とらなのVRMMO ~魔法はゲームの中だけなの~【改訂版】 作:戯言紳士
「今回のチーム分けは、強引に決めた感が半端ないが良かったのか?」
「強引だったのは認めるけど、一度バラシて個々でこの称号を取りにいくと同じ体験をする人だっ
て出てくるし時間もかかるんだから、やる気になってるアリシアに任せてリーダーだけ入れ替え
る方が後の事を考えても効率的でしょ。」
「姉さんあんなテンションだったけど、罠を発動させた後はちゃんと破壊もしてたし、ゴーレム戦
も立ち振る舞いは普通だったから、なのは達も大丈夫だと思うよ。」
「まあ、すずかとヴィヴィオさんの心労は察するわね。スバルとはやては開き直って状況を楽しみ
そうだし、なのはも意外とタフだから。」
あのままPTを組み直すと、アリシアは勢いよくダンジョン内に突っ込んで行った。
残された、なのは・はやて・すずか・チワワ・ヴィヴィオの五人も覚悟を決めた顔つきで、その
後を追ってダンジョン内に入っていったのを見届けた後、俺達(フェイト・アリサ・姫・リオ・コ
ロナ)も2番目のダンジョン西の古代遺跡1に突入し攻略を開始した。
「じゃあ、戻って来た時のヴィヴィオのフォローはアタシ達に任せて!」
「そうだね。それくらいしか出来ないと思うから。」
「何にしても、このPTだったら速攻で攻略出来るわ。私達も罠が設置されていれば見れるし、前
回のはやてみたいに解りきった罠を発動させるようなメンバーは皆無よ。」
アリサの言う通りだろう。
実際ここまで、モンスターが出現すれば全員が即座に対応するし、罠が見えるようになった事も
あり、意地の悪い設置のされ方をされていても、誰も発動させる事はない。それでも、スキルレベ
ルを上げるため、見つけた範囲で破壊はしている。
「だね。この感じだと、ボス以外は楽勝かな。」
「油断はしないで下さいよ。」
「そういえば、前回の道中はなんとなく想像は出来たが、ゴーレム戦はどんな感じだったんだ?」
「そうね。聞かせて上げるわ。私達がどんな風にゴーレムと戦ったかを。」
「話を聞いて、今回のボス戦で刻也さんも戦い易くなると良いんだけど。」
こうして、ボス部屋までの道中、俺はアリサ達からどのような戦況だったのかを聞いた。
◇◆◇◆◇◆ ◇◆◇◆◇◆
フェイト・テスタロッサです。
今回は刻也さんに代わりまして、私達がゴーレムとどのように戦ったのかを語らせて頂きます。
「おぉ!!大きいね!堅そうだね!力強そうだねぇ!!!」
扉を開けてゴーレムの姿を見た私の姉さんは、何故だかとてもハイテンションでした。
「あんたね。このダンジョンの罠と言う罠を発動させておいて、どうしてそんなに元気なのよ!」
「それが条件で称号は増えたけど、それがなかったら心労が半端なくて、ボス戦どころじゃなかっ
たわね。」
そんな姉さんを見て、ここに来るまでに姉さんが設置されている罠を発動させる毎に、疲れが目
に見えて伝わってきたアリサとティアナが姉さんにツッコミを入れました。
私もここに来るまで姉さんの行動で色々と疲れたけど、常に姉さんの行動を抑制しようとしてい
た2人の疲労は、私の比ではなかったと思います。
「まあまあ。大変だったけど、みんな無事にここまでこれたんだから、気持ちを切り替えて、最後
の戦いに集中しましょう。ね?」
「だね。多分...というか絶対、刻也達はもう攻略してるよ。」
「そうですね。刻也先輩をあまり待たせるのも悪いですね。」
「そういえば、まだ一つ目だったわね。こんな所で打っても響かないアリシアと問答するよりも、
早くあのゴーレムを倒して、次のダンジョンに挑むべきだったわ。」
きっと疲れが抜けきっていないからだと思うけど、姉さんにツッコミを入れてから、ゴーレムを
目の前にしても、どう戦うのか作戦を考える素振りをしなかったアリサとティアナに、コロナさん
とリオさんが、とても効果的な一言で2人のモチベーションを回復させました。
でも、この言葉でモチベーションが回復.....それとも上昇っていうのかな?
私は2人ほどモチベーションは低くなかったんだけど...... とにかく、刻也さんやなのはを待
たせているかもしれないという事が、私のモチベーションも上昇させました。
そして、みんながやる気になったところで、全員で識別を使ってゴーレムの情報を見たんだけど
【種族】 スノー・ゴーレム Lv.24 【属性】氷・土 【性質】 アクティブ
【生命力】 14950 / 14950 【精神力】 48 / 48
【保有スキル】 鉄壁 貫通無効 ???
