とらなのVRMMO ~魔法はゲームの中だけなの~【改訂版】   作:戯言紳士

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第2.5章 イベント準備 "育成!生産!模擬戦!?"
第42話   6月22日 月曜日①


 

『クロノス様がログインしました。』

 

 無限図書館の地下ダンジョンに挑んでから一日が経過し、普段となんら変わりのないヴィヴィオ達との学校生活を終え帰宅すると、俺は今日もSLOを起動しログインした。

 

 ちなみに、今週はSLOの正規サービスが開始されてから初となるイベントが水曜日の夕方から始まる事が公式HPに掲載されていた。

 他にもイベントの詳細が公式HPに掲載されていたので、その内容をまとめてみた。

 

 

・開催期間:6月24日(水)17:00 ~ 7月12日(日)23:59まで

・レベル制限:なし

 

・イベント内容:

 イベント期間中、ミッドチルダから半径12街分離れたエリア内に21ヶ所の転移ゲートを設置。

 転移先にはボスモンスターが待ち伏せており、そのモンスターを討伐しイベント専用アイテムを入手する事。(討伐時に100%の確立で剥ぎ取れる。)

 21ヶ所、全てのボスを討伐し専用アイテムを入手するとラストボスが待ち受けるダンジョンへ転移する転移石が入手できるので、それを使用し最後はダンジョン攻略となる。

 ラストボスを倒しダンジョンを攻略すると、このイベントでしか入手出来ない豪華な報酬が貰える。

 最大で5ユニオン(使役モンスターを含め30人)まで一緒にボス&ダンジョンに挑む事が出来る。

 

 

 他にも、転移先での使役モンスターの入れ替えは禁止になっているだとか、細かな事は掲載されていたが、概ねのイベントの概要としてはこんな所だ。

 

 それが影響しているのか、先週からのレベリングで溜まった換金アイテムを売却するためにミッドチルダまで転移して来たのだが、先週の平日の時に比べ、街中に滞在しているプレイヤーの数が少なかった。

 しかも、その大半のプレイヤーは、一時の休息か待ち合わせをしている感じで滞在しているようだった。よって、この場に置いて少数の、出会い厨のプレイヤーは明らかに浮いていた。

 

 まあ、そんな事は俺には全く関係のない事なので、さっさと換金アイテムの売却を済ませて、俺もイベントに備えて戦力の底上げをしにフィールドに出る事にしよう。

 

 売却するのは役所内に設けられている換金レートが一律の換金所。

 街中にも換金所はあるが、昨日のプレイヤーの換金具合によって翌日の換金レートが変わる。日によってはこっちの方が儲けが出るかも知れないが、今は金銭には困っていない。

 あくまで、イベントリ内のアイテム整理が目的なので転移位置からも近い役所の換金所で十分なのだ。

 

 

◇◆◇◆◇◆                                ◇◆◇◆◇◆

 

 

「いらっしゃいませ。あっ!クロノスさんじゃないですか。昨日は無限図書館に行ったみたいですけど、どうでした?」

 

 役所内の換金所なので当然店員は局員の人なのだが、これもまた何かの縁なのか今日の店員はエイミィさんだった。

 

「えぇ。一応、地下20階までは走破して来ましたけど、どうしてその事を知ってるんですか?」

「それはですね。クロノスさんは昨日、アミタとキリエに会いましたよね?

 私、その2人とも親交があるので、昨日2人からクロノスさん達が無限図書を訪れた事を聞いたんです。」

 

 考えてみれば単純な話だった。

 エイミィさんの実年齢は分らないが、見た目的に3人とも近い年齢だし、そもそも同じ会社に勤めているのだから、接点はあるのだろう。

 

「それにしても、初日で地下20階を走破したんですね。という事は初回クリア報酬も?」

「えぇ。時魔法と熱血ですよね。まだ習得はしていませんが、どちらも興味深いスキルだと思います。」

 

「そうですよね!特にクロノスさんには時魔法はお勧めですよ。中に自身の敏捷値を倍化させたり、敵を遅延の状態異常にさせる魔法が含まれていたりして、汎用魔法スキルの中でも頭一つ飛び出していますから。」

 

 なるほど。時魔法の中にはそのような魔法が存在するのか。

 

というか...

