とらなのVRMMO ~魔法はゲームの中だけなの~【改訂版】   作:戯言紳士

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第17話   6月16日 火曜日②

 

《召喚モンスター【アトラ】がクラスチェンジの条件を満たしました。ステータス画面からクラス

 チェンジを行って下さい。》

 

 ヴィヴィオ達に作った装備を渡し、前回同様S4E2で出現するモンスター相手に1戦したのだが、3人とも前回の俺と同レベルになっていたので、出現した相手をほぼ1,2撃で倒せるようになっていた。

 ここでも一応性能の上昇は実感できたが、ここのモンスターでは物足りないという事で、現在地からさらに3街分東に移動して、フィールドS4E5まで行く事にした。

 で、その道中に出現するモンスターと戦闘を終えたところで、アトラのレベルが8になり、クラスチェンジが可能になった。

 

 これが、現在の状況である。

 

 今回はヴィヴィオ達がいるので、作業中にモンスターに襲撃される事はそうそうないと思い、移動しながらクラスチェンジの作業を行う事にした。

 

 

今回、アトラのクラスチェンジの候補は2つ。

・"ビックスパイダー"へクラスチェンジすると、筋力値+2, 敏捷値+2, 器用度+2、ステータスが上昇し、【捕食】と【物理耐性上昇[微]】のスキルを習得する。

・"ポイズンスパイダー"へクラスチェンジすると、敏捷値+3, 器用度+3、ステータスが上昇し【毒】と【捕食】のスキルを習得する。

 

 ビックスパイダーとポイズンスパイダーの2種類あるわけだが、すでにアトラの目指す種族は、俺の中で決まっているので、今回はポイズンスパイダーを選択した。

 

【名前】 アトラ 【種族】 スパイダー Lv.8 ⇒ ポイズンスパイダー Lv.1

生命力(HP)】 49 / 49

精神力(MP)】 71 / 71

筋力値(ATK)】 11

耐久力(DEF)】 14

知力値(INT)】 11

抵抗力(MDF)】 14

敏捷値(AGI)】 19 ⇒ 22(↑3)

器用度(DEX)】 23 ⇒ 26(↑3)

【所有スキル】

  噛付き 毒(New!) 捕食(New!) 捕縛 気配遮断 回避 索敵 出糸

 

 

「この前は見ませんでしたが、やはり蜘蛛って生産系のプレイヤーには欠かせないモンスターなんですね。」

「確かに、倒しても取れるか分からないモンスターを相手にするよりも、強くすれば確実に素材が手に入る方がいいもんね。」

 

 アトラが魔法陣に包まれ、クラスチェンジの処理が行われた事で、ヴィヴィオ達の注目が集まり正規版ではすでに共通認識となっている、出糸スキルの生産利用の話になった。

 

「そうだな。それに戦闘でも蜘蛛ならではの動きも出来るし、何かと役に立つ奴だ。」

「それに、プレイヤーが使役してるやつだと、デフォルメされて気持ち悪くないしね。」

 

「そう!そこが一番重要なポイントだよっ!」

 

「リオは、元々蜘蛛が苦手っていうのもあるんですけど、SLOで無数の蜘蛛のモンスターに襲撃されてから、余計苦手になっちゃったんですよ。」

「でも、これくらいの見た目だったら怖くないんだからね!」

 

「そうだったのか。でも、成長(クラスチェンジ)次第で敵と似たような姿にだってなるけどな。」

「ウソでしょっ!」

 

「まあ、今連れて歩いているプレイヤーはいないだろうが、蜘蛛系統の上位種に地縛蜘蛛って言うのがβ版にいてな、そいつの見た目がg「もういいってば!!」......そうか。」

 

どうやら本当に蜘蛛が苦手なようなので、蜘蛛関連の話はここで止めて、目的のフィールドに向けて歩みを早める事にした。

 

 

◇◆◇◆◇◆                                ◇◆◇◆◇◆

 

 

