主人公SIDE
「これが、私の昔話だ。
特に感想など無いだろう?」
「取り敢えず、お前とスコールが両思いだと云う事に笑いたい 」
こんな捻くれ野郎に、スコールが惚れていたなんて笑えるんだが。
「両思い?何を言っている 」
鈍い。
一夏並みに鈍いぞ。
「まぁ、その話は置いといて。
お前にそんな過去があったとはな 」
「そうだねぇー。あの時のゴミがこんな事をしていたなんて 」
ナイフを背後に振るう。
感覚は無い。
避けたか。
「危ないなぁ〜名無し君。
いきなり何をするんだよぉ〜 」
「背後に立つな、天災 」
いつ間にいやがった?
貼り付けた様な笑顔をしながら、俺に近づいてくる天災。
そういえば、所長と天災って仲が悪いんだったか?
まぁ、大体の人間と仲が悪けど天災は。
「やぁ 」
「……ゴミに何か用かね?」
物凄く不機嫌に、天災の方を見る所長。
対する天災も、目が座っている。
「対IS兵装を造ってるらしいね?」
所長の言葉など聞く気は無いのか、返答せずに会話を続ける。
いや、自分の要件以外の返答を聞く気が無いのだろうな。
「はぁ。そうだが?何か不思議な事でもあるのか?」
「無駄な事だよ。
ISは比類無き最強で完璧さ!」
確かに、ISを個としての兵器と見れば、そうだろう。
しかし、ISを整備する人間。操縦する人間の技能。
それが加われば、最強と云う言葉には首をかしげるな。
「ほぅ、君にとってのISはそうなのであろう。
だが、実際に私の開発した物はISに対して有効だが?」
「そんなのーー 」
「君が造ったISでは、無いからなどという負け事を言うなよ?」
ああ、始まった。
此奴の言葉は相手への挑発と否定してはいけない物を混ぜる。
此奴とは、口論をしたくない。
悔しいが、負ける自信しか無い。
「……本当に虫酸が走る 」
「そうか 」
「虫酸が走るけど、君と協力した方がISを完璧に出来そうだね 」
……此奴は本当に天災か?
協力と云う言葉が聞こえたのだが?
俺は、少々混乱していた。
天の災害が、人と協力するなんてあり得ないだろう。
「それを私が認めると?」
「君にとっても、良い事だと思うよ 」
「なんだと?」
「私に協力してくれれば、ISという物をより深く知ることができる。
私も君がISの弱点を露見さしてくれれば、ISを強化出来る 」
確かに、所長にも利はある。
だが、とても許可するとは思えない。
「断る。何故、ISを強化する事に手を貸さねばならん 」
「君も研究者の端くれなら分かると思うよ 」
二人共黙った。
今の言葉には、この二人だけに通じる何かがあったのだろう。
と云うか、今思った。
これ、俺いる意味あるか?
「………良いだろう。
私としても虫酸が走るが、今の君の言葉を否定する事だけは、研究者として否定する訳にはいかない 」
「じゃあ宜しく 」
「ああ 」
再び黙り、無言の握手をする二人。
「じゃ、束さんはこれで失礼するねぇ!
名無し君、今度はご飯でも作ってね 」
嵐の様に走り去っていく天災。
「所長。なんで、天災と手を組んだんだ?」
全く分からない。
どう考えても、手を取り合ってなんて関係を築けるとは思えん。
「私も研究者の端くれだからな 」
「その意味は?」
「そうか。此ればっかりは賢い君でも分からないか。
研究者なんて人種は大きく分けて二つに分類できる。
好きな事を貫く者か、夢を叶えたい者のどちらかだ 」
好きな事を貫く、夢を叶えたい。
この二つに分類できるか。
「お前らはどっちだ?」
「夢を叶えたい者の方だ。
まぁ、私は夢に取り憑かれた者というのが正しいだろうがな 」
天災にも何か叶えたい夢があるのか。
その為にISをより完璧にする。
「フッ、精々マッドサイエンティストにならない事を期待しているよ 」
「さぁな。
少なくとも、人には対して興味は無い 」
「疑問は解けたから、失礼する 」
俺は立ち上がる。
所長は何かやる事でもあるのか、立ち上がらずに座ったまま俺を見送る。
俺はそのまま、整備室を出た。
「……途中から、俺が居た意味なかったな 」
ぼやきながら、セシリアの居る部屋に向かって歩いて行った。
博士SIDE
「篠ノ之博士。
其処で何をして居る?」
「ありゃ?なんで、気づいたの?」
コンタクトレンズを外し、篠ノ之博士に渡す。
「研究の過程で、出来た特殊なコンタクトレンズだ。
視界に捉えている光の歪みを感知できる 」
ISを肉眼でも、捉える為の研究で何故か出来たコンタクトレンズ。
本来であれば、目に届くはずの光が湾曲している事を教えてくれる代物だ。
「ふーん。
これだけでISの視覚情報の一つを再現できてるね 」
微妙に上から、目線なのが腹立たしい。
「で、なんの様だ?」
「早速、話をしようかなぁ〜と思ってね 」
「なんの話だ?」
「シールドエネルギーに関して 」
予想通りの話だったな。
私が、協力者として使えるかどうか調べるつもりなのだろう。
「利点は言わなくても良いだろう?」
「うん 」
「では、弱点だ。
シールドエネルギーと機体を動かすエネルギーは別にした方がいい。
動く度に、消費されては戦闘を全力では行えない 」
天災といえど、これを克服できなかったのだろう。
「分かってる。
でも、シールドエネルギーを完全に防御に回すと、ISは動かない。
別のエネルギーは何度か試したよ?でも、全部ダメだった 」
「ふむ。
それならばーーー 」
こんな感じで、日が落ちても会話が止まる事は無かった。
やはり、天災は伊達ではないな。
どんな話を振っても即座に返ってくる。
面白い。篠ノ之博士を黙らす事が出来れば、一つの成果と言える。
「私が天災なら、君は間違いなく天才だね 」
「君が言うと、嫌味に聞こえるよ 」
自分で言うのは、アレだが確実に組んでは駄目な二人だろう。
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