ナルトに転生しちまった!?   作:みさごん

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~第六十話~

 俺は今、問題用紙の問題を最後まで確認している。解けないことはないけど…面倒臭い問題しかないな。影分身使おう。煙の出ないように注意して…ついでに寄壊蟲に変化させて教室内を上から観察してもらおう。情報収集が終わるまでは自力で解くか。そうして俺は問題を解き始めた。

 

 試験開始から十五分程が経過した。影分身が情報収集を終えて消えた。自力で三問解き終わったところだった。やっぱり答え知ってる奴は書き終わるの早いな。とりあえず答え分かったし終わらせようか。なんかどっかの下忍が合格枠について質問してるがそんなのは無視だ。早く終わらせて少しでもチャクラ回復に努めた方がいいだろう。影分身はチャクラの消費量が多いからな。それに比べて…写輪眼だの白眼だの秘伝忍術だのは羨ましいぜ。容易に情報収集が出来ちまうんだもんな…俺にも氷遁があるけどさ…まだ白や姉ちゃんのように扱えるほど上達はしてないからな。第二試験が上手くいったらその修行でもするかな。そんなことを考えながら答案を埋めていくのだった。

 

 試験開始から四十五分が経過した。いよいよ第十問か。あれやんなきゃいけないのかな…やんなきゃ駄目そうだよね。やんなきゃサクラが手上げて棄権しちゃいそうだし。少し気が重いけど必要なことだからな。しっかりやろう。

 

「よし!!これより第十問目を出題する!!」

 

 きた!!しっかり周りに注意を払っておかなくちゃな。サクラがいつ手を上げるかもわからねえからな。

 

「そう、その前に一つ。最終問題に入る前にちょっとしたルールを追加させてもらう」

 

“ガチャン”

 

 後ろの方で扉の開く音が聞こえた。おそらくカンクロウが便所から戻ってきたんだろう。

 

「ふ…強運だな。お人形遊びが無駄にならずに済んだな。まあいい座れ」

 

 特別上忍相手にバレないと思ってる時点でナンセンスな気がするんだけどな…まあいいや。今の俺にはあんまり関係ないし。

 

「では説明しよう。これは絶望的なルールだ。まず、お前らにはこの第十問目を受けるか受けないかを選んでもらう」

 

「選ぶって、もし十問目を受けなかったらどうなるの!?」

 

 これはテマリの声か。俺の席がいかんせん前の方だから様子を見るのが面倒なんだよ。サクラも俺より後ろの席に座ってるから一体影分身を見張りとしてつけてるんだよな。出来れば一番後ろの席がよかったな。

 

「受けないを選べば、そいつの持ち点はゼロとなる。つまり失格となり、同班の奴らも道連れで失格となる」

 

 イビキがそう言うと会場内がざわつき始めた。普通に考えればおかしいもんな。まあこの人は普通じゃねえか。拷問と尋問のプロっていう時点で。

 

「そして、もう一つのルール。もし受けるを選び正解できなかった者は、今後永久に中忍試験の受験資格を剥奪する」

 

「んな馬鹿なルールがあるか!!現にここには中忍試験を何度か受験してる奴がいるはずだ!!」

 

「アンアン!!」

 

 キバと赤丸が文句を言っている。何も立ち上がって言わなくてもいいんじゃないのか? 一応まだ筆記試験中なんだからさ。

 

「ふ…ふっふっふっふ…運が悪いんだよお前ら。今年はこの俺がルール。その代わり引き返す道も与えてるじゃねえか。自信のない奴は大人しく受けないを選んで、来年も再来年も受験したらいい」

 

 本当にイビキってこういうの似合うよな…まさに拷問や尋問をするためだけに生まれたといってもいいくらいに。普通の子供は見ただけで泣き出しそうな顔してるよ全く。

 

「では、始めよう…この第十問目、受けない者は手を上げろ。番号確認後、ここから出てもらう」

 

 しばらく無音の時間が続いた。最初に上げるのは嫌だってか? どっちにしてもとっとと終わりにしたいんだ。早くしてくれ。

 

「俺は…俺は…俺は辞める。受けない」

 

「五十番失格。百三十番、百十一番。道連れ失格」

 

「すまない。ゲンナイ、イナホ」

 

 一人が上げると一斉に手が上がり始めた。散々俺らが入ってきたときに睨んでたくせしてさ…結局のところは小心者の集まりだったのか。睨まれてる時から全然威圧感なかったから分かってたけどさ。そんなことを考えていると影分身から情報が入った。サクラが手を上げようとしてるか。はあ…やるか。俺はスっと手を上に上げ、上げた手を机に振り下ろし叩きつけた。

 

「なめんな!!俺は逃げねえ!!例え間違って一生下忍になることになったとしても意地でも周りの奴らを認めさせて火影までのし上がってやるからいい!!どんな問題だろうがかかってこいってばよ!!」

 

