里の復興などもありそういうわけにもいかんかった。そしてナルトの事についてはミナトとクシナの子であることを隠すと里の上層部と儂の話し合いにより決定した。しばらくするとナルトについて里内でよからぬ噂が流れてしまってのう…それは今なお続いてしまっている。お前達も知っておるじゃろう…そんな中ミズモを連れて帰ってきてしまったらナルトの姉として迎えるのが難しかったのじゃ。慣れ親しんだ人もいない中、ナルトの姉として迎えればお前にまで変な噂がたってしまうと思った。儂は幼いミズモにそれが耐えられるとは思わなかったのじゃ」
まあわからないでもない。俺は転生して何が起こるかわかっていたからいろいろ行動を起こしていくうちに俺の事を信じてくれる人ができたから噂なんか気にしなかったし暴力を振るわれるなんてことも原作よりはかなり少なくなったと思う。けど姉ちゃんは里内で出生を知る人が少なすぎたのかもな。
「それで大人になるまでそのまま雪の国にいてもらう事にしたのじゃ。ミズモが二十歳になれば独り立ちしてその頃にはナルトも里のみなから認められていると踏んだのじゃ。じゃが予想をいい方向に裏切られた。ナルトは自らの行動によって予想よりも遥かに早く里の者に認められつつある。これなら呼び寄せてもいいかもしれんと思った。そこに来たのが雪の国での護衛の依頼。下忍にAランク任務をやらせるのはどうかとも思ったが、ナルトには実力があったからの。いかせることにしたのじゃ。まさか姉弟で戦うような事態が起きていた事には驚いてしまったが…結果的にこうなったくれた。儂は嬉しいぞ」
それにしてもまだまだひよっこ下忍の俺達にAランクを受けさせるなんて上層部の説得とか大変だっただろうに…まったくじいちゃんも無茶するよ。
「三代目、それなら私に前もって手紙をくれれば戦わずに済んだと思うんですけど」
「すまん、すまん。そこまで気がまわらんかった」
「じいちゃんは忙しいからな。なんとかなったからもう気にしないってばよ。そういえば姉ちゃんってどこに住むんだ? 俺の部屋は二人で暮らせる程広くないってばよ」
「えー…私はナルトと一緒がいいわ。どうにかならないですか三代目?」
姉ちゃんがじいちゃんに頼んでいる。その間に周りを見ると自分達に関係ない話だからだろうか三者三様だった。カカシはイチャイチャバイオレンスを読んでいる。サスケは腕を組んで瞑想。サクラはサスケの方を見ながらもじもじしている。まあこの三人はこの後地獄が待ってることも知らずにね…
「確かナルトの部屋の左隣は白が住んでおるが右隣は空いていたはずじゃな。ミズモはそこに住むと良い。部屋と部屋の壁は取り払って構わんからな。儂が許可する。これでよいか?」
「ありがとうございます、三代目!!やった!!これで一緒に暮らせるよナルト!!」
「そうだな、姉ちゃん」
姉ちゃんが抱きついてきた。よっぽど嬉しいんだろう。俺は抵抗もせず甘んじてそれを受ける。
「ほっほ、仲が良いな。いいことじゃ。最後に、ミズモよ。お前は今日から木の葉の里の特別上忍として迎え入れる。しかしまだ四代目の子供として名を広めるのはまずいからな。性はナルトと同様に母方のうずまきを名乗ってくれるかの」
「わかりました。今日から木の葉のうずまきミズモとして里に仕えます」
「うむ、では解散じゃ。十日程休暇を与えるゆっくり休むとよい」
ようやく休暇だ…明日は一日休んでその次の日から修行だな。その事をサクラとサスケに伝えないとな。
「サスケ、サクラ。明日は修行休みにするぞ。でも明後日からの修行だかんな。あ、修行量は倍だから。覚悟しておけってばよ」
「げっ!?」
「覚えてたのか…」
「忘れるわけないってばよ。あとカカシ先生も後で一楽ラーメン奢りな。さっきの約束のやつね。遠慮する気はないから覚悟しておいてくれってばよ」
「あ、ああ…わかってるよ」
「うっしゃあ!!今まで遠慮してたけど今回は心置きなく食べられるってばよ」
今までは一応財布の限界考えて遠慮してたんだよねー
「なに!?あれで今まで遠慮してたのか!?」
「じゃ、そういうことだから楽しみにしてるってばよ」
俺はそう言ってその場を後にしようとした。
「あ、待ってナルト。家の場所わかんないから一緒に行くわ」
「了解、じゃあ行こう」
「うん、手繋いで行こうよ。そうしないと私暴れちゃうかも」
「…わかったってばよ。ほら」
そう言って俺は手を出した。そうすると姉ちゃんはその手を握った。そしてそのまま家に向かって歩きだした。
二人で家に向かってゆっくり街中を歩いていた。ここら辺にはなにがあるなどいろいろ紹介しながら歩いていた。もちろん手は繋いだままなんだけど。そんなことをしていると…
「ナルトぉぉぉお!!」
大声で俺を呼ぶ声が聞こえた。声の聞こえた方を見てみるとなぜか凄く怒っているいのの姿が見えた。しかもどんどん俺に近づいてくる。
「ナルト、彼女は友達かしら?」
「そうなんだけど…なんかめちゃくちゃ怒ってるっぽい」
姉ちゃんが小声で聞いてきたので答えた。そしていのの方に目を戻すともうかなり近くにいのがいた。
「な、なにをそんなに怒ってるんだ? いの」
「ねえ、ナルト。その女は誰?」
「ああ、俺の姉ちゃん。今まで雪の国にいたんだけど今日から木の葉の一員になったんだ」
「ナルトの…お姉さん?」
「ええ、私はナルトの姉のうずまきミズモよ。突然の事だから困惑すると思うけどよろしくね」
姉ちゃんがいのに自己紹介した。いの怒ってるけどちゃんと聞いてるのかな?
「…私は山中いのっていいます。でも本当にナルトのお姉さんなの? 今までそんなの聞いたことなかったんだけど。まさか隠してたわけじゃないでしょうね、ナルト!!」
「そんなことしてないってばよ!!俺だっていること知ったの数日前だし…でも血が繋がってる事は確かだってばよ。じいちゃんの確認もとれたし」
「火影様がそう言ったのね…なら信じるしかないじゃない。ミズモさんでしたっけ? 私ナルトの…」
「ナルっちー!!」
「「ナルト君!!」」
「ナルト!!」
また俺の事を呼ぶ別の声が聞こえた。しかもなんでみんな大声なんだ…
「「「「その女は誰!!」」」」
「またその質問か…」
「まあしょうがないじゃない。諦めなさいナルト。私は気にしないからさ」
「姉ちゃんが気にしなくても俺が疲れるんだってばよ…」
そんなことをしていると俺はいつの間にか取り囲まれていた。そしていのの時と同じように質問に答えていきなんとか事なきを得たが、今度は集まった五人での言い争いみたいな物が始まってしまった。放っておいて行こうとしたら首根っこ掴まれて阻止された。そしてその言い争いに姉ちゃんが加わる始末…そのせいで言い争いを止めるのにかなりの精神と時間を削られた。なんとかその場を抑え姉ちゃんと一緒に家へ帰ったのだった…
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