とらなのVRMMO ~魔法はゲームの中だけなの~【改訂版】   作:戯言紳士

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第21話   6月17日 水曜日③

 

「あっ!刻也、お帰り!」

 

「悪い、戦闘後に召喚モンスターンのクラスチェンジがあって、少し時間がかかった。」

「大丈夫ですよ。」

「そうね。話している間に来たし、待ったって感じじゃないわ。」

 

 アルハザードに戻り、エントランスに入ると、アリシアが俺を発見し、少々予定より遅れた事を謝罪したのだが、どうやら、その辺りは緩いらしい。

 実際に、ロビーまで喋り声が聞こえていたので、ただ待っていたわけではなさそうなので、社交辞令という事でもないだろう。

 

「あれ?今日は久遠ちゃんとか連れてないの?」

「さっきまで召喚してたけど、後はポータル巡りだけだと思って還したんだ。」

「そうなんだ。」

 

「別に連れて歩いてもいいし、呼んでほしいなら呼ぶけど?」

「大丈夫。ただ、召喚モンスターを連れてない時もあるんだなって思っただけだから。」

「確かに、刻也くんの肩には久遠ちゃんがいるって印象があります。」

 

「まあ、久遠とさくらは俺が呼ばなくても、何故だか自分で出てこれるからな。ブースト・サモンが使えるようになってからは、何故か強化された状態で出てくるし。」

「不思議だねぇ。」

 

 

―― パンッ! パンッ!

 

 

「刻也も、ヴィヴィオさん達も話したい事があるのは分かるけど、先にみんなが登録しているポータルを巡りに行きましょう。」

 

 そして、気付けば話し込んでいたようで、アリサの指摘がなければ、しばらくは雑談に時間を費やしてしまう所だった。

 一緒に行動している分には、必要以上の事はあまり話す事もないが、夕方から今の時間まで行動を共にしなかっただけで、どうでも良い事まで話題になってしまうのが、本当に不思議だ。

 

 俺はともかく、知り合って間もない年上のヴィヴィオ達も含んで、指摘したアリサに、心の中で感心して、本来の目的である、ポータル巡りへと向かう事にしよう。

 

「それと、刻也。」

「まだ、何かあるのか?」

 

「そんな顔しなくても良いわよ。」

「ただ、私達の分まで、この杖を作ってくれた事のお礼を言いたいだけですから。」

 

「今回の提案やて、刻也さんがこの杖を用意してくれんかったら、起きんかったで。」

 

「そうそう。ポータルって登録しても、転移出来ないと、ただの休憩所としてしか使えないし、」

「刻也が転移の杖を作ってくれたから、私達の行動範囲が広がって、」

「移動時間が短縮出来て、レベルを上げる時間がいっぱい取れるようになったんだから。」

 

 アリサが呼び止めた後に、聖祥組がそのチームワークを発揮して、全員でフォローを入れてきたのだが、そこまで、違い表情をしたのだろうか?

 

「先輩の悪い癖、まだ治ってなかったんだね。」

 

「どういう事だ?」

 

「私も刻也先輩の事を言えないんですけど、刻也先輩の場合、どうでも良い事に限って、色々と考え過ぎです。」

「今だって、自分の行動で、なのはちゃん達がアリサちゃんのフォローしてるんじゃないかって思ったでしょ?」

 

「確かに思ったが、何故チワワにまでそれが分かるんだ。」

 

「それは、みんな、刻也の事をよく見てるって事でしょ。」

「あたしだって、ヴィヴィオやコロナはもちろん、刻也の事も、それなりに見て分かるもん。」

「そういう事です。刻也くんは、素直に、私達からの感謝の言葉を受け止めて下さい。」

 

 どうすれば1日で、この結束力が出来上がるのかが分からないが、彼女達から言わせれば、こう思う事自体が、俺の悪い癖なのだろう。

 とりあえず、今は言われた通り、余計な事を考えずに、彼女達の言葉をそのまま受け止めよう。

 

「そういう事だから、刻也は気にせず受け取りなさない。」

 

「「「「「「「「「「「ありがとう(ございました)!」」」」」」」」」」」

 

「どういたしまして。」

 

 正面から、この人数にお礼を言われ、少々小恥ずかしいが、素直に言葉を受け取り、まずは、姫とスバルの先導で、ミッドチルダから3街離れたところに設置されたポータルから巡り始めた。

 

 

◇◆◇◆◇◆                                ◇◆◇◆◇◆

 

 

「これで、私達が登録してあるポータルは終わりです。」

「先週回った所だから、6街以上離れたところを全部、とは行かなかったけどね。」

 

「それでも十分だろ。俺となのは達に限っては、登録してないポータルばかりだったし。」

 

「むしろ、刻也は登録してなさすぎでしょ。」

「折角、何度でも転移できる方法があるのに、勿体ないよ。」

「優先させる事があったとはいえ、3街以内のポータルは一通り、登録しているモノだと思ってました。」

 