 ふう…少し緊張したな。あんまり慣れないことはやるもんじゃないぜ。隣にいたナズナやヒナタ、前にいた多由也はかなり驚いてるな。後ろにいる白やいのの顔はどうなってるのかは分かんねえけどな。

 

「もう一度聞く。人生をかけた選択だ。辞めるなら今だぞ」

 

「まっすぐ自分の言葉は曲げねえ、それが俺の忍道だ!!」

 

 これは言ってみたかったんだよなーなんて。だってこんな注目されてる中で自分の忍道を言うってなんだかロマンを感じるよ。格好つけみたいにはなるけどね。

 

「いい決意だ、ではここに残った全員に第一試験合格を言い渡す!!」

 

 その言葉を聞き受験生はポカンとした顔をしている。いきなり合格とか言われてもねえ。俺は知ってたから別に驚きはしないが。

 

「ちょっと待って下さい!!いきなり合格だなんて、十問目の問題は!?」

 

「ひっひっひ、そんなもんは最初っからないよ。言ってみればさっきの二択が十問目だな」

 

「ちょっと!!じゃあ今までの前九問はなんだったんだ!!まるで無駄じゃないか!!」

 

 テマリが叫んでいる。カンクロウにもらったあれが意味なくなったからってそこまで言う必要もないと思うんだけどな…合格したんだからいいじゃんって思うのは俺だけなのかな。

 

「無駄じゃないさ。九問目までの問題はもう既に目的を遂げているんだからな。君達個人個人の情報収集能力を確かめるという目的をな」

 

 うーんこの後のはあんまり聞いてても意味ないかな。それより次の試験だ。とうとう大蛇丸とやりあうのか…写輪眼を狙って中忍試験なんかに来ないで欲しいもんだね。ん? 写輪眼を持ってるのって…サスケだけじゃなくてナズナも持ってるじゃねえか!?里の方はイタチやシスイがいるからいいけどナズナは思いっきり危険じゃねえか!?なんで今まで気がつかなかったんだ…ナズナはお守りをいつも持ち歩いているみたいだから飛雷神で一瞬で行くことが出来るけど危険な目にあってるかどうかまでは分からねえ。影分身を虫にでも変化させてナズナの様子を見張らせるしかないか…兵糧丸食べてどうにかすればチャクラの方はなんとかなるだろう。出来れば俺達の方に引きつけて五日間ぐらい動けなくさせられればいいんだけど…最悪の事態は想定しておかないといけないからな。やるしかない。そんなことを考えていると…

 

「ねえナルっち。さっきはなんで手を上げてあんなこと言ったの?」

 

 ナズナが小声で話しかけてきた。確かにこいつらからしたら謎の行動か。あんなことしなくても受かるだろうと思っててくれてたみたいだからな。

 

「ああ、あれは第十問目をカンニング出来るように変化させた影分身を後ろで見張らせてたんだけど…サクラが手を上げようとしたみたいでな。それを止めるためにやったんだってばよ」

 

 原作で手を上げようとするのを知ってたからなんて言えないし軽く嘘を混ぜて理由を言った。まあ納得してくれるだろうとは思うんだが。

 

「なるほどね。サクラはナルっちが勉強も出来るって事を知らなかったんだね」

 

「まあ、言ってなかったな。察してくれると思ってたんだけどどうもそうはいかなかったみたいでな」

 

「まあしょうがないよ。でもさっきのセリフ格好良かったよ。なんかナルっちの言葉聞いて勇気が出てきたもん」

 

「そ、そっか。それはよかったってばよ」

 

 なんか照れるな。実際に面と向かって言われるとね。そんなことを考えていると…

 

“バリーン!!”

 

 突然ガラスが割れる音がしたのでそっちを向いてみるとアンコの姿があった。目立ちたがり屋だよな、あの人。だって自分の名前が入った大きな布を全員に見えるように貼り付けてその前に立ってるんだぜ。あれを目立ちたがり屋じゃなかったらなんて呼ぶんだよ。

 

「あんた達!!喜んでる場合じゃないわよ!!あたしは第二試験官のみたらしアンコ。次行くわよ次!!ついてらっしゃい!!」

 

 こんなアホっぽい人だったっけ? もっと普通なイメージだったんだけどさ…

 

「空気読め…」

 

 イビキにそう言われて顔を赤くしている。周り見てから入ってくればこんなことにはならなかったはずだもんな。

 

「八十四人? イビキ、二十八チームも残したわけ? 今回の第一試験甘かったのね」

 

「今回は優秀そうなのが多くてな」

 

「フン、まあいいわ。次の試験で半分以下にしてやるわよ」

 

 半分以下にしてやるってさ…次の試験はどうあがいても半分以下になるようになってるじゃんか!!それにしても八十四人残ったのか。原作より人数多いな。

 

「ああ…ゾクゾクする。詳しい説明は明日、場所を移してするから集合場所とかは各々上忍の先生に聞いておくように。以上、解散」

 

 そうして中忍試験第一試験は終わったのであった…




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