とらなのVRMMO ~魔法はゲームの中だけなの~【改訂版】   作:戯言紳士

33 / 62
第22話   6月18日 木曜日①

 

『クロノス様がログインしました。』

 

 

今日も、ヴィヴィオ達と代わり映えのしない学校生活を終えて、SLOにログインした。

 

 ただ、そんな学校生活でも、俺の周囲では多少の変動があり、全学年の男子体育を担当し、剣道部の顧問でもあった宮沢先生が、昨日の部活指導中に誤って腕を負傷してしまったらしく、6月と言う蒸し暑い季節にも関わらず、剣道場で行われているスポーツチャンバラの体育授業に、宮沢先生の教え子だったという、風芽丘高校のOBで、現役の女子大学生が臨時講師を受けてくれたようで、他の男子生徒は、その話を聞いて黄色い歓声をあげていた。

 

 ちなみに、何故剣道ではなく、スポーツチャンバラかと言うと、このご時世、生徒に怪我の一つでもさせようものなら、学校に怒鳴り込んで来る親が急増し、その影響が風芽丘高校にまで及んで軽装で防具も簡単に付けられ、尚且つ臭くなく、剣道よりも安全だと言う事で、しばらく前から、スポーツチャンバラを授業に取り入れる事になったらしい。

 

 まあ、幼少からかなり厳しい修練を積んませてもらっている俺から言わせると、軟弱過ぎると言いたいところだが、怪我うんぬんは置いておいて、30度を超える室内で、剣道の防具を身に付けたくはないという思考を持つ、現代っ子でもあるので、この取り組みは非常に有り難かった。

 

と、そんな事があり、明日の授業は、これまでと違い、少し変化が加わるようで、講師云々ではなく、俺も楽しみではある。

 

 

◇◆◇◆◇◆                                ◇◆◇◆◇◆

 

 

さて、ではこれからは、昨日立てた予定通り、生産活動から開始しようか。

 

 作る物は、11本の剥ぎ取りナイフ・極と、カンナの装飾品だな。

 ヴィヴィオ達には剥ぎ取りナイフの事は言ってないが、もうギルドメンバーの一員でもあるし、仲間外れには出来ないから、作っておくべきだろう。

 

 後は、ヴィヴィオ達3人を除く装備の強化だな。

 なのは達の強化に必要なランクの素材は足りているし、俺の素材はこの後、アトラから出糸してもらえば手に入る。

 

 こうして挙げていくと結構な量だが、ナイフも一度作っているし、強化は大した作業ではないので、一番時間がかかるのは、カンナの装飾品になるかな。

 

 現在の時刻が16時20分なので、見立てでは、作業終了は18時前後だろう。

 どちらにしろ、なのは達のログインしてくるであろう時間には間に合うので、ゆとりを持って作業を始めよう。

 

 

◇◆◇◆◇◆                                ◇◆◇◆◇◆

 

 

それから、2時間が経過し......。

 

「最初にナイフも装飾品も、想定していた時間よりあっさり出来たから、装備の強化後につい、ギルドメンバーの証みたいなリングを作ってしまった。」

 

 俺は誰かに向けて言ったわけではなく、ポツリと独り言を呟き、予定していたモノ+αの生産及び強化が終了した。

 

 ちなみにこの場には、出糸の為に召喚したアトラと、こういった状況では自然と現れる久遠と、そのお目付け役的な立ち位置が定着しそうなさくらがいる。

 どうやら3体とも、先ほどの俺の呟きに気付いた様子はなく、少し広めのスペースで、アトラが捕縛スキルで作り出した糸の網を、久遠が火魔法、さくらは爪を変形させ排除して、遊んでいた。

 

 まあ、この場にいる3体には既に必要な装飾品を作り装備させているので、今回の生産で作ったアイテムを渡す必要もないので、このまま遊ばせておくとして、俺はカンナを呼び出し、竜化を現状でも長時間維持するためのスキルを付加した装飾品を装備させて、表の広めのスペースで、竜化したカンナの力を確かめようと思う。

 

 

「クロノスさま、ありがとうございます。」

「どういたしまして。」

 

「これ..で、カンナも..私達と、同じ..状態に..なりました..ね。」

「主様のお作りになった装備品を身に付ける、という意味ですね。」

「くろのすのそうしょくひん。カンナ、すごく、つよくなれるよ。」

 