そして移動する事1時間30分。全員が赤兎に騎乗出来れば、この1/3の時間で到着する事が出来ただろうが、目的の場所であるS4E5まで辿り着いた。

 

 この間にも、幾度となくモンスターと遭遇したので、アトラのクラスチェンジ後にさくらが、そして、ついさっき、アトラが2度目のクラスチェンジに至った。

 S4E4のあたりでは、種族レベルが20代後半のモンスターが出現していたので、女神の祝福のスキル効果もあり、大量の経験値が入っているようだ。

 

「無事に着いたのは良かったけど、大分時間が掛かっちゃったね。」

「もう、18時30分を過ぎてるしね。」

「ここでレベリングするのは、また後でという事になりますね。」

 

「確か、ここにもポータルが設置されてるはずだよな?」

「はい。モンスターの強さが上がるのと同じように、方位の合計値が3の倍数のフィールドには、必ずポータルが設置されているはずです。」

 

「それじゃあ、ポータルの捜索をしながら、ここで出てくるモンスターの感じを確かめようよ!」

「19時までにはログアウトしないといけないし、それが限界だね。」

 

 この場の全員の意見が一致したので、一度ログアウトする前に、ここのポータルを登録してからアルハザードに戻り、ログアウトする事にした。

 そして、この場所に辿り着いくまでに、かなり成長したアトラを戻し、少しでも赤兎に経験値を入れる事にした。

 

 

 ―― アクセルスマッシュ! 

 

 オーク・シーフ【生命力】 619 / 4270 ⇒ 0 / 4270

 

 ―― 電光拳!

 

 オーク・ナイト 【生命力】 822 / 5650 ⇒ 0 / 5650

 

 ―― 右腕(アーム)創生(クリエイション)!ギガントナックル!

 

 オーク・メイジ【生命力】 787 / 4980 ⇒ 0 / 4980

 

 

 上から順に、ブーストウェポンとエンチャント・ライトで、武器の攻撃力を上昇させた状態での、ヴィヴィオによる、アッパーカット。

 同じくブーストウェポンとエンチャント・サンダーで、拳に雷を纏わせた状態での、リオによる、右ストレート。

 ゴーレムの右腕のみを創生し、自分の腕に装着した状態で発動した、コロナの左ストレートにより、このフィールドでの初戦闘は幕を閉じた。

 

 出現したモンスターのレベルは30代半ばで、生命力は1フィールド前とは、2倍近く上昇していたが、このフィールドでも3人は問題なく、戦える事が見て取れた。

 

「コロナ~。わたし何かの状態異常にかかってるみたいだから、治して。」

「はーい。ついでに、生命力も回復させようね。」

「あたしもお願い。防具のおかげで大したダメージは受けなかったけど、2,3発もろに喰らっちゃったんだよね。」

 

 ...... と思えたが、どうやら細かなミスがあったみたいだな。

 

「刻也くんは、大丈夫ですか?」

 

 ヴィヴィオとリオを回復させたコロナが、俺も負傷していないか聞いてきたので、

 

「あぁ。状態異常にはなってないし、装飾品の付加したスキルの効果で、生命力や精神力が減ってもすぐに回復するからな。」

「そう言えば、装飾品がありましたね。」

 

「そうだよっ!装飾品!」

「NPCのお店で売ってる商品が酷かったから、装備してもしなくても変わらないと思って、忘れていたけど、」

「刻也の手にかかれば、上質のスキルが付加されたやつが装備出来るじゃん!」

 

 コロナに大丈夫だと告げたのだが、生産ではなく、NPCの店やダンジョンで手に入る装備で、やりくりをしているプレイヤーには関心の薄い、装飾品の話題が持ち上がった。

 

「確かに、店で売ってるものより良いモノは出来るし、宝石類もアルハザードで採掘出来るから、出費なしで作る事が出来るが、今回は武器と防具しか作ってないから、また今度だな。」

 

