「遠い目をしてないで、課題をやれ」
…………はい。
スコールSIDE
「スコール様!上空に反応あり! 」
部下の一人が、悲鳴混じりに忠告してくる。
…頃合いと思っていたところよ。
「迎撃用意。
射程範囲に入ったら撃ちなさい 」
「しかし、アメリカから連絡のあったものでは?」
「いいから、撃ちなさい 」
冷淡に感情を込めずに部下に指示を出す。
「……わかりました 」
部下全員が、観測機器に集中する。
ゼロ。貴方なら、奇襲を使うと読んでいたわ。
使えるものを全て使い、最大限の成果をあげる。
確実にそれを成功させるのはすごいと思うわ。
「だけど、分かりやすいのよ 」
「射程範囲に熱源確認!
一斉射撃!! 」
これで、策は失敗ね。
「!IS反応が上空に突如として出現⁉︎
同時に高エネルギー反応です! 」
「……貴女が手を貸すのは、予定外よサイカ?」
画面に映った古き友人を見つけて、微笑った。
懐かしいわ。組織に反逆を起こして、姿を消した友人。
「懐かしくて、憎くてどうにかなってしまいそうよ 」
ゴールデン・ドーンを手に取る。
「私は奥に行っているわ。
あとは、宜しく頼むわね 」
部屋を出る。
瞬間、地震の様な揺れに襲われる。
「第二波が来たのね 」
「大丈夫か!スコール 」
オータムが駆け寄ってくる。
「問題ないわ。行くわよオータム 」
「あ、ああ。
……なぁ、スコール。私はお前が好きだ。
だから、最後までお前と共に戦うからな 」
顔を赤くしながら、先を歩き出すオータム。
ふふっ、可愛いわね。
最後まで頼むわ。
主人公SIDE
「……行くぞ 」
プラスチック爆弾で、入り口の扉を吹き飛ばす。
中は予想通りの大混乱。
中央の施設までの障害は殆ど存在しない。
セシリア達と共に走る。
「ハート 」
銃声が響き、目の前の人が倒れる。
同じ光景が三回繰り返された。
誰にも気づかれることなく、中央の施設に到着した。
「この扉を吹き飛ばすのは、手持ちの爆弾では無理だろうな 」
「…素直にハッキングして開けろと言ったら如何だ?」
所長がノートパソコンを取り出し、電子式の扉に繋げる。
「……全く私のお古など使うとは 」
待つこと、三十秒。
扉が自動に開く。
「開いたぞ 」
「凄いですわね。こんなに一瞬で開けてしまうなんて 」
キラキラした目で扉と所長を交互に見るセシリア。
また、この癖が出たな。初めて見るものに興味を持つのは良いんだが、この場面でそれをするとはな。
随分と、マイペースもとい肝の据わったお嬢様だ。
「お嬢様。興味を持つのは結構。
先に進みますよ?」
「わ、分かりましたから、そんな圧をかける目で見ないでくださいな 」
「行くぞ 」
戻って来たハートと合流し、施設の中に入る。
襲撃で、電源が落ちたのか光はない。
持ってきておいた懐中電灯で道を照らす。
暫く歩き続けると異変に気付いた。
「可笑しい 」
「何がですか?」
「敵兵が居なすぎる。奇襲をかけられ、動揺するのならわかる。
だが、動揺したとはいえ敵の施設内。全く敵兵と出会わないと云うのは幾ら何でも可笑しい 」
入ってから、かなりの距離を移動しているはずだ。
此処までくれば、敵兵と会敵していても可笑しくは無い。
「光が見える」
所長の言葉に思考の海から戻ってくる。
「俺が先頭で行く。ハートとセシリアは俺のすぐ後ろで所長の盾になってくれ。
何が起きても、すぐにISを展開するように 」
「「了解(ですわ)」」
「待て、私にも装備はあるぞ 」
「それは一番危険な時に残しておけ 」
何かを言いたい様な顔をしながら、後ろに下がる所長。
悪いな。おそらく、庇いきれなくなる激戦がこの後に在るはずだ。
慎重に光の元に歩く。
『久しぶりねゼロ 』
「可能なら俺は会いたくなかったよ 」
辿り着いた場所は、一つの巨大なスクリーンがある場所だった。
何処まで、ボス感を出せば気がすむんだスコール。
『そう。それは残念ね。
随分と大暴れしたようね。施設が滅茶苦茶よ 』
「こうして、直接会話をしてくると云うことは、その滅茶苦茶になる状況すら想定の範囲という事だろう?」