「はい!かならず、クロノスさまや、おねえさまたちのおやくにたちます!」

 

 呼び出したカンナに装飾品を装備させると、さっきまで遊んでいた3体が、いつの間にか周囲に集まっていた。

 

この後は、竜化した状態のカンナのステータスを確認して、一度、ログアウトする予定なので、その前に、もう一度確認のために、カンナに今回装備させた装飾品のスペックを鑑定しておこう。

 

【アイテム名】 龍神のアミュレット 【分類】 首飾り 【品質】 A+ 【レア度】 12

【物理攻撃】 30 【魔法攻撃】 10 【耐久値】250 / 250

【物理防御】  0 【魔法防御】  0

【付加スキル】 物理ダメージ上昇[極] 竜化消費精神力軽減[極] 各種状態異常耐性+50%

【詳細】エメラルドが填め込まれているアミュレット。装着者は攻撃面が飛躍的に向上し、状態異

    常にかかり難くなる。

 

【アイテム名】 龍神の指輪 【分類】 指輪 【品質】 A+ 【レア度】 12

【物理攻撃】 30 【魔法攻撃】 10 【耐久値】250 / 250

【物理防御】  0 【魔法防御】  0

【付加スキル】 竜族強化Ⅴ 勝利の息吹Ⅴ 精神力自動回復[極]

【詳細】オリハルコンで生成されたリングにエメラルドを装飾した指輪。装着者は攻撃面が飛躍的

    に向上する。

 

【アイテム名】 守護者の指輪 【分類】 首飾り 【品質】 A+ 【レア度】 12

【物理攻撃】  0 【魔法攻撃】  0 【耐久値】250 / 250

【物理防御】 20 【魔法防御】 20

【付加スキル】 物理ダメージ軽減[極] 魔法ダメージ軽減[極] 全属性耐性+30%

【詳細】オリハルコンで生成されたリングにダイヤモンドを装飾した指輪。装着者は耐久面が飛躍

    的に向上し、属性攻撃に対しても強くなる。

 

 守護者の指輪は、装飾品を3つ装備出来るモンスターには必ず装備させているので、コメントをする必要もないだろう。

 そもそも、装飾品の名前も付加したスキルによって名前が変わる、非常に大雑把なモノだしな。

 

 装飾品が3つ装備出来ると言う事で他にも色々と付加したが、スキルの中で竜に関連するのは、竜化消費精神力軽減と竜族強化になる。

 

効果はそれぞれ以下の通り。

 

【スキル名】 竜化消費精神力軽減[微・小・中・大・極] 【スキルタイプ】 Passive

【効果】竜化の使用時に消費されるスキルと、発動後に消費される精神力が軽減される。

    微:2% 小:5% 中:10% 大:15% 極:20%

 

【スキル名】 竜族強化Ⅰ~Ⅴ 【スキルタイプ】 Passive

【効果】竜に関係するモンスターの生命力&精神力を含む全ステータスを常時上昇させる。

    Ⅰ:2% Ⅱ:5% Ⅲ:8% Ⅳ:10% Ⅴ:15%

 

 

 ここまでの事を振り返ると、召喚士って有利過ぎじゃないかと思うが、召喚モンスターは最終的なレベル上限がプレイヤーよりも低いし、武器も防具も装備出来ないと言う点があるため、序盤は有利かもしれないが、β版では、中盤以降、プレイヤースキルが磨かれ、装備が整ったプレイヤーのPTと比較してしまうと、劣る点が出てきてしまったので、そう思うのも今だけだ。

 

 久遠達召喚モンスターに搭載されているAIも、その頃までにはかなり成長しているだろうが、それでも補えない部分が出てくるので、こういう付加スキルも実装されているというわけだ。

 それに加え、ドラゴンみたいなモンスターは、従来のRPGでも、かなり上位種族に設定されている事もあり、SLOも例外ではなく、他の種族よりも少々贔屓されてはいる。

 

 まあ実際に、なのは達がレベル上限まで達した状態で、この様なスキルなしで戦闘した場合、こちらがかなり不利な状況になってしまうだろう。

 

 

と、これはあくまで、俺のβ版での体験からの思想であり、実際のところそうなるとは限らないので、今後の見解はひとまず置いておいて、早速表に出て、カンナの竜姿を拝めさせてもらおうじゃないか。

