主人公SIDE
振り下ろされる剣を、バックステップで躱しハルパーを横薙ぎに振るう。
間合いを詰められ、避けられる。
即座に空いている左手で、殴るが当たる直前に下がられ大した威力にはならない。
左からの殺気に反応し、後方へ一気に下がる。
すると、俺が先程までいた場所に炎の玉が飛んでくる。
……スコールか。やはり、慢心を捨てたスコールを抑えきれはしないか。
「ツツッ!随分と余裕ね!」
「余裕?いえ、唯敵として貴女達を認めただけよ?」
「なら、私達だけに集中したら如何だ?」
マドカのスターブレーカーがスコールの右肩に当たる。
挑発だな、完全に。
「其方ばかり気に掛けていて良いのか?」
ハンドガンの銃弾をシールドビッドで防ぐ。
「貴様の事を忘れている訳がないだろう 」
「クハハハッ!やっぱりお前は最高だなぁ!」
うん?前のイカれた野郎に変わった?
「お前は下がれ。私がやる 」
「テメェが下がれ。俺がやる 」
自分同士で揉めてやがる。
「大体、テメェはノロノロと戦い過ぎなんだよ 」
「そういうお前こそ、獣じみた戦い方の過ぎる 」
……何をしてるんだ此奴ら。
スコール達だって動きを止めて此方を見ているぞ。
「いっその事二人で戦えば良いんじゃないか?」
一夏がそんな事を呟く。
別に良いんだが、敵に塩を送るようなものだな。
「「………それは良いな 」」
ほら、面倒な事になった。
「反応は俺がやる 」
「私は戦術だな」
一夏の一言を受けて、方針が決まったようだ。
……面倒くさい。
あの化け物じみた反応と、ネチっこい戦術が混ざれば流石に辛いぞ。
『あの馬鹿。なに面倒な事言ってくれてるんだか 』
ブルーサーヴァントも同じ事を思った様だ。
『まぁでも、此れでフェアに成ったんじゃない?』
「そうだな。俺はお前がいるし、実質二対二だな 」
自身のスイッチを切り替える。
従者、ファウスト・ドラクレアでは無くあの頃の名無しに。
「頼むぞ。ブルーサーヴァント 」
『了解。マスター 』
「行くぞ、ファウスト・ドラクレアァァァ!!! 」
獣じみた加速。
それでありながら、知性を感じる剣の一撃。
それをハルパーで受け止める。
直後に、剣が消滅。ハンドガンが展開される。
「冗談だろ 」
シールドビッドで防ぐが、後手に回った事により隙が出来る。
ガラ空きとなった胴体に、蹴りが飛んでくる。
急ぎ、距離を取るがそれを読まれたのか、即座に距離を詰められる。
至近距離。
これでは、ハルパーはかえって邪魔なのでしまう。
放たれる拳をいなし、その力を利用し裏拳を米神に向けて放つ。
上半身を反らすことで回避され、逆に掴まれ投げられる。
衝撃を地面に逃がし、アサルトライフルを展開。
動いていないFに向けて撃つ。
しかし、以前と同様に剣を盾代わりに使い、当たらない。
アサルトライフルを撃ちながら、瞬間加速で近づき蹴り飛ばす。
「ハ、ハ、ハ、やはり貴様は面白いなぁ!」
壁に激突したが、何事も無く立ち上がる。
相変わらずの化け物だな。
アサルトライフルを撃つ。
今度は剣によって全てが弾き落とされる。
弾丸を見切ってやがる。
再度、ハルパーを展開。
瞬間加速で斬りかかるが、剣で受け止められる。
右から、左から、下から、時には突きを交えながら攻撃するがその悉くが防がれる。
『距離を取って!また、アレが来る 』
ブルーサーヴァントに従い、距離を取る。
奴のISが黒く発光する。
学園祭の時のエネルギーを吸収する単一能力だ。
「チッ、また避けられた 」
「なら、次はこちらで如何だ?」
ブースターにエネルギーが溜まっていく。
…不味いな。あれを防ぎきる自信は無いぞ?
「エネルギーを消耗しているからか。あまり溜まらないな。
これでは、精々瞬間加速より少し早いだけの突進になる 」
どうやら、エネルギーが足りないらしい。
「ブルーサーヴァント 」
『タイミングは任せて 』
ブルーサーヴァントと意思疎通は出来た。
さぁ、来い。準備は出来た。
「死ね。ファウスト・ドラクレア 」
『来る!』
ブルーサーヴァントの声に反応し、シールドビッドをフル展開し俺は飛び上がる。
あっという間にシールドビッドが吹き飛んでいく。
「そこだ!」
シールドビッドとぶつかり、速度の下がったFを視認し、ブースターに向けてハルパーを突き立てる。
爆発音が聞こえ、俺もFも吹き飛ぶ。
俺は、上に飛ばされた為ブースターを逆噴射し衝撃を殺す。
Fは地面に叩きつけられた。
「流石に終わったか?」
『それ、フラグ 』
ブルーサーヴァントの言った通り立ち上がるF。
しかし、ダメージが余程キツイのかフラフラしている。
そして、感じる血の匂い。
「お前!」
「クハハ……流石に…限界か…… 」
Fは鼻から、目から血を流している。
『脳の酷使だね 』
「脳の酷使?如何して?」
「当たり前だ……一つの器に……無理やり二つ入っている様なものだ……」
二重人格で戦闘方法が変わる奴が、同時に戦闘を行えば相当の負荷がかかるだろう。
それも、あんな高速戦闘を行えば、その負荷は測りし得ないだろう。
「何故、こうなる事が分かっていて俺と戦ったんだ?」
「言っただろう……貴様と戦うのは最高に愉しいんだからな……
それだけで、命を賭けるに値する… 」
声が弱々しい。
あの、戦闘狂とは思えない。
「……そうか 」
地面に降りて、ハルパーを展開する。
「ッッッ!ハハ、死にゆく最後の願いを叶えてくれるのか 」
「知らんな。俺は敵を倒すだけだ 」
「ああっ!貴様はそれで良い!最期まで、俺を私を愉しませてくれ!! 」
嬉しくて愉しくて堪らないという笑顔を見せるF。
その手には深紅の剣が展開されている。
「さらばだF。俺の好敵手 」
「悦びを教えてくれて感謝する。ファウスト・ドラクレア、私の俺の好敵手 」
刹那、武器を構え交差する。
崩れ落ちたのはFだった。
「ハハハ……さらばだ、インフィニット・ストラトス。
腐った世界だが、こいつに会わせてくれた事だけは感謝する…… 」
そう言い、Fは地に伏せて二度と動かなかった……
Fさんがお亡くなりになりました。
彼が死ぬまで持っていた謎は番外編で書きたいと思っています。
オリキャラではありますが、気に入っていますので。
感想・批判お待ちしています。