とらなのVRMMO ~魔法はゲームの中だけなの~【改訂版】   作:戯言紳士

26 / 62
第15話   6月15日 月曜日③

 

『クロノス様がログインしました。』

 

 

現在の時刻は20時を少し過ぎたくらい。

俺は一度ログアウトしてから、夕食や風呂などを済ませて、再度SLOにログインした。

 

『フレンドのアリサ様から通信です。通話可能ですが、応答しますか?』

 

するとログイン早々、アリサから通信がきた。

 

 フレンドリストを確認すると、夕方には誰もログインしていなかったのだが、現在は全員がログイン状態となっていた。

 とりあえず、アリサの通信に応答すると、表示されたウィンドウの背景にはなのは達が映り込んでいた。どうやら、全員同じ場所にいるらしい。

 

「どうかしたのか?」

 

「刻也がログインしたみたいだから、どこかに行く前に昨日入手した素材と、刻也がログインする前に採掘した鉱石を渡そうと思ってね。」

「それから、ギルドの名前もみんなが揃っている時に決めたいので、連絡させて頂きました。」

「ティア達もエントランスに集まっとるから、刻也さんもはよ来てや。」

 

「わかった。すぐ行くよ。」

 

 アリサからの通信だったが、通信先の相手がすずかになったり、はやてになったりと慌ただしい感じだったが、用件は素材を渡すついでに、ギルドの事も決めてしまいましょうという事だ。

 

全員集まっているという事なので、通信を切り、俺はすぐに自室からエントランスに移動した。

 

 

◇◆◇◆◇◆                                ◇◆◇◆◇◆

 

 

「来たわね。」

「刻也って、平日はいつもこんな時間にログインするの?」

 

「いや、夕方から19時までにログインして、夕飯とかで一旦ログアウトしただけだ。」

「じゃあ、私達と入れ違いになっちゃったんだ。」

「私達は19時10分には全員ログインしてたんですよ。」

 

「それは、タイミングが悪かったな。」

「そうですね。」

 

 本当にすれ違いになってしまったようだ。

 でも、ログアウトに直前で会ったとしても、夕食くらいは食べに落ちただろうな。

 

「まあ、それなら良いわ。じゃあ早速だけど、素材から渡していくわね。私がみんなの分を纏めて持っているから、一度に送るわね。」

 

 そう言って、種類やランクはヴィヴィオ達には劣るが、人数分の武器や防具を作るには十分な量の素材が送られてきた。

 姫とチワワの分が加わっているにしても、昨日でかなりのアイテムを手に入れたんだな。

 

「確かに受け取った。これなら人数分作ってもお釣りが出るな。」

「その分は、先輩がもらっちゃって下さい。」

「私らが持っとっても、店売りするしか使い道があらへんしな。」

「わかった。」

 

 

◇◆◇◆◇◆                                ◇◆◇◆◇◆

 

 

これで、装備素材の件は終わったので、後はギルドの名前の件だが、その前にヴィヴィオ達の事を

話しておいた方が良いだろう。

 

「後の事は刻也に一任するとして、次は私達のギルドの名前を決めるわけだけど...。」

 

「悪い。名前を決める前に、学校の友人を3人、ギルドに入れてやりたいんだが、良いかな?」

 

「先輩のご友人ですか?」

「刻也さんの高校の話って全く聞かなかったけど、」

「ちゃんと友達もおったんやな。」

「3人は男性の方ですか?それとも女性の方?」

 

 はやてが、なんか失礼な事を言っている様な気がするが、すずかの質問に答えるとしよう。

 

「3人とも女性だ。1年前から同じクラスだが良い奴らだぞ。それに今日初めて一緒に行動してみて知ったが、勧誘とか下心で近づいて来るプレイヤーに結構絡まれて来たみたいだ。

 だから、俺らと一緒にいれば、そういったプレイヤーから解放されると思ったんだが...。」

 

