一夏SIDE
「くっ、はぁ!!」
正面から振り下ろされる紅椿の刀を、いなしその場を離れる。
その瞬間、俺のいた場所に銃弾が通り過ぎる。
銃弾の元を確認すると、やはりシャルロットが撃っていた。
距離を詰めようと思ったが、ラウラが接近するのが見えたため箒と戦う事を優先する。
「この!」
箒が俺の袈裟斬りを二本の刀で受け止め、展開装甲のエネルギー・ブレードを足に作り切り上げてくる。
それを、後ろに接近していた鈴をぶつける様にして回避する。
「ちょっ!一夏⁉︎ 」
「うわっ⁉︎鈴急に出てくるな!」
その結果、箒のエネルギー・ブレードを鈴が双天牙月で受け止める形になった。
視界の端に、ラウラとシャルロットが笑ってる姿が写る。
ああ、なんか考えてる事が分かってしまうのが悲しい。
「悪い!箒、鈴 」
一応謝罪し、瞬間加速で距離を取る。
「「ドッカーン」」
息ぴったりにシャルロットとラウラが砲撃する。
完全に鍔迫り合いに成っていた鈴と箒は回避できずに、砲弾に直撃する。
煙幕から二人が落ちてくる。
鈴と箒はこれでリタイアになった様だ。
「………俺も、原因の一つだけど酷い光景を見たな 」
そんな事を思っていたら、シャルロットとラウラが戦闘を再開させている。
隙を伺うが、二人とも正面の相手以外にも警戒しているようで隙が見当たらない。
どうする?俺が無理矢理隙を作りに行っても、二人によって蜂の巣にされてしまう未来しか想像出来ない。
そん事を考えていたら、二人に向けてエネルギーの刃が飛んでいく。
「嘘!」
「やられてなかったか 」
シャルロットもラウラも一瞬気は取られたものの、即座に対応し距離を取った。
そして、そんな二人を見ていた俺の所にも攻撃は来ていた。
「無事だったのか!」
「人を盾代わりに使っておいてよく言うわ!」
双天牙月を雪羅のシールドで受け止め、雪片を振るうが回避され衝撃砲によって吹き飛ばされる。
「痛っ!完全にやられたと思ってたのにな 」
あの砲撃で無事だとは思ってもいなかった。
…箒の展開装甲で防御していたのか?
「おい!鈴。協力してやったんだ、こっちも手伝え!」
鈴にバレないように、箒の方を確認する。
シャルロットとラウラの争いに完全に巻き込まれていた。
うわ〜、あの二人自身は互いしか視界に入れてないから、箒は動く盾の様に使われているな。
「ちょっと待ってなさい。今、行くわ 」
鈴が俺から離れ、箒に合流する。
やっぱり気絶したと思っていたのか。
鈴が合流し、シャルロットとラウラの動きが乱れ始める。
箒と鈴はまだ、余力を残した状態だが、シャルロットとラウラは全力で戦っていた事もあり、動きが悪い。
「ッッッ、シャルロット!!」
「くぅぅ、やっぱりキツイ… 」
箒の振り下ろした刀を、シールドで受け止めながら辛そうな顔をしているシャルロット。
ただでさえ、疲労しているのに世代差のある紅椿を使う箒にはキツイのだろうか?
そろそろ、動いても良いかな?箒が明らかに隙だらけだし。
なんか、ラウラが気付いてそうな雰囲気出してるのもある。
「邪魔だ鈴!」
「きゃあ!」
ラウラが鈴に組み付き、アリーナの端まで移動する。
うん。完全にラウラ気付いてたな?
「終わりだ!シャルロット 」
「やっば…… 」
シャルロットが、不意をつかれたのかバランスを崩したところを、箒がごり押ししている。
背中がガラ空きだ。不意打ちはやりたくないけど、実戦と云う事だし。
ゆっくりと立ち上がり、零落白夜を発動させる。
瞬間加速で箒との距離を詰める。
「箒!後ろ!」
「え? 」
よし、箒は反応し切れてない。
「い、一夏⁉︎ 」
「お返しだ!」
漸く気付いた箒が慌てて、防御しようとするがそのまま斬り裂き、赤椿のシールドエネルギーをゼロにする。
「くそっ!」
「良しっ!漸く一人!」
箒が悔しがる姿が見える。
俺も思いっきり喜んだ。
でも、それが駄目だった。
「一夏?敵は一人じゃないよ?」
「あ… 」
目の前にアサルトライフルの銃口。
そして、撃ち出される銃弾。
ガンガン削られていくシールドエネルギー。
「悪足掻きはさせて貰う!」
零落白夜を発動させたままだから、物凄く削られるシールドエネルギーを見ながらシャルロットに向けて雪片を振るう。
「嘘ッ!ここで反応する⁉︎ 」
ファウストに比べれば、鬼畜な攻撃じゃない。
あと少し!そう思ったらシールドエネルギーが尽きて雪片が元の刀に戻る。
「くっ、油断した 」
箒の隙を突くまでは良かったと思ったが、その後のシャルロットに関して考えていなかった。
「地味に危なかった… 」
「零落白夜を発動したまんまだったのがいけなかったか 」
「でも、いい策だったと思うよ?
箒の隙を突いて、奇襲は良かったけどすぐに離れるべきだったね 」
「やっぱりか。なんか、そのまま攻撃してしまう癖があるんだよなぁ 」
なんでだろうな?
後で考えれば、一旦引くのもアリだと思えるのに、実際の戦闘は突っ込んじゃうんだよな。
「うん?なんだ、もう終わったのか?」
ラウラが戻ってくる。
その方向を見ると、鈴が地面に伸びている。
「……何やったの?」
シャルロットが俺たちの気持ちを代弁して、ラウラに質問する。
「一夏が隙を伺っているのは分かったからな。
鈴を引き剥がした後、ゼロ距離の肉弾戦に持ち込んだだけだが?」
何か可笑しな事がある?
と言った感じで首を傾げるラウラ。
御愁傷様、鈴。
「やらないのか?」
「もう、シールドエネルギーも無いし弾薬も尽きるからギブアップで 」
「そうか。なら、私の勝ちだな 」
ラウラが勝ち誇ったドヤ顔をする。
なんか、物凄く悔しい!
「取り敢えず、今日は解散しよう。
箒の単一能力は未だ、発動しなかったしね 」
「……… 」
あれ?箒の反応がない?
「「………シャルロット…… 」」
ラウラと言葉が重なる。
だって、箒が肩を落としてガックリしている光景が余りにも、悲しくて見てて辛くなってくる。
「ぼ、僕のせい⁉︎ 」
「ファウストに似て、遠慮がないんだからなお前は 」
ラウラが言う。
全面的に同意する。
「ご、ごめんって箒。ほらっ、ジュース奢るから向こう行こうよ 」
「…………うん……… 」
シャルロットが箒の肩を叩きながら、アリーナの外に出る。
「ラウラ 」
「うむ。私達も戻るか 」
「あ、そうだ。ラウラにドイツにいた頃の千冬姉の事聞きたかったんだ 」
「そうか!なら、部屋で話そう。私も昔の教官を聞きたかったんだ 」
そのまま、ラウラと話しながらアリーナを出た。
それにしても、ラウラとこうやって話すことがあるなんてな。
どんな話が出来るか楽しみにしながら、更衣室で着替えラウラと合流した。
「あれ?誰か忘れているような?」
「早く行くぞ!一夏 」
「ああ、待ってくれラウラ 」
取り敢えず良いか。
ラウラと部屋でゆっくりと話をした。
「………なんで誰もいないのよーーー!! 」
あ、鈴の事忘れてた。
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