蒼き雫に救われし者   作:マスターBT

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短めですが導入という事で許して下さい。



思いの日

???SIDE

 

日本 IS学園周辺

 

「化け物…… 」

 

男は逃げていた。

この男は、この辺りでは名を知れた裏組織のトップだった。

だが、今この男の視界には赤い人間だった物しか映っていない。

 

「くそっ、なんだってんだ。

亡国とか云う連中に駒になれという要求を断ったらこれって頭どうなっていやがる!」

 

男は後悔していた。

こんな目に合うなら一億という報酬で納得しとくべきだった。

 

「最後の一匹を発見 」

 

此奴のせいだ。俺の組織をたった一人で壊滅させたイカれ野郎だ。

 

「手間かけさせんなよ。

雑魚が逃げ惑いやがって、お陰で余計な時間かかっちまったじゃねぇーか。

まぁ、せめて死に際で俺を愉しませろよ 」

 

ツツッ!此奴の嗤い方はおぞましい。

 

「ああああっ!死ね!」

 

男は懐から銃を取り出し撃つ。

 

「クククッ!ほらほらよく狙えよ 」

 

男が撃った弾丸はことごとく避けられる。

くそくそくそっ!なんで当たらねぇ!

銃弾を撃ち尽くした銃は、カチカチと虚しい音を立てる。

 

「もう終わりか?つまんねぇーーー死ね 」

 

男は自身が斬られたと気付く事なく、その命を散らした。

 

 

「遊び過ぎよ 」

 

この凄惨な光景に似合わない金髪の女性が入ってくる。

もし、この場に他の生きている人間が居れば、異常な光景に見えただろう。

女が入ってくると同時に先程まで暴れていた男が嘘の様に大人しく成っているのだから。

 

「我慢の限界だったんでな。

まぁ、長く持ちそうは無いけどな 」

 

「はぁ、まぁいいわ。

駒は手に入らなかったけど、場所は手に入れられたわ 」

 

どうせ捨て駒にするつもりだったしね、と付け加える。

 

「そういう面は、俺より悪党だな 」

 

「あら、私よりタチの悪いのが目の前にいるけれど?」

 

「はっ、よく言うぜ 」

 

「さてと、情報採集を始めるわよ 」

 

女の言葉を合図に色々な機器が運び込まれる。

 

「さぁ、残された日を大切に過ごすことね 」

 

女はIS学園を見て笑みを浮かべる。

少しづつだが、確実に新たな火種が近づきつつあった。

 

 

 

 

主人公SIDE

 

「キャノンボール・ファストは、諦めるしかありませんわね 」

 

「その体で参加する気だったのか?」

 

定期検診を終わらせて戻って来た、セシリアが肩を落としていた。

 

「ええ。だって面白そうでしたし 」

 

「あのな、検診に行くにも、他人に力を借りないといけないのに参加できる訳ないだろう 」

 

キャノンボール・ファストまで、後一週間と成ったがセシリアは相変わらず、回復しきっていない。

あの時喰らった紅い稲妻のダメージが抜け切らないようだ。

 

「はぁ、参加したいですわ 」

 

当の本人は、全く堪えていないようだが。

 

「はぁ、俺はちょっと出かけてくるから、ゆっくり休んでろよ?」

 

「お土産を期待していますわ 」

 

「何処まで、俺を遠出させる気だ?

まぁいいか。じゃあな 」

 

「ええ。いってらっしゃい 」

 

俺は病室を出る。

携帯を確認すると既に待ち合わせ場所に到着しているようだ。

早いな。まだ10分前だぞ?

取り敢えず、今すぐに向かうと連絡を入れモノレール乗り場へと向かった。

……………今度こそは守り通してみせる。

 

 

楯無SIDE

 

「ええ、分かったわ。

引き続き調査をお願い 」

 

更識の家からの連絡を終わらせる。

ここ最近不穏な動きのあった組織が壊滅したという連絡だった。

 

「これで3件目。しかも、それぞれが簡単に潰れる事はまず無い大きな組織だった。

スパイとして送り込んでいた人からも連絡無し。何か大きな事でも起こるのかしら?」

 

「お嬢様。ドラクレア君からの資料が届きました 」

 

虚ちゃんが持って来た資料に目を通す。

これって⁉︎

 

「亡国の確認できた戦力⁉︎

こんなのを一体何処で?」

 

探りを入れれば即座に消された組織の情報が簡単に手に入るなんて。

ドラクレア君、貴方一体何者なの?

 

「私からも聞いたのですが、彼は極秘のルートとしか答えずに行きましたから 」

 

「そう。取り敢えずは感謝しておきましょう。

これで、対策を練る事が出来るわ 」

 

ほんの一握りとはいえ、彼等の情報は頼りになるわ。

次は、あんなに被害を出さずに捕まえて見せるわ。

 

「キャノンボール・ファスト。確実に彼らは仕掛けてくる。

絶対に阻止してみせる 」

 

一夏SIDE

 

「はぁはぁ、疲れる 」

 

「私は、これで帰るわね… 」

 

「じゃあな…鈴 」

 

鈴とアリーナで別れる。

楯無さんの訓練に参加したのだが、ハード過ぎて体がボロボロだ。

 

「でも、これぐらいで諦める訳にはいかない 」

 

学園祭の時、楯無さんが来てくれなかったら白式は奪われていた。

それに、白式を取り戻してからも俺は何も出来なかった。

 

「ファウストの様にとはいかなくても、俺だって抗ってみせる 」

 

顔を一回叩き、覚悟を決めて部屋へと戻る。

 

 

 

箒SIDE

 

「一夏…… 」

 

アリーナから出て来る一夏に声を掛けようとしたが、一夏の雰囲気と言葉に動きを止めてしまった。

一夏の纏っている雰囲気が私の知っているものとは、違う物に感じたからだ。

 

「如何したと云うのだ一夏。

ドラクレアと関わって変わってしまったのか?」

 

奥歯を噛みしめる。

ドラクレアの奴、一夏に何を吹き込んだというんだ?

思い出せば、夏休みの頃から何かが可笑しかった。

ずっと何かを考えていたし、私が話し掛けても上の空だった。

状況を知ってそうな鈴に質問しても『彼奴にも色々あるのよ』と答えを教えてくれなかった。

 

「私では、力になれないのか一夏?

ドラクレアの方がお前は良いのか?」

 

専用機を貰った。でも、私と一夏の関係は変わってない。

待機状態の紅椿を見る。

この力では、一夏の助けには成れ無い。

 

「私は…… 」

 

空を見上げる。

 

「如何すれば良いんだ……… 」

 

 

 

 

愛する者を守り抜く、暗部の長として生徒会長としての覚悟、自分の目指す理想の為、己の迷いと弱さ。

それぞれの思いが、覚悟がある中迎える運命の日。

その時、その瞬間、少年少女達の行動は未来を決める。

 




今回登場しなかった人達は、話が進めば明らかに成りますのでお待ち下さい。
次回からの投稿は遅くなる可能性がありますが、今作の大切な話となりますのでお待ちいただきたいと思います。

感想・批判お待ちしています。
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