 確かに、先週の大半は、拠点作りと生産素材集めに集中していたし、週末はなのは達がSLOを始めて、今週に入ってからは、ヴィヴィオ達と行動を共にする事が多かったから、普通にプレイしているプレイヤーより、レベルに反して、極端に少なかっただろう。

 

 今日に至っては、一ヶ所から動かず、淡々と敵を倒し続けていただけだからな。

 

「まあ、第2回目を開催する時は、刻也に期待しようよ。」

「そうね。今日の事で、刻也も色んな場所を放浪するだろうし、1人で行動する分には、赤兎がいるし、私達とは移動速度が違うでしょうしね。」

 

 今日でカンナを含め、俺の召喚出来るモンスター達であれば、9街程度離れたフィールドでも、初見の敵でも多少時間はかかるかもしれないが、問題なく敵を倒す事は出来ると確信を持てたので、言われずとも、色んな場所を巡るつもりなので、

 

「任せておけ。」

 

 と、短く簡潔に返答をした。

 

「おぉ!これは期待できそうだよ!」

「先輩が本気になったら、どこまで行けるか気になるよね!」

 

 

「では、刻也先輩には、次回活躍してもらうとして、」

 

「次は、私達の出番だね。」

「それじゃあ、ティアちゃんに引き続き、まだ登録が済んでない、6街分離れたポータルから巡って行こうか!」

「9街分は、昨日、刻也くんと行った場所と、今日の夕方からその近くの2箇所を登録してあるだけだけど、敵も強くなってるから、行く時には十分注意してね。」

 

「「「「「「「「はーい!」」」」」」」」

 

 

◇◆◇◆◇◆                                ◇◆◇◆◇◆

 

 

その後、先導者がヴィヴィオとコロナとリオに代わり、全員の登録されているポータルの数が同じ

になったところで、アルハザードに戻って来た。

 

 時刻は、話をしていた事もあり、22時20分。

 まあ、ログアウトするには、少し早いが、ちょうどいい時間帯ではあった。

 

 だが、こうして全員が集まっている状態なので、すぐに解散という事にはならず、あらためて、お互いの状態を確認する事になった。

 昨日は、戦闘スタイルだけ確認して、どんなスキルを持っているかとかは、話していなかったので、昨日の続きみないな感じだ。

 

 

「「「「「「「「「「「…………。」」」」」」」」」」」

 

 そして、SLOにログインしている時間が短く、それほど変化はないと思われる、中学生組から現在のステータスを公開していき、最後に俺がステータスを表示したところで、全員が沈黙した。

 

 順番に、全員のレベルを確認して分かったのだが、今日だけで、俺は頭1つ以上、飛びぬけているようだ。

 

 全員が沈黙したのも、それが原因だろう。

 昨日まで、ほぼ同じレベルだったヴィヴィオ達とも、種族レベルの差が10以上出てしまったのが、また衝撃を与えている。

 

ちなみに、なのは達だが、月曜日から今日までで、このようにレベルが上がっていた。

 

【名前】 なのは 【種族】 エルフ族 Lv.13 ⇒ 20

【職業】 魔術師 Lv.4 ⇒ 11 / 僧侶 Lv.4 ⇒ 11

 

【名前】 フェイト 【種族】 獣人族 Lv.13 ⇒ 20

【職業】 剣士 Lv.4 ⇒ 11 / 隠者 Lv.4 ⇒ 11

 

【名前】 アリシア 【種族】 獣人族 Lv.13 ⇒ 20

【職業】 拳闘士 Lv.4 ⇒ 11 / 盗賊 Lv.4 ⇒ 11

 

【名前】 はやて 【種族】 人族 Lv.13 ⇒ 20

【職業】 魔術師 Lv.4 ⇒ 11 / 踊り子 Lv.4 ⇒ 11

 

【名前】 アリサ 【種族】 人族 Lv.13 ⇒ 20

【職業】 騎士 Lv.4 ⇒ 11 / 僧侶 Lv.4 ⇒ 11

 

【名前】 すずか 【種族】 魔人族 Lv.13 ⇒ 20

【職業】 弓兵 Lv.4 ⇒ 11 / 呪術師 Lv.4 ⇒ 11

 

【名前】 スバル 【種族】 ドワーフ族 Lv.16 ⇒ 22

【職業】 拳闘士 Lv.7 ⇒ 13 / 重騎士 Lv.7 ⇒ 13

 

【名前】 ティアナ 【種族】 人族 Lv.16 ⇒ 22

【職業】 銃士 Lv.7 ⇒ 13 / 幻術師 Lv.7 ⇒ 13

 

 細かな所は省略させてもらうが、限りない時間内で、よくレベルを上げている方だと思う。

 成長の伸びを見る限り、チワワと姫も一緒に行動しているのだろう。

 

そして、なのは達よりはプレイ時間が長いヴィヴィオ達は、昨日と比較するとこんな感じだ。

 

