蒼き雫に救われし者   作:マスターBT

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シリアスなんて、無かったんだ。


亡国企業

スコールSIDE

 

「彼の様子は?」

 

中東にある私達の隠れアジト。

一週間前に学園に忍び込ませておいた部隊が目的を達成し戻って来た。

『剣』となるファウスト・ドラクレア、『担い手』となるセシリア・オルコット。

部隊の半分は、再起不能一歩手前まで、ボロボロにされていたけど。

 

「大人しくしていますよ。

三人を大怪我させた人間とは、別人の様です 」

 

此処に連れて来た時も、目を覚ました直後に大暴れし、もう一度麻酔を打つまでの二分間に、三人を意識不明にしていた。

 

「彼女は?」

 

「丁重に扱っております 」

 

彼女を傷付けて仕舞えば、彼の手綱を握る事が出来なくなってしまうわ。

 

「さてと、彼はこちら側に着いてくれるかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

主人公SIDE

 

俺は今、両手を鎖で繋がれ鉄格子の着いた部屋に入れられている。

学園の自室で寝ている所を襲撃され、麻酔を打たれ気絶した所を、連れて来られた様だ。

まぁ、何人かは痛め付けたのだがな。

拘束された両腕は、全くと言って良いほど動かない。

………恐らくだが、セシリアも此処に居るだろう。

俺の部屋に連中が来た時、部屋の出口にチラッとだが見慣れた金髪を確認できた。

その隙を突かれたのだが。

そんな事を考えていた時に部屋に近づく気配を感じた。

 

「失礼するわ 」

 

金髪の女が入って来た。

 

「こんな鉄格子の着いた部屋に礼儀を払う必要はないと思うが?」

 

「そう?常識として必要だと思ったのだけど 」

 

「常識?裏組織がそんな物を守っているとは思わなかったな 」

 

「失礼ね。それより、本題に移るわよ。

私達に協力してくれない?」

 

…やっぱりそう来たか。

 

「お前のところにいる壊れた二重人格者にも、言ったが断る。

と、言いたいところだがセシリアも此処にいるんだろう?」

 

女が驚いた様に、大きく目を見開いた。

 

「気付いていたの?」

 

「俺が自分自身扱いづらい存在だと、自覚しているからな。

俺を拉致するまで、此処まで用意周到に準備をした人間が、俺をただ単純に連れて来るとは思えなくてな 」

 

学園祭の時に会話した感じ、金髪は相手の策を読みきり、自分の策に利用する策略家だろう。

此奴は、俺を戦力として引き入れたい。

否定をせずに、相手にとって好意的な返事を返した俺に着いて、今考えをまとめているだろう。

あえて、セシリアの名を出し俺が、セシリアを使えば従順な兵士になると思わせる。

 

「……ええ。彼女も此処に居るわ 」

 

「そうか。なら、此処にセシリアが居るという証拠を見せてくれ。

そうじゃないと協力は出来ない 」

 

「本当に、ご執着のようね。

いいわ。拘束を解いて!彼を連れて行くわ 」

 

俺の拘束が解かれていく。

ほぅ、拘束を解いたか。モニターで確認させる系統の手段を使うと思ったが、直接会わせる気か。

うまいな。此処で暴れればセシリアがどうなるか分からないと云うのを暗に思わせ、更に拘束を解く事で完全に敵意は無いと思わせる事も可能だ。

 

「俺が、拘束を解かれた瞬間暴れたら、どうするつもりだったんだ?」

 

「あら?同士に成ってくれるかも知れない人物を邪険に扱うわけ無いじゃない 」

 

「フッ、そうか 」

 

部屋を出て、金髪について行く。

 

「そう言えば、ちゃんとした自己紹介がまだだったわね。

私は、スコール。スコール・ミューゼルよ 」

 

「ファウスト・ドラクレア 」

 

自己紹介の意味あるのか?

まぁ、確かに直接的な会話は、これで二回目だが。

 

「着いたわ 」

 

「…………俺がいた所は、なんだったんだ 」

 

無駄に豪勢で華やかな扉が目の前にあった。

扉でこれなのだから、部屋はどうなっているのだろうか?

 

「貴方は、少々特殊な立ち位置だったし、雑に扱っても大丈夫そうだったから。

ほら、中に入りなさい。お姫様が待ってるわ 」

 

「チッ、雑で構わないとは言ってくれるな 」

 

そう言いながら、扉の前に立ち、ノックをする。

 

「セシリア、入っても良いか?」

 

シーン

 

ん?返事が無い。

いや、違うな。気配が近づいて来る。

 

「ファウスト!無事だったのですね 」

 

扉が開き、セシリアが飛び出してくる。

急いで、受け止めて互いに抱き合う形となる。

 

「怪我とかは無いか?」

 

「大丈夫ですわ!ファウストの方は?」

 

「心配するな。そんな柔な体はしてない 」

 

ギュッと、セシリアの腕に力が入る。

 

「目を覚ましたら、知らないところですし、ファウストもいなくて怖かったですわ 」

 

「……悪かった。そばに居てやれなくて 」

 

「でも、こうしてまた会う事が出来て、嬉しいですわ 」

 

「俺もだ 」

 

互いに笑いあう。

そのまま、顔が近づいていきーー

 

「んんっ!ちょっと良いかしら?」

 

途中で止まり、一旦離れる。

 

「ご覧の通り、セシリア・オルコットは無事よ。

私達に、協力してくれる?」

 

スコールが、右手を差し出す。

 

「良いだろう。だが、セシリアに危害を加えたら、貴様らの組織を壊滅させる 」

 

同じく、右手を差し出しスコールと握手をする。

 

「交渉成立ね。もう拘束はしないから、好きな時にここに来ていいわ。

明日に成ったら、貴方の戦闘能力をテストさせて貰うわ 」

 

「了解した。スコール 」

 

スコールが、何処かへ歩いて行く。

 

「ファウスト?協力とは一体なんですの?」

 

「セシリア。必ずお前をIS学園に戻してやる。

だから、心配するな 」

 

セシリアの頭を撫でながら言う。

必ず守ってみせる。この命に代えてでも。

 




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