 

「実戦は、また後でな。今はカンナの竜化を見せて欲しい。」

「わかりました。」

 

 

◇◆◇◆◇◆                                ◇◆◇◆◇◆

 

 

そして、工房から表の広いスペースに出てきた俺達は、竜化したカンナの姿を目の当たりにし、その神々しさに思わず息を呑んだ。

 

 当たり前だが、人の姿の原型は一切なく、全長は4,5メートルくらいで、黄金色の身体が神々しさを一段と引き立てている。

 

「これは...、凄いですね。」

「私の..真祖化も、自己強化型のスキルですが、外見は...変わりませんからね。」

「くおんのへんげ、まだ、うえがある。けど、カンナの、これには、かてない。」

 

『クロノス様、如何でしょうか? 私もこれで戦えますか?』

 

 各々、カンナの姿に思わず感想を漏らす中、直接脳に語り掛けてくるように、カンナの声が聞こえてきた。

 

「そうだな...。」

 

そう言って俺は、カンナのステータス画面を開き、竜化した状態のカンナのステータスを見た。

 

【名前】 カンナ 【種族】 マムクート・バロネス Lv.8

生命力(HP)】 192 / 192 (+28)

精神力(MP)】 118 / 118 (+17)

筋力値(ATK)】 31 (+4)

耐久力(DEF)】 36 (+5)

知力値(INT)】 23 (+3)

抵抗力(MDF)】 36 (+5)

敏捷値(AGI)】 27 (+4)

器用度(DEX)】 25 (+3)

【所有スキル】

  格闘術 火魔法 竜化 竜鱗 飛行 鉄壁 貫通 精密操作 危険察知

  見切り 挑発 庇う 受け 回避 耐火傷 耐凍傷

 

【名前】 カンナ 【種族】 マムクート・バロネス Lv.8

生命力(HP)】 192 / 192 (+28)

精神力(MP)】 70 / 118 (+17)

筋力値(ATK)】 31 (+19)

耐久力(DEF)】 36 (+23)

知力値(INT)】 23 (+14)

抵抗力(MDF)】 36 (+23)

敏捷値(AGI)】 27 (+17)

器用度(DEX)】 25 (+15)

【所有スキル】

  噛付き 踏付け 爪撃 吐息 火魔法 人化 竜燐 念話 飛行 潜水

  鉄壁 貫通 障壁崩し 危険察知 見切り 挑発 庇う 受け 回避

  全状態異常無効 物理耐性上昇[大] 魔法抵抗上昇[大]

 

 竜化前と比較するとこのようになった。

 

 装飾品に付加した効果で、竜化前のステータスも上昇しているが、それらを抜きにすると、竜化によって、筋力以下のステータスが50%上昇している事が分かる。

 今は敵対している相手がいないので、戦闘指揮のスキル効果は加わっていないし、ブースト・サモンではなく、普通に召喚したので、ここからさらにステータスは上昇する事になる。

 戦闘になれば、鼓舞や激励と言った瞬間的に能力を上げるスキルも使えるので、本当に凄い数値になるだろう。

 

 

 スキルの方も、大分追加されていて、格闘術がなくなったが攻撃手段が4種類用意されているし魔法も据え置きで、攻撃性も耐久性の両面が強化されている印象だ。

 

 そして、未見のスキル内容を確認して分かったのだが、直前に脳に直接語り掛けて来たのは、念話というスキルらしい。

 竜化すると人語を喋れなくなるようで、念話...まあテレパシーと言った方が分かり易いかもしれないが、とりあえず、その念話でコミュニケーションは竜化しても取れる状態を維持している。

 あと、戦闘には関係ないが、竜化した方がカンナは喋り方がしっかりするみたいだ。

 

 それと、竜と言えばという印象も強い吐息(ブレス)だが、扱える属性魔法の属性の吐息が出るという事なので、現在は火属性の吐息が出せるわけだが、今後のスキルの習得次第では、他の属性の吐息も出す事が出来るという事だ。

 

 あと、ひっそりとリストに加わっている全状態異常無効スキルも、何気に強力なスキルだ。

 竜化状態では、装飾品に付加した各種状態異常耐性+50%の効果が意味をなさなくなってしまっているが、俺も常時竜化させようとは思ってはいないので、人の姿をしている間には、この効果も機能する。