【名前】 ヴィヴィオ 【種族】 人族 Lv.25 ⇒ 28

【職業】 騎士 Lv.16 ⇒ 19 / 拳闘士 Lv.16 ⇒ 19

 

【名前】 コロナ 【種族】 エルフ族 Lv.25 ⇒ 28

【職業】 人形遣い Lv.16 ⇒ 19 / 僧侶 Lv.16 ⇒ 19

 

【名前】 リオ 【種族】 獣人族 Lv.25 ⇒ 28

【職業】 拳闘士 Lv.16 ⇒ 19 / 剣士 Lv.16 ⇒ 19

 

 こちらも3人揃って行動しているレベル差はなく、クラスチェンジまで、後1レベルというところまで上昇していた。

 今日は移動しながらという事だが、それでもいい感じに上がっていると思う。

 

 以上の結果から、俺はひたすら敵を倒し続けていたという事もあるが、取得経験値2倍という、女神の祝福Ⅴのスキル効果が大きく影響している事が、数値で表れたな。

 

 

「俺はひたすらレベリングをしてたし、ちょっと特殊なスキルも付加してるからな。」

 

「...それを踏まえても、短時間でここまで差が出ると、言葉を失います。」

「だね。私達でこれだから、刻也は2度目のクラスチェンジまではしてると思ってたけど、」

「クラスチェンジ後は、レベルを上げるのに必要な経験値が3倍になるって言われてるのに、それを4レベルまで上げてるし。」

 

「まあ、これでこその刻也さんって感じやけどな。」

「本当よね。」

「これで、ポータルまで制覇してたら、刻也だけ別のゲームをプレイしてる感じだったよね。」

 

 全員が最初の衝撃から落ち着きを取り戻すと、それ以上、俺のレベルやステータスに関して追及する事はなかった。

 

 

「でも、プレイ時間って、かなり影響が大きいよね。」

「そうだね。ヴィヴィオさん達のステータスや、さっきのポータル巡りで、それは分かったよ。」

 

「これも、私らの学校の課題多すぎるせいやな。」

「だよね。どうして、毎日毎日、あんな量をやらせるか、訳わかんないよ。」

「私達の学校は、基本的にお金持ちが集まる場所だから、それなりに知識を詰め込まないといけないのよ。」

「教養に関しては、徹底してるし、仕方のない事だよ。」

 

「じゃあ、ティアとスバルは?」

 

「私達は、聖祥みたいにエスカレーターって訳じゃなくて、高校受験しないといけない学年だから、この時期から、もう色々と準備が始まってるのよ。」

「それさえなければ、先輩と同じ時間帯にログイン出来るけど、家族で食べる夕飯の時間も決まってるし、やっぱり厳しいよね。」

 

「それを考えてみると、あたし達ってラッキーだよね。」

「確かに、受験も無ければ、課題もないしね。」

「部活動も強制参加じゃないから、放課後になれば、帰宅部の私達は自由ですからね。」

 

 最終的に、受験も、学力向上にも大して力を注いでいない、極々一般的な偏差値を誇る、風芽丘高校に通う俺達が、一番自由な時間が確保出来て、その結果、現在の状態が出来上がったという、結論で、現状の確認は終了し、各々ログアウトする流れとなった。

 

 

「あっ!ログアウトする前に聞いてくれるか。

 明日、ナイフの生産と装備の強化しようと思っているだが、お前達の装備の強化はどうする?

 俺としては、一度にまとめてやった方が、楽なんだが。」

 

「そうなの?」

「でも、私達は今のところ、強化が必要なほどレベルも上がってないし大丈夫だよ。」

「そうですね。そんな深いフィールドに立ち入る事もないと思うので、このままで十分です。」

 

「じゃあ、私達はお願いしようかしら。」

「そうだね。制限レベルより10くらいは上がったし、」

「今日で、明日からは、今までより遠くに行けるようになった事やし、」

「それに、私達はログインする時間も遅いし、刻也さんの都合が良いなら、是非お願いします。」

 

 という訳で、なのは達、中学組は装備を渡した時から、比較的にレベルが上昇していた事もあり、明日一緒に装備の強化をする事になり、昨日渡したばかりで、強化するほどではないと言うヴィヴィオ達、高校組の強化は、今回は見送る事になった。

 

 そして、強化をするために、初期装備に戻ったなのは達から、着用していた装備を預かり、イベントリへと収め、

 

「それじゃあ、明日、強化が終わったら、共有倉庫に入れておくから。」

 

「「「「「「「「はーい。」」」」」」」」

 

こうして、伝える事を伝え、装備も預かり、今日のやるべき事をやり終えた俺は、全員がログアウトするのを見届けてから、明日、作業する事になる工房に入り、ログアウトした。

 

 

『クロノス様がログアウトしました。』

 

 




※登場人物SD化 第三回"さくら"

【挿絵表示】

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