と言っても戦闘描写は次回からだけどね。
主人公SIDE
時刻は深夜。
草木も眠る丑三つ時と云う時間帯だ。
そんな時間に、何をしているかと云うと、
「スコール。良いんだな?」
「ええ。貴方に委ねるわ 」
「……長くて一時間が限度だ。
スコール、お前の部隊の準備は整ったか?」
「勿論。そうでなければ、ウィルスを持ってこないわよ 」
これから始まる、本格的な戦争の序章を始める会談をしていた。
現在、IS学園の周辺にはジョーカーとスペード、スコールの部隊によって特殊な電磁波を出す機械を設置させてある。
IS学園には前回の襲撃で、ウィルスの防御システムを強化し、前回のものが使えなくなっていた。
そして、考えた次の一手が学園その物の機能を停止させる手段。
前回は、ハッキングして警備システムをダウンさせただけ。
今回の電磁波は警備システムどころか、全く関係のないシステムをダウンさせる事が可能だ。
スコールが持ってきたウィルスのデータはダミー。
ウィルスが削除されると同時に発動させる為の餌だ。
もし、学園が新しくした防御システムで対応したウィルスが、消えた時に学園の全てがダウンした時どう思うだろうか?
「学園のメカニックが、ウィルスと判断してシステムを復旧させる時に、特殊な爆弾を仕掛けて爆破する 」
「ああ。恐らく、それで学園は大パニックになるだろう 」
自分達が対応した物は全くの偽物。
「でも、爆弾を仕掛けるまでの時間はどうするのかしら?」
「こんなご時世にいや、こんなご時世だからこそいるんだろうな 」
「何が?」
「ISを使う傭兵を利用する 」
少々調べごとをしているときに、偶然行き着いた情報。
男の俺では、コンタクトすら取れないと判断して 、ダイヤにコンタクトを取ってもらった。
その結果、一つ返事で俺たちに協力すると云う答えが返ってきた。
連中にとっては、旨味の無い契約の筈だ。如何して、協力してくれるのか分からないが有難いと思う。
「ふーん。そんな傭兵がいるなんてね 」
「…30分後に始めるか?」
「良いわ。今回の作戦は貴方の動きが要ですから 」
そう言い、スコールが部屋から出て行く。
「ふー、ジョーカー、スペード、そっちの準備はいいか?」
『問題ありません。学園には何の動きもありません 』
「了解。30分後には仕掛ける。準備しておけ 」
『了解 』
通信を終了させる。
後、30分で始まる。俺とセシリア、ダイヤ達、そしてIS学園の連中を巻き込んでの戦争が。
スコールの思惑通りに進んでも、俺が計画を乱しても何かしらの被害は出るだろう。
「だが、そんな事は関係ない。
セシリアを守り、セシリアを無事にIS学園に返せれば関係ない 」
今も昔も俺のやる事は、変わっていない。
あいつをセシリアを守りきる。ただ、それだけだ。
「ファウスト。ちょっと良いか?」
声を掛けると同時に、部屋に入ってくるマドカ。
「ノックはしろと言ったはずだぞ?」
「ふん。細かい事を気にするとハゲるぞ?」
「失礼な。それで、何の用だ?」
ただ嫌味を言いに来ただけでは、ないだろう。
「礼を言いに来た 」
「礼?」
「私を助けてくれてありがとう 」
そう言って、頭を下げるマドカ。
チラッと見える顔が赤くなっている事から本心で言っているんだろう。
「ありがとうか、それを言われる程の事はしていないと思うんだが 」
「私の中のナノマシンを無くしてくれた。そのおかげで私のしたい様に動ける様になった。
いつ死ぬのか分からない恐怖も無くなった 」
「だが、それはー「自分の我儘だと言うのだろう?」そうだ 」
俺は自分の計画の為に、マドカのナノマシンを無くしただけだ。
決して感謝される様な事では無い。
「そう言うと思ってたさ。
だが、私がお前の我儘に救われたのは事実だ 」
なんだか、変わったなこいつ。
なんというか、刀の様な雰囲気が柔らかくなった。
「そうか 」
「ああ。だから、一先ず私の目的は置いておいて、お前に協力してやる 」
ニヤリと笑うマドカ。
「は?」
「お前のお陰で時間は、余る様にあるしな。
それに、セシリアが気に入った 」
「……そうか。なら、俺の我儘に付き合ってくれ 」
「丁寧な奴だな。貸しを返すだけだ 」
「その方が有難い 」
「ふん。最初っからこう言えば、恥ずかしい思いをせずに済んだな 」
照れ臭そうに笑うマドカ。
「知らん。そろそろ、時間だ 」
自分の中のスイッチを切り替える。
「そうか。なら私も持ち場に着くか 」
それは、目の前のマドカも同じ様だ。
マドカは実戦部隊に配属されている。
俺の雇った傭兵と共に、IS学園を急襲する役割を持っている。
「ではな。全てが終わってみんな生きていたら、また飯でも作って食わせてくれ 」
そう言って出て行くマドカ。
ダイヤにハート、クローバー、スペード、ジョーカー、そして俺にセシリアが生き残る。
全員が生き残って、共に飯を食おうか。
「ククッ、ハハハ。それは良いな 」
ああ、それが出来れば一番良い。
「準備は良いかしら?ゼロ 」
「ああ。総員準備は良いか?」
通信機を取り出し確認する。
『問題ない』
『大丈夫です隊長 』
『問題ないよ隊長 』
『いつでもいける 』
『戦闘開始可能だ』
『同じく』
全員から返事が返ってくる。
「マドカから伝言だ 」
『ちょっと待てファウスト!貴様、まさか⁉︎ 』
「全員で生きて戻り、また飯を食おうだと 」
『『『『『…………』』』』』
『おい!無言は止めろ!』
「ククッ 」
『『『『『ハハハハハ』』』』』
全く同時に笑い出す。
緊張は良い感じに解けたな。
「作戦を開始する。俺が言うのもアレだが、生きて戻って来い 」
パソコンで学園のシステムにウィルスを送り込む。
始まった。俺の俺たちの全てを賭けた戦争が。
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