FAIRYTAIL 紺桔梗の道標 作:management
エレンが産まれ早三年、ウィーネとエレン、オシリスは幸せな家庭を築いていた。
オシリスは自身が所属するギルドの仲間、シャグラ、ガゼフ、シュン、セイグラード、ミツと共に、遠い街【ヴァグザラード】別名【スノウシティ】に向かう。
ウィーネに託された青玉のネックレスを身につけ、彼らはクエストを開始した。
オシリス達は依頼主アレックスのご好意に甘えて泊めさせてもらっていた。しかし部屋は一部屋だけなので、窮屈だが皆が同じ部屋で寝ることにした。
ミツに治癒魔法をかけられている中、オシリスはこんな提案を出した。
「なぁ、明日も森に行かないか?」
オシリスの提案に先に反応したのはシュンだった。
シュンは荷物を整えていた手を止め、オシリスに返す。
「なんで?明日はこの街を探索して帰る手筈だろ?」
「いや…やっぱりまだ安心出来ないんだ。モンスターもあれだけで終わるのか…」
「さすがに出ねえだろ…あんなに出たんだぜ?っいつ…」
「あ、すいませんっす」
治療していたガゼフがそう言うが、オシリスはまだ気になっていた。
本当にこれで終わりなのか、と。
首にかけられている青玉のネックレスを握る。
彼女がこれを預けることなど無に等しい。きっと今回は、何かあると見ているに違いない。そう思えて仕方がないのだ。
だからオシリスはこのような提案を出した。
「別に無理はしなくていい。お前達が来なかったら、俺一人でも行く」
「!おいおいオシリス、そりぁ危険だぜ?」
「でもだ。本当に安全かどうか見極めるためだ。すぐに帰ってくるさ」
「そりぁ、聞き捨てならねえな」
シャグラが立ち上がり、オシリスに近づく。
オシリスはいきなりシャグラが立ち上がった事に目を見開き、目を瞬きさせていた。
シャグラはオシリスの目の前に移動し、オシリスの肩を掴む。
「なぁオシリス。お前は俺らがそんなにひ弱に見えるか?」
「……見えないな。少なくとも、他の奴らよりは強いさ」
「だよなぁ。俺と一戦交えたお前なら、俺の力量もわかる。そしてあいつらの力量も、長年一緒にいたお前なら理解できる。そこからわかるだろ?俺らがこのまま、引き下がる訳ないってな」
「……ガゼフ達は乗り気じゃないみたいだが?」
「おいおいオシリス。それは勘違いだぜ」
オシリスの言葉に食ってかかったのはガゼフだった。ガゼフはミツから治療を済ませ、胡座を掻いている。
その屈強な体に胸を張り、笑みを見せた。
「俺は傷を負ってるから明日はやめとけって言ったんだよ。お前だって、万全な体で挑みてえだろ?」
「あれー?ガゼフ君はそんな安っぽい傷で引いちゃうんですかー?随分弱くなりましたねー」
「てめぇシャグラァ!んなわけねえだろ!こんな傷余裕だ余裕!おいオシリス!明日は森に行くぞゴラァ!」
(ちょろい)
シャグラが不敵な笑みを浮かべていたのを知っているのはオシリスと、偶然隣にいたシュンのみだった。
こうして彼らは明日、再度森にはいることに決めた。そのため明日に備えるために今夜は早く寝る事に決め彼らは早い睡眠を取った。
その中でオシリスは手を翳す。
バチリ、と電気が迸り、自分の状態を確認する。
大丈夫。異常は見られない。魔法を使える。
オシリスは嫌な予感がしていた。あの森に、明日に。これも一種の勘と言うべきなのだろうか。兎に角嫌な予感がしていた。
もしかしたら、死ぬかもしれない。そんな不安が過る。
だが死ぬわけにはいかない。愛する者と約束を交わしたのだ。必ず生きて届けると。
オシリスは不安を振り切るように、布団の中に潜り込んだ。
ーー
翌日。
準備を済ませ、多少の傷が残っていても彼らは前日の森に向かった。
ただ確かめるだけ、それだけの調査。これだけの行為である。もしまだモンスターがいれば討伐すればいいだけの話だ。