「やっぱりそういう人もいるんだね。私は刻也さんの友達だったら安心だし、良いと思うよ。」

「そうだね。私達が刻也さんのお友達の助けになれるなら、賛成だよ。」

「アタシもOK!人数が多い方が楽しいもんね!」

「せやな。その人達と仲良くなれれば、刻也さんの高校生活も自ずと耳に入って来るし。」

「はやてのような動機はアレだけど、刻也の友達だし、そういったプレイヤー達に迷惑かけられてるのなら、断る必要はないと思うわよ。」

「だよね。最初はお互いに気を遣っちゃうかもしれないけど、断る事はないです。」

「アタシも問題なし!その苦労は体験してるからね。先輩の知り合いなら尚更ですよ。」

「ここで私が反対してもね。もちろん、最初から反対何てしませんけど。理由はスバルと一緒で、本当にああいう連中のしつこさには辟易するんですよね。」

 

 3人とも女性だと説明してから、今日の集合場所で目撃し巻き込まれた出来事を話すと、想像通りに、全員がギルド加入を賛成してくれた。

 実例を出す必要もなかったが、昨日始めたばかりのなのは達にも、こういうプレイヤーがいたと言う事を知らせておかないと、嫌な思いをするのはなのは達だからな。

 

 3人がこの後に、ログインしてくるのかは聞いていないので分からないが、現在フレンドリストでログイン状況を確認しても、ログアウト状態だったので、

 

「3人とも、今はログアウト状態だから、明日学校で話して、後日ここに連れてくるよ。」

 

と言って、ヴィヴィオ達のギルド加入の話を終わらせて、本題のギルド名を決める話し合いを開始したのだが...。

 

 

「それじゃあ、あらためてギルド名を決めるわけだけど、実は刻也がログアウト中、採掘しながら私達だけで話し合って、これが良いんじゃないかって名前が決まっちゃったのよね。」

 

 どうやら、俺が夕食を食べて風呂に入っている間に、ギルド名が大方決まってしまったらしい。

 

「そうなのか?」

 

「はい。採掘中の話題が途中からギルド名の事になってしまって、」

「刻也さんのいない状態で、1つに絞り込んじゃった。」

「でも、私らが全員これでええって思っとるやつやから、刻也さんも気に入ると思うで。」

 

「それで、その名前って何なんだ?」

 

 いい加減に、その名前が気になってきたので、誰に対してでもなく全員に聞いた。

 

「「「「「「「「"Little Wish"です(よ)(だよ)(や)!!」」」」」」」」

 

 それに答えるように、全員が声を揃えて"Little Wish"と言ったのは聞き取れた。

 

「Little Wish か。響きは良い感じだけど、意味は何かあるのか?」

 

「えっとね、まず"Little"があたし達を表してるんだよ。」

「それで"Wish"は、SLOや未来に対する私達の希望を表してます。」

「二つを纏めると、希望を抱く若者達のギルドって事よ。」

「どやっ!私らにぴったしな名前やろ?」

「はやてちゃんは、最後までボケ倒してただけだったけどね。」

 

「刻也さん、これでどうでしょうか?」

 

 最後にすずかが不安気に聞いてきた感じだと、この名前の発案者はすずかなのだろう。

 意味もちゃんとしていて、名前の響きも気に入ったので、

 

「俺もこれで良いと思う。というか、これを聞いたら他の名前は浮かばないな。」

「そ..そうですか。ありがとうございます。」

 

「はい!それじゃあ、最後に刻也も賛同したから、私達のギルド名は"Little Wish"で決定ね。」

 

 もっと時間のかかるものだと思っていたが、意外と早くギルド名も決まってたな。

 

「早速、申請してくるか?必要条件を満たしていれば、すぐに結成出来るはずだし。」

 

「その事もねっ?」

「うん。出来たら、刻也の作った装備を身に付けて、全員で申請に行きたいねって。」

「初期装備で行くっていうのも、格好がつかないじゃない。」

 

「要するに、みんな晴れ着を着て、ギルドを始動したいんや。」

 