【詳細】優れた耐久力に加え、非常に強力な物理攻撃を繰り出してくる。
被撃時、稀に凍傷の状態異常に陥る場合がある。
これまで戦ってきたフィールドに出現するモンスターよりも数倍の生命力に、私の識別レベルだ
と全て見る事は出来なかったんだけど豊富な防御スキルの存在は想像出来てしまい、少しだけ勝て
るか不安を感じてしまった。
だけど、それは私...とティアもだったのかな? 2人だけだったみたいで、
「貫通無効?上等じゃない!何としてでも、ゴーレムに風穴を開けてやりましょう!」
「アリサが自分から
「なに馬鹿な事言ってるのよ。そんな事言うなら、あんたにも風穴開けるわよ!」
姉さんは変わらずに、私にもわけの分からないテンションでネタに走り、アリサに向かって
「くぎゅうううううううう」という奇声を発していました。
「うるさい!うるさいっ!うるさぁーーい!!耳元でそんな奇声を発するんじゃないわよ!」
姉さんは、風穴は開けられなかったけど、アリサから拳骨をもらって地面にひれ伏しました。そ
んな状況でも姉さんは「くぎゅううううぅぅぅ...バタリッ。」と倒れても奇声を発し続けていま
した。
「何て言うか......、余裕ありすぎでしょ。」
「...そうだね。」
その光景を私と同じように見ていたティアナがぽつりと漏らした呟きに、思わず私も同意してい
ました。
そして、そんな姉さんの姿を見ていたら、ゴーレムに抱いていた不安はなくなっていました。
これは、このダンジョンを攻略した後、はやてから聞いた話で知ったんだけど、なのは達もさっ
きの私と同じような気持ちを抱いていたみたい。
でも、姉さんとアリサみたいに、刻也さんとヴィヴィオさんの余裕を見て、その場はいつもと変
わらない雰囲気に戻ったんだって。
その話を聞いた時に、ふと刻也さんとヴィヴィオさんを、今の2人に当てはめて想像しちゃって
笑ってしまった。
それと、これは誰にも言わないで下さい。
刻也さんとヴィヴィオさんの掛け合いがはやての言葉通りだったのなら、ヴィヴィオさんが少し
羨ましいと思ったんです。
だって刻也さん、なのはや姉さんにアリサ。はやては言うまでもないし、たまにだけどすずかに
も、からかったり弄ったりするのに、私は刻也さんに弄られた事、指で数えられるくらいしかない
から。
刻也さんに優しくされると心の底からぽかぽかして凄く気持ちが良いんだけど、もっと、なのは
みたいに構ってもらいたいと思うのは、私の我儘なのかな?
......と、いけない。思わず、関係のない事を語ってしましました。ごめんなさい。(ペコッ)
と..ともあれ、姉さんとアリサのお陰で私もティアナも不安は消えて、気持ちに余裕が出来まし
た。
「さて、アリサもアリシアもそこまでにして、アリサはゴーレムを倒すための作戦の立案&指揮、
その他諸々やっちゃってよ。」
「リオ。軽い感じで、アリサちゃんに丸投げするのはどうかと思う。けど、次のステップに移した
方が良いのは確かですね。」
「そうですね。ほら、アリシアもいつまでもふざけてないで、ここからはボス戦なんだから、ちゃ
んとしなさい!」
「そうだった。そうだった。了解であります☆」
最後は、ここまで私達を支えてきてくれた2人の言葉で、この場の雰囲気が引き締められて、姉
さんは奇声を止めて、ゴーレムを倒すための作戦を真剣に聞いていました。
「作戦は以上よ。さあ、始めましょう!」
「まずは、アリシアとフェイトだけど、厳しくなったら戻って来てよね。最優先事項は死に戻りが
出ない事だから。」
「ぶっちゃけ。事前に今の限界まで強化した刻也特製の装備を身に付けてる地点で、一発もらった
くらいで死に戻り...なんて事にはならないから、気を張り過ぎず適度にリラックスしてね。」
「大丈夫。みんなが自分の役割を果たせば、必ず勝てるよ。」
「「はい!」」
「よーしっ!それじゃあ、とつげきぃ~!」
「姉さん。1人で先行しないで。」
私達の作戦の第一段階は、識別だけでは分からない部分を引き出して、ゴーレムの行動パターン
等を解明する事と、コロナさんが創生魔法でゴライアスと言うコロナさんのオリジナルゴーレムを
創生するまでの時間稼ぎ。
役割分担は、私と姉さんがゴーレムと直接対峙して情報を引き出す役。