前日と同じようにオシリスが前列を歩く。ガゼフは自身の魔法道具を構え、いつでも戦闘ができるよう整えた。
シャグラが頭で腕を組み、欠伸をした。
「ふくわぁ…んあー、まだ眠てえな…」
「お前まだ回復してねえんじゃねえか?」
「すみませんっす…さすがに体力は回復できません」
「いいよいいよ、確認するだけだし。オシリスー、まだかー?」
「もう少しだ」
草を掻き分け、昨日の場所にへと向かっていく。
モンスターの声も、音も、気配も何もしない。この時点で察しがつくが、彼らはきちんと自分の目で確かめたかった。
ガゼフは後ろを時々見て、敵が来ないかを確認する。シュンは一度声をかけ、魔法により空に飛んだ。どうやら空から様子を見るらしい。
「……………何もいないけどなぁ…」
上空から見てもモンスターはおらず、至って平和な森である。
もしかしたら、空から見れないだけなのだろうか?しかし一応報告しておこう。とシュンはゆっくりと彼らの元へ降りていく。
シュンが降りてきたのをいち早く察したのはセイグラードだった。
セイグラードはシュンに近づいて聞く。
「シュン、どうだった?」
「上空から見た限りじゃあ、モンスターはいなかったぞ」
「……なぁオシリス、やっぱいないんじゃねえの?さっきから声もしない、音もしない、気配もしないんだぜ?目的地には近いんだろ?だとしたらおかしくねえか?」
「……やめるなら、俺一人でも行く」
「だー!だーかーらー俺も自分の目で見なきゃ気にならんだって!ていうか、お前を一人になんかできるか!」
シャグラは少し顔を赤くして弁解する。
オシリスは本気で一人で行こうとしていたのだが、彼の性格を考えてまた皆で行く事にした。
といっても、もう目的地には着くが。
ーー
目的地にへと着いた一行は自身の目を凝らして辺りを見渡す。モンスターがいないかを細かく見ているのだ。
だが地上から見ても、モンスターは何処にもいない。
「……やっぱり、なんか勘違いだったんだよ」
シャグラが肩を竦めて笑う。
ガゼフも魔法道具を背負って大らかに笑い始めた。
「だはは!勘は良く当たるっていう噂を耳にした事はあるが、どうやらガセだったようだなぁ!」
「まぁ、全ての人間が勘で人生生きていくってのはちょっとねー…」
「でもまぁ、これでモンスターはいないってことが確信できたな」
「街を探索っすね!楽しみっす!」
オシリスを除く彼らはもう次の予定に入り込んでいた。
だがオシリスは彼らの輪に入る事もなく、ただ傾いていた。何かを考える仕草をして。
まず彼が着目したのは地面だった。
自分達が立っている地面、一見普通の地面に見えるが、オシリスの場合は違った。
(……地面が、盛り上がっている)
そう、ほんの僅か、常任でも気づかないほどの地面の盛り上がりができていたのだ。
その事に気付いたのはここに着いた時、オシリスは足から伝わる感触に違和感を覚え、少し立っていたことでこの現象に気付いたのだ。
それにーーー少し、焦げている。
何かが炎で炙ったであろう火の跡が残されているのだ。
だがこのメンバーで火を扱う魔導師などいないし、オシリスは雷を使うので多少焦げることはあるが、このような大きな焦げは作らなかった。
ならこれはなんだ。何故地面が盛り上がっていて、少しだけ焦げている。
オシリスは少し歩き、その疑問を考える。
「おいオシリスー、何やってんだー?」
後ろからシャグラの声が聞こえるが、オシリスには聞こえていないらしく、オシリスはしゃがみこんだ。
盛り上がり焦げているその地面へと、手をつける。
やはり少し熱い。手から伝わる熱に、オシリスは顔を歪ませる。
ここには何かがいたという証拠。
つまり、まだ街には安息する隙はないということ。
しかしそのモンスターがいない今、この場でなんとかすることもできない。
