学園SIDE
アリーナには現在、銃撃音と金属音が響いていた。
ラウラの振るうナイフは、ことごとく叩き落とされ、ジョーカーの撃つ弾丸は全て避けられる。
「「チッ 」」
偶然にも二人同時に舌打ちをして、ハンドガンをしまう。
一気に距離を詰め、鍔迫り合う。
「存外にやるな。黒兎 」
「……その言い草。やはりドイツ関係の者だな?」
「さて?昔の事など忘れた 」
ジョーカーが蹴りをラウラの腹向けて放つが、ラウラが距離を取り不発に終わる。
体術であれば、ジョーカーの方が上をいくが、ラウラの反応速度はその差を埋めて戦いは平行線を辿る。
人造人間。
この二人の戦いは、人の可能性を見せていた。
自然の摂理では無く、人の生み出した者。
それが、どの様な意味を持つのか、二人の戦いはそれを示していた。
「元々、戦闘用に造られ、強大な力を持つ貴様を出来損ないの俺が勝てる道理は存在しない 」
全身の力を抜く。
諦めた訳ではない。
彼は出来損ないではあったが、成長を遂げた。
「貴様の反応速度が俺の上をいくのなら、俺が早く鋭く成れば良い 」
ラウラは感じ取った。
この男の次の攻撃を凌げなければ死ぬのは自分だと。
「ジョーカーと言ったな。
お前が、どの様な思いで此処に襲撃を掛けたかは知らん。
だが、此処は私にとって大切な場所だ。それを、土足で荒らすと言うのなら私も遠慮はしない 」
嘗ての最高は、最低に落ち、それでも這い上がった。
それ以外にも、背を預けられる
そんな場所を荒らされるのは腹が立つ。
ラウラはそう感じていた。
ジョーカーと同様に全身の力を抜く。
「覚悟しろよ?」
ジョーカーが動き出す。
右手にはナイフ、左手は何も持っていない。
牽制の意味を込めて、ラウラは二発撃つが意に介していないように走ってくる。
ジョーカーの右手がぶれる。
その瞬間、ラウラの右目目掛けてナイフが飛んでくる。
人間いや、生物は死に繋がる攻撃には過敏に反応する。
ラウラも例外ではない。右目のナイフをギリギリで避けて、ジョーカーのいる方向を見る。
「い、いない⁉︎ 」
ラウラが見たところにはジョーカーの姿は無かった。
「ッッッツ!殺気!」
カキンッ!
軽い金属音が響く。
ラウラは、防いだ。後方から投げられた銃そのものを。
「終わりだ。ラウラ・ボーデヴィッヒ 」
無手となったジョーカーが、ラウラの真横に現れる。
寸分の狂いも無く当たるはずの一撃は、ジョーカーに当たった。
「!?!? 」
ジョーカーは何が起きたのか分からなかった。
あのタイミングで、何故自分の攻撃が外れたのか?
そもそも、何故自分が地面に向かって倒れているのか?
「分からないか?だろうな。
私だって偶然に出来た事だ 」
「…偶然か……あの一瞬で貴様は…諦めなかったのか… 」
落ち着けば、状況が掴めてきた。
ジョーカーの放った一撃は、本来であれば当たるはずだった。
しかし、ラウラの隙を作るためとはいえ、相手のバランスを崩し過ぎたのだ。
更に、ラウラとの身長差。
190センチはあるジョーカーが、148センチのラウラの顎を狙うには一度体勢を低くしなければならない。
その、コンマ数秒が大きな差になった。
一方、ラウラは自身が体勢を崩している事に気が付き、抗うことを止めた。
その結果、ジョーカーが思っていたよりも早く、そして低くなったのだ。
「クハハ、やはり貴様は最高傑作だよ。
此度は俺の負けか…… 」
「いや、私も偶然に救われただけだ。
次、お前と戦えばどうなるか分からない 」
「そう言って貰えると有難い。
……そろそろか 」
「なんか言ったか?」
そうラウラが質問した瞬間、学園中に爆発音が響く。
「な、なんだ⁉︎ 」
「……お前らにはいい展開になりそうだな 」
そう言った瞬間、ジョーカーの通信機に連絡が入る。
『あー、聞こえるか?
時間オーバーだ。予定通り次の作戦に切り替える。
織斑一夏の白式を……
スコールSIDE
「ゼロ。貴方、爆弾に何か仕掛けたわね 」
ISの計器が荒ぶっている。
さっきの爆発音が響いた直後だから、完全にゼロの用意した爆弾が原因ね。
通信機のスイッチを入れる。
「スコール・ミューゼルよ。
全部隊に伝えるわ。
織斑一夏の白式を………
『破壊しろ!!』 「捕縛しなさい!!」
全く、別の指示が同時に発令されたーーー
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