とらなのVRMMO ~魔法はゲームの中だけなの~【改訂版】   作:戯言紳士

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第16話   6月16日 火曜日①

 

「じゃあ、昨日、ギルド申請しに行ったの?」

「リオはちゃんと話聞いてたの?」

「刻也くんが彼女達の装備を作り終えたのは23時過ぎだったんですよ。」

 

「そういう事で、今日中には結成されると思う。」

 

 ヴィヴィオ達3人と初めて行動を共にしたり、自分達で作るギルド名を決めたり、なのは達の武器と防具を作った日から1日が経過し、学校に登校した俺は、ヴィヴィオ達3人が教室に姿を現すと、3人のギルド加入の件を最初に伝え、その後の事を大雑把に伝えた。

 

「それと3人の防具だけど、デザインが決まってると生産時間が短縮出来て楽になるんだが、何か希望はあるか?」

「防具のデザインですか...。」

 

「それって、どんなモノでも再現できるの?」

「少なくとも、俺となのは達の防具は、元ネタがアニメだったりゲームだったりするが再現出来てるから、変なモノじゃない限り、再現できるんじゃないか?」

 

「だったら、着てみたかった服あったんだ!コレなんだけど。」

 

 そう言って、リオが俺に見せたスマートフォンに映っていたのは、春光拳という魔道武術を使う漫画のキャラだった。

 

「リオは、このキャラの衣装が良いって事だな?」

「そう!SLOだってこのキャラみたいな事をしてみたくて、拳闘士と剣士を選んだんだから!」

 

「じゃあ、わたしもその漫画に出る聖王の戦闘服が良いっ!」

「では、私もマイストアーツを駆使して戦う彼女の服装でお願いします。」

 

「わかったよ。」

 

 こうして防具のデザインも決まったが、結局のところ3人とも、同じ漫画に出てくる同チームのコスチュームとなった。

 言われて思い返してみると、希望されたキャラクターの戦闘スタイルと、昨日見た3人のそれぞれの戦闘スタイルは非常に似ていた気もする。

 

 プレイスタイルは自由だが、ここまで3人で合わせてくるとは......。

 

―― き~ん♪ こ~ん♪ か~ん♪ こ~ん♪

 

「もう朝礼の時間か。」

「そうみたいですね。」

「朝だけじゃないけど、最近、時間が経つの早く感じるね。」

「それだけ生活が充実してるって事だよ。」

 

 確かに、何かに夢中になってたりすると、あっという間に時間は経過してるからな。

 

「それじゃあ、先生が来る前にもう一つだけ。」

 

「「「なに(なんでしょうか)?」」」

 

「武器のデバイス化で搭載されるAIには名前を付けられるから、考えておいた方がいいぞ。その名前がそのまま武器の名前として登録されるからな。」

 

 俺がこの事を伝えると、先生が教室に現れて、席に座っていない生徒に着席するようにと注意し、定時連絡を話し始めたのだが、3人はそれを聞き流し、名前を考えているようだった。

 流石に、防具のデザインの下になった漫画には、AIを搭載した武器など存在せず、登場する武器にも固有名称はなかったので、簡単には決まらなかったようだ。

 

 

 それでも、昼休みには3人とも自分の武器の名前を決めたようで、名前はその時になったら教えるという事になり、俺がSLOで3人の装備を作り終えたら、俺から連絡して、昨日の反省を踏まえ、ミッドチルダではなく、S4E2のポータル前で落ち合う事にした。

 

「よしっ!これで、昨日みたいな事は起きないよね。」

「絶対とは言えないけど、遭遇率は低いはずだよ。」

「俺が先に着いていれば、もっと確立は下がるだろ。」

 

「刻也くん。割合は男性プレイヤーよりも少ないかもしれませんが、下心を持つ女性プレイヤーもいる事を忘れないで下さいね。」

「確かにな。でも、俺には最終手段のブラックリストがあるからな。」

「そのシステム、早く正式に実装して欲しいよね。」

「そうだよね。」

 

 このまま、昼休みの残り時間を雑談で過ごしても良かったのだが、決めておきたかった事が、もう1つある。

 

「悪いが最後に1つ。お前達を何時なのは達に紹介するかだが、どうする?

