とらなのVRMMO ~魔法はゲームの中だけなの~【改訂版】 作:戯言紳士
「ユーノ!!」
"ユーノ"これが、β版でここの管理を押し付けられ、ほぼ監禁状態で業務をしている運営員の名
前だ。
ivoryはブラック企業じゃないか?
俺もユーノから話を聞いた時に尋ねたが、最低限の休暇とそれに見合う賃金は支払われているの
でつり合いは出来てるだとか......。
ユーノ自身が納得してるなら俺がどうこう言う事ではないと思い、話題を切り換えたが果たして
ユーノは正規サービスが開始された今も、ここにいるのだろうか?
「
ユーノの名前を呼んでから少し間があったが、遠くから微かにユーノの声が聞こえた。
良かった。どうやら、ユーノは今も変わらずここに監禁されていたらしい。
そして、返答が聞こえてから一分もしない内に、ユーノはカウンターに姿を現した。
「あっ。やっぱり、僕を呼んだのはクロノスさんでしたか。お久しぶりです。」
「正規サービスが開始されてからは初めましてだけどな。これからは、時間が空いたらまた、ちょ
くちょく訪れるよ。」
ユーノは言うなれば合法ショタ。
実際、こんな言葉が存在するか定かではないが、実年齢は俺よりも上なのだが、どうみてもなの
は達と同い年にしか見えない。
そんな外見もあり、ユーノ自身がタメ口で良いと言っているので、ユーノの方が年上なのだが、
俺はタメ口でユーノと話している。
「それで、今日はどのような用件で?」
「今日はここの地下ダンジョンに挑もうと思ってな。これが役所で発行してもらった許可証だ。」
2,3言葉を交わすと、ユーノは自分が呼ばれた用件を聞いてきた。
根が真面目なユーノは、俺達と違い話が脱線する事がないので、スムーズに話が進む。
もちろん、無駄話をすることもあるが、この場には俺とユーノ以外になのは達がいるので、情報
を集めに来たわけではないと察して、話の進行を優先したのだろう。
なので、ここに来た目的を告げ、許可証をユーノに見せた。
「分かりました。クロノスさんのお連れの皆さんも許可証を見せてもらっていいですか?」
目的を理解したユーノは、俺の許可証を確認すると、後ろで俺とユーノの掛け合いを黙って見て
いたなのは達にも許可証を提示して欲しいと言った。
「ありがとうございました。それではダンジョンの入り口まで案内するのでついて来て下さい。」
ユーノはなのは達が提示した許可証を確認すると、俺達をダンジョンまで誘導するため、先に立
ち館内の奥に進んで行った。
「なんか、しっかりした子だね。」
「アタシ達と大して年齢が変わらないんじゃない?」
「それはないでしょ。ここで働いているんだし、少なくとも18歳以上のはずよ。」
「えぇー!それじゃあ、あたし達よりも全然年上じゃん!」
「それよりも、ユーノさんは一人でここの管理をしてるのかな?」
「それは流石にないんじゃないかな。」
「海鳴図書館よりも大きいんやで。それを一人で管理するとか無理やろ。」
「でも、本の散乱具合からだと、一人で管理してると考えれば納得出来るよ。」
「確かに。責任感も高そうだし、きっちり整頓しそうな感じだから、人手が足りているなら、この
館内ももっと整理整頓されてると思う。」
「その辺り、どうなんですか先輩?」
「少なくとも、β版ではユーノ一人で管理していたな。」
「やっぱり。」
「ユーノ以外に人がいないんじゃあ、あのカウンターは?」
「ユーノ、どうなんだ?」
「一応、正規サービスが始まってから2人補充されました。」
「それじゃあ、その2人は今何をしているの?」
「2人、アミティエとキリエって言うんですけど、普段は入り口のカウンターでダンジョンの案内
や見回りを主に担当しています。」
「でも、今日はいませんでしたよね?」
「2人とも見回りをしていたのかな?」
「いいえ。今日は2人とも午後からシフトが入っているので、午前中は僕一人なんです。」
「大変じゃないんですか?」
「大変ですけど、昨日はイベントの告知もあったので、ダンジョンに挑む人はいないと油断してい