 

 

「これまでの敵では、相手にならないだろうな。」

 

 少々、カンナの問から間が空いてしまったが、ステータスの比較を終えた俺は、カンナにそう言って、竜化を解除させた。

 

 精神力が尽きなくても、竜化状態でも人化というスキルを使用すれば、任意のタイミングで元の状態に戻る事が出来る。

 

「基本、竜化するかしないかは、カンナに任せるが、状況次第では、俺が指示する場合もあるだろうから、これからの戦闘では残り精神力も気にするようにしてくれ。」

 

「わかりました。」

 

 

◇◆◇◆◇◆                                ◇◆◇◆◇◆

 

 

「それj「ちょっと!刻也!さっきのドラゴンってこの娘なの!?」」

 

 これでログアウト前にやっておきたかった事が終わった。

 なので、召喚したカンナ達を還しログアウトしようと思ったのだが、おそらく同じようにログアウトするためにアルハザードに戻って来たであろう、ヴィヴィオ達にカンナを目撃されてしまい、カンナを還す前に3人に捕まってしまった。

 

「見ての通りだ。昨日、召喚した俺の新しい仲間で、名前はカンナと言う。」

「はじめまして、カンナともうします。」

 

 ―― ペコリ。

 

「見た目は幼いのに、気品も感じられますね。初めましてコロナです。」

「実際に見てなかったら信じられないけど、この娘が竜になるんだよね。ヴィヴィオです。」

「凄く格好良かったよ。この状態だと、凄く可愛いけどね。リオだよ。よろしくね。」

 

「よろしくおねがいします。」

 

 なので、カンナを3人に紹介すると、久遠が変化した時と同様に、人の姿をした時の愛くるしい見た目と、偶然にも竜化した状態を目の当たりにしたため、すんなりと、カンナが俺の召喚モンスターである事を受け入れ、ちやほやし始めた。

 

 それも一通り終えると、次にアラクネにクラスチェンジした事で、見た目がかなり変わったアトラが3人の眼に留まり、カンナ程ではないがその姿をまじまじと観察され、最後に

 

「この姿なら大丈夫。刻也がアトラを、前に言ってた地縛蜘蛛って言うのにしなくて良かった。」

 

 と、蜘蛛に苦手意識が強いリオが呟き、気付けば時間も、ヴィヴィオ達が一旦ログアウトする時間にかなり近づいていたので、召喚モンスター達を帰還させて、俺達は揃って屋敷の中に戻り、俺は強化を終えたなのは達の装備を共有倉庫に入れてから、ログアウトした。

 

 

『クロノス様がログアウトしました。』

 

 

それと、剥ぎ取りナイフとおまけで作った装飾品だが、ログアウト前に一度集まってもらって、全員が揃っている状態で渡そうと思う。

 




※スキル解説

【スキル名】 踏付け 【スキルタイプ】 Active
【基本攻撃力】 15 【対象】 単体(敵のみ) 【攻撃回数】 1 【消費精神力】 0
【効果】全体重を乗せた足で対象を踏付け、物理ダメージを与える。
    10%の確立で気絶状態にする。

【スキル名】 吐息(ブレス) 【スキルタイプ】 Active
【基本攻撃力】 25 【対象】 複数(敵のみ) 【攻撃回数】 2 【消費精神力】 45
【効果】口から強烈な息を吹き出し、魔法ダメージを与える。
    属性魔法を所有している場合、その属性の吐息を出す事が出来、属性によって攻撃ヒット
    時に15%の状態異常を発生させる事がある。
    火:火傷 水:衰弱 氷:凍傷 風:沈黙 雷:麻痺 土:石化 光:混乱 闇:暗闇

【スキル名】 念話 【スキルタイプ】 Active
【効果】距離の離れた相手に、直接語り掛ける事が出来る。また、思いを直接伝えるため、
    普段言葉を発する事が出来なくても、会話する事が可能になる。

【スキル名】 潜水 【スキルタイプ】 Active
【効果】自由自在に水中を行動する事が出来る。

【スキル名】 全状態異常無効 【スキルタイプ】 Passive
【効果】全ての状態異常の発生を100%防ぐ。

※登場人物SD化 第四回"フィアッセ"

【挿絵表示】

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告