ほんの少し謎が出てきます。
主人公SIDE
「元気な男です。おめでとうございます 」
「……頑張ったな□□□□ 」
「…ええ。念願の子供ですから 」
なんだこれは?
病院か、それも子供の出産。
俺は、ハートに連れられて隠れ家に戻ったはずだ。
なら、これは夢なのか?
そう思った時、景色が歪み場面が変わる。
「危ないわよ。そんな所に登ったら!」
先ほどの女性と、5歳ぐらいの子供が公園で遊んでいる。
子供が、親の目を盗みジャングルジムの高い所まで登ったようだ。
「危ない!□□□□ 」
子供が、足を滑らしてジャングルジムから落ちる。
かなり派手に落ち、右腕が血だらけになっている。
当然、子供は泣く。ジャングルジムの天辺付近から落ち、右腕も派手に擦りむくぐらいなら大した怪我では無い。
でも、子を案ずるのが親だ。急いで、駆け寄り血を拭き取る。
血を拭き取った時、驚くべき光景があった。
「傷口が無い⁉︎ 」
俺が、立っているとこからでもその状態が見れる。
母親のハンカチは、血だらけなのに子供には傷が無い。
少しばかり、驚いているとまた場面が変わる。
「すまんな。俺一人では、面倒を見きれないんだ 」
父親が、子供を孤児院に預ける姿が見える。
子供は、睡眠薬でも飲んだのかぐっすりと寝ている。
「私が、責任を持ってお預かりします 」
初老の女性が子供を受け取る。
側から見る限り変なところは、見当たらない。
しかし、俺は勘というか経験で察した。
この女性は危険だと。
子供の生活は、180度変わった。
寝て起きて、やる事は人殺しの訓練、銃器の扱い、暗殺の方法その他色々。
子供は、成長し少年と呼べる歳になった。
少年になってから訓練は実戦となった。
「こ、こないでぇー! 」
少年に向けて、ハンドガンを撃つ、同じくらいの歳の少年。
「……… 」
そんな少年の攻撃なんて、知った事ではないと言わんばかりに、少年に近づいていく。
ハンドガンを撃ち続ける少年の首がナイフによって斬られるのは、一瞬だった。
「……許せとは言わない 」
そう言った少年の顔は、凄く辛そうだった。
だが、ここまで見て、俺は思い出した。
この少年は俺だ。セシリアと出会う前の俺だ。
「ご苦労。君に仕事を与える 」
黒服の男が、少年いや俺の前に現れ書類を渡してくる。
ああ、これが俺の運命を変えたーー
「オルコット家の次期当主、セシリア・オルコットを殺して来い 」
書類を受け取り、了解と答える。
俺、紛らわしいな少年のままでいいか。
また場面が変わる。
「オルコット家当主のカレン・オルコットさんですね?」
「ええ。君は?」
少々高圧的に言うセシリアの母、カレン・オルコット。
「挨拶が遅れましたので。つい先日、オルコット家の庭師になりました、ロビン・マーフィンです 」
少年が、頭を下げ挨拶をする。
我ながら、苦しい設定だったと思う。
「そう。宜しく 」
彼女が、細かい事を気にしない性格で無ければ、ボロが出ていただろう。
ここから、暫くは庭師としてオルコット家で働いていた。
そして、一ヶ月ぐらいたった日彼に出会った。
「やぁ、今暇かい?」
自然に後ろに立っている男、セドリック・オルコットに。
「え、ええ。構いません 」
この時、驚いた気がする。
訓練で気配の感知には慣れていた。その筈なのに、全く気が付かなかったのだ。
「紅茶でいいかい?」
「はい 」
セドリックさんが、紅茶を淹れる。
この時、飲んだのはとても美味しかった。
「はいよ 」
紅茶を差し出される。
「ありがとうございます 」
紅茶を飲みながら、他愛の無い話をする。
カレンさんが照れると凄い可愛いとか、娘のセシリアがお父様と呼んでくれて嬉しいだとか。
家族の惚気話が大半だった。
「それで、君は何が目的だい?」
紅茶を置いたセドリックさんの言葉に、背筋が凍った。
「目的とは?」
「カレンなら、騙せたかもしれないけど僕はそうはいかないよ。
カレンはあんな性格だからね、僕が君の様な輩を担当しないとね 」
セドリックさんの目が鋭くなる。
「僕を殺しても構わないよ?でも、君の狙いは僕じゃないでしょ?」
「どこまで、知っているんだ貴様?」
まだ、甘かった俺は素直に敵意を出してしまった。
冗談だとか、からかってるんですか?とでも、言えばうやむやにできる可能性があるのに。
「ねぇ、取引しないかい?」
「取り引きだと?」
「君が、雇われている組織は僕達が潰してあげる。
その代わり、僕の娘をセシリアを助けてやってくれないかい?」
セドリックさんになんの旨みがある取り引きだと思った。
俺は、組織から逃げ出せる。
セドリックさんは、手間も金もかかり手に入るのは俺一人。
「なんとなくね僕はううん、僕とカレンは時期に死んでしまう気がするんだ。
カレンはあんな性格だから、誤解されやすいし僕は裏組織に喧嘩を売ってる様なものだからね。
いつ死んでも可笑しくないんだよ 」
あはは、と笑うセドリックさん。
「残される娘が心配なんだよ。
それに、君を助けた後はフランスのデュノア社が君の面倒を見てくれるよ。
二ヶ月間という期間だけどね 」
「………何故、そこまで俺に拘る?
娘のボディガードなんて、他の人間でも出来るだろうが 」
「勘だよ。君なら、娘と仲良くやれる気がするんだ 」
それでどうする?と質問してくるセドリックさん。
少年は考えるより、先に口が動いた。
「お願いします 」
ーーこれが俺の原点。
「………… 」
目を覚ました俺は、感傷に少し浸っていた。
「なんで、今の今まで忘れていたんだ?」
そんな疑問と共に。
あ、□は適当です。特に数に意味はありません。
ファウストにも、家族がいたよという話を書きたかったんです。
どうして、この時の事をわすれていたのか、どうしてこのタイミングで思い出したのかは後々明らかになります。
感想・批判お待ちしています。