 

「そういう情報って、プレイヤーに教えても良いんですか?」

「えっ!? .........って、ああぁぁ!!そうだった!β版だとこの魔法なかったんだった!

 クロノスさんなら知ってるモノだと思って、普通に喋っちゃったよ!」

 

 やはり、一プレイヤーに喋ってはダメな内容だったのだろう。

 実は、俺達も気になり、今日の昼休みにヴィヴィオ達と一緒にSLOの時魔法に付いて調べたのだが、皆習得を躊躇しているのか、それとも情報を秘匿しているのか定かではないが、少なくともエイミィさんが今漏らしたような情報は得られなかったのだ。

 

「うるさいぞ、エイミィ。プレイヤーと会話するのは構わないが、ちゃんと職務を全うした上で騒ぎ立てるのは問題だ。それと、いらっしゃいませ、クロノスさん。」

「げっ!クロノ君。」

 

 それと、パニックに陥り少々騒がしくなったエイミィさんの声が耳に入ったのか、俺の背後からクロノさんが注意しに現れた。

 

「それに、見たかぎりまだ売却用のウィンドウも表示していないじゃないか。」

「あはは...。ちょっと話し込んじゃって。すみませんでした、クロノスさん。直ぐに売却用ウィンドウを表示するので、換金したいアイテムをそちらに移して下さい。」

 

 ここでようやく、俺の前に売却用のウィンドウが表示された。

 

「クロノさんもその辺りで。この後はフィールドに出てレベリングしようと思っていただけで、急ぎの用件とかは特にないので、少しくらいのお喋りは多めに見て上げて下さい。」

 

 それに、時魔法に関する情報も教えてもらったし。とは言葉にしないが、拘束時間に見合う対価は十分貰ったので、俺からエイミィさんを責める事はないと言う事を伝えた。

 

「クロノスさんがそういうのであれば、僕もこれ以上の事は言いません。」

「ふぅ...。」

「でも、今度同じように騒ぎ立てたり、無駄にプレイヤーさんの時間を浪費させたりしたら、上官に報告するから気を付けるように。」

 

 それを言い終えると、クロノさんも自分の持ち場に戻っていった。

 ちなみに、この間に俺は換金するアイテムを全て売却用のウィンドウに移し終えていた。

 

「ありがとうございます。助かりました。それと、さっき私が言った事はギルドメンバーの皆さんにも他言無用でお願いします。クロノスさんが実際に時魔法を使って見せる分には問題はありませんので。」

「了解です。それと、アイテムを移し終えたので、換金処理の方をお願いします。」

 

「はい。それではご確認しますので、少々お待ち下さい。」

 

・銅塊×255が10セット

・銀塊×255が4セット

・金塊×255が1セット

・下級獣モンスター討伐の証×255が7セット

・中級獣モンスター討伐の証×255が2セット

・下級植物モンスター討伐の証×255が5セット

・中級植物モンスター討伐の証×255が1セット

・下級昆虫モンスター討伐の証×255が8セット

・下級昆虫モンスター討伐の証×255が2セット

・下級水棲モンスター討伐の証×255が1セット

・下級霊モンスター討伐の証×255が1セット

 

・ゴーレムの駆動部品が4つ

・無限図書館長討伐の証が1つ

・無限図書館長補佐討伐の証が2つ

 

「えっと...、以上のアイテムで売却金額は"4,498,500 ELY"となります。」

「それで構いません。精算をお願いします。」

「かしこまりました。―― はい。クロノスさんの所持金に反映させたのでご確認下さい。」

 

 クロノス 【所持金】2,706,170 ELY → 7,204,670 ELY (+4,498,500)

 

 先々週の稼ぎと先週の稼ぎが加算され、俺の所持金はおよそ7百万エリーとなった。

 今の所使い道はないが、金が貯まるのは良い事だろう。

 

 ちなみに、ギルド設立時にギルドホームを役所で借りるた時の最低賃金は1週間で20万エリーと都心でのアパートの月の家賃と同じくらいの金額だったりする。

 ついでに、それを買い取るとなると5,6千万エリー必要になるので、現段階で個人のギルドホームを所有しているのは俺くらいだろう。

 

