とらなのVRMMO ~魔法はゲームの中だけなの~【改訂版】 作:戯言紳士
『クロノス様がログインしました。』
俺達が昼食を終え、SLOにログインすると、既に姫とチワワがログインしていて、ソファーでくつろぎながら談笑していたが、すぐに俺達に気付き、話を止めてこちらにやって来た。
これで、すぐにでも狩りに行けるのだが、その前に提案しておきたい事があるので、
「全員揃っているから、すぐに狩りに出掛けれらるが、その前に、このメンバーで三人一組のPTを3組作って、お互いに少し離れたところで、狩りをしようと思う。」
「どうして?」
「そうだよ。みんなで一緒に行動すればいいじゃん!」
「そうなんだけどな。今から行くところは、9人で一緒に狩りをするような敵は出てこないんだ。それに、倒した敵から得られる経験値は、PT全体に割って入るから、PTの人数が多いと、その分自分に振られる数値も少なくなる。ユニオンを組んでやるなら、尚更だな。」
「そういえば、そんな事がサイトに書いてあったで。」
「それで、人数を分けて行動するんですね。」
「そういう事だ。それに最初は少人数で戦闘をした方が、システムに慣れるのも早くなると思う。レベルが1,2の相手に、全員で挑んでも大した経験にはならないからな。」
「確かに、そうね。」
「私達、まだ一度も戦闘してないしね。」
どうやら、なのは達は、3組に分かれて狩りをする事に納得してくれたみたいだ。
「というわけで、姫とチワワには1組ずつ、面倒をみて欲しいんだが、頼めるか?」
これは、姫とチワワ..SLOで戦闘を経験して、それなりにレベルが上がっているプレイヤーがいたから、思いついた事なので、2人の協力は必要不可欠なのだが、
「いいですよ。みんなが危なくなったら、護ればいいんですよね。」
「前もって言って欲しかったけど、私達の同行自体が急でしたし、構いません。」
姫の言う通り、事前に話をしていなかったのだが、2人とも協力してくれるという事で、
「悪いな、助かる。この後で消耗した銃弾や耐久値は、俺がちゃんと補給するから。」
「ありがとうございます。」
「そういう事なら、遠慮なく撃てます。」
「これくらいはな。資源は午前中に見た通り、豊富らしいから、銃弾もコスト0で生産出来るから気にする必要はないぞ。」
これを聞いて、姫の意識が少し遠くの世界に行ってしまったが、2人の協力を得られたので、あとは、グループ分けをするだけだ。
「それじゃあ、姫が戻って来るまでに、なのは達はグループ分けだな。
聞いていたとおり、俺と姫とチワワの3人をPTリーダーにして、そこに2人ずつ入ってもらう事になる。どう組むかは任せるが、前衛と後衛で組んだ方が、6人で組んだ時にも、自分がどう行動すればいいのか、把握しやすくなると思うぞ。」
俺がそう言うと、なのは達は集まって相談を始めた。
ミッドチルダ周辺は、推奨レベル1から。敵の特性さえ把握していればレベル1でも、1人で対処するのも簡単な相手しかいないので、前衛同士で組もうが後衛同士で組もうが、初心者でも問題なく倒せると思う。
だが、将来的に、この6人の固定PTになると思うので、今の内に、午前中語った理想や野望と今の状態との差を実感させて、具体的にどうしていけばいいかを、考えられるようになる事を、俺は望んでいる。
まあ、どんなグループ分けになろうと、危なくなったら助けるので、死に戻りはさせない。
遠くの世界に旅立っていた姫も、こちらの世界に帰ってきたので、こちらは遺恨の残らないように、担当を決める、あみだ籤を作って、なのは達の事を待つことにしよう。
◇◆◇◆◇◆ ◇◆◇◆◇◆
それから数分後に、なのは達のグループ分けも終わり、その間に作ったあみだ籤で出来た3組のPT構成は、以下のようになった。
A:俺+なのは(見習い魔術師 / 見習い僧侶)&フェイト(見習い剣士 / 見習い隠者)
B:姫+アリシア(見習い拳闘士 / 見習い盗賊)&はやて(見習い魔術師 / 見習い踊り子)
C:チワワ+アリサ(見習い騎士 / 見習い僧侶)&すずか(見習い弓兵 / 見習い呪術師)
見て分かるように、前衛と後衛に分れたて組んだようだ。
しかし、姫がアリシアとはやての担当になるとは...、俺達の中で、一番負担が大きいのは姫になるだろう。チワワを2人同時に相手にする感じだからな。
姫には、特別手当として多めに銃弾を渡すとして、さっそく行動を開始するとしよう。
「それじゃあ、街まで戻って、役所で剥ぎ取りナイフを受け取ってから、フィールドに出て、PT毎に狩りを始めていこうか。」
「そういえば、なのは達はキャラメイクを終えて、すぐにここに来たから、必須アイテムを持ってないんですね。」