「今のままでも、問題ありませんしね。」

「それに、装備に頼り過ぎないようにしないと、わたし達自身が強くなれないよ!」

「そうだねっ!今は、装備の御陰でこのフィールドでも、問題なく戦えるんだし、次はあたし達がプレイヤースキルを鍛える番だよね!」

 

 アリシアやチワワだったら、ここで「すぐに作って!」と言いだすところだが、ヴィヴィオ達は現在の装備に振り回されないように、己を鍛えると言った。

 

「好きに装備を作ってる俺が言うのも何だが、良い心構えだな。」

 

「それはそれで良いんじゃないでしょうか?」

「それに、刻也って現実でも鍛えてるし、装備に振り回されてるって感じはしてないよ。」

「あたし達、ここじゃないと、こんな感じに動けないもんね。刻也は自分の力に見合った装備だけど、あたし達はまだまだだから、頑張らないと!」

 

「いや。俺もまだまだ未熟な身だからな、3人の心構えを見習って、アイオーンに見合うプレイヤーになるように頑張るよ。」

 

こうして、俺達は気構えを新たにポータルの捜索を再開し、それから10分後、無事にこのフィールドに設置されたポータルを発見し登録をする事が出来た。

 

 

◇◆◇◆◇◆                                ◇◆◇◆◇◆

 

 

そして、ポータルを登録後、俺達はアルハザードに転移で戻って、この後の予定を確認してから、ログアウトする事にした。

 

「今日はここでログアウトするんだよね?」

「そうですよ。それで21時にまたログインして、」

「その後は、みんなで一緒にギルドの申請に行くんだよ。」

 

 昼休みのやりとりで決まった事なのだろう。

 

 俺は3人を"LIME"のグループに加えてから、アトラともう1体召喚しようと思っている召喚モンスターの事を考え、その後のやりとりを見ていなかったので、知らない事だった。

 これからは、返信するしないに限らず、ギルドメンバーで構成されているグループのやりとりはこまめに目を通す事にしよう。

 

「じゃあ、あたし達はこれで一旦ログアウトするけど、刻也も時間に遅れないようにね。」

「わかった。3人も遅れないようにな。」

 

「「「はーい。」」」

 

 こうして、3人はログアウトし姿を消した。

 

 1人残った俺は、ログアウト前にポータル解放までに上がったレベルを確認し、取得したSPを消費して、新しいスキルを習得してから、SLOからログアウトしたのだった。

 

 

『クロノス様がログアウトしました。』

 

 

◇◆◇◆◇◆                                ◇◆◇◆◇◆

 

 

Another Story ~ 刻也とヴィヴィオ達を目撃した、S4E5を狩場にしていたプレイヤー ~

 

「………………。」

 

「シグナム、どうかしたの?」

「ここのモンスターも物足りなくなってきたとか、思ってるんじゃないでしょうね?」

 

「リインさんも、シャマルさんも違うと思います。おそらく、シグナムさんは、さっき見かけたプレイヤーの事が気になっているんじゃないかと。」

 

「流石はアインハルト。お前なら、私と同じように気になっていると思っていた。」

「いえ...、その、恐縮です。」

 

 

「それで?強者と戦う事にしか興味のないシグナムは、何が気になっているのかしら?」

 

「その言い方には語弊があるが、その4人の中に、現実でも相当強いと感じるヤツがいてな。」

「モンスターを使役していた男性のプレイヤーですよね?」

「そうだ。」

 

「確かに、遠目からだったが、他のプレイヤーが連れていないようなモンスターを連れていたし、他の者とはどこか違って見えたけど、シグナムが気にする程だったの?」

 

「私と同様に、現実で武道を修めているアインハルトも気付いていたのだから、間違いない。」

「私は本当に少し気になった程度なので。」

 

 

「何にせよ、大学でもことごとく男を振りまくって、一部では女性にしか興味がない同性愛者なんじゃないかとも言われているシグナムが、強そうだったからという理由でも、男に興味を示したんだから、嬉しい事じゃない。」

 

「ちょっと待て。同性愛者と言われているのも初耳だし、その言い方では、私が邪な気持ちでさっきのプレイヤーの事を見ていたみたいじゃないか。」

 