ました。本当にお待たせしてしてしまって、申し訳ありませんでした。」
「そういう事情があったんなら仕方ないんじゃない。」
「そう言ってもらえると助かります。中にh...と、着きましたね。クロノスさんがいるので説明
は不要だと思いますが、この部屋の奥に地下に続く階段があるので降りると地下1階のダンジョ
ンになります。――― 」
広大な無限図書館だが、ミッドチルダという街の一角に建設されているので、あっという間に地
下ダンジョンへと続く階段がある部屋の前に着いた。
「――― 皆さんの許可証のIDは登録したので、次からは自由に出入り出来るので、今日のよう
に待つ必要はありません。
それでは、僕はこれで失礼させて頂きます。それと今後も無限図書館をよろしくお願いします。
中には役立つ情報も紛れているので、見つけたら僕に教えてもらえるの助かります。」
一通り説明を終えると、ユーノは一礼し本の海の中へ姿を消した。
「行っちゃったね。」
「ユーノも忙しいからな。この本の山を整理しないといけないしな。」
こうして、ユーノを見送った俺達は地下ダンジョンへと続く部屋の中に入っていった。
◇◆◇◆◇◆ ◇◆◇◆◇◆
「初めまして!お兄様の召喚モンスターのフィアッセです!」
「同じく、お兄ちゃんの召喚モンスターの知佳です。」
「「「「「「「「「「「.........、お兄様(お兄ちゃん)!!!」」」」」」」」」」」
部屋に入り、すんなりとダンジョンへと進みたかったのだが、ここで一つ問題が発生した。
昨日のダンジョンとは違い、この地下ダンジョンは最大3ユニオンまで組んで挑む事が出来るの
で、今回はなのは達で2PT+俺と召喚モンスターで構成した1PTでユニオンを組む事になった
のだが、その時に俺が召喚したフィアッセと知佳の存在が露呈した。
カンナは、以前、ヴィヴィオ達に試しに竜化した時に見られたので、それがなのは達にも伝え広
がっていたらしい。俺への呼び方も"さま"付けだが、問題ではない。
しかし、フィアッセと知佳は、外見こそカンナよりも成長しているがそれでも幼く、俺への呼び
方が"お兄様"と"お兄ちゃん"。
すでに、そう呼ばれる事に慣れて抵抗もなくなっていたが、フィアッセと知佳を召喚した時、初
めて顔を合わせたなのは達に、礼儀正しく自己紹介をした。
その行為は正しかったのだが、ここでの"お兄様・お兄ちゃん"発言が不味かった。
「ちょっと刻也。刻也がモンスターを召喚するのは自由よ。」
「だけどね、幼い外見の子にお兄ちゃんって呼ばせるのは、色々と不味いんじゃないかな。」
「それに、召喚するモンスターの性別や外見は実際に召喚するまでは分らないと言っても、刻也先
輩のモンスターの男女比って偏ってますよね。」
「私が刻也お兄ちゃんって呼ばなくなっちゃったから?だから、フィアッセちゃんと知佳ちゃんに
そう呼ばせているの?そんなに飢えていたなら呼び方を戻すよ?」
「恥ずかしいけど、刻也さんが望むんだったらお兄さんって呼んでも平気ですよ。」
この発言から一部のメンバーはすぐ俺に詰め寄り、何を勘違いしたか、俺がフィアッセと知佳に
強要させていると思い咎められ、なのはに至ってはもう思考が残念すぎる。
それからフェイト。俺はフェイトにそんな事は望まないから、変な勘違いをしないでくれ。
一方、俺に強めってこなかったメンバー、主に楽観的なアリシアやチワワ、それとヴィヴィオ達
3人は、天使の翼・悪魔の翼・竜の翼と3種類の異なる翼を広げる3人娘を囲んで「可愛い」と言
いながら頬擦りしたり抱き付いたりと、どちらも完全にダンジョンに挑める雰囲気ではなくなって
しまった。
こんな事になるなら、事前にフィアッセと知佳を紹介しておくべきだったと後悔した。
しかし、後悔するだけでは本当にダンジョンに挑めなくなってしますので、俺はアリシア達に絡
まれていたフィアッセと知佳を呼び戻し、勘違い組の認識を正す事にした。
「それじゃあ、多少のイレギュラーがあったけど、地下ダンジョンの攻略を始めるわよ!」
