一夏SIDE
「チッ、少々貴様らを甘く見ていたようだ。
だが、認識は改めよう。全力で潰す‼︎ 」
ッッッ‼︎凄いプレッシャーを感じる。
明らかに今までの感じでは無い。多分いや、確実に作戦は通じなくなっただろう。
「……ヤバイわね 」
「ああ。嫌な感じだ 」
鈴とラウラも同じ様に、相手の変化を感じ取っている様だ。
その時、サイレントゼフィルスが視界から消えた。
「くぅぅぅぅ! 」
鈴の呻き声が聞こえたと思ったら、サイレントゼフィルスがナイフを展開し鈴に斬りかかっていた。
鈴はギリギリで対応出来たのか、双天牙月を展開していたが完全に押されている。
「私が近接戦闘を出来ないと思っていたか?
悪いが此方の方が得意分野なんでな 」
くそっ!遠距離の機体を使っているから近接はしてこないと思っていた!
しかも、あの位置取りでは俺もラウラも援護を出来ない。もし、回避されれば鈴に当たってしまう。
如何すればいい?
「鈴!避けろよ 」
「そうくると思ってたわよラウラ!」
ラウラが砲撃を放つ。
「え?」
俺の口から間抜けな声が溢れる。
だって、避けられたら鈴に当たってしまうのでは無いのか?
そんな俺の疑問を他所に砲弾は回避され、鈴に向かっていく。
やばい!そう言う前に、鈴が衝撃砲で砲弾を誘爆させた。
「一回似たようなことがあるとなれるわね 」
「………鈴。無事なのか?」
煙幕の中から、無傷の鈴が出てくる。
「ええ。前にもこんな事があったでしょ?
そのお陰で、ギリギリで対応する訓練を自主的にやっていたのよ 」
そう言われて思い出すのは、二組との合同練習した時の事だ。
セシリアに似たようなことをされてたな。
「慣れるものなんだな。そういえば、サイレントゼフィルスは?」
煙幕の中から、出ててきたのは鈴だけ。
普通に考えれば、あの爆発でダメージを負ったか、希望的に言えばやられてくれたのか、何だろうけどそうな簡単に行くとは思えないんだよな。
そう考えた瞬間、煙幕の中からビームが出てくる。
「こんなものか?」
煙幕の中から無傷のサイレントゼフィルスが現れる。
あの至近距離の爆発をどうやって凌いだんだ?
「チッ、無傷か 」
ラウラが舌打ちをする。
………舌打ちの感じがファウストに似てるんだけど。
「所詮は、学生の仲良しこよしか。
この程度の連携なぞ容易に回避できる 」
無傷な姿でそれを言われると流石に響くな。
まぁ、これは準備でもあったんだがな。
「準備は出来たぞ 」
ラウラから合図が入る。
それを聞き俺は鈴と目を合わせ頷くき、二人同時にサイレントゼフィルスに向けて加速する。
「馬鹿の一つ覚えか。同じ事を繰り返すとはな 」
俺と鈴で斬りかかり、サイレントゼフィルスを回避に集中させる。
それでも、所々でナイフによるダメージを受ける。
隣の鈴の顔を見ると少し、苦しそうな顔をしている。
「鈴!シールドエネルギーが少ないなら一旦下がれ!」
俺は直ぐに、その顔をしている理由に気付き、鈴に注意をする。
さっきの、爆発で鈴はダメージを受けてしまったんだ。
「あんた一人で此奴を抑え切れるわけ無いでしょ!」
「だけど!」
「仲間割れか?随分と余裕だな 」
「しまっーー 」
鈴とやり取りをしていたら、サイレントゼフィルスへの攻撃が疎かになってしまった。
サイレントゼフィルスに蹴り飛ばされて、アリーナの壁に衝突してしまう。
「一夏!」
「他人の心配をしている場合か?」
「くっ!」
鈴とサイレントゼフィルスが再び、切り結ぶ。
しかし、鈴の攻撃は読まれているのか掠りもしない。
「くそっ、体が動かない…… 」
「そこで大人しくしてろ 」
「ラウラ… 」
目の前にラウラが立つ。
『ヴァルキリー・システム 』を発動している様だ。
俺たちの時間稼ぎは成功したか。
「頼んだ 」
「任せろ 」
簡単なやり取りをして、ラウラは雪片の様な黒い刀を展開して、戦いの場所へと向かった。
ラウラSIDE
「鈴!」
サイレントゼフィルスと戦っている鈴に合図を出す。
「了解!ちょっと大人しくしてなさい!!」
「何⁉︎ 」
鈴が捨て身の特攻で、サイレントゼフィルスの後ろを取り、腕を抑え込む。
鈴が抑えたのを確認した私は一気に加速。
「教官の様に上手くは出来なくても、貴様を切り裂くことぐらいは出来る!」
加速した勢いのまま、サイレントゼフィルスの腹に横薙ぎで一撃入れ、その勢いを利用して刀を正面に構えて、振り下ろす。
鈴が此処で離脱をする。
サイレントゼフィルスが体勢を整える前に頭を掴み、一気に下降し地面に叩きつける。
私は、距離を取り叩きつけた地点にレールガンを撃ちまくる。
「舐めるなぁーー!!!! 」
煙幕の中からサイレントゼフィルスが飛び出してくる。
それを見た私は、刀を腰に当てる。鞘は無いが、居合斬りという物の形になる。
サイレントゼフィルスがナイフを展開し、切りかかってくると同時に刀を振り抜く。
刀の刀身が光を放ちながら、サイレントゼフィルスを斬り裂いた。
「………失敗か…… 」
サイレントゼフィルスが解除されて、操縦者が倒れる。
どうやら勝てた様だな。
ヴァルキリー・システムを解除する。
「ふー、なんとかなるものだな 」
「と云うか最後の光はなに?」
隣に来た鈴に質問される。
「あれか?あれは、ヴァルキリー・システムの最大稼働時に、発動するものだ。
元々が、ヴァルキリー・トレース・システムだった所為なのか、操縦者の願望に強く反応するらしい 」
「願望?」
「そうだ。簡単に言えば、私の教官への憧れの結果だ。
あの光は、教官の単一能力を擬似的に再現したんだ 」
教官の零落白夜を再現できるとは、思っていなかったがな。
それでも、その可能性を信じずには、居られなかった。
「それって!」
「強いだろ。だがな、再現をするとヴァルキリー・システムは強制解除されてしまうんだ。
ここぞという時にしか使えない 」
「へー、所で此奴どうする?」
「縛っておけば、あとは私たちの知った事では無い 」
よく分からない裏事情は教師たちに任せるのが一番だ。
「あんたも似てきたわね。じゃあとっとと捕まえときますか 」
「ああ……頼んだ…… 」
視界が揺らぎ始める。
フィードバックか。これで、ファウストへの贖罪は済んだな。
意識を失って倒れた。
鈴SIDE
「ちょっとラウラ!」
急いでラウラに駆けつける。
「すぅすぅ 」
「………心配して損したわ 」
ぐっすり寝てるじゃない。
しかも、こんな嬉しそうな顔をされたら起こし辛いじゃない。
「全く。私に全投げですか… 」
サイレントゼフィルスのパイロットに近づいて持って来といた縄を取り出す。
「うわぁ、どうしょうコレ 」
サイレントゼフィルスのパイロットは、千冬さんにそっくりだった。
「どう考えても面倒くさそうね 」
そんな事を言いながら黙々と縛った。
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