一夏SIDE
「楯無さん。少し、良いですか?」
生徒会室の扉をノックしながら言う。
こういう時に、返事を待たずに入ってはいけないらしい。
「ええ。良いわよ 」
「失礼します 」
許可を取り、生徒会室に入る。
「一夏君。別に貴方も生徒会の一員だから、一々確認取らなくていいわよ?」
「いえ、俺は男ですから最低限のマナーを守らないと 」
ただでさえ、全校生徒が女子のIS学園なんだからこういう事はしっかりしないと。
「ふーん。それで、なんの用件?」
楯無さんがつまらなそうに返事を返し、聞いてくる。
そうだった、忘れるところだった。
「ISの単一能力が変化したり、増えたりする事ってあるんですか?」
前に、ファウストと戦ったときの現象を思い出して聞いてみる。
あれは単純に零落白夜の別バージョンとは思えない。
「うーん、そんな話は聞いた事が無いわね。
移動系や防御系のものなら、使い方次第で変わるかもしれないけど、攻撃系が変わるとは思えないわね 」
「そうですか…… 」
楯無さんでも、分からないか。
じゃあ、アレは何だったんだろうか?
自分で練習はしてみたけど、エネルギーが一瞬で尽きて落下しかしないし。
「でも、ISはまだまだ解明されていない事が多いから、特殊な例かもしれないわよ?」
「分かりました。もう少し、自分で調べてみます 」
そう言って俺は、生徒会室から出て行った。
楯無SIDE
「タイミングが良すぎて、驚いたわ…… 」
目の前のパソコンをもう一度見直す。
実は、一夏君とドラクレア君の戦いは記録していた。
それを見ているときに、一夏君が来るものだから吃驚しちゃった。
「使えば、エネルギーを失っていく零落白夜。
それを、瞬間加速でしかも銃弾を喰らいながら、発動させるなんて 」
理論上あり得ない。
もし、これが常時発動出来れば無敵とも言えるわ。
銃弾を弾いているし、恐らくエネルギーの弾丸でも効かないでしょう。
零落白夜は元々、エネルギーを切り裂くのに特化している単一能力ですし。
「篠ノ之束が関わっている?
いえ、それにしてはタイミングが良すぎるし。
ドラクレア君が、これを予期して動いた様には見えない 」
一夏君だから?
白式はかなり特殊なIS。
あの白騎士のコアを使って造られている。
「全く、一夏君もドラクレア君も特殊過ぎるわ。
考えても考えても、どれが正しいか分からない 」
一夏君は、織斑先生の弟でISを動かした。
ドラクレア君は、経歴におかしな所は無いけど、あの戦闘能力。
正直は所、この二人なら何が起こったとしてもあり得ない話では無いと思ってしまう。
「あ、もうこんな時間じゃない。簪ちゃんの手伝いに行かないと 」
簪ちゃんが最近、博士に教えてもらって自作で対IS武器を作ろうと頑張っている。
でも、行き詰まった様で私にお願いをしてきた。
『おねぇちゃん。手伝ってくれない?』
上目遣いで言うからとっても可愛かったわ‼︎
上機嫌に生徒会室を後にした。
一夏SIDE
「あ、一夏!」
「ん?鈴、どうした?」
生徒会室を出て、適当にぶらついていたら鈴に声を掛けられた。
なんか焦ってる様に見える気がする。
「ちょっと付き合って!」
「え、ちょっと待てって!」
話も聞かずに、俺の手を掴み引きずられる。
えーと、この方向はアリーナ?
そのまま、引きずられる事、2分。
アリーナに到着する。
「いてて、強引だな鈴 」
「あれ、一夏も連れて来たの?」
「ええ。どうせなら専用機持ち全員でやりましょう 」
「これは、どう云う状況だ?」
周りを見ると、鈴にシャルロット、ラウラ、妙に疲れている箒がいた。
「簡単に言うと、専用機持ち全員でのバトルロワイヤルだ 」
「なんで、そんな事を?」
「私達は、ファウストほど戦い慣れていないからな。
私は軍で鍛えていたが、飽くまで模擬戦で一対一だったからな 」
「これから先、全員が一対一で戦える状況になるとは考えられないでしょ?
それに、鈴と一夏。僕とラウラ、箒は互いに戦い方を知っているけど逆はどう?」
言われて気づく。
確かに、鈴の戦い方は分かるけど、三人の戦い方は分からない。
敵が俺たちを分断し、各個撃破する可能性はある。
その時に、俺一人若しくは、鈴以外の人と一緒なら連携は出来ない。
「確かに俺たち一人一人の戦い方は知っておいたほうが良いな 」
「でしょ?それに、箒の紅椿は単一能力が発動していないの。
だから、荒治療も兼ねてるのよ 」
「うっ、すまない 」
箒が申し訳なさそうに頭を下げる。
「じゃあ始めるとしよう 」
こうして、特訓と呼んで良いのか分からない事が始まった。
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