 全員の意見が一致しているなら、という事で、ギルド名も決まったが、全員分の装備が完成するまでは、申請をしに行かないという事になった。

 

「それじゃあ、俺は今からお前達の装備生産を始めるか。」

「お願いします。刻也先輩。」

 

「私達は、ここのフィールド周辺でレベリングを使用と思います。」

「ちょうどいいレベルのモンスターが出るし、」

「私達だけじゃ、転移の杖を借りても、この場所に戻って来ることは出来ませんから。」

 

 アルハザードをギルドホームに指定すれば、ギルドメンバーになる、なのは達の転移リストに、この場所が追加されるが、現在のなのは達の立ち位置は、俺の客人扱いなので、転移リストには追加されていないので、今遠出すると、ここへ歩いて戻ってこないといけない。

 

「わかった。この辺りになると、状態異常攻撃をしてくる相手も出るから気を付けてな。」

 

「「「「「「はーい!」」」」」」

 

「大丈夫です。まだ、あたし達が来た事のある場所ですから!」

「スバルの御陰で、狩場を転々としてたので、6街以内の場所なら任せて下さい。」

 

 

 自信あり気に言う、2人が付いているなら大丈夫だと思い、俺達は揃ってエントランスから移動し、アルハザードから出て行くメンバーを見送った俺は、工房に入り、黙々とメンバーの装備を生産し始めた。

 

 武器の種類や防具のデザイン、付加して欲しいスキルは、出掛ける前に一通り聞いていたので、悩む必要がなく、思考する時間が省けたので、良いペースで作る事が出来た。

 中には、解析で見た時に、所有していなかった武器スキルの武器を希望するメンバーもいたが、おそらく、今回出掛けてレベルが上がり次第、習得するつもりなのだろう。

 

 

◇◆◇◆◇◆                                ◇◆◇◆◇◆

 

 

そして、作業に没頭する事、約3時間...、時刻は23時になろうとしていた。

 

『フレンドのなのは様から通信です。通話可能ですが、応答しますか?』

 

 防具のデザインを聞いていた、なのは達の装備から先に作っていたため、ヴィヴィオ達の防具は未だ着手していない状態だが、それ以外の装備は作り終わったところで、なのはから通信がきた。

 時間が時間なのでログアウトする事を伝えるものだろう。

 

「あっ、刻也さん。私達、ログアウトしようと思ってるんだけど、刻也さんはどうしますか?」

 

 応答すると、想像していた通りの内容だったので、

 

「俺もキリの良いところだし、すぐにログアウトするよ。」

「わかりました。」

 

 俺がすぐにログアウトすると伝えると、なのはは通信を切ろうとしたので、

 

「それと、」

「まだ、なにかあるの?」

 

「あぁ。一応、全員分の装備が出来たけど、どうする?

 今すぐ渡す事も出来るが、明日で良いなら明日にするぞ?」

 

「......... えぇぇぇーーっ!!もう出来たのっ!?」

 

(どうしたのよ、急に大声上げて。)

(刻也さんがどうかしたの?)

(出来たって、アタシ達の装備?)

 

 流石に、今日中に出来るとは思っていなかったのか、なのはが大声を上げると、少し離れたところにいたメンバーが、なのはに駆け寄ってきた。

 そこで、なのはがみんなに装備が出来た事を伝えると、全員がなのはと同じように声を上げて驚いていた。

 

 生産スキルカンストの実力を甘く見てもらっては困る。

 

「それで、今日渡すか、明日渡すか、どっちにする?」

 

「そんなん愚問や!」

「今日に決まってるよ!」

「明日まで自分を焦らす必要なんてないわ!」

「出来たって聞いちゃったら、もう無理ですよ!」

 

 声を発していないメンバーも、ウィンドウの後ろで頷いていたので、今から持っていくと行って通信を切った。

 

 

◇◆◇◆◇◆                                ◇◆◇◆◇◆

 

 