 ギルドの申請をする時に一緒に行くか?」

「まだそれが残っていましたね。」

 

「あたしは、ギルド申請する時に一緒に紹介する形で良いよ。早い方が良いし。」

「わたしもそれで良いよ。時間は刻也の方に合わせるし。」

「私もそれでいいと思いますけど、夕食の時間は決まってしまっているので、出来れば、食後の方が時間に余裕が生まれるので、21時以降が好ましいです。」

 

「わかった。時間の事は全員に伝えておくから、申請は一緒に行く事にしよう。」

 

 3人とも一緒に行く事に反対ではないようなので、時間の調整は俺の方でやる事にして話をまとめ、スマートフォンのメッセージアプリを起動し、なのは達聖祥メンバーと姫&チワワを加えたグループのところに「昨日話した3人を今日紹介する。ギルド申請にも共に行く予定。」と記述して反応を待つ事にした。

 

 関係ないが、メッセージの着信がある度に音が鳴るのが鬱陶しかったので、一切知らせないように設定していたので気が付かなかったが、昨日のログアウト後もなのは達と姫達は遅い時間まで、やりとりをしていたようだ。

 

 

「「「………………。」」」

 

 

「どうした?」

 

 俺がスマートフォンでアプリを起動し、メッセージを送ったのを見て、急に黙り込んでしまった3人を不思議に思い聞いてみたのだが、

 

「どうした?、じゃないよ!」

「刻也がスマフォを、しかもメッセージアプリまでインストールしてるなんて...。」

「水臭いです。やっているなら、どうして私達に教えてくれなかったんですか!」

 

「...おっおぅ。言ってなかったか?」

 

「「「聞いてない(よ)(です)!!!」」」

 

 3人はどうやら、普段スマートフォンを時計代わりにしか使っていなかった俺が、CMなどでもやっているアプリをインストールしていてるばかりか、ちゃんと使っていた事に衝撃を受けて、沈黙状態になっていたらしい。

 理由は失礼極まりないが、自分が同じ年代の高校生に比べても、スマフォを弄る方ではないし、そもそもなのは達に言われなければアプリをインストールしていないどころか、ガラケーでも問題ないと思っている人種なのは自覚しているので、腹を立てる事はなかった。

 

 そんな訳で、言われるがまま3人ともIDを交換して4人のグループが作られたところで、早いかもしれないが、さっき書き込んだ内容に対する返信がないか確認すると、送信から1分も経たない内に、全員から1件ずつ返信がきていた。

 

 全員の返信内容をまとめると、わかったと言う了承と、どうせなら今すぐにでも、このグループに参加させてもいいんじゃないか?というモノだった。

 

「――― という事らしいけど、」

 

「もちろん!」

「するよ!」

「断る理由がありません!」

 

 と言う事らしいので、俺は登録したばかりの3人をグループに招待して、現在のギルドメンバー予定者が全員揃った。

 

 

これで俺の役目は終わり、3人は昼休み終了までアプリ越しではあるが、なのは達と顔合わせ?をし、互いに自己紹介を済ませ、親睦を深める事になった。

 

そして、1つの仕事をやり遂げ、3人は忙しなくスマートフォンを弄っているので、暇になった俺は、今まで考える余裕がなく空いたままになっていた、2枠の召喚モンスターをどうするかを、昼休みが終わるまで、1人で考えていた。

 

 

◇◆◇◆◇◆                                ◇◆◇◆◇◆

 

 

『クロノス様がログインしました。』

 

 

朝・昼休みとそんな事があったりしたが、本日の全ての授業を終えたところで、早々に帰宅した俺はヴィヴィオ達3人の装備を少しでも早く作るため、SLOにログインした。

 

「それじゃあ、早速取り掛かるか。」

「くぅ!」

 