アリサとティアナは、後ろでコロナさんの護衛と私達が引き出した情報からゴーレムの行動パタ
ーンを解明する役。
リオさんは、私と姉さんが危なくなった場合や、ゴーレムに遠距離攻撃する手段があり、私達だ
けでは対応しきれなかった時のために、私達とアリサ達の中間地点で控えてもらっています。
それから、ゴーレムの行動パターンが解明出来た後に、リオさんには少しの間1人でゴーレムの
相手をしてもらう事になっています。
コロナさんはさっきも言ったけど、作戦を第二段階に進めるために創生魔法でゴーレムを創生す
る事です。
リオさんを除いて、私達は今日初めてコロナさんとPTを組んでプレイしているので、コロナさ
んが創生するゴーレムの全貌は全然知らないんだけど、作戦を考えている時のいつも一緒にプレイ
しているリオさんの言葉とコロナさん本人の自信を信じて、私達はゴーレムと戦う事にしました。
そして私は今、先行して飛び出していってしまった姉さんに追い付き、2人でゴーレムを挟み込
む形で、なるべく的を絞らせない様にしながら、ゴーレムの攻撃を避けて反撃しているんだけど、
「こいつ堅すぎ!これ続けてたら、トリアイナの耐久値が持たないよ!」
姉さんの言った様に、ゴーレムの耐久力が高くてダメージは与えられているんだけど、思ってい
た以上にダメージが出ず、こっちの武器の耐久値の方が削られている感じでした。
「ねぇ、アリサ。まだ解析出来ないの?」
「そうね。攻撃前の予備動作も大きかったし、動き自体が早くはないから、もう十分かしら。」
「耐久力は想定していたよりも上だったけど、序盤のダンジョンのボスだからか読みやすい相手だ
し.....、リオさん。しばらく1人でいけますよね?」
「もちろん!あたしに任せなさい!」
「って事だから、しばらくリオさんにゴーレムの相手を任せて2人はこっちに戻って来なさい。」
それから、何度も回避と反撃を繰り返していると、武器の消耗具合に耐えかねた姉さんがアリサ
達に解析状況を確認するとほとんど終わっていたようで、私達はリオさんにゴーレムの相手を任せ
てアリサ達の所に戻り、ゴーレムの解析結果を聞いて作戦の第二段階での役割を再確認しました。
「―― 以上が2人の戦いから解析出来た事よ。始めるまでアリシアの方は少し不安だったけど、
2人とも良くやったわ。」
「ちょっと休んだら、アリシアは私と同じラインで魔法で攻撃してもらうわ。」
「了解☆」
「ねえ。本当に私が普段のなのはのポジションで良いのかな?精神力も知力値もティアナの方がダ
メージに期待出来ると思うんだけど。」
「数値だけみたらそうよね。だけど、これから私はリオさんと前線で戦う事になるから、ティアに
は全体を見て指揮してもらわないといけないのよ。」
「そういう事だから、フェイトには砲撃魔法でゴーレムの生命力を削って欲しいんだけど。」
「分かった。なのはみたいには出来ないけど、私の出せる全力全開で攻撃するよ。」
「頼むわ。」
「まあ、なのはの場合は全力全壊って感じだけどね。職業までそっち専門になっちゃったし。」
「砲撃魔法を放ったあとの爽快感はわかるけどね。」
作戦の第二段階は、アリサとリオさんが前線でゴーレムの注意を引きつけ、コロナさんが創生し
たゴーレムが前線でのダメージディーラ役を担います。
術者のコロナさんは、私よりも少し後ろの場所にポジショニングしてゴーレムの操作に集中して
もらう事になっているのですが、サブヒーラーという役割も兼ているので、アリサ1人で回復が間
に合わなくなった時には、ゴーレムの操作が多少荒くなってでもヒーラーとして動いてもらう事に
なっています。
そう言った事態にならないように、ティアナが全体を指揮してバランスを調整し、姉さんはその
ティアナの指示を受けて臨機応変に戦況に対応する事になっています。
そして、私は後方でのダメージディーラーを任されて、後方から砲撃魔法でゴーレムの防御を貫
く事が目的になります。
「それじゃあ、作戦を第二段階に移行するわ。後の事は任せたわよ、ティア。」
「了解。アリサも、無いとは思うけど油断しないでよ。」
こうして、私達の作戦は第二段階に移行し、本格的にゴーレムを倒す流れになりました。
えっと......、少しだけ次話に続きます。(これで大丈夫だったのかな?)