俺は今三○一の部屋の扉の前にいる。ようやく会場までたどり着いた。意外と時間が掛かった気がする。俺自身はそこまで何もしてないんだけどね。とりあえず入ろう。そうして扉を開けた。そうすると…
「遅かったじゃなーい、ナルト!!」
突然いのが俺の横から抱きついてきた。
「お、おういの。いきなりどうしたんだ?」
「一週間ぶりにあったんだからいいじゃない。それに最近は修行がほとんどでこういうことさせてもらえてなかったんだもの」
「そ、そうか」
「そうよ~」
いのが離れてくれる様子はない。動きにくいからできれば離れて欲しい。それにここでこれをやられてるせいか会場にいる奴らの視線をめちゃくちゃ感じるんだけど…そんなことを考えながらシカマルの方を見ると…
「諦めろ。最近俺とチョウジは散々愚痴言われて疲れたんだ。お前がしっかり相手してやればそれもなくなるんだ。頼んだぜ」
「後でお菓子あげるから僕からもお願いするよ」
「わかったってばよ…」
こいつらに被害が生まれてたのか…いのの性格から考えたらそうなるか。今は大人しくこのままでいよう。
「ナルっち発見!!って何抱きついてんのよいの!!」
「ナルト君から離れてください!!いのさん!!」
「白の言う通りだクソアマ!!とっとと離れろ!!」
「なーんだ、第十一班の三人組じゃない。嫌よ、こういうのは早い者勝ちよ!!」
「「「そんなわけないでしょ!!」」」
俺は何かの商品か何かか…なんか無駄に嫌な目立ち方だなこりゃ。俺は特に何もしてないんだが更に俺に向けられる視線が強くなってきたし…面倒臭い。
「いやっほー!!見っけ。これはこれはみなさんお揃いで」
「キバにシノにヒナタか。これでルーキー全員集合ってことか。こう全員が揃うのは久しぶりだってばよ」
ヒナタは結構会ってた気がするけど、キバとシノに会うのは下忍班発表の時以来だ。そういえばこいつらにはなんも話してないなー…どうせ第三試験予選の時には話すことになりそうだしいっか。
「ナルト…お前後で殺す!!」
「いきなり物騒なことで。別に俺はお前に何かした覚えはないんだけどな」
「うるせえ!!ドべなくせしてなんでお前にだけ…」
「こんなところでそんなことを言っても無意味だぞ、キバ。なぜならこいつらがほとんど聞いてないからだ。それにナルト。久しぶりだな」
「おう、久しぶりだってばよ」
「この試験は楽しみだ。なぜならお前の真の実力を見ることができそうだからな。期待しているぞ」
やっぱシノには早めに話しておいた方がいいのかな…それもそれで面倒臭そうだ。やっぱりまとめてでいいや。
「ナルト君…私頑張るね。それといのちゃんはいつまでナルト君に抱きついてるのかな?」
「さあね~私が飽きるまでかしらね。まあ飽きるなんて事はないと思うけど」
「…へー。ねえ、いのちゃん。私にそこを譲って欲しいんだけど」
「どうしようかしらねーふふふ」
もう何も言わん。いったところで現状が回復できる気がしない。一人に抱きつかれ、その一人と四人が睨み合いを続けてるんだぞ。助け舟が欲しいぞ…けどシカマルは手伝ってくれそうにないしチョウジはいつも通りにポテチ食い続けてるし…キバとシノに至ってはそこまで気の許せる関係になってねえ。第七班の俺以外の二人は見て見ぬふりを決め込んでやがる。どうにかして現状打破したい…イビキ、早く来てくれ!!そんなことを考えていると…
「君達、もう少し静かにした方がいい」
声のした方を見ると、丸眼鏡をかけ木の葉の額当てをした銀髪の男が立っていた。カブトか…こいつは早めに処理しておかないとまずいんだよな。第四次忍界大戦の時に穢土転生を使ってたのはこいつだし。コイツさえいなければもしかしたらマダラが復活することはなかったかもしれないしな。できれば第二試験の時にやっておきたいと思うんだが…大蛇丸との戦闘もあるからな。無理は禁物だ。綱手を木の葉に連れてくる時に遭遇するはずだからその時にでも…原作から離れてきてるから確実にそうなる保証はどこにもないんだが信じるしかないだろう。
「そうだな、この人の言う通りだってばよ。悪目立ちしてる気がするからとっとと席に着いちまおうぜ」
「そうだな、いい加減座ったほうがいいかもな。時間も時間だし」
「そうね、ナルトとサスケ君言う通りだと思うわ。他のみんなもそうしましょう」
第七班のみんなでそう言うとルーキー達は席に向かっていった。俺に抱きついたりそれを睨みつけてた奴らはなんか名残惜しそうにしていたが…カブトはなんか宛が外れたような間抜けな顔をしていた。ここで深く関わると後が面倒なはず。ここはこの程度で抑えておくさ。