 もはや予兆もなく、久遠が自然に召喚してきてるけど気にせずに、3人分の武器と防具を作るために、俺は久遠と共に工房の中へ入っていった。

 

「久遠は...私が面倒を見ています。」

「あぁ、頼む。」

 

そして、遅れて現れたさくらに久遠を預けて、俺は作業を開始した。

 

 

 

―― 1時間後 ――

 

「これで全部出来たな。ついでに俺の装備の強化もしたけど、そんなに時間は経ってないな。」

「くぅ。」

「お疲れ様でした。」

 

 昨日よりも作る人数が少なく、俺も良く知る漫画のデザインの防具だったので、1時間もかからずに作り終えたので、ついでにアイオーンの槍モードとビットモードの強化もしてしまった。

 それを含めても1時間ほどしか経過せず、時間はまだ17時を少し過ぎたくらいだ。

 

 ヴィヴィオ達3人のログイン状況を確認すると、3人ともログイン状態になっていたので、装備が出来た事を伝える事にした。

 

「―― はい。刻也くんですよね?」

「― シュッ! (なに?刻也からなの?)

(それで、刻也は何だって言ってるの?) ――― ドカンッ!」

「まだ何も言ってないよ。」

 

 代表してコロナに連絡をして、コロナもすぐに応答してくれたのだが、その事に気付いたリオとヴィヴィオの声も僅かながら聞こえている。

 

そして、その前後に戦闘をしているような効果音も聞こえているので、戦闘中だと思い、

 

「そうだけど、今大丈夫か?」

「はい、戦闘中ですが、残り僅かなので、2人に任せても大丈夫です。」

「確かに、戦闘中に通信に気が付くくらいの余裕があるなら大丈夫か。」

 

そもそも余裕がなかったら通信にも応答しないだろうしな...。

と言う事でコロナに3人分の装備が完成した事を伝えた。

 

「わかりました、私達も戦闘が終わり次第S4E2のポータルに向かいます。」

「それじゃあ、俺は先に行って待ってるから。」

「はい。では、失礼します。」

 

 

◇◆◇◆◇◆                                ◇◆◇◆◇◆

 

 

 この言葉を最後に、コロナとの通信が切れた。

 なので俺は、作った装備品をイベントリに収め目的地に転移し、3人が到着するのを待つ事にしたのだが...、ただ待つのは退屈だったので、この場を離れずに出来る、4体目の召喚モンスターを召喚する事にした。

 

「さて、この種族のモンスターもβ版ではお世話になったし、今回も頼りにさせてもらおうか。」

 

 召喚魔法のサモンを使用すると、召喚モンスターの情報が記載されたウィンドウが開き、通常そこから選択して召喚するモンスターを選ぶのだが、新規で召喚する場合は、その最下部の"ENTRY"と表示されているところを選択し、召喚可能なモンスターの種族一覧が、別のウィンドウで表示されるので、そこから召喚したい種族を選択し、名前を付ける必要がある。

 

 この一覧に表示される種族は、召喚士を選択しSLOを始めた段階で5種類ランダムで選ばれ、そこからは、自分が実際に倒した事のある種族が召喚可能な種族だった場合に追加されていく。

 他にも特定のイベントをクリアすると報酬で一覧に追加され召喚する事が可能になる。

 

 ちなみに、さくらの加入の仕方はかなり特殊なケースで、もともとの個体が仲間に加わる事は、β版を含め、さくらが初めてだった。

 

と、初めてモンスターを召喚する見習い召喚士に教えている訳ではないので、さっさと目的のモンスターを召喚してしまおう。

 

 召喚可能なモンスターの一覧から、新しく召喚するモンスターの種族を選択し、あらかじめ決めていた名前を入力した。

 すると、既存のモンスターを召喚する時と同じように、地面に魔法陣が浮かび上がり、そこから1匹、30cmくらいの白い蜘蛛が姿を現した。

 

初期ステータスはこんなモノ感じ。

 

