蒼き雫に救われし者   作:マスターBT

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ほのぼの系です。


息抜きと目的

主人公SIDE

 

隠れ家に戻り、スコールと通信を取る。

 

『殺せたのかしら?』

 

「悪いが、殺すのは無理だった。

オータムは回収、学園はシステムに大打撃を与えた 」

 

織斑千冬を殺すのは無理がある。

あの人外に手傷を負わせただけでも、大勝利と言って良い成果だろう。

 

『そう。織斑千冬はどういう状況かしら?

まさか、なんの手傷も負わせられなかった訳ではないでしょうね?』

 

「それに、関しては問題ない。

腹に穴は開けた。そういえば、もう一つ土産がある 」

 

まぁ、俺たちが連れて来た訳ではないが。

あの騒ぎを利用して、自分で抜け出しこの場所に来るなんて余程、根性の座った奴だろう。

 

「Mと云う少女だが知っているか?」

 

スコールが画面の奥で息を飲むのが聞こえる。

……やっぱり何かしていたか。

 

「今は、寝ているが起きたら連絡入れるか?」

 

『いいえ。私達も日本に向かうから、その時にお願いするわ 』

 

「了解した。説明は以上だ 」

 

通信を切る。

念のため、ありとあらゆる電波を遮断出来るように、アルミ板で覆った部屋に入れておいたのが、幸いした様だ。

本当は情報を聞き出す為だったが、こんな結果になるとはな。

 

「M。どうやらお前、信用薄い様だな 」

 

「ふん。忠義なんか持ち合わせていないからな 」

 

「そうか。

なぁ、こっちに着いてくれるか?」

 

此奴にもなんらかの目的があるのだろう。

忠義が無いのなら、こちらに引き込みたい人材だ。

 

「なに?」

 

「俺は、人質がいるからスコールに従っている。

人質を取り戻して、ついでに余計なちょっかいを出されたくないから潰したい。

その為の戦力が必要だ 」

 

「その為に私を使うと?」

 

「ああ。だが、お前はお前のやりたい様に動いて貰って構わない。

その為の足枷は、こっちで壊してやる 」

 

恐らく、ナノマシンなどの類で反逆したら、遠隔で殺せる様にしているのだろう。

天災に頼めば、如何にか成るだろう。此奴の容姿も気にいるかもしれん。

 

「……それを信じる為の確証はあるのか?」

 

「そうだな。ちょっと待ってろ 」

 

端末を再び起動し、特殊なパスワードを入力する。

 

『先生。どうかしましたか?』

 

「クロエ、天災いるか?」

 

『はい。…束様ー、ファウスト先生から連絡です 』

 

クロエが画面から消え、天災を呼ぶ声が聞こえる。

 

「なんだこれは?」

 

「ちょっと待てと言っただろう 」

 

『はいはい〜束さんだよ〜。名無し君なんの用事?』

 

やっと来たか。

Mのストレスが溜まってきていたから助かった。

 

「これを見てくれ 」

 

「な、なんだ!」

 

Mを引っ張って、映像の中にMを映す。

 

『ん?んんん?名無し君、何処で見つけたの 』

 

「元々、組織にいたようだ 」

 

『ふーん。私は何をすれば良いの?』

 

興味を持ったな。

織斑千冬の容姿に似ているから食いつくと思ったが予想通りだ。

Mを見せてからずっと、楽しそうに笑ってるし。

 

「俺の目的の為に此奴を利用する。

その為に此奴の足枷を壊したい 」

 

『んー、今すぐがいい?』

 

「ああ。スコールに来られると、支障があるから今すぐこっちに来て欲しい。

お前なら、それぐらい簡単に出来るだろう?」

 

『そんなに信頼されてるなら、急ぐね〜。束さんに出来ないことは無い 』

 

通信が切れる。

一方的に切ったな。

 

「確認するが、ナノマシンの類だよな?」

 

「あ、ああ。如何にか出来るのか?」

 

「天災いや、篠ノ之束なら如何にか出来るだろう 」

 

「私は誰の指図も受けないぞ。織斑一夏、奴を殺せれば私はそれでいい 」

 

ターゲットは織斑だったのか。

まぁ、頑張れ織斑。

 

「それじゃあ答えを聞きたい。

俺に協力してくれるか?」

 

手を差し出し、Mに聞く。

 

「勿論だ 」

 

Mが俺の手を取り交渉が成立する。

最高に使える戦力が手に入った。スコールを出し抜くには丁度いい人材だ。

 

「私の名前は、マドカだ。普段はそう呼んでくれ 」

 

「分かった。そうだ、広間に俺の部下がいるから、挨拶でもして来たら如何だ?」

 

親睦を深めるのもあるが、連中は少々特殊だからな。

今のうちに慣れておいた方が、良いだろうし。

 

「ひつよー「マドカちゃんで良いんでしょ?」うわっ、なんだ貴様は、急に抱き付いてくるな!!」

 

「ナイスタイミングだ。ハート 」

 

マドカに突然現れたハートが抱き付く。

相変わらず、相手がどんな奴でも打ち解ける奴だな。

 

「そのまま、連れてってやれ 」

 

「了解です!隊長 」

 

「ま、待ておい!」

 

「はーい。行きましょう 」

 

「人の話を聞けー!」

 

引き摺りながら、マドカを部屋から連れ出して行く。

 

「さて、これからどう動くか 」

 

マドカと協力関係を結ぶ事は出来た。

可能であれば、俺の部隊に引き抜きたいのだが、スコールの部隊でも重要な戦力らしい。

そんな人間を簡単に引き抜けるか?