「「「「「「「「「「おーっ!!」」」」」」」」」」
結果、ここまで持ち直すのに10分もかかった。
昨晩のユーリ達の事もあったのだろう、これからは例えSLOの中でも女性に関係する事はちゃ
んと報告する事を約束させられたが、もともと交友関係は狭いのでこれ以上、誰かに出会う事はな
いと思う。
「私達のお兄様は大人気だね♪」
「これって、そういう話だったのかな?」
「細かい事は気にしない。それじゃあ、私達も早くダンジョンに行こう!」
「あっ!待ってよ、フィアッセお姉ちゃん。」
◇◆◇◆◇◆ ◇◆◇◆◇◆
Another Story ~ メッセージを受け取った者 ~
『シュテル様がログインしました。』
『レヴィ様がログインしました。』
『ディアーチェ様がログインしました。』
『ユーリ様がログインしました。』
「あっ!クロノんからメッセージが来てる。」
「本当ですね。」
「我々全員に同じメッセージを送るとはな。」
「クロノスさんらしいです。」
「それでは、内容の方を見てみましょう。」
"昨日はイベントの事を教えてくれてありがとう。昨晩、他のメンバーと話をした結果、一緒に
イベントに参加する事には全員賛成だった。
それで、その前の顔合わせをするんだが、タイミングが合えば今日にでもしようと思っている。
このメッセージを読んでいる頃、俺達は無限図書館の地下ダンジョンに挑んでいるだろうから、
そっちが連絡しても応じる事が出来ないだろう。
なので、俺達の用件が済んだ後に、ログイン状態だったらこっちから連絡する事にするから、と
りあえずそっちは好きにプレイしていてくれ。"
「まあ、予想通りの内容ではあったな。」
「だねぇ。確かに今クロノんログイン状態だけど、連絡出来なかったし、攻略の最中だね。」
「レヴィちゃんはやる事が早いですね。」
「ひとまず、私達はクロノスさんから連絡が来るまでは自由なわけですが...。」
「はい!はいっ!イベントも控えてるし、ここはレベル上げでしょ!!」
「賛成です。クロノスさんと一緒にプレイする以上、足手まといにはなりたくないです。」
「クロノスが盟主様を足手まといなどと思う事はないでしょう。」
「まあ、今はそれくらいしか出来そうにありませんね。」
「装備も強化しておきたいけど、今の施設じゃあ、これ以上の物は作れないしね。」
「さも、己が作った様にいっているが、我々の装備は盟主様が作っているのだからな。」
「もう、分ってるよ。本当にユリりんの事になると王様ってキャラが変わるよね。」
「ふん。当たり前であろう。」
「…………。」
「シュテるん、どうしたの?」
「いえ。装備の強化に関しては、クロノスさんが協力してくれるのではないかと。」
「確かにな。再会した時にも思ったが、クロノスの装備はすでにかなり整っていた。それに加えギ
ルドを立ち上げる程だ。それにクロノスならば、工房くらい所有しているだろう。」
「王もクロノスさんの事は認めているんですね。」
「当たり前である!」
「…………。」
「先ほどから黙っていますが、ユーリは反対ですか?」
「反対じゃないけど、クロノスさんに迷惑じゃないかなって。」
「β時代にも同じような事をお願いしたし、それにクロノん優しいから大丈夫だよ!」
「私もレヴィと同意見です。私達では難しいでしょうが、同じ生産者であるユーリなら工房への立
ち入りも許可してくれると思います。」
「その辺りの話はクロノスから連絡が入った時で問題なかろう。我らが何と言った所で判断するの
はクロノスなのだから。」
「それもそうですね。」
「では、その時は私からクロノスさんにお話します。」
「よーし!それじゃあ、クロノんから連絡が来るまで、ひたすら敵を倒して、倒して、倒しまくる
ぞぉっ!!
「構わんが、ちゃんと昼食の時間になったらログアウトはするからな。」
「分ってるって!」
「ディアーチェちゃんは生活管理しっかりしてますね。」
「実際、私達の中で一番女子力が高いのは王ですから。」