「でも、そうよね。私とリインなんて、シグナムが囲ってる愛人だって言われてるし、良い傾向だと思うわ。」

「だろう。自分より弱い男に興味などないといって、何人の男を斬り捨てたか分からないシグナムが自分から興味をしめしたのだ。」

 

「ちょっ...、お前らは私の声が聞こえていないのかっ!!」

 

「名前は...分からないわね。」

「そうだな。だが、4人ともハンドメイドの防具を身に付けていたから、次に見かければ私達でも気付けるだろう。」

「あぁ~ん。こんな事なら、私もはっきりと見ておくんだったわ。」

 

 

「......アインハルト。」

「はっ、はい!」

「この2人に、決闘を承諾させるにはどうすれば良いか、教えてくれないか?」

「えっと...、その..SLOのシステム上、不可能だと思います。」

 

「では、私のこの感情はどうすればいい?」

「...あそこに出現したモンスターにぶつけると言うのは、どうでしょうか?」

 

「あの程度で、気が晴れるとは思えんが、今はそれしかなさそうだな。

 2人には明日、直接、制裁する事にしよう。」

 

―― ビクッ!

―― ビクッ!

 

「フッ。アインハルトには悪いが、憂さ晴らしに付き合ってもらうぞ!」

「はっ、はい!お供いたします。」

 

 

「シグナム!ちょっと待って。」

「これは、その...アレだ。ちょっとした冗談と言うか、シグナムの事を思ってのことで...。」

 

「黙れ。」

 

「「......はい。」」

 

その後、修羅と化したシグナムの憂さ晴らしは2時間ほど続き、「このくらいで終わりにしてやるか。」とシグナムが締めくくりログアウトし、終了した。

 

「本気で怖かったわ。」

「ちょっと揶揄っただけでこれだと、シグナムにいい人が出来るのは、当分先かな。」

 

「シャマルさんも、リインさんも、懲りませんね。」

 

「シグナムとは長い付き合いだからな。」

「そうね。それに、恋人とか関係なく、一度、アインハルトちゃんとシグナムが気になったって言うプレイヤーに会ってみたいわ。」

 

「ですから、私は本当に少し気になった程度で...。」

 

「大丈夫ですよ。アインハルトちゃんの事もちゃんと応援しますから♪」

 

「...シグナムさんの気持ちが少し分った気がします。」

 

こんな会話をしながらも、このフィールドを狩場にしていた女子大生4人組と、刻也が出会うのは、もうしばらく先の話になる。

 




※フィールド"S4E2"~"S4E5"までの戦果報告
・プレイヤー
【名前】 クロノス 【種族】 人族 Lv.23 ⇒ 27
【職業】 召喚士 Lv.14 ⇒ 18 / 盗賊 Lv.14 ⇒ 18
【名前】 ヴィヴィオ 【種族】 人族 Lv.20 ⇒ 25
【職業】 騎士 Lv.11 ⇒ 16 / 拳闘士 Lv.11 ⇒ 16
【名前】 コロナ 【種族】 エルフ族 Lv.20 ⇒ 25
【職業】 人形遣い Lv.11 ⇒ 16 / 僧侶 Lv.11 ⇒ 16
【名前】 リオ 【種族】 獣人族 Lv.20 ⇒ 25
【職業】 拳闘士 Lv.11 ⇒ 16 / 剣士 Lv.11 ⇒ 16

・召喚モンスター
【名前】 久遠 【種族】 妖狐(五尾) Lv.5 ⇒ 9
【名前】 赤兎 【種族】 ウィザードホース Lv.1 ⇒ 2
【名前】 さくら 【種族】 下級吸血鬼 Lv.8 ⇒ 吸血鬼 Lv.3 / 人狼 Lv.8 ⇒ 臣狼 Lv.3
【名前】 アトラ 【種族】 スパイダー Lv.1 ⇒ 女郎蜘蛛 Lv.1

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