マドカにこちらについて貰うようスコールに談判するように頼むか?

いや、俺とマドカは対等な協力関係だからこそ、互いに利用する事が出来る。

こちらが下手に出ては意味がない。

天災……これ以上は何を要求されるか分からない。頼み事は、絶対に必要な時に使いたい。

スコールと交渉……むこうが俺に対して、絶対的有利な交渉材料を持ち合わせてるから無理だろう。

 

「さて、如何するのが得策だ?」

 

「マドカさんを、この部隊から離れずらくすれば、良いのでは?」

 

「ダイヤか、だがどうすれば離れずらくなるんだ?」

 

マドカがこの部隊と共にいるメリットは自身の目的の為に動きやすくなるという事だけ。

しかし、それだけでは此処に居ることを続ける理由としては薄い。

 

「はぁ、分かってましたけど隊長って、損得や裏のかきあいを考えるのはうまいですけど、人の気持ちの理解は全く出来ませんね 」

 

真剣に悩む俺を見て、ため息を吐くダイヤ。

なんだその駄目人間を見る目は。

 

「マドカさんは、人の暖かさに弱いようですよ?」

 

「なに?」

 

ダイヤに連れ出された俺は、思わず笑みがこぼれた。

 

「マドカちゃんの負けー 」

 

「連敗だな 」

 

「マドっち弱い〜 」

 

「……ふっ 」

 

「えええい!五月蝿い!もう一度だ!」

 

ハートとクローバー、ジョーカー、マドカがトランプをしており状況を見る限り、マドカがボロ負けしているのだろう。

その光景を後ろで刀の手入れをしているスペードが少し、笑いながら見ている。

 

「そうか。クハハッハハハハハ!!!!」

 

硬くなりすぎたな。

もう少し、連中を頼っても良いのかもな。

 

「隊長?急に笑い出してどうした?」

 

「いや、自分の頭でっかち具合が笑えてきてな。

それより、トランプをしていたのか?」

 

「ババ抜きだよ。隊長もやる?」

 

「ああ。一休みを兼ねて、参加しよう 」

 

ハート達の輪に加わる。

トランプが配り終わり、手札を見ると初めからジョーカーが手札にあった。

取り敢えず、揃っているカードを場に捨てる。

 

「今回こそは勝つ 」

 

「それ何度目?」

 

「今ので、5回目だな。しかも、連続で 」

 

本当に連敗しているんだな。

 

「くっ、ファウスト・ドラクレア。貴様のカードを引かせろ!」

 

「ファウストで良い。呼びずらいだろうフルネームは 」

 

マドカがカードを引く。

……見事にジョーカーを引いていったな。

 

「………」

 

固まるなよ。

ジョーカーを引きましたと言ってる様なものじゃないか。

 

「カード引くよ?」

 

クローバーがマドカから、カードを引こうとするのだが、

 

「………」←ジョーカー以外に触れた時のマドカの反応。

 

「……よしっ、引け 」←ジョーカーに触れた時のマドカの反応。

 

論外だろ!

ゲームとして、色々成り立ってない。

 

「ごめんね?」

 

「くっ!」

 

クローバーがジョーカー以外を引く。

この後もマドカから、ジョーカーがいなくなる事は無く、マドカは負け続けた。

 

「……何故勝てない…… 」

 

「全部表情や、口から出てるからな 」

 

「何だと!」

 

「「「「「「ハハハハハ!!」」」」」」

 

「笑うな!」

 

久々に笑った気がする。

こいつらは、不思議な連中だ。気がつくと気を許して一緒に笑っている。

セシリアとは違う意味で、居心地が良い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スコールSIDE

 

「オータム。例のシステムを起動できる準備をしておいて。

私はこれから日本に向かうわ」

 

「計画には、早すぎないか?

それに、日本って急過ぎないか?」

 

「Mが生きていたわ。しかも、彼の所で保護されてる 」

 

IS学園で捕まったと連絡が入った時に、ナノマシンを起動させたはず。

幾ら、更識と云えどその事実を知っているとは思えない。

 

「博士の入れ知恵なのか、若しくは唯の偶然なのかは分からないけど、Mが生きてる。

この事実は変わらないわ 」

 

「おいおい、彼奴が野郎と組みやがったら、最悪の敵だぞ 」

 

「だから、日本に行くのよ。ナノマシンを如何にか出来る訳が無いわ。

何故、彼女が生きてるかは分からない。だから、この目で確認する 」

 

それに、彼がMの忠義心のなさに気付けば、必ず利用しようとする筈。

絶対的有利なカードを持っていても、戦力で覆されては本末転倒もいい所よ。

 

「オータム。準備をするから、部屋から出てってくれるかしら?」

 

「分かった。何か手伝える事があったら言ってくれ 」

 

オータムが部屋から出て行く。

 

「彼を戦力として運用したいけど、彼は諸刃の剣ね 」

 

かなり、万能な技術を持っているし、頭のキレも良い。

これで従順なら喜ばしい事なんだけど。

 

「ナノマシンで、枷を付けたいけど篠ノ之博士に無効化されるでしょうし、篠ノ之博士を敵にしてしまう 」

 

悩みが多過ぎるわね。

椅子に座り、パソコンを起動させる。

 

「どんな障害があろうと、多大な犠牲を払おうとこの計画だけは完遂するわ。

争いの無い世界の為に、《ブレイン・リンク・システム》これを発動させて、計画は達成できる 」

 

ーーその為なら、どれだけの業を背負う事となっても。

 




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