とらなのVRMMO ~魔法はゲームの中だけなの~【改訂版】 作:戯言紳士
『クロノス様がログインしました。』
一度、ログアウトした俺は、昨日と同じ時間帯に再びログインした。
『フレンドのティアナ様から通信です。通話可能ですが、応答しますか?』
ここも、前日と同じ。相手がアリサから姫に変わっただけだ。
「ログイン早々に失礼します。一応、刻也先輩には直接言った方が ――― 」
応答してから始まった姫の話を要約すると、長い付き合いから「俺がLIMEで決まった事を知らないんじゃないか」という話が、なのはと姫達の中で浮上したようで、俺がログインしてきたら、今日の予定...ヴィヴィオ達と顔合わせをしてから、ギルドの申請に行く時間を伝えよう、と
いう事になり、代表として姫が連絡をしたという事らしい。
まあ、実際に俺はLIMEの中での会話を見ていなかったので、姫達の考えは当たってたのだが、ヴィヴィオ達からログアウト前に集まる時間は聞いていたので、既に知っている事だった。
ただ、それを指摘する事もなく、より詳細な事まで説明する姫の話をただ聞いていた。
「――― と言う事なので、私達は少し離れたところでレベリングをしているので、20時50分頃になったら、そちらに戻ります。」
「わかった。気を付けてな。」
「はい。それでは、失礼します。」
こうして、姫は言うべきことを言い終えて通信を切った。
ウィンドウには映っていなかったが、戦闘している感じの音が聞こえていたので、他のメンバーは戦闘中だったのだろう。
それでは、俺も全員で行動する時間になるまでに、2階の改装作業と機械工のスキルを使用した5体目の召喚モンスターの召喚をしようかな。
機械工は、正規版になってから搭載されたスキルなので、俺も把握していないところが多々あるので色々試してみたい。
それに、ちらっと説明を見たらサポート型もいるようなので、5体同時に召喚出来るようになった時に、サポート要員、つまりフルバック役は欲しかった。
召喚士というジョブを忠実にロールプレイングするなら、フルバックは本来俺の役割だが、前線で戦闘をしたいので、ある意味俺の代役と言えるかもしれないな。
では、時間も限られているので、早速作業開始だ!!
◇◆◇◆◇◆ ◇◆◇◆◇◆
『アルハザード2階の内装の変更が完了しました。』
「わたしの歌が少しでも、お兄様の力になれるように!」
「お姉ちゃんみたいに歌は歌えないけど、お兄ちゃんの為に頑張ります!」
「.........あぁ。頼むよ。」
とりあえず、時間内に予定していた作業はすべて完了した。
2階の改装は、月曜日にも作業をしていた事だったので、それほど時間もかからなかった。
そして、機械工で先ほど挨拶をした召喚モンスターの核となるアイテムを作り、そのアイテムを使用し召喚したところ、説明文では1体だけと記述されていたのだが、何故か2体召喚されて出てきた。
おそらくバグだと思うので、後でこの件を運営に報告する事にし、どういった対応をされるのかはわからないが、2体一緒に召喚されてしまった以上、キャンセルする術はないので、通常の召喚とは順番が逆になってしまったが、名前を付けるためにリストを開いたのだが、これもバグなのか2体の名前はすでに決まっていた。
最初に登場した方の名前は"フィアッセ"。一緒に表示されたステータスはこんな感じだった。
【名前】 フィアッセ 【種族】 AS-30・スゥーティ Lv.1
【
【
【
【
【
【
【
【
【所有スキル】
歌唱 闇魔法 飛行 識別 調理
色々と言いたい事があるが、次に登場した"知佳"のステータスも先に見ておきたい。
【名前】
【
【
【
【
【
【
【
【
【所有スキル】
回復魔法 光魔法 飛行 識別 調理
まあ、ステータス自体は、他の召喚モンスターを召喚したばかりの時と変わりないので、問題ないだろう。
元々同じタイプを召喚しようとしていたので、現段階で所有しているスキルが被り気味なのも、仕方がない事だと思う。
背中からは小さな翼も生えているので、飛行スキルがついていても不思議ではない。
次に、種族の前についている"AS-30"とか"TE-01"というのは、フィアッセと知佳の識別番号だと思う。
実は今回の召喚では、機械人間..所謂アンドロイドの召喚を試みたので、この番号がアンドロイドである事を意味していると思うのだが、真相は分らない。
勝手に付いた名前も、文字化けや訳の分からない名前ではないので、このままで良いだろう。
つまり、俺はステータスに関して何か言いたいわけではなく、この2体の言動及び容姿に物申したいのだ。
本来ならば、1つの核で成人クラスのアンドロイドが1体召喚されるのが原則になっているためか、1つの核で2体出現してしまった2体の容姿は、成人クラスとは程遠い小学生低学年サイズで召喚されてしまっている。
変化した久遠の姿よりは年齢設定が高いが、この娘達を引き連れて、なのは達の前にいった場合なんと言われるか、容易に想像が出来る。
「お兄様。どうかしたの?」
「わたし達に、なにか問題でもありましたか?」
さらに問題なのがコレ。
容姿が影響しているのか、俺の事を"お兄様"、"お兄ちゃん"と呼ぶフィアッセと知佳。
まあ、この状態で"ご主人様"とか"マスター"と呼ばれても、それはそれで問題だが、色々とアウトな発言に違いないので、どうしようもないのだが、現実なら社会的に抹殺されかねない。
「いや、ステータスもちゃんとしてるし、問題はないぞ。」
2人がクラスチェンジをする事で、こうなっている原因の数値が正常値に戻り、容姿が成長する可能性があるが、果たしてそこに期待して良いのだろうか?