「その...、剥ぎ取りナイフって必ず持っていないといけないんですか?」
「確か..モンスターを倒しても、剥ぎ取りナイフを突きたてないと、アイテムが入手出来なかったはずだよ。」
「従来のRPGみたいに、倒せばアイテムが手に入るわけやないんやな。」
「そういう事だ。」
フィールドに出るまでの流れを説明して、なのは達が納得したところで、ここに来た時にも使用した、転移の杖を取り出した。
「ちなみになんだけど、刻也も剥ぎ取りナイフは、役所で受け取ったやつを使ってるの?」
「急にどうしたのよ?」
「だって、こんな杖も作れるんだから、性能の高いナイフも作れるんじゃないかなって。」
「確かに、ありえる話だよ!」
「どうなんですか?」
転移の杖を見て疑問に思ったのか、アリシアが突拍子もなく、そんな事を聞いてきた。
そして、他のメンバーも、その内容が気になってしまったようで、
「たしかに、俺は自分で作った剥ぎ取りナイフも持ってるぞ。」
「やっぱり!」
「そのナイフ見せてもらっても良いですか?」
「比較のために、役所で配られるナイフも一緒にお願いします。」
こう答えた地点で、こうなる事はわかっていたので、自作の剥ぎ取りナイフとプレイヤーに配られるナイフをテーブルに並べた。
【アイテム名】 剥ぎ取りナイフ 【分類】 短刀 【品質】 C 【レア度】 5
【物理攻撃】 ― 【魔法攻撃】 ― 【耐久値】 ― / ―
【必要武器レベル】 なし
【付加スキル】 剥ぎ取り
【詳細】倒したモンスターからアイテムを獲得するために必要な短刀。
該当する武器スキルを所有していなくても使用する事が出来る。
【アイテム名】 剥ぎ取りナイフ・極 【分類】 短刀 【品質】 A 【レア度】 10
【物理攻撃】 ― 【魔法攻撃】 ― 【耐久値】 ― / ―
【必要武器レベル】 なし
【付加スキル】 剥ぎ取り レアアイテム発生率+100% 取得数増加+200%
【詳細】倒したモンスターからアイテムを獲得するために必要な短刀。
該当する武器スキルを所有していなくても使用する事が出来る。
「「「「「「「「………。」」」」」」」」
姫とチワワは、自前で鑑定スキルを所有しているので、自分達で鑑定し結果を見て、なのは達ははやてだけが所有しているので、はやてが鑑定した結果を、他のメンバーが覗きこんで見ているのだが、予想通りの反応をしている。
そして、この後に言うであろう言葉も予想している。
「「「「「「「「私(アタシ)も、こっちが欲しい(です)!。」」」」」」」」
まあ、こう言うしかないだろう。俺でも作る術がなく、こんな物を出されたらそう思う。
しかし、残念ながら、
「悪いが、これ1本しか作ってないし、すぐに作るのは無理だ。」
そもそも、アリシアがこんな事を言わなければ、出す事もなかったアイテムだ。
昨日は、アルハザードの内装の変更と装備の確認をしただけなので、当然、人数分のナイフを産しているはずもない。
これを作った日には、なのは達とSLOをやるとは思ってもいなかったし...。
「うぅ。でも、この付加スキルの差は理不尽だよ!」
「チートや!チート!」
そう言われても仕方がないだろう。
最初から生産スキルカンストは、俺もチートだと思った。
しかし、不正ツールを使ったわけでもなく、運営から与えられた能力なので仕方がない。
「仕方ないだろ。近いうちに、お前達にも作ってやるから、少なくとも今日のところは、役所で配られる剥ぎ取りナイフを使ってくれ。この中で、誰か一人だけ使うのも問題だろ?」
「それもそうだけど...。」
「いいじゃない。近いうちに作ってくれるって言ってるんだし。」
「今日は、みんな一緒のやつを使おうよ。」
「そうだね。1人だけ使うのも、じゃあ誰が使うのかって事で、余計に時間もかかるし。」
「じゃあないね。」
「約束だよ!絶対作ってよね!」
「生産スキルのカンストって凄いんだね、......って、ティア!どうしたの?」
「やばいわ。刻也先輩がいるだけで、今までの苦労が全部解消される...。明日以降、この誘惑に勝てそうにないわ。」
また姫が別世界に行きかけていたが、近いうちに作るという事で、この話は終了し、剥ぎ取りナイフをイベントリに戻してから、あらためて転移の杖のスキルを使用して、ミッドチルダまでやってきた。
転移してきた場所から、ミッドチルダの役所までは目と鼻の先なので、すぐに中に入り、なのは達6人は、無事に剥ぎ取りナイフを手に入れた。
◇◆◇◆◇◆ ◇◆◇◆◇◆
「これで準備完了だね!」
「せやな!ようやく、私らの伝説が始まるんや!」
「刻也先輩。あの2人を見てたら、凄く不安になってきたんですけど...。」