そして、エントランスに到着すると、全員がキラキラした目で俺の事を見ていたので、早速テーブルの上に、1人1人の装備を一纏めに置いていった。

 

「すごい!すごい!ホントに全員の装備が出来てる!」

「本当に驚きです。結構な数をこの時間で作るなんて...。」

「防具のデザインも再現されてるよ!」

「付加されてるスキルも、言った通りのモノが付いてるわね。」

 

「刻也さん。武器に名前が付いていないのは、どうしてなの?」

 

 一同が、自分の装備の性能を見て、その感想を漏らす中で、なのはが武器に名前が付いていない事に気が付いたようで、その事を聞いてきたので、

 

「デバイス化した武器にはAIが搭載されるっていうのは話しただろ?

 で、AIの名前がそのまま武器名として登録されるから、未設定の状態で渡したんだ。

 これから共にするパートナーの名前は自分達で決めた方がいいだろうと思ってな。」

 

「嬉しいけど、すぐには思い浮かばないわね。」

「そうだね。」

 

 作った装備を渡したところで、俺の役目は終わったので、後はなのは達次第ではあるんだが、どうやら、デバイスに名前を付けてからログアウトする雰囲気のようなので、俺は全員が名前を付け終わるのを、静かに待つことにした。

 

 

 

それから、名前を考える事、約20分。

時刻が23時30分になったところで、ようやく全員がデバイスに名前を付け終わった。

 

その武器を鑑定して表示された名前は結果は以下の通り。

 

 なのは :レイジングハート

 アリシア:トリアイナ

 フェイト:バルディッシュ

 はやて :シュベルトクロイツ

 アリサ :ランペルージ

 すずか :ナイトウォーカー

 スバル :マッハキャリバー

 ティアナ:クロスミラージュ

 

名前の由来を聞くことはしなかったが、何となく所有者に合った名前だと思った。

 

その後、デバイスに名前を付けた事で、渡した装備品が全て装備可能となり、全員が今の装備から渡した装備に替えた姿を披露したところで「どれだけ変わったのか性能を試したい」と複数のメンバーが言いだしたのだが「明日どうなっても知らないわよ」というアリサの一言で、言いだしたメンバーが沈黙し、俺達は揃ってSLOをログアウトした。

 

 

『クロノス様がログアウトしました。』

 

 

ちなみにギルドの申請も、今日はもう遅い時間という事で、明日全員が揃ってから一緒に行くという話になった。

 




※なのは達の戦果報告

【名前】 なのは 【種族】 エルフ族 Lv.10 ⇒ 13
【職業】 魔術師 Lv.1 ⇒ 4 / 僧侶 Lv.1 ⇒ 4
【名前】 フェイト 【種族】 獣人族 Lv.10 ⇒ 13
【職業】 剣士 Lv.1 ⇒ 4 / 隠者 Lv.1 ⇒ 4
【名前】 アリシア 【種族】 獣人族 Lv.10 ⇒ 13
【職業】 拳闘士 Lv.1 ⇒ 4 / 盗賊 Lv.1 ⇒ 4
【名前】 はやて 【種族】 人族 Lv.10 ⇒ 13
【職業】 魔術師 Lv.1 ⇒ 4 / 踊り子 Lv.1 ⇒ 4
【名前】 アリサ 【種族】 人族 Lv.10 ⇒ 13
【職業】 騎士 Lv.1 ⇒ 4 / 僧侶 Lv.1 ⇒ 4
【名前】 すずか 【種族】 魔人族 Lv.10 ⇒ 13
【職業】 弓兵 Lv.1 ⇒ 4 / 呪術師 Lv.1 ⇒ 4
【名前】 スバル 【種族】 ドワーフ族 Lv.14 ⇒ 16
【職業】 拳闘士 Lv.5 ⇒ 7 / 重騎士 Lv.5 ⇒ 7
【名前】 ティアナ 【種族】 人族 Lv.14 ⇒ 16
【職業】 銃士 Lv.5 ⇒ 7 / 幻術師 Lv.5 ⇒ 7

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告