運営への報告でもどうにかなるかもしれないが...、
「「?(クイッ)」」
あぁ...うん。このままでも問題ないかな。
きっと、戦場で数値的な癒しではなく、精神的な癒しもしてくれると、2人同時に首を傾げる動作を見て悟った。
もう、運営にも報告しなくても良いんじゃないかな。
という事で、俺はアンドロイドの召喚とは、こういうモノだったという事で受け止めたが、この後は、ギルドの申請などで、レベルを上げる機会があるか分からないと言うのと、俺がどう受け止めようが、2体を見れば、アリシアやはやて辺りが騒ぎ立てるのは間違いないので、今日のところは召喚だけで、フィアッセと知佳はこれで帰還させる事にした。
「バイバイ。また、呼んでよね♪」
「いつでも、どんな状況でも待ってます!」
「流石にいきなり酷な状況下で呼ぶような事はないが、これからよろしくな。」
「「はーい♪」」
最後にこのようなやりとりをして、フィアッセと知佳は光に包まれ、姿を消した。
◇◆◇◆◇◆ ◇◆◇◆◇◆
そして、気付けば、姫達が帰って来ると言った時間を少し過ぎていたので、俺は工房を出て、エントランスへ向かって歩き始めたのだが、
ガヤガヤ ガヤガヤ ガヤガヤ ガヤガヤ ガヤガヤ
工房から自室へ。自室からエントランスへ続く廊下に出たところで、なのは達の声に混じり、ヴィヴィオ達の声も含んだ話し声が聞こえてきた。
予定していた時間よりも少し早いが、すでに俺を除くメンバーがエントランスに集まっているようだ。
「あっ!刻也さん。」
「時間には遅れてないけど、遅いよ!」
「もう、自己紹介とか済ませちゃったわよ。」
声が聞こえてから、大した距離ではないがエントランスまで駆けて移動し、中の様子を見たのだが、すでに和気藹々とした雰囲気で打ち解けていた。
昼休みに文字のみとは言え接触していたからか、それとも互いの波長が合ったのか、俺が間に入り、あらためて紹介する必要は全くなさそうだった。
「でも、翠屋で何度か見た事ある人達が、刻也さんの同級生だったなんて気づきませんでした。」
「それは、あたし達もだよ。」
「日曜日に、刻也とすずかちゃん達が一緒にいるのを見てなかったら、まずこんな感じになってなかったと思うよ!」
確かに、月曜日に言われなければ、こんなすぐにヴィヴィオ達と行動を共にする事はなかっただろうし、ギルドの申請時にこの場にいる事もなかっただろう。
「これで、刻也さんの高校までの女性関係者が集合したわけやろ?」
「確かにそうね。」
「SLOを始めて、初めて中学や高校での刻也さんの交友関係を知ったよね。」
「そう言えばそうだね。」
「刻也さん、お話は聞いてくれるけど、自分の話はあんまりしないから。」
「これだけでも、SLOを始めて良かったって思えるよね。」
何故だろう。否定するような事でもないし、悪い事をしたわけでもないのに、この若干居心地が悪い感じは。
「でも、こうして見ていると、みんな共通して、綺麗で可愛い娘だよね。」
「スバルのそういう空気を読まないで直球に言うところ、凄いと思うけど、ヴィヴィオさん達は年上なんだから、私達と一括りにするのは失礼よ。」
「あたし達は全然構わないけどね。」
「みなさんが可愛らしいと言うのは事実ですから。そこに私達も加われるなんて光栄ですよ。」
「そうそう。今日からは同じギルドのメンバーになるんだし、堅苦しい事は言いっこなし!」
「だってさ、ティア。」
「だからって、最低限の礼儀は弁えなさい。私達が進学したら、現実でも先輩になるんだから。」
「あっ!そっか!先輩含め、これからのご指導御鞭撻、よろしくお願いします。」
そんな居心地の悪さを感じ始めてすぐに、チワワの御陰で話の方向がガラリと変わったので、それに乗っかる事にした。
「そう言うって事は、お前達、風芽丘高校を受験するのか?」
「そうです!」
「やっぱ、近いところが良いですし「刻也くんがいるから?」...えっ!?」
「そうです!先輩が卒業してからの学校も楽しかったけど、やっぱり先輩がいた1年の時が一番思い出に残ってるので、ティアと一緒に風芽丘高校を受験する事にしました!」
「ちょ...、そこまで言う必要はないでしょうが!」
「だそうですよ、刻也くん?」