やはり自分でなんとかするしかないのか、とオシリスは振り返る。
シャグラ達はもう帰宅の準備をしていた。が、オシリスは微笑んで言う。
「悪い、俺もうちょっとここ見てから行く」
「はっ?おい、まさかここになんかいるのか?」
「いない。だが、ここに何かがいたのは確定だ」
シャグラが近寄り、オシリスの真下の地面を目を凝らして見つめる。
その点に焦げがあることに気づき、シャグラはオシリスに尋ねた。
「…もし、俺達が街に戻ってたら、お前はどうする気だったんだ?」
「森の奥に行こうとしてたさ。そのモンスターがいれば一石二鳥。その時はその時に対処する」
「……たくっ、お前ってやつは」
呆れ笑いを浮かべたシャグラは、オシリスの頭を小突いた。
いてっ、と少し痛そうに頭をさするオシリスに、シャグラは張り上げる。
「いいか!お前は俺達の『仲間』だ!仲間を頼ってこそ『チーム』!お前は俺達のチームには入ってないけど、仲間なのは変わりねえだろ?なら、俺達を頼れ!一人で解決しようとするなよ、お前は昔っからそうなんだからな」
「シャグラ……」
「おいおい、今度こそ俺の出番だろうなぁ?いつでも準備は出来てるぜ?」
「ガゼフ…」
「また上空から探してこようか?そうすれば、対策は立てられるだろう?」
「シュン…」
「俺の力でどこまで行くのはわからないけど、精一杯やることはするぞ?だ、だから頼ってくれよ!?」
「セイグラード…」
「さすがに応急処置くらいの魔法ですけど、サポートはしますので、頼ってくださいっす!」
「ミツ…」
…オシリスは彼らの顔を見合わせ、静かに、そして呆れた笑みを浮かべた。
長年付き合ってこその『絆』。その絆が築きあっていなければ、今こうしてこの場には立ってはいなかっただろう。
彼が一人でなんとかしようとするときもあった。だがその度に、彼らは、シャグラは止めてくれたではないか。
『仲間』を頼れと。
なら今回は、甘えさせてもらおうではないか。
オシリスはシャグラの目を見る。
シャグラの目は真っ直ぐオシリスを貫いている。その目にオシリスは目を細め、ゆっくりと閉じる。
そして心を落ち着かせ、再度目を開けた。
首元に光る二つの玉が、コトリ、と小さく音を立てる。
さぁ、行こう。
「お前ら、行くぞ!」
「おおおーーーーーーーー」
その時だった。
グ、グガ、ガガガガガガガガゴゴガガゴコガガゴガガガガガガッッッッッ!!!!と、地面を抉るような音が響いた。
オシリス達はバランスを崩し、地面に手をついて体制を立て直す。
なんだ、何が起きた?
理解できないが、何か大変なことが起こったというのはわかる。
そして何か『巨大な何か』が迫ってきていることも。
その時、オシリスは地面が熱を帯びていることに気づく。
この熱の温度は普通じゃ考えられない。このままいったら、火山の温度くらいになるかもしれない。
「皆っ!今すぐこの場から離れろ!」
「なっ、あっつぅ!?」
「地面が、熱いぞ!?」
オシリス達はそう言いながらも走り出す。どうやらあの熱は全てに帯びているのではなく、一定の範囲内に広がっているようだ。
その範囲外に脱出したオシリス達は、すぐに戦闘態勢をとる。
こちらにくる、なにか。
辺りは熱気に包まれ、彼らからじわりと、汗が滲み出る。
だが今は汗を拭き取ることもできない緊張感に見舞われていた。
やがて、轟く。
「……くるっ!」
刹那。
『グォォオオオオオォオオオオオオオオオオオオオオォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!』
大地から這い出てきた、『真っ赤な竜』が、彼らの前に姿を現した。
▪︎現状
オシリス、シャグラ、ガゼフ、シュン、セイグラード、ミツは真っ赤な竜と対峙する。