 運営&開発スタッフさんの大盤振る舞いに感謝だ。

 

 

 ともあれ、これで売却金額の反映の確認も済んだ。

 エイミィさんもお仕事モードに入り、最初のように会話をする雰囲気でもないので、一声掛けてから、この場を立ち去る事にしよう。

 

「確認出来ました。今回は貴重な情報を含め、ありがとうございました。」

「あはは...。はい。またのご利用、お待ちしております。」

 

 その後、俺はエイミィさんに見送られる形で換金所を後にし役所から出た。

 

 それでは、ここからはレベリングだ。

 昨日の探索で久遠が4度目のクラスチェンジにあと一歩という所まで来ているので、まずは久遠のクラスチェンジからだな。

 その後は召喚モンスター全体のレベルの底上げになるだろうが、あわよくば赤兎のクラスチェンジも狙っていきたいな。

 

 最初の狩場は前回と同じE6S6のフィールドで良いだろう。

 ただ、イベントを控えているので、前回とは異なりフィールドには他のプレイヤーがいる事を想定すると、状況によっては徐々に東か南へ流れて行くかもしれないけどな。

 

 まあ、それは実際にフィールドに行ってからの判断になるので、さっさとその現場に向かう事に

しよう。

 

 

◇◆◇◆◇◆                                ◇◆◇◆◇◆

 

 

Another Story ~ 海鳴大学の食堂にて ~

 

 

―― ピコンッ♪ ×3

 

「あっ、ヴィヴィオちゃん達から今日の詳しい時間が送られてきたわ。」

「そのようだな。」

「ようやく向こうで会えるね。」

 

「それで、いつ頃なんですか?」

 

「そういえば、アインハルトは連絡先を知らないからグループに入っていなかったね。」

「えっと..、21時にフィールド"S1W5"のポータル付近に刻也君が迎えに来るらしいわ。」

 

「フィールド"S1W5"のポータルとなると、森の中だったか。」

「それで間違いなかったと思います。人目を避けるという点では街から一番近いポータルだと思います。」

 

「予定がズレて、今回の事を提案した子達も一緒みたいだし、ミッドチルダだと注目される可能性を考慮しての事なんでしょう。」

「私達は、近づいてきた相手をシグナムが斬り伏せていたから、最初の頃より絡んで来るプレイヤーは少なくなったけどね。」

「ふん。向上心もなく下心だけで私達と同行したいなどいう輩を斬って何が悪い。」

「事ある毎に余計な時間を掛けずに事を収めて頂いたので、私はシグナム先輩が一緒にいて良かったと思います。」

 

 

「まあ、それは追々語られるかもしれないから置いておいて、今から21時までどうするか決めましょうよ。」

「今日はみんな午前中だけで、午後に受講する学科はないはずだよ。」

「それで間違いないかと。」

 

「ならば、この後少し軽く体を動かしてから各自帰宅。その後、SLOで落ち合うでいいだろ。」

 

「はぁ...。シグナム。もう少し女子大生っぽい所に行きましょうよ。折角、また刻也君達に会うんだから、少しはおしゃれしないと。」

 

「シャマルは何を言っているんだ?」

「約束はSLOの中ですよね? こちらでの服装は関係ないと思うのですが?」

 

「シャマルは、ただ何かに託けて買い物に行きたいんだと思うよ。ほら、金曜日からずっと私もシグナムも鍛えてばっかりだったし。」

「流石、リイン。この中で私の次に女子力が高いだけあるわ。」

「なるほど、そういう事だったんですね。」

 

「それならそうと直接言え。では食後の運動の後、シャマルの買い物に付き合った後に、SLOにログインするという事で問題ないないな。」

 

「えぇ。帰りの時間によってはみんなで夕食を食べてから解散って流れになると思うわ♪」

 

「はぁ..。一体どれだけ買い物をする予定なんだ。」

「まあ、急いだ所で刻也君に早く会えるわけでもないんだから、たまには良いんじゃない?」

 

 

 

「こうして私達は食堂を後にして14時くらいまで体を動かし、18時までシャマル先輩のショッピングに付き合い、夕食を食べてから解散する事になるのでした。」

 

 

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