「そうみたいだな。来年はまた騒がしい学校生活になりそうだ。」
「それだけなの?」
「ん?もちろん、お前達も巻き込むからな。傍観者には絶対にさせない。」
「おぉー!これで、学校に行く楽しみがまた増えたねっ!」
正直、チワワの言葉は非常に嬉しかったが、そんな事を直接言うようなキャラでもないので、自分の胸の内に秘め、大分先の話になるが、来年の春、チワワと姫を迎えるのが楽しみになった。
「聖祥ってエスカレーターで上がっていくけど、希望すれば他校の受験って出来たわよね?」
「出来たはずだよ。」
「少ないけど、毎年何人かはそういう人がいるみたいだね。」
「ここは、私らも風芽丘高校を受験して、来年みんなで登校するって展開になるんやな。」
一方、聖祥に通うメンバーがチワワの風芽丘高校受験の話を聞いて、このような話をしていた事を、俺は来年の春、チワワと姫を迎え入れた時に、知らされる事になった。
◇◆◇◆◇◆ ◇◆◇◆◇◆
そんな話をして、時間を気にせずに話し込んでしまい、ミッドチルダの役所にギルド申請をしに
行ったのは、予定よりも1時間遅れ、22時になってしまった。
「皆様、お久ぶりです。私の事を覚えていますか?」
全員で役所に入ると、キャラメイクをしていた時にオペレーターをしていた人が受付にいた。
「もちろん覚えてますよ。最後に素晴らしいモノを、さらっと渡されて跳ばされましたから。
名前はエイミィさんですよね。」
「あはは...。あの時は、私もクロノス様にどう説明して良いのか分からなかったもので。
大変失礼致しました。後ろの皆様を含めて、ご活用して頂いているみたいで、幸いです。」
その後も、役所の受付に立つエイミィさんと2,3言葉を交わしたところで、時間も想定していた時間よりも遅くなってしまっているので、話を打ち切り、エイミィさんにここに来た目的を告げ、ギルドの申請を受領してもらう事にした。
「失礼いたしました。それでは、こちらのウィンドウにギルド申請に必要な項目が表示されているので、空欄の部分に記述して下さい。
また、ギルドホームの欄は、こちらが貸し出せる家の名前がすでに記述されていますが、すでに用意している場合はその名前に変更を、不要という場合は不要と記述しなおして下さい。
その他、質問があれば、なんでも聞いて下さい。」
そう言われて、俺は目の前のウィンドウに表示されたから、申請に必要な項目の空欄部分を埋めていった。
【ギルド名】 Little Wish
【ギルドホーム】 アルハザード
【ギルドマスター】 クロノス
【サブギルドマスター】 アリサ, ティアナ
【ギルドメンバー】12名
クロノス, なのは, フェイト, アリシア, はやて, アリサ, すずか, スバル, ティアナ, ヴィヴィオ, コロナ, リオ
これで申請に必要な項目は埋めたので、なのは達にも念のため確認させてから、ウィンドウの最下部に表示されていたOKというボタンを押下した。
「...はい。ギルド名の重複もなく、ギルドホームに指定された場所の確認が出来ましたので、今この瞬間に、新たなギルド"Little Wish"が結成されました。」
『クロノス様は、新生ギルド"Little Wish"のギルドマスターに就任しました。』
「おめでとうございます。これでギルド申請の手続きは終了です。
今後の皆様のご活躍に期待しています。」
「「「「「「「「「「「「ありがとうございました。」」」」」」」」」」」」
こうして、無事にギルドの申請も終わり、手続きをしてくれた運営のエイミィさんにお礼を言って、俺達は役所を後に、ギルドホームにも設定したアルハザードへ戻り、近くのフィールドで軽く戦闘をして、お互いに現在の戦闘スタイルを把握したところで、時刻が23時近くになったので、今日はここまでという事になり、俺達は揃ってログアウトする事にした。
『クロノス様がログアウトしました。』
その際に「平日は学校があり時間も合わないので、休日になったらどこか、みんなで平日では行けない所行きたいね。」と言う話が持ち上がり、何処に行くのかは決まってはいないが、土日の両方かどちらかで、お互いに時間を合わせて、何処かに行く事が決まった。