役所を出て、今はミッドチルダの北側出口に向かって移動している途中なのだが、戦闘を前に姫が、2人の会話の内容だけで、何かを感じ取ったようだ。非常に素晴らしい感性の持ち主だな。
「まあ、これがチワワの担当だったら、俺も不安だが、姫なら俺は安心して任せられるよ。」
「...その言い方はズルいです。けど、分かりました。やるだけやってみます。」
「頼む。手当は多めに出すから。」
そのあと姫は「別に、手当が目当てじゃありませんが、頂けるのであれば、ありがたく頂戴します。」と言って、少し足取りが軽くなった。
「そうだ!刻也の事だから、武器もすっごいの持ってるんでしょ?」
「アリシアちゃんは懲りないね。」
「そんな事、もう聞くまでもないやろ。」
「見たところで、私達の分まではないわよ。」
「姉さん。このナイフと同じ事の繰り返しだよ。」
アリサとフェイトの言い分は最もで、武器もさっきと同じ事の繰り返しになるだけだし、当然ながら、メンバー分の装備も用意していない。
「それくらい、アタシもわかってるけど、見てみたいじゃん!」
「わかって言ってるならいいけど、見せるだけだからな。」
この調子では、アリシアは見るまで、言い続けるだろうと思い、腰に帯刀していたアイオーンを抜いて見せた。
〈どうした?ようやく戦闘か?〉
「「「「「「「「武器がしゃべった!?」」」」」」」」
しかし、ここで鑑定をする前に、アイオーンがしゃべり出してしまった。
〈ふむ。他にもプレイヤーがいたのか。私としては、マイスターがボッチでなかった事にホッとしているが、見事に女性プレイヤーばかりだな。〉
「うるさい。俺がいつボッチだと言った。そして、こいつらは現実での知り合い達だ。」
〈これは失礼した。私が生まれてから、マイスターは屋敷から出ていなかったので、誤認識してしまっていたようだ。たった今、マイスターの情報を訂正したので、もう大丈夫だ。〉
「あの..私達をおいて、2人?だけで話を続けないで下さい。」
「そうだよ!説明してよ!」
「私も、しゃべる武器を作ってるなんて、想像も出来なかったわ。」
「SLOには、ソーディアンが存在するんやな!」
「流石に、その名称ではないと思うよ。」
「本当に何でもありですね。」
こうなってしまっては仕方がないので、デバイス化という仕様と、同様に、バリアジャケット化という仕様を、移動しながら説明する事にした。
「――― という事らしい。俺も作ってから戦闘をしてないから、今回初めて使う事になる。」
「その仕様といい、武器の性能といい、本当に無茶苦茶ですね。」
「俺もそう思っている。」
「だったら、自重すれば良いんじゃないんですか?」
「せっかく出来るんだから、試してみたいと思うじゃないか。」
「そうだよ!出来るのにやらないのは、もったいないよ!
という事で、今後のアタシ達の装備品は刻也に任せても良いよね?」
「それはちょっと図々しいんじゃないかな?」
「俺は任されてもいいと思っているんだが、それだとお前達のためにもならないと思うから、生産に必要な素材は、自分達で調達するっていうのはどうだ?」
「つまり、装備を作って欲しいなら、素材は私達が用意しろって事ね。」
「そういう事だな。幸い、木材や鉱石類はアルハザードで調達できるから、モンスターから剥ぎ取れる素材が、主になるだろうけど。」
「ちょうどええやん。モンスターを倒せば、経験値が入ってレベルも上がるし、剥ぎ取り作業もやれば素材も集まるやろ。」
「それだったらいいのかな?」
「いいんじゃない?刻也がそう言ってるんだし。」
「刻也さんに甘えさせてもらおうよ。」
という事で、なのは達の装備は、今後、俺が作って強化していく事になった。
「あの..私達も素材渡したら装備を作ってもらえるんですか?」
「なのは達は作って、姫達は作らないって事はないだろ。同じ条件で請け負うぞ。」
「流石、先輩!ありがとうございます!!」
「ありがとうございます!これで、銃弾の数を気にしながら戦闘をする日々から脱出出来ます!」
姫の方がかなり真剣に感謝を言われたが、これでこの件も終わりでいいだろう。
そんな話をしている間に、ミッドチルダの北側出口を通り抜け、今日の狩場となるフィールド"N1"に着いていた。
俺のPTはこの場所で狩りをする事とになるが、姫とチワワのPTはここから西と東に分かれて狩りをする事になっているので、ここで一時の別れになる。
一応、なのはとフェイトの戦闘が落ち着いて安定してきたら、姫とチワワのPTの様子を見に行くと伝えておいたので、一度は全員の戦闘を見る事が出来ると思う。
また、去り際に、なのは達は、どのPTが一番レベルが上がるか勝負!みたいな事を言っていたので、全員のモチベーションはかなり高い状態と言えるだろう。。
さあ、これから本日のメインイベント!狩りの時間の始まりだ!!