主人公SIDE
まだ少し薄暗い日の光が、窓から差し込む。
「5時か、習慣で起きてしまうな。
イギリスにいた時は、この時間から動かなければ我が儘なお嬢様の要望を叶えられなかったからな。」
お嬢様が起きるまでにオルコット邸の掃除と、食事の用意、その日の日程の確認、そしてお嬢様が
起きたら食事を出し、日程の説明をし、お嬢様の準備が終わったら手配しておいた車で目的の場所まで連れて行く。その他色々
まぁ、こんな感じの毎日だった。
「結構楽しかったんだがなぁ、あの日々 今は手持ち無沙汰過ぎる。
さてと、少し外に出てくるか。」
そう言い俺は、気持ち良さそうに寝ているお嬢様を起こさないように外に出た。
IS学園 砂浜
「出てきたは良いがすることが無い。」
「なら、私に少々付き合え。」
砂浜で、波の動きを眺めていたらジャージ姿の織斑教諭に話しかけられた。
「何故、俺があんたに付き合わなければならない? 」
「織斑先生だ。
貴様の力が知りたいからな、自己紹介の時の殺気は明らかに普通の人間が出すものじゃ無い。」
「断ると言ったら? 」
「そうだな、貴様が敬語を使わなかったとオルコットに伝えるとしよう。」
これまでに殴りたくなるドヤ顔は、見たことがない。だが、
「分かった。付き合おう。」
俺にここまで効果的な文句は無いだろう。
「貴様は、驚くほどオルコットに弱いな。」
「うるさい。早くしろ。」
そう言いながら立ち上がって構えた。
「フッ そうだな。」
織斑千冬も構えた。
「「…………喰らえ‼︎ 」」
一瞬の沈黙の後、俺と織斑千冬は同時に拳を繰り出した。
拳と拳が、ぶつかった。
(おいおい⁉︎ 女の力じゃねぇな。まともに打ち合うのはジリ貧だな。)
そう判断した俺は、ぶつかっている拳を一瞬だけ緩める。
「ツッ⁉︎ 」
バランスを崩した織斑千冬に回し蹴りを放つだが、
「甘い‼︎ 」
俺の蹴りは右腕で止められた。
織斑千冬は、そこで止まらず俺の力を利用するように裏拳を使ってきた。
しゃがんで躱し、顎めがけて右腕で掌打を放つが一歩下がり躱され、右腕を掴まれ関節を極められるが
足を払い無理やり関節技から抜ける。
「やはりお前、只者ではないな。」
「お前も教師じゃないだろ。」
「フッ ここまで気分が高まるのは何時ぶりだろうな。
ドラクレア次は本気で行くぞ? 」
「はっ、とっとと来い。こちらも本気でかかる。」
そう互いに言い、次の動作に細心の注意を払う。
織斑千冬が少し動いた、そのタイミングで
「ファウストに織斑先生? 何していますの? 」
「お嬢様⁉︎ 今日は、随分とお早いのですね。」
お嬢様がやって来た。
「ええ、少し早く目が覚めまして。
それで、何をしてらしたの? 」
「なに少し話をしていただけだ。なぁ、ドラクレア。」
「はい。織斑教諭と話をしていただけです。」
(まぁ、肉体言語の方だが。)
「そうでしたの。織斑先生、何かファウストが失礼ありませんでしたか? 」
「ああ、大丈夫だ。私も楽しめたからな。
さて、早く行け。遅れたら許さんからな。」
「分かりましたわ。行きますわよ、ファウスト。」
「イエスマイロード。」
そう答え、お嬢様の後に続く。
「貸し一つな。」
織斑千冬が、通りすがらそう言ってきた。
「付き合わせておいてそれかよ。織斑千冬。
まぁ、良い助かったことは事実だからな。今度、差し入れをしてやる。」
「ほぅ、期待しておこう。」
いつもより若干遅れて教室へ向かう。
「ファウスト、なんであんなに汗をかいていたのです? 」
お嬢様に朝の事について質問された。
「織斑教諭と会う前に少々走っていたので、それで汗をかいていたのです。」
「そうでしたの。私は、織斑先生に失礼な事を言って怒らせて攻撃を避けていたのかと思いましたわ。」
「そんな事はありませんよ。」
そんな話をしながら教室に向かうと、
「何格好付けてんだ? すげえ似合わないぞ。」
「んなっ……⁉︎ なんてこと言うのよ、アンタは! 」
「どけ。チビ。」
「なっ‼︎ チビとは何……よ……… 」
「あ? 聞こえなかったか。どけ。
それに、もうSHRの時間になるぞ。」
「は、はい‼︎
また後で来るからね!逃げないでよ、一夏! 」
そう言ってチビは走って行った。しかし、何であんなに怖がってんだ?
まぁでも、
「出席簿打撃出来ずに残念でしたね。」
「とっとと座れ、じゃなければまた付き合ってもらうぞ? 」
織斑千冬が、後ろにいたので先程の仕返しをしてみた。
そんなやり取りをし席に着いた。
「ファウスト、食堂行きますわよ。」
昼休み、お嬢様は友達と食べると思っていたのだが、
「宜しいのですか? 御学友と食べなくても? 」
「ええ、今日は食堂で面白そうな物が見れそうなので。」
食堂に向かいながら聞いてみると、なんともすごい理由が返ってきた。
「昔から面白そうな物が好きですよね、お嬢様。」
「あら、ファウストが色んなイベントに私を連れて行ったからだと思いますわよ。」
「そうでしたか?私は、お嬢様に楽しんでもらえたら良かっただけですので。
それに、お嬢様の楽しそうな笑顔を見れるのは私の幸せでしたから。」
「ふふっ、嬉しいですわ。なら、これからも私に付き合って下さいね。」
「イエスマイロード。」
「待ってたわよ、一夏! 」
食堂に着くと、やっぱりいた。
織斑と楽しく話している。
おお〜篠ノ之の顔がみるみる不機嫌になっていくな。
ダンっ テーブルを叩く音が響く。
「一夏に教えるのは私の役目だ。頼まれたのは、私だ 」
「うーん、あんまり面白くありませんわね。」
お嬢様が呟く。
「仕方がないてしょう。織斑ですから。
あの唐変木に恋愛の面白さを求めても無駄ですよ。」
「そうですわね。ファウスト戻りましょう。」
お嬢様と俺は食堂を後にした。
その日の夜
「飲み物でも買ってくるか。」
飲み物を切らしていたので、自販機に買いに向かった。
すると、
「グスッ……一夏のバカ……」
チビが泣いていた。
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