チッ、此奴の想定を超えるのはやはり無理だったか。
どうにも、スコールには俺の策を見破られる。
『ええ。そのまま、奥に進みなさい。
織斑一夏と合わせてあげるわ 』
素直に合わせてくれるとは思えんな。
だが、此処で立ち止まってる意味は無い。このまま奥に進むしかないだろう。
「分かった 」
『ふふっ、そこで全ての決着をつけましょう?』
スクリーンが黒くなる。
言いたいことだけ言って、通信を切るのが好きな奴だな。
「…スコール。君は、其処まで修羅の道を行くのか… 」
所長が遠い目をしている。
分かってはいたが、直接見ると何か感じる事もあったのだろう。
「所長 」
「構わんよ。この場に来た時点で覚悟はしている。
君は君の目的にのみ集中するんだ。他に気を割いては、事を仕損じるぞ 」
人が心配していると云うのに此奴は。
まぁ、変に気負っているよりはましか。
「各自、ISを展開。所長は、各装備を整えてくれ 」
そう言いながら、ブルーサーヴァントを展開する。
ハートとセシリアも指示を出した瞬間には、ISを展開していた。
所長はゴツい装備を身につけていく。
全員の準備が完了し、奥へと進む。
ある程度、進むと大きな扉が現れた。
「…露骨だな 」
どこまでラスボスアピールをするんだ?
ロープレじゃ無いんだし、こんなでかい扉を付ける意味。
「ハート。吹き飛ばせ 」
「うわっ、隊長の無理難題始まったよ。
まぁ、出来るから良いけどね 」
ハートが展開したのは、ロケットランチャー。
吹き飛ばせとは言ったが、そのロケットランチャーは前に嬉々として火薬を増加させたお手製だよな?
「ドッカーン 」
満面の笑みで、ロケットランチャーを放つハート。
扉が周囲の壁ごと粉々に吹き飛んだ。
「スコール。何処にいる?」
「先程の、光景を見ながら平然と入れるファウストを尊敬するべきか、主として注意をするべき?」
俺の後ろを、ゆっくりと瓦礫を越えてきたセシリアが呟く。
お嬢様の注意は、精神的に辛いので尊敬でお願いします。
「全く、普通に入ってこれないのかしら、ゼロ?」
巨大な機械の前の玉座に腰掛けているスコール。
横には、アラクネを展開したオータムが立っている。
「テンプレの悪役台詞だな。それで、一夏は何処にいる?」
「そんなに彼が心配?」
「いや、別に………一応な 」
質問に質問で返されて、本音が出てしまった。
「彼ならそこよ 」
機械のすぐ近くに、気絶させられ縛られてる一夏がいた。
情けない奴だな。
「さぁ、ゼロ。始めましょう?」
ゴールデン・ドーンを展開するスコール。
チッ、もう話を聞く気は無いってか。
「所長はうろちょろして生き残れよ!」
「あ、ああ 」
ハルパーを展開し、オータムが放ったマシンガンを弾く。
「所長を狙うとは、せこい奴だなオータム 」
「五月蝿え!其奴さえいなければ、スコールは 」
銃声が響き、言葉の途中で、オータムが飛び上がる。
「オータムさん。貴女の相手は私がしますよ?
隊長達の邪魔と隊長の数少ない友人には手を出させません 」
「ハート。銃しか取り柄の無いお前が、私と戦うだと?
はっ!調子に乗るなよハート!! 」
「確かに、貴女と私の相性は悪いかもしれません。
だけど、それだけで勝負が決まるなんて誰が決めました?」
両手にアサルトライフルを展開するハート。
「隊長。スコールさんとの勝負は決して、邪魔をさせません。
安心して戦って下さい 」
そう言って、オータムと戦闘を始めたハート。
セシリア目掛けて、飛んできた炎の玉をシールドビットで受け止める。
「余所見をしている場合かしら?」
「…グリモアを展開、装着。
ビットの制御は任せるぞ 」
『了解』
展開可能なビットを背後に、背負う様な感じで待機させる。
「セシリアは、援護を頼む 」
「分かりましたわ 」
セシリアの返事を聞いて、俺は瞬間加速でスコールに斬りかかった。
「ふふっ。さぁ、殺し合いましょう?」
そうスコールが微笑んだ。
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