席についてしばらく待っていた。待っている間の隣は何故か白とヒナタだった。第七班で座るのかと思ってたら引っ張られてこうなった。いい加減気の休まる場が欲しい。何故睨み合いのど真ん中にいなきゃならんのだ…気が滅入ってくるよ。そんなことを考えていると…突如前の方で白煙が現れた。やっとか…
「待たせたな。俺が中忍試験第一試験監督官の森野イビキだ」
現れたイビキの手には紙束がある。原作と同じようにペーパーテストみたいだな。俺は原作のナルトと違って勉強ができないわけじゃない。アカデミーはドべになるようにテストは基本ワザと間違えていたんだが…多分この試験はカンニングしないでも解けるとは思う。けどあんまりにも面倒臭そうだったら影分身を使ってカンニングすればいいだけだし全く問題はない。別に書かなくてもいけるはずなんだけどそれはなんとなく嫌だからやらないことにする。
「これからお前たちには番号の書かれた札を引いてもらう。札を引いて番号を確認した者はその番号と同じ番号の書かれた席に付け。一次試験は筆記試験となる。さあ、前にいるものから札を引きに来い」
イビキがそう言うと下忍達は札を引き始めた。俺も札を引き席に座ると右隣は原作と同じようにヒナタだった。それはいいんだが…左隣にナズナ、正面に多由也、背後には白。なんだこの席順は!?さっきの地獄スクエアの再現か!?いのは離れてるけどそれ以外は一緒って…もう考えても無駄か。今は試験に集中しよう。
「頑張ろうね、ナルっち」
「頑張ろう、ナルト君」
「おう、一緒に試験突破しような」
「「うん」」
今はさっきみたいな睨み合いはない。試験中もこのままでいてくれるならしばらくは落ち着いていられそうだ。でも本当に気を貼らなければならないのは第二試験。第一試験はさっさと終わらせて寝ててもいいかもな。体力温存のためにもね。
「この第一試験には大切なルールってのがいくつかある。質問は受け付けないからそのつもりでよーく聞いとけ」
やっとルール説明か。原作との相違点がないか確認しないとな。
「まずず第一のルールだ。お前らには持ち点が十点ずつ与えられている。筆記試験は全部で十問、各一点ずつ。そしてこの試験は減点式でおこなう。一問間違える毎に一点減点される。例えば三問間違えれば七点となる」
ここまでは普通のルールだよな。アカデミーでは減点式のテストなんて一回もやったことなかったけど。試験監督が内容決めていいならそのへんは自由なんだろうね。あまりにも変だったりしなければ。
「第二のルール。合否はチーム三人の合計点数で判定する」
周囲の空気が変わった。班のメンバー三人一組全員が揃わないと受けられない試験なんだから少し考えればわかるだろうに…何でそんなに驚いてるんだか。
「ちょっと待って!!チームの合計得点ってどういうこと!?」
おい待てサクラ。なんでお前がそんなに焦る必要がある。俺が勉強できることは見せても言ってもないけどさ…俺だって勉強できるんだよ? お前に修行内容伝えるときも理論とかの方がサクラにはわかりやすいと思ってそういう風な説明してたの気づいてないの? あの様子だと気づいてなさそうなんだけどさ。
「うるせえ!!これにはちゃんとした理由があるから黙って聞いておけ、わかったら肝心の次のルールだ。試験中にカンニング及びそれに準ずる行為を行ったと監視員にみなされた者はその行為一回につき二点ずつ減点させてもらう」
うん、変わりなさそうだな。後は問題内容を見て影分身使うか使わないかを決めるだけだな。
「つまりテストの採点を待たずにこの試験会場を退場させられる者が出るかもしれないということだ。無様なカンニングなど行なった者は自滅していくと心得ておけ」
「いつでもチェックしてやるぜ」
「仮にも中忍になろうとしている忍びだ。忍びなら立派な忍びらしくするものだ」
影分身した場合は何に変化させようかな…シノの使ってる寄壊蟲みたいなのが一番怪しまれないで済むかな。蜂とか蝿でもいいとは思うけどね。
「それから、チームの中で一人でも○点を取ったものがいた場合、そのチームの者全員を不合格とする」
なんかサクラのいる方から視線を感じるんだが…こりゃもしかすると原作みたいなあれやんなきゃいけないのかね。悪目立ちだからあれやりたくないんだけど。
「ちなみに第十問は試験開始四十五分後に出題する。試験時間は一時間だ。始めろ!!」
そうして第一試験が始まった…
なかなか話が進まない…
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