主人公SIDE
『起きて!このままじゃ、死ぬよ 』
声に反応し、目を覚ます。
凄く息苦しいな。それに、酷く冷たい。
息をしようと口を開ける。
「!?!?」
声にならない声が出る。
俺はどうやら、海の中にいたようだ。
上昇し、海から出る。
「ぷはっ……はぁはぁ、なんでこんな所に?」
頭の中で状況を整理する。
スコールと戦って、グリモアを使いどうにか吹っ飛ばして…
そうだ!撤退をしたら、背後で爆発が起きたんだ。
IS学園の方を確認する。
「嘘……だろ…… 」
俺たちとスコールが戦っていた場所。
学園の東側。
そこが、完全に崩壊していた。
IS学園はその特殊な設備なために、学園一つ一つが要塞並みの耐久力を備えている。
外面では、分かりにくいがそうやすやすと吹き飛んで良い設備ではない。
その学園が、完全に吹き飛んでいる。
「どんな攻撃をすれば、此処まで破壊される?」
いや、今はこれを考える時では無い。
そう判断し、レーダーと通信機を起動させる。
「応答しろ!全員無事か!」
『こちら、ジョーカー。
すごい音が聞こえたが、何かあったのか隊長?』
『ダイヤとハートペアです。
一緒にいた、鈴さんがパニックを起こしていますが特に問題ありません 』
ジョーカーとダイヤ、ハートは無事。
ついでに、チビも大丈夫。
『ラウラだ。気絶しているシャルロット、箒を確保した。
現在位置は、学園の北東だ 』
二人が気絶しているが、生きているようだな。
『スペードとクローバーペアです。
何かあったんですか?取り敢えず、姫は無事ですよ 』
セシリアも無事。
『マドカだ。更識を回収した。
現在位置は、アリーナが確認できる 』
マドカと更識も無事だな。
待てよ。一夏は如何した?
「スペードとクローバー以外に聞く。
一夏は居ないのか⁉︎ 」
マズイぞ。
さっきの攻撃で全員が散りじりになっている。
この状況で一夏が狙われれば、誰も援護に迎えない。
「誰も通信を返さないという事は、居ないんだな 」
レーダーで一夏の反応を確認する。
………チッ、ジャミングか何かでレーダーが使い物にならない。
『ゼロ 』
「……スコール 」
通信機にスコールの声が入る。
『織斑一夏は預かったわ。
一週間後、こちらが指定する場所に来なさい。
勿論、お仲間も連れてきて良いわ 』
「何が目的だ?」
何故、すぐに実行しない?
何かしらの理由があるはずだ。
『一つは準備に時間がかかる事。
もう一つは、貴方達を消したいからよ 』
通信が途絶える。
俺たちを消したいからか、随分と怒っているようだな。
……一つ気になる。
あの、スコールが此処まで来て準備を終わらせていない?
有り得ない。奴がそんな甘い事をするとは思えん。
「まさか⁉︎ 」
急いで、加速する。
グリモアのブースターは生きている。
全てをフルパワーで稼働させる。
「間に合え!間に合えぇぇぇぇーー!! 」
音を置き去りに加速する。
俺たちの隠れ家が見えた!
「セシリア!!」
着地してブルーサーヴァントを解除する。
部屋の扉を開け、中に入る。
「セシリア!いたら返事してくれ!!」
「ファウスト!」
奥から、セシリアの声が聞こえる。
急いで向かう。
そこには、クローバーとスペードがいた。
「クローバー、スペード 」
「隊長。セシリアさんが…… 」
スペードが指差す方向を見ると、セシリアがクローバーに捕まっていた。
「クローバー… 」
「やぁ、隊長。思っていたより早かったじゃん 」
不自然に今までと同じ様に笑うクローバー。
「セシリアを離せ 」
袖からナイフを出す。
「セシリアさんがどうなっても良いの?」
ハンドガンをセシリアの頭に当てる。
俺を封じるのには最良の策だろう。
「俺が何も対策をしていないとでも?」
リモコンを取り出し、スイッチを押す。
バチっと一瞬静電気の様なものが走る。
ナイフを投げて、ハンドガンの銃口を突き刺す。
「きゃっ!……どんな技術もってんのさ?」
「ただの、暗殺術だ 」
もう一本のナイフを取り出す。
「流石に撤退だね。でも、セシリアさんは貰っていくよ。
………あれ?なんで、ISが展開できないの? 」
困惑するクローバーに接近し、蹴り飛ばす。
そのまま、セシリアを抱えて距離を取る。
「いったぁ〜、調べた筈なんだけどな〜 」
「ISを展開できない理由に察しでも付いたか?」
「天災か、隊長自身の物かは分からないけどISの展開を阻害する。
そんな効力の装置をこの隠れ家に忍ばせて置いたってところでしょ?」
気付いていたか。
セシリアを下ろす。
「背中に隠れてろ。スペードにもあんまり近づくな 」
小声でセシリアにそう言う。
この場合、もはや信じられるのは自分自身だろう。
「分かりましたわ。無理はしない様に 」
相変わらずなお嬢様だ。
「正解だ。製作者は俺と天災の共同だがな 」
「……作戦は失敗。
これは、大変な事になりそうだね 」
窓から飛び降りるクローバー。
直後に、ラファール・リヴァイヴが飛んで行った。
「スペード 」
殺気を込めて、その名を呼ぶ。
「その隠した銃を置け。さもなければ、お前の首が胴体とおさらばする事になるぞ?」
「……… 」
スペードが銃を置く。
俺はスペードと目を合わす。
「最初からか?」
「いいえ。俺は、クローバーの戯言に愚かにも乗ってしまったのです 」
正座をし、頭を深々と下げ答えるスペード。
日本の武士を憧れにしているからだろう。
此奴は、一切包み隠すことをしない。
「何故だ?」
だからこそ、気になる。
俺たちを裏切ってまで此奴は何が得たかったのだろうか?
「俺は、クローバーに惚れていたからです 」
「「……………」」
俺もセシリアも思わず固まる。
いや、正確に言うとセシリアは途中から楽しそうに笑っている。
「変ですか?」
「いや、何というか………。
はぁ、取り敢えずIS学園に行くぞ 」
「IS学園に戻れるのですか!」
「ああ。計画通りにとはいかなかったが、一応は戻れる 」
全部の敵を片付けてから、IS学園に戻るのが計画だったんだがな。
思っていたより、スコールの部隊が手強かった。
「皆さんは元気でしょうか?随分と久しぶりな気がしますわ 」
「た、隊長!俺は…… 」
スペードが正座を解いて、質問してくる。
堅っ苦しい奴だな。
「細かい話は後だ。他の連中もIS学園にいる。
そこで、嫌でも説明させてやる 」
隠れ家をセシリアと共に出る。
ブルーサーヴァントを展開。
「掴まれ 」
両手でしっかりセシリアを抱える。
スペードには、腕にしがみついて貰う。
「行くぞ 」
ゆっくりと上昇し、IS学園へと戻った。
途中で、スペードの悲鳴が聞こえた気がしたが、気にせずに飛行を続けた。
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