【名前】 アトラ 【種族】 スパイダー Lv.1

生命力(HP)】 21 / 21

精神力(MP)】 29 / 29

筋力値(ATK)】  8

耐久力(DEF)】 10

知力値(INT)】  8

抵抗力(MDF)】 10

敏捷値(AGI)】 12

器用度(DEX)】 16

【所有スキル】

  噛付き 捕縛 回避 索敵 出糸

 

 名前は、クトゥルフ神話に登場する、蜘蛛の神性をもつ架空の神の名前"アトラク=ナクア"から頭の3文字を拝借した。

 基本的に俺のネーミングは、関連しそうな神話や伝承から拝借するか、久遠のように鳴き声だったり、見た目で印象的な特徴があればそれを捩るかそのまま付ける事にしている。

 

そして、アトラを召喚した最大の理由は、所有スキルの1つ【出糸】。

 

【スキル名】 出糸 【スキルタイプ】 Active

【効果】24時間に一度、糸の素材アイテムを作り出す事が出来る。

    スキル所有者の種族とレベルによって、作り出されるアイテムの質と量が変わる。

 

 効果はこのように、糸の素材を生み出す事が出来、強くなっていくほどランクが高くなり、量が増えていくという、生産をする者にとっては神スキルなのである。

 糸の素材は防具、特に甲冑系ではなく衣装系で揃えられている、俺達には強化する際に必要になるアイテムなので、早めに安定して調達出来るようにしておくべき案件だった。

 通常、蜘蛛系のモンスターを討伐しないと糸の素材は手に入らないので、この方法が取れるのは召喚士か、蜘蛛系統をパートナーにしているテイマー職にしか出来ない芸当だ。

 

 β時代にこの方法が使えなければ、生産スキルのカンストは無理だったと思う。

 つまり、今の状況があるのも、蜘蛛系統のモンスターの御陰と言う事だ。

 

 

◇◆◇◆◇◆                                ◇◆◇◆◇◆

 

 

「刻也っ!」

「お待たせしました。」

「近くで戦闘してたから、結構早かったでしょ?」

 

「確かに、もっと待つモノだと思ってた。」

 

 アトラのステータスも確認し終えたところで、タイミング良くヴィヴィオ達3人がやってきたので、早速作った装備を渡すとしよう。

 周囲に、他のプレイヤーの姿はないし、この場で渡せば鑑定で性能を確認した後に、すぐに試す事も出来る。

 それに、この場で戦闘をすれば、呼び出したばかりのアトラも、すぐに1度目のクラスチェンジまで行けるはず。

 

「それじゃあ、渡していくからな。」

 

「「「はーい!」」」

 

 この場にアイテムを陳列する事は出来ないので、個別にアイテムを渡し終えると、3人は受け取ったアイテムを鑑定し性能を確認すると、それぞれ違った反応をしたがお礼を言われ、その後デバイスに名前を付けて、装備を切り換えた。

 

「これが、わたしのパートナー!"セイクリッドハート"」

 

 ヴィヴィオは聖王の戦闘衣装を身に纏い、セイクリッドハートと名付けられたデバイスを鋼拳モードで展開し拳を握り胸の前に構えた。

 

「これかよろしくね。"ブランゼル"」

 

 ヴィヴィオに続き、コロナも魔導人形遣いの衣装を纏い、ブランゼルと名付けたデバイスを短剣モードで展開し胸に抱えた。

 

「これで後は、あたし達次第だからねっ!一緒に頑張っていくよ!"ソルフェージュ"」

 

 最後にリオが、魔道武術士の衣装を纏って、ソルフェージュと名付けたデバイスを、ヴィヴィオとは違った形状の鋼拳モードで展開し拳を前に突き出した。

 

「...よしっ!」

「これでOKだよねっ!」

「良い感じに再現出来たと思います。」

 

「満足したな?それじゃあ次は、新調した装備の性能をモンスター相手に体験してみようか。」

 

「「「はーい。」」」

 

途中から3人が何をしたいのか分かり見守る事にしたが、3人ともやりきって満足したようだったので、早く戦闘しようと促し、ようやく3人は装備を一新しての、俺はアトラを加えての初戦闘を迎える事になった。

 

 

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